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1 板橋区立中学校校長会の歴代会長

〔板橋区立中学校校長会の歴代会長(甲5、甲6)〕
年度 会長氏名 所属校名
昭和22年 根 本   匡  志村第二中学校
23年 根 本   匡  志村第二中学校
24年 根 本   匡  志村第二中学校
25年 根 本   匡  志村第二中学校
26年 根 本   匡  志村第二中学校
27年 岡 崎 利 輔  板橋第二中学校
28年 岡 崎 利 輔  板橋第二中学校
29年 岡 崎 利 輔  板橋第二中学校
30年 三 宮 宇佐美  上板橋第三中学校
31年 三 宮 宇佐美  上板橋第三中学校
32年 三 宮 宇佐美  上板橋第三中学校
33年 三 宮 宇佐美  上板橋第三中学校
34年 三 宮 宇佐美  上板橋第三中学校
35年 三 宮 宇佐美  板橋第三中学校
36年 知 久 矩 義  上板橋第一中学校
37年 酒 井   保  志村第三中学校
38年 小 碇 松次郎  上板橋第三中学校
39年 小 碇 松次郎  上板橋第三中学校
40年 吉 田 竜 馬  上板橋第一中学校
41年 吉 田 竜 馬  上板橋第一中学校
42年 稲 垣 正 信  板橋第三中学校
43年 稲 垣 正 信  板橋第三中学校
年度 会長氏名 所属校名
昭和44年 榎 本 一 郎  赤塚第一中学校
45年 榎 本 一 郎  赤塚第一中学校
46年 岩 崎 利 雄  西台中学校
47年 髙 橋 輝 政  板橋第一中学校
48年 髙 橋 輝 政  板橋第一中学校
49年 宇都宮 康 則  高島第二中学校
50年 宇都宮 康 則  高島第二中学校
51年 宇都宮 康 則  高島第二中学校
52年 日比野 輝 男  上板橋第一中学校
53年 浅 川 行 雄  板橋第二中学校
54年 浅 川 行 雄  板橋第二中学校
55年 小 川 健 七  板橋第三中学校
56年 小 川 健 七  板橋第三中学校
57年 小 川 健 七  板橋第三中学校
58年 丹 野   勉  板橋第一中学校
59年 丹 野   勉  板橋第一中学校
60年 丹 野   勉  板橋第一中学校
61年 丹 野   勉  板橋第一中学校
62年 小 林   隆  板橋第三中学校
63年 高 木 重 信  高島第三中学校
年度 会長氏名 所属校名
平成 元年 藤ヶ谷 敏 明  高島第二中学校
2年 橋 本   彌  志村第三中学校
3年 西 川 照 男  桜川中学校
4年 西 川 照 男  桜川中学校
5年 山 崎 誠 也  板橋第一中学校
6年 内 田 良 一  赤塚第三中学校
7年 遠 藤 國 雄  向原中学校
8年 阿 部   勲  志村第四中学校
9年 板 橋 弘 徳  加賀中学校
10年 坂 巻 富 雄  赤塚第三中学校
11年 齋 藤 福 次  板橋第五中学校
12年 大 沢 鷹 邇  板橋第四中学校
13年 須 永 一 男  高島第三中学校
14年 須 永 一 男  板橋第一中学校
15年 土 居 重 一  加賀中学校
16年 土 居 重 一  加賀中学校
17年 石 井   馨  赤塚第二中学校
18年 石 井   馨  赤塚第二中学校
19年 逢 見 百 樹  板橋第一中学校
20年 逢 見 百 樹  板橋第一中学校
21年 逢 見 百 樹  板橋第一中学校
22年 工 藤 雅 敏  赤塚第三中学校
23年 工 藤 雅 敏  赤塚第三中学校
24年 工 藤 雅 敏  赤塚第三中学校
25年 須 田 淳 一  板橋第一中学校

2 平成24年度板橋区立中学校校長会

(1)幹事会

〔平成24年度板橋区立中学校校長会の幹事会(甲5)〕
役職名 氏   名 所属校名
 会 長  工 藤 雅 敏  赤塚第三中学校
 副会長  須 田 淳 一  板橋第一中学校
 副会長  大河原 嘉 朗  赤塚第一中学校
 副会長  塩 野 賢 一  上板橋第二中学校
 総務部長  島 﨑 達 朗  上板橋第一中学校
 研修部長  佐 藤 晴 法  中台中学校
 健全育成部長  新飯田 潤 一  上板橋第三中学校
 事業部長  小 川 達 夫  板橋第五中学校

(2)組織編成

〔平成24年度板橋区立中学校校長会の組織編成(甲5)〕
役職名 氏   名 所属校名
 会  長 工 藤 雅 敏  赤塚第三中学校
 副 会 長 須 田 淳 一  板橋第一中学校
 副 会 長 大河原 嘉 朗  赤塚第一中学校
 副 会 長 塩 野 賢 一  上板橋第二中学校
 総  務 部長  島 﨑 達 朗  上板橋第一中学校
     松 本 洋 人  志村第二中学校
     飛 田 修 二  志村第三中学校
     上 倉 敏 郎  志村第五中学校
     大 本 勝 利  板橋第三中学校
     荒 井 秀 樹  高島第二中学校
 研  修 部長  佐 藤 晴 法  中台中学校
     百 武 政 信  向原中学校
     稲 葉 秀 哉  赤塚第二中学校
     岡 村 克 也  高島第一中学校
 健全育成 部長  新飯田 潤 一  上板橋第三中学校
     小 池 郁 男  板橋第二中学校
     飯 塚 正 人  西台中学校
     福 田 洋 一  志村第一中学校
     戸 張 隆 次  桜川中学校
 事  業 部長  小 川 達 夫  板橋第五中学校
     北 村 康 子  加賀中学校
     田 鹿 明 彦  志村第四中学校
     加 藤 芳 和  高島第三中学校

3 平成25年度板橋区立中学校校長会

(1)幹事会

〔平成25年度板橋区立中学校校長会の幹事会(甲6)〕
役職名 氏   名 所属校名
 会 長  須 田 淳 一  板橋第一中学校
 副会長  島 﨑 達 朗  上板橋第一中学校
 副会長  大河原 嘉 朗  赤塚第一中学校
 副会長  塩 野 賢 一  上板橋第二中学校
 総務部長  上 倉 敏 郎  志村第五中学校
 研修部長  新飯田 潤 一  上板橋第三中学校
 健全育成部長  飯 塚 正 人  西台中学校
 事業部長  小 川 達 夫  志村第四中学校

(2)組織編成

〔平成25年度板橋区立中学校校長会の組織編成(甲6)〕
役職名 氏   名 所属校名
 会  長 須 田 淳 一  板橋第一中学校
 副 会 長 島 﨑 達 朗  上板橋第一中学校
 副 会 長 大河原 嘉 朗  赤塚第一中学校
 副 会 長 塩 野 賢 一  上板橋第二中学校
 総  務 部長  上 倉 敏 郎  志村第五中学校
     坂 田 博 美  板橋第二中学校
     飛 田 修 二  志村第三中学校
     依 田 郁 夫  板橋第五中学校
     大 本 勝 利  板橋第三中学校
     荒 井 秀 樹  高島第二中学校
 研  修 部長  新飯田 潤 一  上板橋第三中学校
     佐 藤 晴 法  中台中学校
     北 村 康 子  加賀中学校
     稲 葉 秀 哉  赤塚第二中学校
 健全育成 部長  飯 塚 正 人  西台中学校
     百 武 政 信  向原中学校
     岡 村 克 也  高島第一中学校
     藤 江 敏 郎  志村第二中学校
     戸 張 隆 次  桜川中学校
 事  業 部長  小 川 達 夫  志村第四中学校
     福 田 洋 一  志村第一中学校
     工 藤 雅 敏  赤塚第三中学校
     加 藤 芳 和  高島第三中学校

4 平成24年度板橋区立中学校教職員一覧表

(1)被告板橋区の主張

 被告板橋区は、東京地方裁判所平成26年(ワ)第12268号事件に提出した平成26年9月1日付け準備書面(1)17頁・18頁において、「平成24年度板橋区立中学校教職員一覧表」の使用方法及び必要性を下記のとおり主張した。
〔平成26年9月1日付け被告板橋区準備書面(1)、17頁上から26行目から18頁上から24行目まで〕
 ウ 人事異動には、板橋区内から板橋区外へ、又板橋区外から板橋区内へ
  の人事異動のほか、上記イ⑦のとおり板橋区内における人事異動がある。
   板橋区においては、上記イ⑤の人事上の要望事項として、校長が必要と
  する人材が具体的にいる場合、区教委は、当該人材の氏名等を校長から聴
  取し、その内容を勘案して、異動配置案に反映させることにより、校長の
  学校経営方針や人事構想の実現をきめ細かく支援し、板橋区立学校全体の
  教育水準の向上を図っている。
 エ 以上の人事異動の仕組みの下では、「平成24年度教職員一覧表」、「平
  成25年度教職員一覧表」、「平成24年度板橋区立中学校教職員一覧表」、
  「平成25年度板橋区立中学校教職員一覧表」、「平成26年度定期異動状
  況調査一覧表」及び「平成26年度定期異動に関する求人・紹介一覧表」
  は、必要なものである。
   すなわち、都教委の人事異動は、制度上、区教委の内申、各校長の具申
  の基に成り立っているところ、「教職員一覧表」は区教委の内申等、つまり
  区教委が都教委に提出する異動計画案及び異動配置案並びに各種調査回答
  を作成する際の資料等として、また、「中学校教職員一覧表」、「定期異動状
  況調査票」及び「定期異動に関する求人・紹介一覧表」は校長の具申を始
  めとして、自校の学校経営方針や人事構想の実現に向け、自校の人事上の
  要望事項を具体化等するための資料として、それぞれ必要なものである。
  また、これらを用いることによって、「適材適所の配置」や「学校における
  望ましい教員構成の確保」など、定期異動の目的達成に資することとなる。
  とりわけ、板橋区内の人事異動においては、校長から人事上の要望事項に
  ついて、個別具体的に聴取し、異動計画案に反映させることで、校長の学
  校経営方針や人事構想の実現をきめ細かく支援し、板橋区全体の教育水準
  の向上を図ることができるものである。

 被告板橋区は、東京地方裁判所平成26年(ワ)第12268号事件に提出した平成26年9月1日付け準備書面(1)20頁において、「平成24年度板橋区立中学校教職員一覧表」の作成過程、記載事項、配付先、使用方法について、事実上の主張をした。 
〔平成26年9月1日付け被告板橋区準備書面(1)20頁、上から2行目から16行目まで〕
(3)「平成24年度板橋区立中学校教職員一覧表」について
  ア 「平成24年度板橋区立中学校教職員一覧表」の作成過程は、次のとお
   りである。
    板橋区立中学校校長会(以下「校長会」という。)の会長は、各中学校校
   長が作成した自校の教職員一覧表23校分を同校長から収集し、これを
   取り纏め(何ら加筆等せずに綴る)、「平成24年度板橋区立中学校教職員
   一覧表」が完成する(上記収集及び取り纏めの作業は、板橋区立中学校副
   校長会(副校長ら。以下「副校長会」という。)が行っている。)。
  イ その記載事項は、「平成24年度教職員一覧表」と同様に、職名、氏名、
   性別、生年月日、満年齢、学歴、免許状種別、勤務年月、住所、研究歴等
   である(乙4参照)。
  ウ その配付先は、各中学校校長及び副校長である。
  エ その使用方法については、中学校校長が、自校の学校経営方針や人事構
   想の実現に向け、自校の人事上の要望事項を具体化等するための資料など
   として用いられるものである。

(2)平成24年度板橋区立中学校教職員一覧表の作成

 平成24年度板橋区立中学校校長会会長工藤雅敏(赤塚第三中学校校長)は、平成24年5月、各中学校校長が作成して平成24年度板橋区教育委員会事務局指導室長矢部崇に提出した自校の「平成24年度教職員一覧表」23校分を集約して、「平成24年度板橋区立中学校教職員一覧表」を作成した。
 「平成24年度板橋区立中学校教職員一覧表」は、平成24年度板橋区教育委員会教育長北川容子が作成した「平成24年度板橋区立学校教職員一覧表」(乙4)の中学校部分と同一である。
 現行の学制が施行された昭和22年から平成24年までの65年間、板橋区立中学校校長会は板橋区教育委員会に提出した自校の「教職員一覧表」を全校分集約して「板橋区立中学校教職員一覧表」を作成してきた蓋然性が高い。

〔乙4.平成24年度教職員一覧表(抜粋)〕
                               人 秘
 平成 24 年度
板橋区立学校  教職員一覧表
板 橋 区 教 育 委 員 会
        注)1.この名簿に記載してあるものは、平成24年5月1日現在在籍する教職員である。
           2.年齢及び勤務年月は、平成25年3月31日現在である。

板橋区立 板橋第五 中学校 学校教職員一覧表  校長室 ℡ (3964) 3822 3
 職員室 ℡ (3962) 7755 (      )
番号 職名 ふ り が な 学    歴 研究教科 分掌事務  〒 最寄駅 氏 名(ゴム印) 研究歴
氏    名 卒(修)業学校名 免許状種別 勤務年月 住   所 職 員 番 号 研究生 開発委員 研究員
生年月日(満年齢) 卒(修)業年月日 担任教科 学級担任 (電話番号) 所要時間 備  考
(時間)
本校
本区  〒
1 本都
通算
校長 (      ) 40
司書
本校
本区  〒
2 本都
通算
副校長 (      ) 40
司書
本校
本区  〒
3 本都
通算
10 (      ) 95
司書
本校
本区  〒
4 本都
通算
11 (      ) 70
司書
本校
本区  〒
5 本都
通算
18 (      ) 55
司書
本校
本区  〒
6 本都
通算
13 (      ) 55
司書
本校
本区  〒
7 本都
通算
13 (      ) 55
司書
本校
本区  〒
8 本都
通算
19 (      ) 10
司書
本校
本区  〒
9 本都
通算
14 (      ) 15
司書
本校
本区  〒
10 本都
通算
18 (      ) 60
司書
本校
本区  〒
11 本都
通算
16 (      ) 100
司書
本校
本区  〒
12 本都
通算
(      ) 30
司書
本校
本区  〒
13 本都
通算
(      ) 70
司書
本校
本区  〒
14 本都
通算
(      ) 120
司書
本校
本区  〒
15 本都
通算
(      ) 30
司書
 被告板橋区は、東京地方裁判所平成26年(ワ)第12268号事件の証拠書証乙4「平成24年度教職員一覧表(抜粋)」として、平成24年度板橋第五中学校教職員一覧表を提出した。
 証拠書証乙4の平成24年度板橋第五中学校教職員一覧表の次の項目は被覆されていた。氏名、生年月日、満年齢、学歴(卒(修)業学校名、卒(修)業年月日)、免許状種別、勤務年月、研究教科、担任教科、分掌事務、学級担任、自宅住所、自宅電話番号、自宅最寄駅、氏名(ゴム印)、職員番号、備考欄記載事項、研究歴。

〔平成26年9月1日付け被告板橋区準備書面(1)23頁、上から2行目から5行目まで〕
 オ 平成24年5月、平成24年度副校長会(副校長ら)は、各中学校校長
  が作成した自校の教職員一覧表23校分の収集及び取り纏め(何ら加筆等
  せず綴る)の作業をして、「平成24年度板橋区立中学校教職員一覧表」が
  完成した。

(3)掲載された職種

 「平成24年度板橋区立中学校教職員一覧表」には、下記の職種の都費負担教職員が掲載された。
 校長、副校長、主幹教諭、主任教諭、教諭、再任用教諭、養護教諭、栄養教諭、都費事務職員、都費栄養職員、指導主事。
 休職者、在籍専従者、在外教育施設、新教育大等は枠外に記入する。

(4)掲載された項目

 「平成24年度板橋区立中学校教職員一覧表」には、下記の25項目が記載された。
 ①職名  校長、副校長、主幹教諭、主任教諭、教諭など
 ②氏名、ふりがな
 ③性別
 ④生年月日
 ⑤満年齢
 ⑥学歴(卒(修)業学校名、卒(修)業年月日)
 ⑦免許状種別  幼稚園、小学校、中学校、高等学校、養護学校、司書教諭
 ⑧勤務年月  本校、本区、本都、通算、校長、副校長
 ⑨研究教科
 ⑩担任教科(時間)
 ⑪分掌事務
 ⑫学級担任  所属学年・学級、副担任は〇学年副
 ⑬自宅住所
 ⑭自宅電話番号
 ⑮自宅最寄駅
 ⑯自宅から勤務地までの所要時間
 ⑰氏名(ゴム印)
 ⑱職員番号
 ⑲親族又は子どもが東京都公立小中学校・幼稚園に勤務又は通学(通園)の場合は、所属する学校(園)名 【例】[妻:〇〇小
  教諭、子:〇〇区〇〇中在学]
 ⑳管理職候補者の場合は、種別(23B、21Aなど)
 ㉑必置主任(教務、生活指導、研究、進路指導、保健、学年)
 ㉒休職者等はその期間、産・育休代替教諭は任用期間
 ㉓新規採用教員で学級経営研修生(定数外)の場合は、学級経営研修
 ㉔再任用短時間教員で新人育成教員の場合は、新人育成教員
 ㉕研究歴  研究生、開発委員、研究員

(5)掲載された教職員数

 「平成24年度板橋区立中学校教職員一覧表」には、下記〔甲2.平成24年度板橋区立中学校教職員一覧表記載人数〕のとおり、平成24年度板橋区立中学校全23校に在職した617人の都費負担教職員が掲載された。
〔甲2.平成24年度板橋区立中学校教職員一覧表記載人数〕
NO 中学校名 記載人数
1   板橋第一中学校 33
2   板橋第二中学校 27
3   板橋第三中学校 25
4   板橋第五中学校 15
5   加賀中学校 26
6   志村第一中学校 33
7   志村第二中学校 26
8   志村第三中学校 30
9   志村第四中学校 35
10   志村第五中学校 23
11   西台中学校 24
12   中台中学校 22
13   上板橋第一中学校 25
14   上板橋第二中学校 19
15   上板橋第三中学校 32
16   桜川中学校 26
17   向原中学校 17
18   赤塚第一中学校 38
19   赤塚第二中学校 25
20   赤塚第三中学校 37
21   高島第一中学校 23
22   高島第二中学校 25
23   高島第三中学校 31
617

(6)配付先

 平成24年度板橋区立中学校校長会会長工藤雅敏(赤塚第三中学校校長)は、平成24年5月、「平成24年度板橋区立中学校教職員一覧表」を、下記の校長23名及び副校長23名に配付した。
 現行の学制が施行された昭和22年から平成24年までの65年間、板橋区立中学校校長会は「板橋区立中学校教職員一覧表」を板橋区立中学校の全校長及び全副校長(教頭)に配付してきた蓋然性が高い。
〔平成24年度板橋区立中学校の校長・副校長(甲5)〕
NO 中学校名 校  長 副 校 長
1   板橋第一中学校 須 田 淳 一 木名瀬 伸 博
2   板橋第二中学校 小 池 郁 男 関    一 彦
3   板橋第三中学校 大 本 勝 利 石 塚 雄 一
4   板橋第五中学校 小 川 達 夫 近 藤 章 子
5   加賀中学校 北 村 康 子 宮 崎    剛
6   志村第一中学校 福 田 洋 一 坂 田 博 美
7   志村第二中学校 松 本 洋 人 小 林    薫
8   志村第三中学校 飛 田 修 二 河 村 英 明
9   志村第四中学校 田 鹿 明 彦 宮 田    誠
10   志村第五中学校 上 倉 敏 郎 杉 山 直 之
11   西台中学校 飯 塚 正 人 渡 部 孝 司
12   中台中学校 佐 藤 晴 法 清 水 龍 治
13   上板橋第一中学校 島 﨑 達 朗 龍 野    真
14   上板橋第二中学校 塩 野 賢 一 関 田    誠
15   上板橋第三中学校 新飯田 潤 一 遠 藤 哲 也
16   桜川中学校 戸 張 隆 次 増 田 裕 子
17   向原中学校 百 武 政 信 大 野 幸 男
18   赤塚第一中学校 大河原 嘉 朗 長 濱 裕 也
19   赤塚第二中学校 稲 葉 秀 哉 椿   正 明
20   赤塚第三中学校 工 藤 雅 敏 渡 邊 俊 一
21   高島第一中学校 岡 村 克 也 工 藤 公 彦
22   高島第二中学校 荒 井 秀 樹 高 橋 和 久
23   高島第三中学校 加 藤 芳 和 鳥 居 克 己

〔平成26年9月1日付け被告板橋区準備書面(1)23頁、上から2行目から7行目まで〕
 オ 平成24年5月、平成24年度副校長会(副校長ら)は、各中学校校長
  が作成した自校の教職員一覧表23校分の収集及び取り纏め(何ら加筆等
  せず綴る)の作業をして、「平成24年度板橋区立中学校教職員一覧表」が
  完成した。
 キ 同月、「平成24年度板橋区立中学校教職員一覧表」が各中学校校長及び
  副校長に配付された。

(7)使用目的

 被告板橋区は、教員定期異動事務において、「校長が必要とする人材が具体的にいる場合、区教委は、当該人材の氏名等を校長から聴取し、その内容を勘案して、異動配置案に反映させる」と主張した。(平成26年9月1日付け被告板橋区準備書面(1)18頁)
〔平成26年9月1日付け被告板橋区準備書面(1)18頁、上から2行目から6行目まで〕
  板橋区においては、上記イ⑤の人事上の要望事項として、校長が必要と
 する人材が具体的にいる場合、区教委は、当該人材の氏名等を校長から聴
 取し、その内容を勘案して、異動配置案に反映させることにより、校長の
 学校経営方針や人事構想の実現をきめ細かく支援し、板橋区立学校全体の
 教育水準の向上を図っている。

 被告板橋区は、「平成24年度板橋区立中学校教職員一覧表」の使用方法を、「中学校校長が、自校の学校経営方針や人事構想の実現に向け、自校の人事上の要望事項を具体化等するための資料などとして用いられるものである。」と主張した。(平成26年9月1日付け被告板橋区準備書面(1)20頁)
〔平成26年9月1日付け被告板橋区準備書面(1)20頁、上から14行目から16行目まで〕
 エ その使用方法については、中学校校長が、自校の学校経営方針や人事構
  想の実現に向け、自校の人事上の要望事項を具体化等するための資料など
  として用いられるものである。

 板橋区立中学校校長は、「板橋区立中学校教職員一覧表」(乙6)、「定期異動状況調査一覧表」(乙7)及び「定期異動に関する求人・紹介一覧表集計」(乙8)があれば、次年度必要とする教員の氏名を特定して板橋区教育委員会に要望することができる。
 つまり、「平成24年度板橋区立中学校教職員一覧表」の主な使用目的は、一部の校長が教員定期異動事務において「A中学校のa教諭を欲しい。」と要望するとき使用するものである。
 なお、“一部の校長”としたのは、被告板橋区が「校長が必要とする人材が具体的にいる場合、区教委は、当該人材の氏名等を校長から聴取し」と主張するとおり、全ての校長が教員の氏名を特定して要望したわけではないからである。仮に、全ての校長が次年度転入予定の教員をすべて特定して要望したら、複数の校長が同一教員を指名したり、まったく指名されない教員も出て、教員定期異動事務は立ち行かなくなる。したがって、「A中学校のa教諭を欲しい。」と浅ましい要望をするのは、自己の利益のみを考えた一部の校長である。

 ア 教育基本法16条1項違反

 上記(7)のとおり、教員定期異動事務において、板橋区立中学校校長23名全員が教員の氏名を特定して要望したわけではない。「A中学校のa教諭を欲しい。」と自己の利益のみを考えた浅ましい要望をした校長は一部である。
 平成24年度板橋区教育委員会教育長北川容子は、一部の校長にへつらい、同校長らの浅ましい要望を受け入れ、同校長らが教員定期異動事務に不当に介入することを許した。教育長北川容子は、自らの責任において主体的に教員定期異動事務を実施することを放棄した。したがって、教育長北川容子は、一部の校長の不当な介入を許し、教員定期異動事務を自らの責任において主体的に公正かつ適正に実施する義務に違反した。
 よって、教育長北川容子は、教育基本法16条1項に違反した。
 (ページ「板橋区・板橋区教育委員会の違法行為」、5(4)ア)

 イ 憲法15条2項違反

 平成24年度板橋区教育委員会教育長北川容子がx校長の要望「A中学校のa教諭を欲しい。」を受け入れることは、「x校長の学校経営方針や人事構想の実現をきめ細かく支援し、X中学校の教育水準を向上させる」(平成26年9月1日付け被告板橋区準備書面(1)18頁、上から4行目から5行目まで)のであるから、x校長に対する利益供与である。したがって、教育長北川容子は、教員定期異動事務を行うにあたり、一部の校長に利益供与し、板橋区立中学校校長23名を公平に扱わなかった。
 よって、教育長北川容子は、憲法15条2項に違反した。
 (ページ「板橋区・板橋区教育委員会の違法行為」、5(4)イ)

 ウ 地方公務員法30条違反

 平成24年度板橋区教育委員会教育長北川容子は、一部の校長にへつらい、同校長らの浅ましい要望を受け入れ、同校長らの学校の教育水準を向上させた。教育長北川容子は、教員の氏名を特定して要望した学校の教育水準を向上させ、そうでない学校の教育水準向上を後回しにした。したがって、教育長北川容子は、一部の学校の教育水準を向上させ、板橋区立中学校23校の教育水準を向上させる義務を果たさなかった。
 よって、教育長北川容子は、地方公務員法30条に違反した。
 (ページ「板橋区・板橋区教育委員会の違法行為」、5(4)ウ)

(9)平成24年度板橋区立中学校校長・副校長の違法行為

 ア 職務上の情報及び個人情報の漏えい

 平成24年度板橋区立中学校校長は、平成24年度板橋区教育委員会事務局指導室長矢部崇に提出した自校の「平成24年度教職員一覧表」を平成24年度板橋区立中学校校長会会長工藤雅敏(赤塚第三中学校校長)に提出した。校長会会長工藤雅敏は、上記「平成24年度教職員一覧表」23校分を集約して「平成24年度板橋区立中学校教職員一覧表」を作成し、同一覧表を板橋区立中学校校長23名及び副校長23名に配付した。
 平成24年度板橋区立中学校校長が自校の外の校長22名及び副校長22名に漏えいした所属職員の職務上の情報及び個人情報は、①職名、②氏名、③性別、④生年月日、⑤満年齢、⑥学歴(卒(修)業学校名、卒(修)業年月日)、⑦免許状種別、⑧勤務年月、⑨研究教科、⑩担任教科(時間)、⑪分掌事務、⑫学級担任、⑬自宅住所、⑭自宅電話番号、⑮自宅最寄駅、⑯自宅から勤務地までの所要時間、⑰氏名(ゴム印)、⑱職員番号、⑲親族又は子どもが東京都公立小中学校・幼稚園に勤務又は通学(通園)の場合は、所属する学校(園)名【例】[妻:〇〇小教諭、子:〇〇区〇〇中在学]、⑳管理職候補者、㉑必置主任(教務、生活指導、研究、進路指導、保健、学年)、㉒休職者等、産・育休代替教諭、㉓新規採用教員、㉔再任用短時間教員、㉕研究歴である。
 中学校校長の職務は、学校教育法37条4項を準用する49条により、「校務をつかさどり、所属職員を監督する。」である。東京都板橋区立学校の管理運営に関する規則5条は、校長の職務を「学校教育の管理、所属職員の管理、学校施設の管理及び学校事務の管理に関すること。」(同規則5条1項1号)、「所属職員の職務上及び身分上の監督に関すること。」(同規則5条1項2号)と規定している。
 したがって、平成24年度板橋区立中学校校長が所属職員の職務上の情報及び個人情報を自校の外の校長22名及び副校長22名に漏えいしたことは、学校教育法37条4項を準用する49条、東京都板橋区立学校の管理運営に関する規則5条1項1号及び5条1項2号が規定する権限の逸脱濫用であり、地方公務員法34条1項違反である。
 平成24年度板橋区立中学校校長は所属職員の職務上の情報及び個人情報を自校の外の校長22名及び副校長22名に漏えいし、所属職員の自己情報コントロール権を侵害した。
 よって、平成24年度板橋区立中学校校長23名は、憲法13条、教育基本法9条2項、個人情報保護法3条、学校教育法37条4項を準用する49条、東京都板橋区立学校の管理運営に関する規則5条1項1号及び5条1項2号、地方公務員法32条、33条及び34条1項に違反した。

※憲法13条〔個人の尊重、生命・自由・幸福追求の権利の尊重〕
 すべて国民は、個人として尊重される。生命、自由及び幸福追求に対する国民の権利については、公共の福祉に反しない限り、立法その他の国政の上で、最大の尊重を必要とする。
※教育基本法9条2項(教員)
 前項の教員については、その使命と職責の重要性にかんがみ、その身分は尊重され、待遇の適正が期せられるととに、養成と研修の充実が図られなければならない。
※個人情報保護法3条(基本理念)
 個人情報は、個々の人格尊重の理念の下に慎重に取り扱われるべきものであることにかんがみ、その適正な取扱いが図られなければならない。
※学校教育法37条4項
 校長は、校務をつかさどり、所属職員を監督する。
※学校教育法49条〔準用規定〕
 第30条第2項、第31条、第34条、第35条及び第37条から第44条までの規定は、中学校に準用する。この場合において、第30条第2項中の「前項」とあるのは「第46条」と、第31条中「前条第1項」とあるのは「第46条」と読み替えるものとする。
※東京都板橋区立学校の管理運営に関する規則5条(校長の職務)
 学校教育法第37条第4項及び同項を準用する法第49条に規定する校長の職務は、おおむね次のとおりとする。
 (1)学校教育の管理、所属職員の管理、学校施設の管理及び学校事務の管理に関すること。
 (2)所属職員の職務上及び身分上の監督に関すること。
 (3)前各号に規定するもののほか、職務上委任又は命令された事項に関すること。
2 校長は、所属職員に校務を分掌させることができる。
※地方公務員法32条(法令等及び上司の職務上の命令に従う義務)
 職員は、その職務を遂行するに当たって、法令、条例、地方公共団体の規則及び地方公共団体の機関の定める規程に従い、且つ、上司の職務上の命令に忠実に従わなければならない。
※地方公務員法33条(信用失墜行為の禁止)
 職員は、その職の信用を傷つけ、又は職員の職全体の不名誉となるような行為をしてはならない。
※地方公務員法34条1項(秘密を守る義務)
 職員は、職務上知り得た秘密を漏らしてはならない。その職を退いた後も、また、同様とする。

 イ 職務上の情報及び個人情報の不正入手

 平成24年度板橋区立中学校校長及び副校長は、「平成24年度板橋区立中学校教職員一覧表」から、自校の外の22中学校に在職する都費負担教職員約600人の職務上の情報及び個人情報を入手した。
 平成24年度板橋区立中学校校長及び副校長が入手した自校の外の22中学校に在職する都費負担教職員約600人の職務上の情報及び個人情報は、①職名、②氏名、③性別、④生年月日、⑤満年齢、⑥学歴(卒(修)業学校名、卒(修)業年月日)、⑦免許状種別、⑧勤務年月、⑨研究教科、⑩担任教科(時間)、⑪分掌事務、⑫学級担任、⑬自宅住所、⑭自宅電話番号、⑮自宅最寄駅、⑯自宅から勤務地までの所要時間、⑰氏名(ゴム印)、⑱職員番号、⑲親族又は子どもが東京都公立小中学校・幼稚園に勤務又は通学(通園)の場合は、所属する学校(園)名【例】[妻:〇〇小教諭、子:〇〇区〇〇中在学]、⑳管理職候補者、㉑必置主任(教務、生活指導、研究、進路指導、保健、学年)、㉒休職者等、産・育休代替教諭、㉓新規採用教員、㉔再任用短時間教員、㉕研究歴である。
 中学校校長の職務は、学校教育法37条4項を準用する49条により、「校務をつかさどり、所属職員を監督する。」である。東京都板橋区立学校の管理運営に関する規則5条は、校長の職務を「学校教育の管理、所属職員の管理、学校施設の管理及び学校事務の管理に関すること。」(同規則5条1項1号)、「所属職員の職務上及び身分上の監督に関すること。」(同規則5条1項2号)と規定している。
 中学校副校長の職務は、学校教育法37条5項を準用する49条により、「校長を助け、命を受けて校務をつかさどる。」である。東京都板橋区立学校の管理運営に関する規則6条は、副校長の職務を「校長を助け、命を受けて校務をつかさどり、及び校務を整理する。」(同規則6条2項)、「校長の命を受け、所属職員を監督し、及び必要に応じ児童又は生徒の教育をつかさどる。」(同規則6条3項)と規定している。
 中学校校長・副校長は、自校の外の学校に在職する職員を監督する権限を有しない。板橋区立中学校校長・副校長は、自校の外の学校に在職する職員を管理する権限を有しない。板橋区立中学校校長・副校長は、自校の外の学校に在職する職員の職務上及び身分上の監督を行う権限を有しない。
 したがって、平成24年度板橋区立中学校校長及び副校長が自校の外の22中学校に在職する都費負担教職員約600人の職務上の情報及び個人情報を入手したことは、学校教育法37条4項及び5項を準用する49条、東京都板橋区立学校の管理運営に関する規則5条1項1号、5条1項2号、6条2項及び6条3項が規定する権限の逸脱濫用である。
 平成24年度板橋区立中学校校長及び副校長は自校の外の22中学校に在職する都費負担教職員約600人の職務上の情報及び個人情報を不正に入手し、同職員らの自己情報コントロール権を侵害した。
 よって、平成24年度板橋区立中学校校長23名及び副校長23名は、憲法13条、教育基本法9条2項、個人情報保護法3条、学校教育法37条4項及び5項を準用する49条、東京都板橋区立学校の管理運営に関する規則5条1項1号、5条1項2号、6条2項及び6条3項、地方公務員法32条及び33条に違反した。

※憲法13条〔個人の尊重、生命・自由・幸福追求の権利の尊重〕
 すべて国民は、個人として尊重される。生命、自由及び幸福追求に対する国民の権利については、公共の福祉に反しない限り、立法その他の国政の上で、最大の尊重を必要とする。
※教育基本法9条2項(教員)
 前項の教員については、その使命と職責の重要性にかんがみ、その身分は尊重され、待遇の適正が期せられるととに、養成と研修の充実が図られなければならない。
※個人情報保護法3条(基本理念)
 個人情報は、個々の人格尊重の理念の下に慎重に取り扱われるべきものであることにかんがみ、その適正な取扱いが図られなければならない。
※学校教育法37条4項
 校長は、校務をつかさどり、所属職員を監督する。
※学校教育法37条5項
 副校長は、校長を助け、命を受けて校務をつかさどる。
※学校教育法49条〔準用規定〕
 第30条第2項、第31条、第34条、第35条及び第37条から第44条までの規定は、中学校に準用する。この場合において、第30条第2項中の「前項」とあるのは「第46条」と、第31条中「前条第1項」とあるのは「第46条」と読み替えるものとする。
※東京都板橋区立学校の管理運営に関する規則5条(校長の職務)
 学校教育法第37条第4項及び同項を準用する法第49条に規定する校長の職務は、おおむね次のとおりとする。
 (1)学校教育の管理、所属職員の管理、学校施設の管理及び学校事務の管理に関すること。
 (2)所属職員の職務上及び身分上の監督に関すること。
 (3)前各号に規定するもののほか、職務上委任又は命令された事項に関すること。
2 校長は、所属職員に校務を分掌させることができる。
※東京都板橋区立学校の管理運営に関する規則6条(副校長)
 学校に副校長を置く。
2 副校長は、校長を助け、命を受けて校務をつかさどり、及び校務を整理する。
3 副校長は、校長の命を受け、所属職員を監督し、及び必要に応じ児童又は生徒の教育をつかさどる。
※地方公務員法32条(法令等及び上司の職務上の命令に従う義務)
 職員は、その職務を遂行するに当たって、法令、条例、地方公共団体の規則及び地方公共団体の機関の定める規程に従い、且つ、上司の職務上の命令に忠実に従わなければならない。
※地方公務員法33条(信用失墜行為の禁止)
 職員は、その職の信用を傷つけ、又は職員の職全体の不名誉となるような行為をしてはならない。

5 平成25年度板橋区立中学校教職員一覧表(乙6)

(1)被告板橋区の主張

 被告板橋区は、東京地方裁判所平成26年(ワ)第12268号事件に提出した平成26年9月1日付け準備書面(1)17頁・18頁において、「平成25年度板橋区立中学校教職員一覧表」(乙6)の使用方法及び必要性を下記のとおり主張した。
〔平成26年9月1日付け被告板橋区準備書面(1)、17頁上から26行目から18頁上から24行目まで〕
 ウ 人事異動には、板橋区内から板橋区外へ、又板橋区外から板橋区内へ
  の人事異動のほか、上記イ⑦のとおり板橋区内における人事異動がある。
   板橋区においては、上記イ⑤の人事上の要望事項として、校長が必要と
  する人材が具体的にいる場合、区教委は、当該人材の氏名等を校長から聴
  取し、その内容を勘案して、異動配置案に反映させることにより、校長の
  学校経営方針や人事構想の実現をきめ細かく支援し、板橋区立学校全体の
  教育水準の向上を図っている。
 エ 以上の人事異動の仕組みの下では、「平成24年度教職員一覧表」、「平
  成25年度教職員一覧表」、「平成24年度板橋区立中学校教職員一覧表」、
  「平成25年度板橋区立中学校教職員一覧表」、「平成26年度定期異動状
  況調査一覧表」及び「平成26年度定期異動に関する求人・紹介一覧表」
  は、必要なものである。
   すなわち、都教委の人事異動は、制度上、区教委の内申、各校長の具申
  の基に成り立っているところ、「教職員一覧表」は区教委の内申等、つまり
  区教委が都教委に提出する異動計画案及び異動配置案並びに各種調査回答
  を作成する際の資料等として、また、「中学校教職員一覧表」、「定期異動状
  況調査票」及び「定期異動に関する求人・紹介一覧表」は校長の具申を始
  めとして、自校の学校経営方針や人事構想の実現に向け、自校の人事上の
  要望事項を具体化等するための資料として、それぞれ必要なものである。
  また、これらを用いることによって、「適材適所の配置」や「学校における
  望ましい教員構成の確保」など、定期異動の目的達成に資することとなる。
  とりわけ、板橋区内の人事異動においては、校長から人事上の要望事項に
  ついて、個別具体的に聴取し、異動計画案に反映させることで、校長の学
  校経営方針や人事構想の実現をきめ細かく支援し、板橋区全体の教育水準
  の向上を図ることができるものである。

 被告板橋区は、東京地方裁判所平成26年(ワ)第12268号事件に提出した平成26年9月1日付け準備書面(1)23頁ないし26頁において、「平成25年度板橋区立中学校教職員一覧表」(乙6)作成の経緯を下記のとおり主張した。
〔平成26年9月1日付け被告板橋区準備書面(1)、23頁ないし26頁〕
 エ 平成25年4月8日、矢部室長は、平成25年度校長会会長須田淳一(以
  下「須田会長」という。)に対し、各中学校校長が自校の平成25年度教職
  員一覧表として区教委指導室に提出したものと同一内容のものを、各校長
  間で情報共有するのは再考を要する旨伝えた。
 オ 平成25年4月10日頃、矢部室長は原告から電話を受け、平成24年
  4月に各中学校校長が指導室長に提出した自校の教職員一覧表が、23校
  分集約されて、「平成24年度板橋区立中学校教職員一覧表」となり、これ
  が板橋区立中学校の全校長・全副校長に配付されている旨報告を受けた。
  矢部室長は原告に対し、先日、須田会長に対し、各中学校校長が自校の
  教職員一覧表として区教委指導室に提出したものと同一のものを、各
  校長間で情報共有するのは再考を要する旨伝えたことを話した。
 カ 平成25年4月11日、板橋区立中学校副校長会が開催され、同会の会
  長増田裕子は副校長らに対し、平成25年度の各校の教職員一覧表は、指
  導室長には昨年度と同様に作成して提出されたいが、平成25年度の板橋
  区立中学校教職員一覧表の取扱いはどうなるかわからない旨述べた。
 サ 平成25年9月10日、午後2時30分から板橋区立上板橋第二中学校
  で板橋区立中学校校長会が行われ、「平成25年度板橋区立中学校教職員
  一覧表」について、作成するかどうか、どの程度の情報を盛り込むのか、
  配付先は校長だけにするかなど、議論になり、校長らから意見が出された
  が、結論は出なかった。
 シ 同日、矢部室長は原告から、「平成25年度板橋区立中学校教職員一覧
  表」の作成について反対の意思を表明する旨のFAX送信を受けた(甲2
  0)。
 セ 平成25年9月13日、矢部室長は原告との電話の際、原告から、「平成
  25年度板橋区立中学校教職員一覧表」の作成・配付は個人情報の漏えい
  である旨の話を聞いた。これに対し、矢部室長は、個人情報漏えいには収
  集と使用があり難しい問題である旨述べた。
 タ 平成25年9月30日、校長会幹事会(構成員は、会長、副会長、総務
  部長ら各部長である。)が開かれ、「平成25年度板橋区立中学校教職員一
  覧表」の作成について、その基となる各中学校校長が作成した自校の教職
  員一覧表の掲載項目のうち、学齢、住所等を削除することを決定した。
 ツ 平成25年10月15日、校長会総務部長上倉敏郎(以下「上倉総務部
  長」という。)は、「平成25年度板橋区立中学校教職員一覧表」の作成依
  頼について、原告を除く全中学校校長に対しメール送信した。
 ナ 平成25年10月30日、上倉総務部長は、各中学校校長(原告を除く。)
  から、自校の教職員一覧表の提出を受け、その集約をし、同年11月上旬、
  各中学校校長(原告を除く。)に対し、「平成25年度板橋区立中学校教職
  員一覧表」を配付した(乙6)。

(2)平成25年度板橋区立中学校教職員一覧表作成の経緯

 ア 平成25年4月10日頃、依田郁夫から指導室長矢部崇へ

 平成25年4月10日頃、依田郁夫は指導室長矢部崇に、校長が指導室長矢部崇に提出した「平成24年度教職員一覧表」が全中学校23校分集約されて「平成24年度板橋区立中学校教職員一覧表」として、板橋区立中学校の全校長・全副校長に配付されていることを報告した。
〔訴状19頁、上から21行目から25行目まで〕
  平成25年4月10日頃、原告は板橋区教育委員会事務局指導室長
 矢部崇に、校長が指導室長矢部崇に提出した「平成24年度教職員一覧
 表」が全中学校23校分集約されて「平成24年度板橋区立中学校教職
 員一覧表」として、板橋区立中学校の全校長・全副校長に配付されてい
 ることを報告した。

 イ 平成25年4月10日頃、指導室長矢部崇から校長会会長須田淳一へ

 平成25年4月10日頃、指導室長矢部崇は校長会会長須田淳一に、「校長会は平成25年度板橋区立中学校教職員一覧表を作成しない。」ように伝えた。
〔訴状、19頁上から26行目から20頁上から2行目まで〕
  平成25年4月10日頃、指導室長矢部崇は原告に、「平成25年度板
 橋区立中学校校長会会長須田淳一に、『校長会は平成25年度板橋区立中
 学校教職員一覧表を作成しない。』ように伝えた。」と話した。

 ウ 平成25年4月11日、副校長会会長増田裕子から副校長会会員へ

 平成25年4月11日、板橋区立中学校副校長会が開催され、同会の会長増田裕子が同会会員に「平成25年度の各校の教職員一覧表は、指導室長には昨年度と同様に作成して提出されたいが、平成25年度の板橋区立中学校教職員一覧表の取扱いはどうなるかわからない旨」を述べた。
〔平成26年9月1日付け被告板橋区準備書面(1)24頁、上から6行目から9行目まで〕
 カ 平成25年4月11日、板橋区立中学校副校長会が開催され、同会の会
  長増田裕子は副校長らに対し、平成25年度の各校の教職員一覧表は、指
  導室長には昨年度と同様に作成して提出されたいが、平成25年度の板橋
  区立中学校教職員一覧表の取扱いはどうなるかわからない旨述べた。

 エ 平成25年9月10日、板橋区立中学校校長会

 平成25年9月10日、午後2時30分から、上板橋第二中学校で板橋区立中学校校長会が行なわれた。
 同会における「平成25年度板橋区立中学校教職員一覧表」(乙6)の作成と配付に係わる提案及び議論は、下記のとおりである。
 校長会会長須田淳一(板橋第一中学校校長)が、「『平成25年度板橋区立中学校教職員一覧表』の作成について、総務部長、板橋区立志村第五中学校長上倉敏郎から提案する。」と述べた。
 総務部長上倉敏郎(志村第五中学校校長)は、「[学校用]板橋区立中学校教職員一覧表」(甲7)と「[提出用]板橋区立中学校教職員一覧表」(甲8)を提示して、各校長は「[提出用]板橋区立中学校教職員一覧表」(甲8)を校長会に提出することを求めた。そして、作成した「平成25年度板橋区立中学校教職員一覧表」(乙6)は校長にのみ配付すると提案した。
 「[学校用]板橋区立中学校教職員一覧表」(甲7)は、各校長が作成して指導室長矢部崇に提出した自校の「平成25年度教職員一覧表」である。「[提出用]板橋区立中学校教職員一覧表」(甲8)は、自校の「平成25年度教職員一覧表」から一部の項目を削除したものである。

〔甲7.[学校用]板橋区立中学校教職員一覧表〕
【学校用】
板橋区立  板橋  中学校教職員一覧表  校長室 ℡  (1234)4567 10
 職員室 ℡  (1234)7890 (知1、日1)
番号 職名 ふ り が な 学    歴 研究教科 分掌事務  〒 最寄駅 氏 名(ゴム印) 研究歴
氏    名 卒(修)業学校名 免許状種別 勤務年月 住   所 職 員 番 号 研究生 開発委員 研究員
生年月日(年度末年齢) 卒(修)業年月日 担任教科 学級担任 (電話番号) 所要時間 備  考
(時間)
本校  4・0
とうきょう たろう 東京学芸大学 小一種 本区  4・0 社会 学校経営 〒123-0123 山手線 東京 太郎
1 東京 太郎 (大学院修了) 中専修(社会) 本都 34・0 千代田区 東京駅 7654321
高専修(社会) 通算 34・0 丸の内1-1-1 8 4
S29・4・2 S54・3・31 校長  5・0 60分 妻:品川区立第一小
59 司書 3123-4567
幼二 本校  1・0
いたばし はなこ 大東文化大学 小一種 本区 20・0 国語 学校経営 〒179-0072 大江戸線 板橋 華子
2 板橋 華子 中一種(国語) 本都 34・0 練馬区光が丘 光が丘駅 7554433
高二種(国語) 通算 34・0 1-2-3-456 6
S31・5・5 S54・3・31 副校長  9・0 35分
57 司書 3456-7890
幼二 本校  6・0
だいもん はじめ 青山学院大学 小一種 本区  6・0 数学 教務 〒336-0027 埼京線 大門  一
3 大門  一 中一種(数学) 本都 27・0 さいたま市南区 武蔵浦和駅 7766554
高二種(数学) 通算 27・0 数学 2年副担 鹿手袋7-8-9 10
S38・7・7 S61・3・31 20 50分 教務主任
50 司書 048-123-4567 23B
本校  3・0
あかつか じろう 日本大学 小二種 本区  3・0 保健体育 生活指導 〒174-0004 三田線
4 赤塚 二朗 中一種(社会) 本都 33・0 板橋区板橋 新板橋駅
高一種(社会) 通算 33・0 保健体育 3年2組 1-8-37-505
S32・11・1 S55・3・31 23 40分
57 司書 090(3456)7890
本校  9・0
えど みつお 大東文化大学 小一種 本区  9・0 国語 進路 〒114-0023 三田線 江戸 三男
5 江戸 三男 中一種(国語) 本都  9・0 北区滝野川 西巣鴨駅 7776660
高一種(国語) 通算  9・0 国語 1年3組 2-3-4-567
S56・6・1 H16・3・31 19 病気休職中 40分 病気休職
32 司書 6789-0987 25.4.1~25.6.30
本校  1・0
たいしょく しろう 東京学芸大学 小一種 本区  1・0 技術 進路 〒364-0035 高崎線 退職 四郎
6 退職 四郎 中一種(技術) 本都 北本市西高尾 北本駅 7654001
高二種(技術) 通算 技術 1年副担 5-6-7-8
S27・1・11 S50・3・31 12 90分
62 司書 048(777)6543

〔甲8.[提出用]板橋区立中学校教職員一覧表〕
【提出用】
板橋区立  板橋  中学校教職員一覧表  校長室 ℡  (1234)4567 10
 職員室 ℡  (1234)7890 (知1、日1)
番号 職名 ふ り が な 研究教科 分掌事務 最寄駅
氏    名 免許状種別 勤務年月
生年月日(年度末年齢) 担任教科 学級担任 所要時間
(時間)
本校  4・0
とうきょう たろう 小一種 本区  4・0 社会 学校経営 山手線
1 東京 太郎 中専修(社会) 本都 34・0 東京駅
高専修(社会) 通算 34・0
S29・4・2 校長  5・0 60分
59 司書
幼二 本校  1・0
いたばし はなこ 小一種 本区 20・0 国語 学校経営 大江戸線
2 板橋 華子 中一種(国語) 本都 34・0 光が丘駅
高二種(国語) 通算 34・0
S31・5・5 副校長  9・0 35分
57 司書
幼二 本校  6・0
だいもん はじめ 小一種 本区  6・0 数学 教務 埼京線
3 大門  一 中一種(数学) 本都 27・0 武蔵浦和駅
高二種(数学) 通算 27・0 数学 2年副担
S38・7・7 50分
50 司書
本校  3・0
あかつか じろう 小二種 本区  3・0 保健体育 生活指導 三田線
4 赤塚 二朗 中一種(社会) 本都 33・0 新板橋駅
高一種(社会) 通算 33・0 保健体育 3年2組
S32・11・1 40分
57 司書
本校  9・0
えど みつお 小一種 本区  9・0 国語 進路 三田線
5 江戸 三男 中一種(国語) 本都  9・0 西巣鴨駅
高一種(国語) 通算  9・0 国語 1年3組
S56・6・1 病気休職中 40分
32 司書
本校  1・0
たいしょく しろう 小一種 本区  1・0 技術 進路 高崎線
6 退職 四郎 中一種(技術) 本都 北本駅
高二種(技術) 通算 技術 1年副担
S27・1・11 90分
62 司書

 校長会会長須田淳一(板橋第一中学校校長)は、「会長がこの件について発言することは好ましくない。」などと述べて、一切発言しなかった。
 中台中学校校長佐藤晴法が、「昨年までは、板橋区教育委員会に提出した各校の『教職員一覧表』を全校分集めて『板橋区立中学校教職員一覧表』を作成していた。」、「今年はどうしてそれができないのだ。」、「その経緯を知りたい。」、「原則を言えば、できない。」、「しかし、原則は原則だ。」と発言した。
 板橋第二中学校校長坂田博美が、「指導室長矢部崇の行政指導により作成が禁じられるのであれば、つくらない。」、「しかし、そうでなければ、つくる。」、「昨年までと同様に、今年度も『板橋区立中学校教職員一覧表』をつくる。」、「自分は副校長の時、『板橋区立中学校教職員一覧表』をつくっていた。」、「昨年までは、校長と副校長に『板橋区立中学校教職員一覧表』が配られていた。」、「今年度も、平成24年度と同様の『板橋区立中学校教職員一覧表』を作成して、校長と副校長にそれぞれ配付する。」と発言した。
 加賀中学校校長北村康子が、「『[提出用]教職員一覧表』には最寄り駅だけでなく、自宅住所の記載があった方がよい。」、「異動の時、自宅住所がどこか分かった方が都合がよいので。」、「『[提出用]教職員一覧表』には出身大学の記載があった方がよい。」、「研究会のメンバーを選定する時やコミュニケーションをとる時、出身大学が分かった方がよい。」、「出身大学が分かれば、大体どのような人か分かるので。」と発言した。
 平成25年9月10日板橋区立中学校校長会において、「平成25年度板橋区立中学校教職員一覧表」(乙6)の作成方法・配付先についての結論は出なかった。

〔訴状、16頁上から10行目から17頁上から25行目まで〕
  平成25年9月10日、午後2時30分から板橋区立上板橋第二中学
 校で行われた板橋区立中学校校長会で、「平成25年度板橋区立中学校教
 職員一覧表」の作成と配付が議題になった。
  校長会会長須田淳一が、「『平成25年度板橋区立中学校教職員一覧表』
 の作成について、総務部長、板橋区立志村第五中学校長上倉敏郎から提
 案する。」と述べた。
  総務部長上倉敏郎が甲第7号証〔[学校用]板橋区立中学校教職員一覧
 表〕と甲第8号証〔[提出用]板橋区立中学校教職員一覧表〕を提示して、
 各校長は「[提出用]板橋区立中学校教職員一覧表」を校長会に提出する
 ことを求めた。そして、作成した「平成25年度板橋区立中学校教職員
 一覧表」は校長にのみ配付すると提案した。
  その際、校長会会長須田淳一は、「会長がこの件について発言すること
 は好ましくない。」などと述べて、一切発言しなかった。
  総務部長上倉敏郎が提案した後、校長会会員である板橋区立中学校校
 長3名から、次のような発言があった。
  板橋区立中台中学校校長佐藤晴法が「昨年までは、板橋区教育委員会
 に提出した各校の『教職員一覧表』を全校分集めて『板橋区立中学校教
 職員一覧表』を作成していた。」「今年はどうしてそれができないのだ。」
 「その経緯を知りたい。」「原則を言えば、できない。」「しかし、原則は
 原則だ。」と発言した。
  板橋区立板橋第二中学校校長坂田博美が「指導室長矢部崇の行政指導
 により作成が禁じられるのであれば、つくらない。」「しかし、そうでな
 ければ、つくる。」「昨年までと同様に、今年度も『板橋区立中学校教職
 員一覧表』をつくる。」「自分は副校長の時、『板橋区立中学校教職員一覧
 表』をつくっていた。」「昨年までは、校長と副校長に『板橋区立中学校
 教職員一覧表』が配られていた。」「今年度も、平成24年度と同様の『板
 橋区立中学校教職員一覧表』を作成して、校長と副校長にそれぞれ配付
 する。」と発言した。
  板橋区立加賀中学校校長北村康子が「『[提出用]教職員一覧表』には
 最寄り駅だけでなく、自宅住所の記載があった方がよい。」「異動の時、
 自宅住所がどこか分かった方が都合がよいので。」「『[提出用]教職員一
 覧表』には出身大学の記載があった方がよい。」「研究会のメンバーを選
 定する時やコミュニケーションをとる時、出身大学が分かった方がよい。」
 「出身大学が分かれば、大体どのような人か分かるので。」と発言した。
  校長佐藤晴法、校長坂田博美、校長北村康子の発言に反対する意見は
 出なかった。総務部長上倉敏郎が提案した「[提出用]教職員一覧表」に
 賛成する意見も出なかった。
  平成25年9月10日の板橋区立中学校校長会で、「平成25年度板橋
 区立中学校教職員一覧表」の作成と配付は、総務部長上倉敏郎が提案し
 た「[提出用]教職員一覧表」を原稿として作成し校長にのみ配付する、
 あるいは平成24年度までと同様に作成して校長・副校長に配付する、
 のいずれかによることになった。

 オ 平成25年9月10日、依田郁夫から指導室長矢部崇へ

 平成25年9月10日、板橋区立中学校校長会が終了した後、依田郁夫は指導室長矢部崇に「FAX送信文書中学校教職員一覧表」(甲20)をFAX送信した。
 「FAX送信文書中学校教職員一覧表」(甲20)において、依田郁夫は「板橋区立中学校校長会が板橋区立中学校教職員一覧表を作成することに反対である。」旨を主張した。
〔甲20.FAX送信文書中学校教職員一覧表〕
FAX送付連絡用紙
平成25年9月10日
      指導室長 矢部 崇  様
氏名  依 田 郁 夫
東京都板橋区立板橋第五中学校
      
中学校教職員一覧表の件
       9月10日(火)、上板橋第二中学校において行なわれた
       校長連絡会において
       会長須田淳一校長より
       4項目〔提出用〕一覧表を全中学校で
       作成し、23校分を持ち寄って製本し、各中学校
       管理職が手持ちの資料とする
       旨の提案がありました。
       利用目的は主に教員の定期異動資料とするためです。
      1、自校所属教員以外の一覧表記載内容を、他校
        の教員について知る権利は校長にはない。
      2、特定の校長が自校の教員定期異動を有利に
        するために、この資料を使うことに不快感をおぼえる。
      3、板橋区内23中学校教員の一覧表記載
        事項が、知り合いの校長を通じて他区市町村
        に漏れる可能性がある。
      4、区市町村教育委員会、東京都教育委員会が
        公正かつ適正に行なうべき教員の定期異動
        が一部の校長の情報操作によりゆがめられる。
      5、板橋区教育委員会の情報管理が問われる。
        他校の教員の情報を校長が知る、あるいは板橋区
        の教員の情報を他区市町村の校長に漏らす。
        この事態を見過ごせば、板橋区教育委員会は
        教員の情報が漏洩するのを容認したことになる。
      以上の理由から、私は〔提出用〕一覧表を作成し校長が
      23校分の教員の情報を持つことに反対である。

〔平成26年9月1日付け被告板橋区準備書面(1)25頁、上から4行目から6行目まで〕
 シ 同日、矢部室長は原告から、「平成25年度板橋区立中学校教職員一覧
  表」の作成について反対の意思を表明する旨のFAX送信を受けた(甲2
  0)。

 カ 平成25年9月30日、校長会幹事会

 平成25年9月30日、板橋区立中学校校長会の幹事会が開かれ、同会の幹事8名は下記の(ア)、(イ)を決定した。
(ア)「[提出用]板橋区立中学校教職員一覧表」(甲8)を用いて、各中学校から情報を収集する。
(イ)各中学校から提出された「[提出用]板橋区立中学校教職員一覧表」(甲8)を集約して、「平成25年度板橋区立中学校教職員一覧表」(乙6)を作成する。
 平成25年9月30日板橋区立中学校校長会幹事会の決定は、同年9月10日板橋区立中学校校長会における総務部長上倉敏郎(志村第五中学校校長)の提案と同一であった。 

〔平成25年度板橋区立中学校校長会の幹事会(甲6)〕
役職名 氏   名 所属校名
 会 長  須 田 淳 一  板橋第一中学校
 副会長  島 﨑 達 朗  上板橋第一中学校
 副会長  大河原 嘉 朗  赤塚第一中学校
 副会長  塩 野 賢 一  上板橋第二中学校
 総務部長  上 倉 敏 郎  志村第五中学校
 研修部長  新飯田 潤 一  上板橋第三中学校
 健全育成部長  飯 塚 正 人  西台中学校
 事業部長  小 川 達 夫  志村第四中学校

〔平成26年9月1日付け被告板橋区準備書面(1)25頁、上から17行目から20行目まで〕
 タ 平成25年9月30日、校長会幹事会(構成員は、会長、副会長、総務
  部長ら各部長である。)が開かれ、「平成25年度板橋区立中学校教職員一
  覧表」の作成について、その基となる各中学校校長が作成した自校の教職
  員一覧表の掲載項目のうち、学歴、住所等を削除することを決定した。

 キ 平成25年10月15日、作成依頼

 平成25年10月15日、校長会会長須田淳一(板橋第一中学校校長)の依頼を受けた総務部長上倉敏郎(志村第五中学校校長)は、「[提出用]板橋区立中学校教職員一覧表」(甲8)を板橋第五中学校校長依田郁夫を除く22名の校長にメール送信し、同一覧表(甲8)の作成を依頼した。
〔甲8.[提出用]板橋区立中学校教職員一覧表〕
【提出用】
板橋区立  板橋  中学校教職員一覧表  校長室 ℡  (1234)4567 10
 職員室 ℡  (1234)7890 (知1、日1)
番号 職名 ふ り が な 研究教科 分掌事務 最寄駅
氏    名 免許状種別 勤務年月
生年月日(年度末年齢) 担任教科 学級担任 所要時間
(時間)
本校  4・0
とうきょう たろう 小一種 本区  4・0 社会 学校経営 山手線
1 東京 太郎 中専修(社会) 本都 34・0 東京駅
高専修(社会) 通算 34・0
S29・4・2 校長  5・0 60分
59 司書
幼二 本校  1・0
いたばし はなこ 小一種 本区 20・0 国語 学校経営 大江戸線
2 板橋 華子 中一種(国語) 本都 34・0 光が丘駅
高二種(国語) 通算 34・0
S31・5・5 副校長  9・0 35分
57 司書
幼二 本校  6・0
だいもん はじめ 小一種 本区  6・0 数学 教務 埼京線
3 大門  一 中一種(数学) 本都 27・0 武蔵浦和駅
高二種(数学) 通算 27・0 数学 2年副担
S38・7・7 50分
50 司書
本校  3・0
あかつか じろう 小二種 本区  3・0 保健体育 生活指導 三田線
4 赤塚 二朗 中一種(社会) 本都 33・0 新板橋駅
高一種(社会) 通算 33・0 保健体育 3年2組
S32・11・1 40分
57 司書
本校  9・0
えど みつお 小一種 本区  9・0 国語 進路 三田線
5 江戸 三男 中一種(国語) 本都  9・0 西巣鴨駅
高一種(国語) 通算  9・0 国語 1年3組
S56・6・1 病気休職中 40分
32 司書
本校  1・0
たいしょく しろう 小一種 本区  1・0 技術 進路 高崎線
6 退職 四郎 中一種(技術) 本都 北本駅
高二種(技術) 通算 技術 1年副担
S27・1・11 90分
62 司書

〔平成26年9月1日付け被告板橋区準備書面(1)26頁、上から1行目から3行目まで〕
 ツ 平成25年10月15日、校長会総務部長上倉敏郎(以下「上倉総務部
  長」という。)は、「平成25年度板橋区立中学校教職員一覧表」の作成依
  頼について、原告を除く全中学校校長に対しメール送信した。

 ク 平成25年10月30日、集約

 平成25年10月30日、校長会会長須田淳一(板橋第一中学校校長)の依頼を受けた総務部長上倉敏郎(志村第五中学校校長)は、板橋第五中学校校長依田郁夫を除く22名の校長から提出された「[提出用]板橋区立中学校教職員一覧表」(甲8)を集約して、「平成25年度板橋区立中学校教職員一覧表」(乙6)を作成した。
〔乙6.平成25年度板橋区立中学校教職員一覧表(抜粋)〕
板橋区立 板橋第一 中学校 学校教職員一覧表  校長室 ℡ (3964) 3576 17
 職員室 ℡ (3962) 5315 ( 知 4 )
番号 職名 ふ り が な 免許状種別 勤務年月 研究教科 分掌事務 最寄駅
氏    名
生年月日(満年齢) 担任教科 学級担任 所要時間
(時間)
本校
本区
1 本都
通算
校長 45
司書
本校
本区
2 本都
通算
副校長 40
司書
本校
本区
3 本都
通算
16 40
司書
本校
本区
4 本都
通算
13 60
司書
本校
本区
5 本都
通算
21 60
司書
本校
本区
6 本都
通算
14 40
司書
本校
本区 教務
7 本都
通算
20 2年副担 25
司書
本校
本区 進路学習
8 本都
通算
19 3年A組 60
司書
本校
本区 教務
9 本都
通算
20 2年A組 50
司書
本校
本区 生活指導
10 本都
通算
2年G組 60
司書
本校
本区 進路指導
11 本都
通算
20 3年G組 50
司書
本校
本区 教務
12 本都
通算
19 3年B組 60
司書
本校
本区 進路学習
13 本都
通算
17 3年副担 50
司書
本校
本区
14 本都
通算
60
司書
本校
本区
15 本都
通算
45
司書
本校
本区
16 本都
通算
20 60
司書
本校
本区
17 本都
通算
19 60
司書
板橋区立 板橋第一 中学校 学校教職員一覧表  校長室 ℡ (3964) 3576 17
 職員室 ℡ (3962) 5315 ( 知 4 )
番号 職名 ふ り が な 免許状種別 勤務年月 研究教科 分掌事務 最寄駅
氏    名
生年月日(満年齢) 担任教科 学級担任 所要時間
(時間)
本校
本区
18 本都
通算
20 60
司書
本校
本区
19 本都
通算
24 40
司書
本校
本区
20 本都
通算
20 70
司書
本校
本区
21 本都
通算
40
司書
本校
本区
22 本都
通算
18 55
司書
本校
本区
23 本都
通算
18 40
司書
本校
本区
24 本都
通算
35
司書
本校
本区
25 本都
通算
50
司書
本校
本区
26 本都
通算
16 30
司書
本校
本区
27 本都
通算
16 20
司書
本校
本区
28 本都
通算
20 20
司書
本校
本区
29 本都
通算
17 10
司書
本校
本区
30 本都
通算
22 90
司書
本校
本区
31 本都
通算
19 25
司書
本校
本区
32 本都
通算
60
司書
本校
本区
33 本都
通算
50
司書
本校
本区
34 本都
通算
司書
本校
本区
35 本都
通算
40
司書
 被告板橋区は、東京地方裁判所平成26年(ワ)第12268号事件の証拠書証乙6「平成25年度板橋区立中学校教職員一覧表(抜粋)」として、平成25年度板橋第一中学校の分を提出した。
 証拠書証乙6の平成25年度板橋第一中学校の次の項目は被覆されていた。氏名、生年月日、満年齢、免許状種別、勤務年月、研究教科、担任教科、分掌事務、学級担任、自宅最寄駅。ただし、番号7ないし番号13の分掌事務、学級担任は被覆されていない。

〔平成26年9月1日付け被告板橋区準備書面(1)26頁、上から10行目から13行目まで〕
 ナ 平成25年10月30日、上倉総務部長は、各中学校校長(原告を除く。)
  から、自校の教職員一覧表の提出を受け、その集約をし、同年11月上旬、
  各中学校校長(原告を除く。)に対し、「平成25年度板橋区立中学校教職
  員一覧表」を配付した(乙6)。

 ケ 平成25年11月上旬、配付

 平成25年11月上旬、校長会会長須田淳一(板橋第一中学校校長)の依頼を受けた総務部長上倉敏郎(志村第五中学校校長)は、「平成25年度板橋区立中学校教職員一覧表」(乙6)を板橋第五中学校校長依田郁夫を除く22名の校長に配付した。

(3)被告板橋区の事実誤認

被告板橋区は、東京地方裁判所平成26年(ワ)第12268号事件に提出した平成26年9月1日付け準備書面(1)23頁・24頁において、原告依田郁夫の「平成25年度板橋区立中学校教職員一覧表」(乙6)に係わる事実を下記のとおり主張した。
〔平成26年9月1日付け被告板橋区準備書面(1)、23頁上から25行目から24頁上から5行目まで〕
 オ 平成25年4月10日頃、矢部室長は原告から電話を受け、平成24年
  4月に各中学校校長が指導室長に提出した自校の教職員一覧表が、23校
  分集約されて、「平成24年度板橋区立中学校教職員一覧表」となり、これ
  が板橋区立中学校の全校長・全副校長に配付されている旨報告を受けた。
   矢部室長は原告に対し、先日、須田会長に対し、各中学校校長が自校の
  教職員一覧表として区教委指導室に提出したものと同一内容のものを、各
  校長間で情報共有するのは再考を要する旨伝えたことを話した。 

 原告依田郁夫は、平成25年4月10日頃、指導室長矢部崇に「板橋第五中学校が提出する「平成25年度教職員一覧表」の記載事項のうち出身大学名、卒(修)業年月日、生年月日、満年齢、親族及び子どもが東京都内公立小中学校に在職(在籍)している場合の親族(子ども)の氏名、在職(在学)校名、職名(学年)は個人情報にあたるので、記載しない旨」(訴状、18頁)及び「校長が指導室長矢部崇に提出した「平成24年度教職員一覧表」が全中学校23校分集約されて「平成24年度板橋区立中学校教職員一覧表」として、板橋区立中学校の全校長・全副校長に配付されている」(訴状、19頁)を伝えた。
 指導室長矢部崇は、原告依田郁夫の上記申出及び報告を受けて対応し、平成25年4月10日の後、原告依田郁夫に「平成25年度板橋区立中学校校長会会長須田淳一に、『校長会は平成25年度板橋区立中学校教職員一覧表を作成しない。』ように伝えた。」と話した。(訴状、19頁・20頁)
 したがって、平成25年4月10日頃、原告依田郁夫が指導室長矢部崇に電話をした際、同指導室長が原告依田郁夫に「先日、須田会長に対し、各中学校校長が自校の教職員一覧表として区教委指導室に提出したものと同一内容のものを、各校長間で情報共有するのは再考を要する旨伝えたことを話した。」(平成26年9月1日付け被告板橋区準備書面(1)23頁・24頁、オ)は、指導室長矢部崇が校長会会長須田淳一に電話をした期日及び同会長に話した内容が事実ではない。

〔訴状18頁、上から20行目から25行目まで〕
  平成25年4月10日頃、原告は指導室長矢部崇に、板橋第五中学校
 が提出する「平成25年度教職員一覧表」の記載事項のうち出身大学名、
 卒(修)業年月日、生年月日、満年齢、親族及び子どもが東京都内公立
 小中学校に在職(在籍)している場合の親族(子ども)の氏名、在職(在
 学)校名、職名(学年)は個人情報にあたるので、記載しない旨を電話
 で伝えた。

〔訴状19頁、上から21行目から25行目まで〕
  平成25年4月10日頃、原告は板橋区教育委員会事務局指導室長
 矢部崇に、校長が指導室長矢部崇に提出した「平成24年度教職員一覧
 表」が全中学校23校分集約されて「平成24年度板橋区立中学校教職
 員一覧表」として、板橋区立中学校の全校長・全副校長に配付されてい
 ることを報告した。

〔訴状、19頁上から26行目から20頁上から2行目まで〕
  平成25年4月10日頃、指導室長矢部崇は原告に、「平成25年度板
 橋区立中学校校長会会長須田淳一に、『校長会は平成25年度板橋区立中
 学校教職員一覧表を作成しない。』ように伝えた。」と話した。

(4)掲載された職種

 「平成25年度板橋区立中学校教職員一覧表」(乙6)には、下記の職種の都費負担教職員が掲載された。
 校長、副校長、主幹教諭、主任教諭、教諭、再任用教諭、養護教諭、栄養教諭、期限付任用教諭、産・育休代替教諭、都費事務職員、都費栄養職員、指導主事、非常勤教員、嘱託員。
 休職者、在籍専従者、在外教育施設、新教育大等は枠外に記入する。

(5)掲載された項目

 「平成25年度板橋区立中学校教職員一覧表」(乙6)には、下記の13項目が掲載された。①、②、③·········は、「平成25年度板橋区立学校教職員一覧表」(乙5)の掲載項目①ないし㉕の番号である。
 1 ①職名  校長、副校長、主幹教諭、主任教諭、教諭など
 2 ②氏名、ふりがな
 3 ③性別
 4 ④生年月日
 5 ⑤満年齢
 6 ⑦免許状種別  幼稚園、小学校、中学校、高等学校、養護学校、司書教諭
 7 ⑧勤務年月  本校、本区、本都、通算、校長、副校長
 8 ⑨研究教科
 9 ⑩担任教科(時間)
10 ⑪分掌事務
11 ⑫学級担任  所属学年・学級、副担任は〇学年副
12 ⑮自宅最寄駅
13 ⑯自宅から勤務地までの所要時間
 平成25年度板橋区立中学校校長会会長須田淳一(板橋第一中学校校長)は、各校長が作成して指導室長矢部崇に提出した自校の「平成25年度教職員一覧表」から下記の12項目を削除して、「平成25年度板橋区立中学校教職員一覧表」(乙6)を作成した。
 1 ⑥学歴(卒(修)業学校名、卒(修)業年月日)
 2 ⑬自宅住所
 3 ⑭自宅電話番号
 4 ⑰氏名(ゴム印)
 5 ⑱職員番号
 6 ⑲親族又は子どもが東京都公立小中学校・幼稚園に勤務又は通学(通園)の場合は、所属する学校(園)名 【例】[妻:〇〇
    小教諭、子:〇〇区〇〇中在学]
 7 ⑳管理職候補者の場合は、種別(23B、21Aなど)
 8 ㉑必置主任(教務、生活指導、研究、進路指導、保健、学年)
 9 ㉒休職者等はその期間、産・育休代替教諭は任用期間
10 ㉓新規採用教員で学級経営研修生(定数外)の場合は、学級経営研修
11 ㉔再任用短時間教員で新人育成教員の場合は、新人育成教員
12 ㉕研究歴  研究生、開発委員、研究員

(6)掲載された教職員数

 「平成25年度板橋区立中学校教職員一覧表」(乙6)には、板橋第五中学校を除く板橋区立中学校22校に在職した約600人の都費負担教職員が掲載された。

(7)配付先

 平成25年度板橋区立中学校校長会会長須田淳一(板橋第一中学校校長)は、平成25年11月上旬、「平成25年度板橋区立中学校教職員一覧表」(乙6)を、板橋第五中学校校長依田郁夫を除く22名の校長に配付した。(平成26年9月1日付け被告板橋区準備書面(1)26頁、ナ)
 平成24年度板橋区立中学校校長会会長工藤雅敏(赤塚第三中学校校長)は「平成24年度板橋区立中学校教職員一覧表」を全校長23名及び全副校長23名に配付したが、平成25年度板橋区立中学校校長会会長須田淳一(板橋第一中学校校長)は「平成25年度板橋区立中学校教職員一覧表」(乙6)を校長のみに配付し、副校長には配付しなかった。(平成26年9月1日付け被告板橋区準備書面(1)、20頁・21頁) 
〔平成25年度板橋区立中学校の校長(甲6)〕
NO 中学校名 校  長
1   板橋第一中学校 須 田 淳 一
2   板橋第二中学校 坂 田 博 美
3   板橋第三中学校 大 本 勝 利
4   板橋第五中学校 依 田 郁 夫
5   加賀中学校 北 村 康 子
6   志村第一中学校 福 田 洋 一
7   志村第二中学校 藤 江 敏 郎
8   志村第三中学校 飛 田 修 二
9   志村第四中学校 小 川 達 夫
10   志村第五中学校 上 倉 敏 郎
11   西台中学校 飯 塚 正 人
12   中台中学校 佐 藤 晴 法
13   上板橋第一中学校 島 﨑 達 朗
14   上板橋第二中学校 塩 野 賢 一
15   上板橋第三中学校 新飯田 潤 一
16   桜川中学校 戸 張 隆 次
17   向原中学校 百 武 政 信
18   赤塚第一中学校 大河原 嘉 朗
19   赤塚第二中学校 稲 葉 秀 哉
20   赤塚第三中学校 工 藤 雅 敏
21   高島第一中学校 岡 村 克 也
22   高島第二中学校 荒 井 秀 樹
23   高島第三中学校 加 藤 芳 和

〔平成26年9月1日付け被告板橋区準備書面(1)、20頁上から17行目から21頁上から2行目まで〕
(4)「平成25年度板橋区立中学校教職員一覧表」について
   「平成25年度板橋区立中学校教職員一覧表」の作成過程、記載事項、配
  付先及び使用方法は、上記「平成24年度板橋区立中学校教職員一覧表」
  とほぼ同様である。
   ただし、次の点で違いがある。
  ①作成過程については、作成時期の変更や校長会での議論等、後記4(2)
   のとおり異なる部分があった。
  ②原告は、自らが校長を務めていた板橋区立板橋第五中学校(以下「板
   五中」という。)の教職員一覧表を校長会の会長に提出していないので、
   「平成25年度板橋区立中学校教職員一覧表」は22校分である。
  ③記載事項から学歴、住所等を削除し(乙6)、配付先も各中学校校長の
   みとなった。

(8)使用目的

 被告板橋区は、教員定期異動事務において、「校長が必要とする人材が具体的にいる場合、区教委は、当該人材の氏名等を校長から聴取し、その内容を勘案して、異動配置案に反映させる」と主張した。(平成26年9月1日付け被告板橋区準備書面(1)18頁)
〔平成26年9月1日付け被告板橋区準備書面(1)18頁、上から2行目から6行目まで〕
  板橋区においては、上記イ⑤の人事上の要望事項として、校長が必要と
 する人材が具体的にいる場合、区教委は、当該人材の氏名等を校長から聴
 取し、その内容を勘案して、異動配置案に反映させることにより、校長の
 学校経営方針や人事構想の実現をきめ細かく支援し、板橋区立学校全体の
 教育水準の向上を図っている。

 被告板橋区は、「平成25年度板橋区立中学校教職員一覧表」(乙6)の使用方法を、「中学校校長が、自校の学校経営方針や人事構想の実現に向け、自校の人事上の要望事項を具体化等するための資料などとして用いられるものである。」と主張した。(平成26年9月1日付け被告板橋区準備書面(1)20頁)
〔平成26年9月1日付け被告板橋区準備書面(1)20頁、上から14行目から20行目まで〕
  エ その使用方法については、中学校校長が、自校の学校経営方針や人事構
   想の実現に向け、自校の人事上の要望事項を具体化等するための資料など
   として用いられるものである。
(4)「平成25年度板橋区立中学校教職員一覧表」について
   「平成25年度板橋区立中学校教職員一覧表」の作成過程、記載事項、配
  付先及び使用方法は、上記「平成24年度板橋区立中学校教職員一覧表」
  とほぼ同様である。

 平成25年度板橋区立中学校校長は、「平成25年度板橋区立中学校教職員一覧表」(乙6)、「平成26年度定期異動状況調査一覧表」(乙7)及び「平成26年度定期異動に関する求人・紹介一覧表集計」(乙8)があれば、次年度必要とする教員の氏名を特定して板橋区教育委員会に要望することができる。
 つまり、「平成25年度板橋区立中学校教職員一覧表」(乙6)の主な使用目的は、一部の校長が教員定期異動事務において「A中学校のa教諭を欲しい。」と要望するとき使用するものである。
 なお、“一部の校長”としたのは、被告板橋区が「校長が必要とする人材が具体的にいる場合、区教委は、当該人材の氏名等を校長から聴取し」と主張するとおり、全ての校長が教員の氏名を特定して要望したわけではないからである。仮に、全ての校長が次年度転入予定の教員をすべて特定して要望したら、複数の校長が同一教員を指名したり、まったく指名されない教員も出て、教員定期異動事務は立ち行かなくなる。したがって、「A中学校のa教諭を欲しい。」と浅ましい要望をするのは、自己の利益のみを考えた一部の校長である。

 ア 教育基本法16条1項違反

 上記(8)のとおり、教員定期異動事務において、板橋区立中学校校長23名全員が教員の氏名を特定して要望したわけではない。「A中学校のa教諭を欲しい。」と自己の利益のみを考えた浅ましい要望をした校長は一部である。
 平成25年度板橋区教育委員会教育長橋本正彦は、一部の校長にへつらい、同校長らの浅ましい要望を受け入れ、同校長らが教員定期異動事務に不当に介入することを許した。教育長橋本正彦は、自らの責任において主体的に教員定期異動事務を実施することを放棄した。したがって、教育長橋本正彦は、一部の校長の不当な介入を許し、教員定期異動事務を自らの責任において主体的に公正かつ適正に実施する義務に違反した。
 よって、教育長橋本正彦は、教育基本法16条1項に違反した。
 (ページ「板橋区・板橋区教育委員会の違法行為」、5(4)ア)

 イ 憲法15条2項違反

 平成25年度板橋区教育委員会教育長橋本正彦がx校長の要望「A中学校のa教諭を欲しい。」を受け入れることは、「x校長の学校経営方針や人事構想の実現をきめ細かく支援し、X中学校の教育水準を向上させる」(平成26年9月1日付け被告板橋区準備書面(1)18頁、上から4行目から5行目まで)のであるから、x校長に対する利益供与である。したがって、教育長橋本正彦は、教員定期異動事務を行うにあたり、一部の校長に利益供与し、板橋区立中学校校長23名を公平に扱わなかった。
 よって、教育長橋本正彦は、憲法15条2項に違反した。
 (ページ「板橋区・板橋区教育委員会の違法行為」、5(4)イ)

 ウ 地方公務員法30条違反

 平成25年度板橋区教育委員会教育長橋本正彦は、一部の校長にへつらい、同校長らの浅ましい要望を受け入れ、同校長らの学校の教育水準を向上させた。教育長橋本正彦は、教員の氏名を特定して要望した学校の教育水準を向上させ、そうでない学校の教育水準向上を後回しにした。したがって、教育長橋本正彦は、一部の学校の教育水準を向上させ、板橋区立中学校23校の教育水準を向上させる義務を果たさなかった。
 よって、教育長橋本正彦は、地方公務員法30条に違反した。
 (ページ「板橋区・板橋区教育委員会の違法行為」、5(4)ウ)

(10)平成25年度板橋区立中学校校長の違法行為

 ア 職務上の情報及び個人情報の漏えい

 板橋第五中学校校長依田郁夫を除く平成25年度板橋区立中学校校長22名は、「[提出用]板橋区立中学校教職員一覧表」(甲8)により、所属職員の職務上の情報及び個人情報を平成25年度板橋区立中学校校長会会長須田淳一(板橋第一中学校校長)に提出した。校長会会長須田淳一は、上記職務上の情報及び個人情報を22校分集約して「平成25年度板橋区立中学校教職員一覧表」(乙6)を作成し、同一覧表を板橋第五中学校校長依田郁夫を除く22名の校長に配付した。
 板橋第五中学校校長依田郁夫を除く22名の校長が自校の外の校長21名に漏えいした所属職員の職務上の情報及び個人情報は、①職名、②氏名、③性別、④生年月日、⑤満年齢、⑦免許状種別、⑧勤務年月、⑨研究教科、⑩担任教科(時間)、⑪分掌事務、⑫学級担任、⑮自宅最寄駅、⑯自宅から勤務地までの所要時間である。(①、②、③·········は、「平成25年度板橋区立学校教職員一覧表」(乙5)の記載項目①ないし㉕の番号である。)
 中学校校長の職務は、学校教育法37条4項を準用する49条により、「校務をつかさどり、所属職員を監督する。」である。東京都板橋区立学校の管理運営に関する規則5条は、校長の職務を「学校教育の管理、所属職員の管理、学校施設の管理及び学校事務の管理に関すること。」(同規則5条1項1号)、「所属職員の職務上及び身分上の監督に関すること。」(同規則5条1項2号)と規定している。
 したがって、板橋第五中学校校長依田郁夫を除く22名の校長が所属職員の職務上の情報及び個人情報を自校の外の校長21名に漏えいしたことは、学校教育法37条4項を準用する49条、東京都板橋区立学校の管理運営に関する規則5条1項1号及び5条1項2号が規定する権限の逸脱濫用であり、地方公務員法34条1項違反である。
 板橋第五中学校校長依田郁夫を除く22名の校長は、所属職員の職務上の情報及び個人情報を自校の外の校長21名に漏えいし、所属職員の自己情報コントロール権を侵害した。
 よって、板橋第五中学校校長依田郁夫を除く平成25年度板橋区立中学校校長22名は、憲法13条、教育基本法9条2項、個人情報保護法3条、学校教育法37条4項を準用する49条、東京都板橋区立学校の管理運営に関する規則5条1項1号及び5条1項2号、地方公務員法32条、33条及び34条1項に違反した。

※憲法13条〔個人の尊重、生命・自由・幸福追求の権利の尊重〕
 すべて国民は、個人として尊重される。生命、自由及び幸福追求に対する国民の権利については、公共の福祉に反しない限り、立法その他の国政の上で、最大の尊重を必要とする。
※教育基本法9条2項(教員)
 前項の教員については、その使命と職責の重要性にかんがみ、その身分は尊重され、待遇の適正が期せられるととに、養成と研修の充実が図られなければならない。
※個人情報保護法3条(基本理念)
 個人情報は、個々の人格尊重の理念の下に慎重に取り扱われるべきものであることにかんがみ、その適正な取扱いが図られなければならない。
※学校教育法37条4項
 校長は、校務をつかさどり、所属職員を監督する。
※学校教育法49条〔準用規定〕
 第30条第2項、第31条、第34条、第35条及び第37条から第44条までの規定は、中学校に準用する。この場合において、第30条第2項中の「前項」とあるのは「第46条」と、第31条中「前条第1項」とあるのは「第46条」と読み替えるものとする。
※東京都板橋区立学校の管理運営に関する規則5条(校長の職務)
 学校教育法第37条第4項及び同項を準用する法第49条に規定する校長の職務は、おおむね次のとおりとする。
 (1)学校教育の管理、所属職員の管理、学校施設の管理及び学校事務の管理に関すること。
 (2)所属職員の職務上及び身分上の監督に関すること。
 (3)前各号に規定するもののほか、職務上委任又は命令された事項に関すること。
2 校長は、所属職員に校務を分掌させることができる。
※地方公務員法32条(法令等及び上司の職務上の命令に従う義務)
 職員は、その職務を遂行するに当たって、法令、条例、地方公共団体の規則及び地方公共団体の機関の定める規程に従い、且つ、上司の職務上の命令に忠実に従わなければならない。
※地方公務員法33条(信用失墜行為の禁止)
 職員は、その職の信用を傷つけ、又は職員の職全体の不名誉となるような行為をしてはならない。
※地方公務員法34条1項(秘密を守る義務)
 職員は、職務上知り得た秘密を漏らしてはならない。その職を退いた後も、また、同様とする。

 イ 職務上の情報及び個人情報の不正入手

 板橋第五中学校校長依田郁夫を除く平成25年度板橋区立中学校校長22名は、「平成25年度板橋区立中学校教職員一覧表」(乙6)から、自校の外の21中学校に在職する都費負担教職員約600人の職務上の情報及び個人情報を入手した。
 板橋第五中学校校長依田郁夫を除く22名の校長が入手した自校の外の21中学校に在職する都費負担教職員約600人の職務上の情報及び個人情報は、①職名、②氏名、③性別、④生年月日、⑤満年齢、⑦免許状種別、⑧勤務年月、⑨研究教科、⑩担任教科(時間)、⑪分掌事務、⑫学級担任、⑮自宅最寄駅、⑯自宅から勤務地までの所要時間である。(①、②、③·········は、「平成25年度板橋区立学校教職員一覧表」(乙5)の記載項目①ないし㉕の番号である。)
 中学校校長の職務は、学校教育法37条4項を準用する49条により、「校務をつかさどり、所属職員を監督する。」である。東京都板橋区立学校の管理運営に関する規則5条は、校長の職務を「学校教育の管理、所属職員の管理、学校施設の管理及び学校事務の管理に関すること。」(同規則5条1項1号)、「所属職員の職務上及び身分上の監督に関すること。」(同規則5条1項2号)と規定している。
 中学校校長は、自校の外の学校に在職する職員を監督する権限を有しない。板橋区立中学校校長は、自校の外の学校に在職する職員を管理する権限を有しない。板橋区立中学校校長は、自校の外の学校に在職する職員の職務上及び身分上の監督を行う権限を有しない。
 したがって、板橋第五中学校校長依田郁夫を除く22名の校長が自校の外の21中学校に在職する都費負担教職員約600人の職務上の情報及び個人情報を入手したことは、学校教育法37条4項を準用する49条、東京都板橋区立学校の管理運営に関する規則5条1項1号及び5条1項2号が規定する権限の逸脱濫用である。
 板橋第五中学校校長依田郁夫を除く22名の校長は、自校の外の21中学校に在職する都費負担教職員約600人の職務上の情報及び個人情報を不正に入手し、同職員らの自己情報コントロール権を侵害した。
 よって、板橋第五中学校校長依田郁夫を除く平成25年度板橋区立中学校校長22名は、憲法13条、教育基本法9条2項、個人情報保護法3条、学校教育法37条4項を準用する49条、東京都板橋区立学校の管理運営に関する規則5条1項1号及び5条1項2号、地方公務員法32条及び33条に違反した。

※憲法13条〔個人の尊重、生命・自由・幸福追求の権利の尊重〕
 すべて国民は、個人として尊重される。生命、自由及び幸福追求に対する国民の権利については、公共の福祉に反しない限り、立法その他の国政の上で、最大の尊重を必要とする。
※教育基本法9条2項(教員)
 前項の教員については、その使命と職責の重要性にかんがみ、その身分は尊重され、待遇の適正が期せられるととに、養成と研修の充実が図られなければならない。
※個人情報保護法3条(基本理念)
 個人情報は、個々の人格尊重の理念の下に慎重に取り扱われるべきものであることにかんがみ、その適正な取扱いが図られなければならない。
※学校教育法37条4項
 校長は、校務をつかさどり、所属職員を監督する。
※学校教育法49条〔準用規定〕
 第30条第2項、第31条、第34条、第35条及び第37条から第44条までの規定は、中学校に準用する。この場合において、第30条第2項中の「前項」とあるのは「第46条」と、第31条中「前条第1項」とあるのは「第46条」と読み替えるものとする。
※東京都板橋区立学校の管理運営に関する規則5条(校長の職務)
 学校教育法第37条第4項及び同項を準用する法第49条に規定する校長の職務は、おおむね次のとおりとする。
 (1)学校教育の管理、所属職員の管理、学校施設の管理及び学校事務の管理に関すること。
 (2)所属職員の職務上及び身分上の監督に関すること。
 (3)前各号に規定するもののほか、職務上委任又は命令された事項に関すること。
2 校長は、所属職員に校務を分掌させることができる。
※地方公務員法32条(法令等及び上司の職務上の命令に従う義務)
 職員は、その職務を遂行するに当たって、法令、条例、地方公共団体の規則及び地方公共団体の機関の定める規程に従い、且つ、上司の職務上の命令に忠実に従わなければならない。
※地方公務員法33条(信用失墜行為の禁止)
 職員は、その職の信用を傷つけ、又は職員の職全体の不名誉となるような行為をしてはならない。

6 平成26年度定期異動状況調査一覧表(乙7)

(1)被告板橋区の主張

 被告板橋区は、東京地方裁判所平成26年(ワ)第12268号事件に提出した平成26年9月1日付け準備書面(1)17頁・18頁において、「平成26年度定期異動状況調査一覧表」(乙7)の使用方法及び必要性を下記のとおり主張した。
〔平成26年9月1日付け被告板橋区準備書面(1)、17頁上から26行目から18頁上から24行目まで〕
 ウ 人事異動には、板橋区内から板橋区外へ、又板橋区外から板橋区内へ
  の人事異動のほか、上記イ⑦のとおり板橋区内における人事異動がある。
   板橋区においては、上記イ⑤の人事上の要望事項として、校長が必要と
  する人材が具体的にいる場合、区教委は、当該人材の氏名等を校長から聴
  取し、その内容を勘案して、異動配置案に反映させることにより、校長の
  学校経営方針や人事構想の実現をきめ細かく支援し、板橋区立学校全体の
  教育水準の向上を図っている。
 エ 以上の人事異動の仕組みの下では、「平成24年度教職員一覧表」、「平
  成25年度教職員一覧表」、「平成24年度板橋区立中学校教職員一覧表」、
  「平成25年度板橋区立中学校教職員一覧表」、「平成26年度定期異動状
  況調査一覧表」及び「平成26年度定期異動に関する求人・紹介一覧表」
  は、必要なものである。
   すなわち、都教委の人事異動は、制度上、区教委の内申、各校長の具申
  の基に成り立っているところ、「教職員一覧表」は区教委の内申等、つまり
  区教委が都教委に提出する異動計画案及び異動配置案並びに各種調査回答
  を作成する際の資料等として、また、「中学校教職員一覧表」、「定期異動状
  況調査票」及び「定期異動に関する求人・紹介一覧表」は校長の具申を始
  めとして、自校の学校経営方針や人事構想の実現に向け、自校の人事上の
  要望事項を具体化等するための資料として、それぞれ必要なものである。
  また、これらを用いることによって、「適材適所の配置」や「学校における
  望ましい教員構成の確保」など、定期異動の目的達成に資することとなる。
  とりわけ、板橋区内の人事異動においては、校長から人事上の要望事項に
  ついて、個別具体的に聴取し、異動計画案に反映させることで、校長の学
  校経営方針や人事構想の実現をきめ細かく支援し、板橋区全体の教育水準
  の向上を図ることができるものである。

 被告板橋区は、東京地方裁判所平成26年(ワ)第12268号事件に提出した平成26年9月1日付け準備書面(1)24頁ないし25頁において、「平成26年度定期異動状況調査一覧表」(乙7)作成の経緯を下記のとおり主張した。
〔平成26年9月1日付け被告板橋区準備書面(1)、24頁ないし25頁〕
 コ 平成25年7月頃、須田会長からの依頼を受け、校長会の総部部部員の
  坂田博美(以下「坂田総務部員」という。)は、定期異動状況調査表(甲3)
  及び定期異動に関する求人・紹介一覧表(甲4)の作成、提出を各中学校
  校長に依頼した。提出期限は同年9月27日とした。
 ソ 各中学校の「定期異動状況調査表」及び「定期異動に関する求人・紹介
  一覧表」の提出期限である平成25年9月27日を過ぎても、原告(板五
  中)からその提出がなかったため、坂田総務部員は原告に問い合わせたと
  ころ、同人から、板五中の情報は提供しない旨の回答を受けた。
 チ 平成25年10月3日、各中学校の「定期異動状況調査表」及び「定期
  異動に関する求人・紹介一覧表」の集計結果(「平成26年度定期異動状況
  調査一覧表」(乙7)及び「平成26年度定期異動に関する求人・紹介一覧
  表」(乙8。なお、紹介欄を記載した校長はいなかったので、求人のみの
  集計となった。))が各中学校校長へメールで送信された。原告(板五中)
  には送信されなかった。

(2)被告板橋区の事実誤認

 被告板橋区は、東京地方裁判所平成26年(ワ)第12268号事件に提出した平成26年9月1日付け準備書面(1)25頁において、原告依田郁夫の「平成26年度定期異動状況調査表」(甲3)及び「平成26年度定期異動に関する求人・紹介一覧表」(甲4)の提出について下記のとおり主張した。
〔平成26年9月1日付け被告板橋区準備書面(1)25頁、上から13行目から16行目まで〕
 ソ 各中学校の「定期異動状況調査表」及び「定期異動に関する求人・紹介
  一覧表」の提出期限である平成25年9月27日を過ぎても、原告(板五
  中)からその提出がなかったため、坂田総務部員は原告に問い合わせたと
  ころ、同人から、板五中の情報は提供しない旨の回答を受けた。

 「各中学校の「定期異動状況調査表」及び「定期異動に関する求人・紹介一覧表」の提出期限である平成25年9月27日を過ぎても、原告(板五中)からその提出がなかったため、坂田総務部員は原告に問い合わせたところ、同人から、板五中の情報は提供しない旨の回答を受けた。」(平成26年9月1日付け被告板橋区準備書面(1)25頁、ソ)は、事実ではない。
 平成25年9月27日過ぎ、総務部員坂田博美(板橋第二中学校校長)は、原告依田郁夫に問い合わせをしていない。したがって、平成25年9月27日過ぎに、原告依田郁夫は総務部員坂田博美(板橋第二中学校校長)に「板五中の情報は提供しない旨の回答」をしていない。
 原告依田郁夫は、総務部員坂田博美(板橋第二中学校校長)が平成25年7月、「平成26年度定期異動状況調査表」(甲3)及び「平成26年度定期異動に関する求人・紹介一覧表」(甲4)の作成・提出を各中学校校長にメール配信した直後に、「板橋第五中学校の情報は提供しない。」ことを総務部員坂田博美(板橋第二中学校校長)にメールで回答した。(訴状、22頁)

〔訴状22頁、上から7行目から20行目まで〕
(4)請求の原因4に対する原告の対応
   平成25年7月頃、板橋第二中学校校長坂田博美が板橋区立中
  学校長23名に甲第3号証〔平成26年度定期異動状況調査表〕、甲第
  4号証〔平成26年度定期異動に関する求人・紹介一覧表〕をメール配
  信した。各校長は自校の内容を記入して、平成25年9月27日までに
  板橋第二中学校校長坂田博美にメールまたは交換便で返信することが義
  務づけられた。
   原告は平成25年7月頃、「平成26年度定期異動状況調査表」、「平成
  26年度定期異動に関する求人・紹介一覧表」がメール配信された直後
  に、板橋第二中学校校長坂田博美に「板橋第五中学校の情報は提供しない。」
  ことを伝えた。
   平成25年10月2日、原告には「平成26年度定期異動状況調査表」、
  「平成26年度定期異動に関する求人・紹介一覧表」の集計結果がメー
  ル配信されなかった。

(3)平成26年度定期異動状況調査一覧表作成の経緯

 ア 平成25年7月頃、「平成26年度定期異動状況調査表」(甲3)の作成・提出依頼

 平成25年7月頃、校長会会長須田淳一(板橋第一中学校校長)の依頼を受けた総務部員坂田博美(板橋第二中学校校長)は、「平成26年度定期異動状況調査表」(甲3)を全校長23名にメール配信し、同調査表(甲3)の作成・提出を依頼した。
 提出期限は平成25年9月27日とした。 
〔甲3.平成26年度定期異動状況調査表〕
秘          平成26年度  定期異動状況調査表    
                                       板橋区立      中学校・学校 №
【板橋区内外問わず転出予定者のみ(人事構想調書の校長欄に○を付けた者)を記入】
教科 氏    名 性別 年齢 在籍 異動 第1希望 第2希望 第3希望 主幹・主任歴・特技・部活動等 推薦度
年数 事由 地区 地区 地区 ○のみ
 【異動事由  1 … 3年以上6年未満  2 … 6年以上必異動  3 … 過員  4 … 具申異動】
 ※推薦度の欄には、板橋区に残したい(本人が区外希望であっても)教員に○を付ける
学級数(見込) 過員教科 退職教科
平成25年度 平成26年度
 提出締め切り日 9月27日(金) 板二中必着  板二中校長メールまたは交換便(親展、厳封)
 集計後の配付日 10月2日(水) 各校へ(メールの添付ファイルで)

 イ 「平成26年度定期異動状況調査表」(甲3)の作成・提出 

 板橋第五中学校校長依田郁夫を除く平成25年度板橋区立中学校校長22名は、「平成26年度中学校人事構想調書」(甲35)の校長具申欄を“〇”とした者、すなわち校長が「平成25年度異動申告書(異動についての校長所見)」(乙3)において“異動の対象とする”とした所属教員の職務上の情報及び個人情報を「平成26年度定期異動状況調査表」(甲3)に記入して、総務部員坂田博美(板橋第二中学校校長)に提出した。

〔甲35.平成26年度中学校人事構想調書〕
平成26年度 中学校人事構想調書 
学校経営方針の要点 現在の教員構成上の課題 経営方針実現のために活用したい教員の能力
職名 氏 名 教職 現任校 教科 担任 次年度 異動 本人 校長 備考 地教委 異動検討 都教委
年数 年数 学年・組 校務分掌 予定分掌 時期 意向 具申 内申 対象 決定
1 1
2 2
3 3
4 4
5 5
6 6
7 7
8 8
9 9
10 10
~ ~ ~ ~ ~ ~ ~ ~ ~ ~ ~ ~ ~ ~ ~ ~ ~ ~ ~ ~ ~ ~ ~ ~ ~ ~ ~ ~ ~ ~ ~ ~ ~
48 48
49 49
50 50
次年度の
人事構想
〔甲36.平成26年度人事構想調書【校長記入例】〕
平成26年度 人事構想調書 【校長記入例】
学校経営方針の要点(例) 現在の教員構成上の課題(例) 経営方針実現のために活用したい教員の能力(例)
・学力の向上と個性の伸長を図り、生きる力を身 ・授業改善への創意工夫が不十分であり、区の研究 ・神奈川主任教諭は本校の研究の要である。次年度
に付けさせる。 奨励校として授業力向上を推進していく。研究につい の研究発表まで、あと1年は本校に必要。
・学校選択制度が3年目を迎える。山積する課題 て堪能教員の配置が必要である。 ・本校の吹奏楽部は積極的に活動し、地域の活動に
を全教職員が共通認識し、それぞれの担当で課 ・生活指導上の課題が沈静化しつつあるが未だ予断 おいても貢献している。吹奏楽指導ができる教員を活
題解決が図れるよう経営の充実を図る。 を許さない状況にある。今後も教育相談等を充実さ 用し発展を図る。
せるため、生活指導力のある教員が必要である。
中学校 例
職名 氏 名 教職 現任校 教科 担任 次年度 異動 本人 校長 備 考 地教委 異動検討 都教委
年数 年数 学年・組 校務分掌 予定分掌 時期 意向 具申 内申 対象 決定
結婚に伴う転居により
1 教諭 東京はるみ 26 4 4 音楽 1-C 生活指導部 25年度 120分以上の遠距離通 1
勤が発生。本人事情も
生活指導 生活指導の推進で教職
2 主任教諭 埼玉なつや 35 13 5 社会 2年付 主任 25年度 × 員と軋轢。生活指導力 2
抜群、環境を変え育成。
部活動支援要員、27年3
3 主任教諭 千葉ふゆや 41 19 7 体男 3年付 生活指導部 生活指導部 26年度 月まで 3
〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜
28 再任用フル 静岡ふじや 61 技術 1年付 進路指導部 進路指導部 28
平成27年3月31日まで育
29 産育休 栃木いちこ 27 5 4.02 英語 児休業予定。 29
平成27年3月31日まで病
30 病気休職 山梨ももお 56 34 5.04 国語 生活指導部 気休職。 30
29栃木いちこ教諭の復
31 産育代替 神奈川あきこ 34 英語 2年付 教務部 職まで継続予定。 31
次年度の人事構想 記入例
次年度の 例1)本校は算数の研究実践を経営の柱としている。算数の研究推進が堪能な教員を希望。
人事構想 例2)器楽指導の中心となっていた教員が異動対象となる。吹奏楽が本校の伝統であり優秀な結果を残している。吹奏楽部の指導ができる教員を希望。
〈留意点〉
①作成時に所属するすべての教員について記入し、年齢、教職年数、現任校年数については、平成26年3月31日現在とする。(校長、副校長及び非常勤
教員並びに講師の記入は不要。)
②本人意向、校長具申欄の○は異動、×は残留することを示す。
③記入順については、本人意向、校長具申欄の上から○○、×○、○×、××、職名欄の再任用(フル、短)、期付教員、休職者、退職者、産育代替の
順とし、それぞれの中を教科順、現任校在籍年数の長い順に並べる。
④再任用教員は職名欄にフルタイムは「再任用フル」、短時間は「再任用短」をプルダウンメニューから選択し入力する。
⑤期限付任用教員は職名欄に「期付教員」(養護教諭の場合は「期付養教」)をプルダウンメニューから選択し入力する。
⑥担任、学年・組については、本年度の担当を明記する。
⑦現校務分掌については、主任、委員長等の名称があれば校内で通常使っている名称を記入する。
⑧備考欄は、異動対象者については異動させる理由を具体的に記入する。異動検討対象者については、異動させる理由又は異動対象除外とする理由
を明記する。また、退職者、休職者についても例にならって記入する。更に、以下の項目について記入する。・主幹教諭及び主幹(養護)教諭について
は、純粋主幹と管候補の区別を記入する。・理科教育推進教員(小学校のみ)を記入する。・部活動に関わって、すでに現任校で複数年配置が認められ
ている教員については、例えば「部活動支援教員 平成27年3月まで」のように記入する。
⑨性別と年齢欄を入力すると、教員組織表の「②年齢層別現員数・平均年齢欄」に自動集計されるので、正しく数字を記入する。

〔乙3.平成25年度異動申告書(異動についての校長所見)〕
平成25年度(平成26年4月1日異動) 異動申告書 *所属 *新所属
異動についての校長所見   地区   地区
主幹教諭・指導教諭・主任教諭・主任養護教諭・教諭・養護教諭・栄養教諭 *教科      (     ) *教科      (     )
氏 名 フ リ ガ ナ 職員番号 性別
年齢 異種間 障害
異 動 種別
現任校における  勤 務 の 状 況 
病気休暇 期間等 *1 *2 *3
遅参・欠勤 (1)3年以上 (2)6年
(3)過員 (4)3年未満 初
休職     年   月 ~    年   月  (        ) 
産休・育休     年   月 ~    年   月  (        )  同教員についての校長所見 学習指導力
育児短時間勤務等     年   月 ~    年   月  (        ) 
(予定も含む)
能力活用と育成  【現任校での勤務実績と成果】 生活指導力・進路指導力
外部との連携・折衝力
 【活用できる能力】
 □学校運営 □校務分掌 □学習指導 □研 究 □生活指導
 □進路指導 □部活動   □地域対応 □その他 (         ) 学校運営力・組織貢献力
 (具体的な状況)
異動に関する 意見と理由 人事構想伝達日
 【昇任選考又は管理職選考等】 (受験中の選考)
 (指導及び受験の状況) 平成  年  月  日
□ 異動の対象とする
□ 異動の対象としない
 【資格・免許等】    平成     年     月     日
  ○学校図書館司書教諭免許 ( 有 ・ 無 )     板橋区立      学校  校長
  ○学校マネジメント講座受講 ( 有 ・ 無 )  *地教委 教育管理職候補者選考合格年度及び種別
  その他の資格・免許  平成    年度  □現任校昇任 □地区内昇任
 □他地区昇任

 ウ 「平成26年度定期異動状況調査一覧表」(乙7)作成

 校長会会長須田淳一(板橋第一中学校校長)の依頼を受けた総務部員坂田博美(板橋第二中学校校長)は、板橋第五中学校校長依田郁夫を除く平成25年度板橋区立中学校校長22名が回答した「平成26年度定期異動状況調査表」(甲3)を集計して、「平成26年度定期異動状況調査一覧表」(乙7)を作成した。
 現行の学制が施行された昭和22年から平成25年までの66年間、板橋区立中学校校長会は「定期異動状況調査一覧表」を作成してきた蓋然性が高い。

〔乙7.平成26年度定期異動状況調査一覧表〕
平成25年10月23日現在
平成26年度  定期異動状況調査一覧表   中学校別
教科 氏  名 性別 年齢 在籍 理由 希望地区 備  考 校名
※「性別」の外は被覆されている。
 被覆されている項目は「教科」、「氏名」、「年齢」、「在籍年数」、「異動理由」、「異動希望地区」、「備考欄」、「校名」である。
※乙7には、67人の異動対象教員の職務上の情報及び個人情報が記載されている。

 エ 平成25年10月3日、配付

 平成25年10月3日、校長会会長須田淳一(板橋第一中学校校長)の依頼を受けた総務部員坂田博美(板橋第二中学校校長)は、「平成26年度定期異動状況調査一覧表」(乙7)を板橋第五中学校校長依田郁夫を除く22名の校長に配付した。

(4)掲載された項目

 「平成26年度定期異動状況調査一覧表」(乙7)には、下記の項目が記載された。
 1 教科
 2 氏名
 3 性別
 4 年齢
 5 在籍年数
 6 異動事由
 7 第1異動希望地区
 8 第2異動希望地区
 9 第3異動希望地区
10 主幹・主任歴・特技・部活動等
11 推薦度(板橋区に残したい(本人が区外希望であっても)教員に〇を付ける) 

(5)掲載された教員数

 「平成26年度定期異動状況調査一覧表」(乙7)には、平成25年度板橋区立中学校22校(板橋第五中学校を除く)に在職し、平成26年4月1日付けで異動する教員67人が掲載された。

(6)配付先

 平成25年度板橋区立中学校校長会会長須田淳一(板橋第一中学校校長)の依頼を受けた総務部員坂田博美(板橋第二中学校校長)は、板橋第五中学校校長依田郁夫を除く平成25年度板橋区立中学校校長22名に、「平成26年度定期異動状況調査一覧表」(乙7)を配付した。
 現行の学制が施行された昭和22年から平成25年までの66年間、板橋区立中学校校長会は「定期異動状況調査一覧表」を作成して、同一覧表を板橋区立中学校校長に配付してきた蓋然性が高い。

〔平成25年度板橋区立中学校の校長(甲6)〕
NO 中学校名 校  長
1   板橋第一中学校 須 田 淳 一
2   板橋第二中学校 坂 田 博 美
3   板橋第三中学校 大 本 勝 利
4   板橋第五中学校 依 田 郁 夫
5   加賀中学校 北 村 康 子
6   志村第一中学校 福 田 洋 一
7   志村第二中学校 藤 江 敏 郎
8   志村第三中学校 飛 田 修 二
9   志村第四中学校 小 川 達 夫
10   志村第五中学校 上 倉 敏 郎
11   西台中学校 飯 塚 正 人
12   中台中学校 佐 藤 晴 法
13   上板橋第一中学校 島 﨑 達 朗
14   上板橋第二中学校 塩 野 賢 一
15   上板橋第三中学校 新飯田 潤 一
16   桜川中学校 戸 張 隆 次
17   向原中学校 百 武 政 信
18   赤塚第一中学校 大河原 嘉 朗
19   赤塚第二中学校 稲 葉 秀 哉
20   赤塚第三中学校 工 藤 雅 敏
21   高島第一中学校 岡 村 克 也
22   高島第二中学校 荒 井 秀 樹
23   高島第三中学校 加 藤 芳 和

(7)使用目的

 被告板橋区は、教員定期異動事務において、「校長が必要とする人材が具体的にいる場合、区教委は、当該人材の氏名等を校長から聴取し、その内容を勘案して、異動配置案に反映させる」と主張した。(平成26年9月1日付け被告板橋区準備書面(1)18頁)
〔平成26年9月1日付け被告板橋区準備書面(1)18頁、上から2行目から6行目まで〕
  板橋区においては、上記イ⑤の人事上の要望事項として、校長が必要と
 する人材が具体的にいる場合、区教委は、当該人材の氏名等を校長から聴
 取し、その内容を勘案して、異動配置案に反映させることにより、校長の
 学校経営方針や人事構想の実現をきめ細かく支援し、板橋区立学校全体の
 教育水準の向上を図っている。

 被告板橋区は、「平成26年度定期異動状況調査一覧表」(乙7)の使用方法を、「中学校校長が、自校の学校経営方針や人事構想の実現に向け、自校の人事上の要望事項を具体化等するための資料などとして用いられるものである。」と主張した。(平成26年9月1日付け被告板橋区準備書面(1)21頁)
〔平成26年9月1日付け被告板橋区準備書面(1)21頁、上から17行目から20行目まで〕
  エ その使用方法については、「平成25年度板橋区立中学校教職員一覧表」
   とほぼ同様に、中学校校長が、自校の学校経営方針や人事構想の実現に向
   け、自校の人事上の要望事項を具体化等するための資料などとして用いら
   れるものである。

 平成25年度板橋区立中学校校長は、「平成25年度板橋区立中学校教職員一覧表」(乙6)、「平成26年度定期異動状況調査一覧表」(乙7)及び「平成26年度定期異動に関する求人・紹介一覧表集計」(乙8)があれば、次年度必要とする教員の氏名を特定して板橋区教育委員会に要望することができる。
 つまり、「平成26年度定期異動状況調査一覧表」(乙7)の主な使用目的は、一部の校長が教員定期異動事務において「A中学校のa教諭を欲しい。」と要望するとき使用するものである。
 なお、“一部の校長”としたのは、被告板橋区が「校長が必要とする人材が具体的にいる場合、区教委は、当該人材の氏名等を校長から聴取し」と主張するとおり、全ての校長が教員の氏名を特定して要望したわけではないからである。仮に、全ての校長が次年度転入予定の教員をすべて特定して要望したら、複数の校長が同一教員を指名したり、まったく指名されない教員も出て、教員定期異動事務は立ち行かなくなる。したがって、「A中学校のa教諭を欲しい。」と浅ましい要望をするのは、自己の利益のみを考えた一部の校長である。

 ア 教育基本法16条1項違反

 上記(7)のとおり、教員定期異動事務において、板橋区立中学校校長23名全員が教員の氏名を特定して要望したわけではない。「A中学校のa教諭を欲しい。」と自己の利益のみを考えた浅ましい要望をした校長は一部である。
 平成25年度板橋区教育委員会教育長橋本正彦は、一部の校長にへつらい、同校長らの浅ましい要望を受け入れ、同校長らが教員定期異動事務に不当に介入することを許した。教育長橋本正彦は、自らの責任において主体的に教員定期異動事務を実施することを放棄した。したがって、教育長橋本正彦は、一部の校長の不当な介入を許し、教員定期異動事務を自らの責任において主体的に公正かつ適正に実施する義務に違反した。
 よって、教育長橋本正彦は、教育基本法16条1項に違反した。
 (ページ「板橋区・板橋区教育委員会の違法行為」、5(4)ア)

 イ 憲法15条2項違反

 平成25年度板橋区教育委員会教育長橋本正彦がx校長の要望「A中学校のa教諭を欲しい。」を受け入れることは、「x校長の学校経営方針や人事構想の実現をきめ細かく支援し、X中学校の教育水準を向上させる」(平成26年9月1日付け被告板橋区準備書面(1)18頁、上から4行目から5行目まで)のであるから、x校長に対する利益供与である。したがって、教育長橋本正彦は、教員定期異動事務を行うにあたり、一部の校長に利益供与し、板橋区立中学校校長23名を公平に扱わなかった。
 よって、教育長橋本正彦は、憲法15条2項に違反した。
 (ページ「板橋区・板橋区教育委員会の違法行為」、5(4)イ)

 ウ 地方公務員法30条違反

 平成25年度板橋区教育委員会教育長橋本正彦は、一部の校長にへつらい、同校長らの浅ましい要望を受け入れ、同校長らの学校の教育水準を向上させた。教育長橋本正彦は、教員の氏名を特定して要望した学校の教育水準を向上させ、そうでない学校の教育水準向上を後回しにした。したがって、教育長橋本正彦は、一部の学校の教育水準を向上させ、板橋区立中学校23校の教育水準を向上させる義務を果たさなかった。
 よって、教育長橋本正彦は、地方公務員法30条に違反した。
 (ページ「板橋区・板橋区教育委員会の違法行為」、5(4)ウ)

(9)平成25年度板橋区立中学校校長の違法行為

 ア 職務上の情報及び個人情報の漏えい

 板橋第五中学校校長依田郁夫を除く平成25年度板橋区立中学校校長22名は、「平成26年度定期異動状況調査表」(甲3)により、平成26年4月1日付けで異動する所属教員の職務上の情報及び個人情報を、平成25年度板橋区立中学校校長会会長須田淳一(板橋第一中学校校長)に提供した。校長会会長須田淳一は、板橋第五中学校校長依田郁夫を除く22名の校長から収集した平成26年4月1日付け異動教員67人の上記職務上の情報及び個人情報を集計して「平成26年度定期異動状況調査一覧表」(乙7)を作成し、板橋第五中学校校長依田郁夫を除く22名の校長に配付した。
 板橋第五中学校校長依田郁夫を除く22名の校長が自校の外の校長21名に漏えいした平成26年4月1日付けで異動する所属教員の上記職務上の情報及び個人情報は、教科、氏名、性別、年齢、在籍年数、異動事由、第1異動希望地区、第2異動希望地区、第3異動希望地区、主幹・主任歴・特技・部活動等、推薦度(板橋区に残したい(本人が区外希望であっても)教員に〇を付ける)である。
 中学校校長の職務は、学校教育法37条4項を準用する49条により、「校務をつかさどり、所属職員を監督する。」である。東京都板橋区立学校の管理運営に関する規則5条は、校長の職務を「学校教育の管理、所属職員の管理、学校施設の管理及び学校事務の管理に関すること。」(同規則5条1項1号)、「所属職員の職務上及び身分上の監督に関すること。」(同規則5条1項2号)と規定している。
 したがって、板橋第五中学校校長依田郁夫を除く22名の校長が平成26年4月1日付けで異動する所属教員の職務上の情報及び個人情報を自校の外の校長21名に漏えいしたことは、学校教育法37条4項を準用する49条、東京都板橋区立学校の管理運営に関する規則5条1項1号及び5条1項2号が規定する権限の逸脱濫用であり、地方公務員法34条1項違反である。
 板橋第五中学校校長依田郁夫を除く22名の校長は、平成26年4月1日付けで異動する所属教員の職務上の情報及び個人情報を自校の外の校長21名に漏えいし、同教員の自己情報コントロール権を侵害した。
 よって、板橋第五中学校校長依田郁夫を除く平成25年度板橋区立中学校校長22名は、憲法13条、教育基本法9条2項、個人情報保護法3条、学校教育法37条4項を準用する49条、東京都板橋区立学校の管理運営に関する規則5条1項1号及び5条1項2号、地方公務員法32条、33条及び34条1項に違反した。

※憲法13条〔個人の尊重、生命・自由・幸福追求の権利の尊重〕
 すべて国民は、個人として尊重される。生命、自由及び幸福追求に対する国民の権利については、公共の福祉に反しない限り、立法その他の国政の上で、最大の尊重を必要とする。
※教育基本法9条2項(教員)
 前項の教員については、その使命と職責の重要性にかんがみ、その身分は尊重され、待遇の適正が期せられるととに、養成と研修の充実が図られなければならない。
※個人情報保護法3条(基本理念)
 個人情報は、個々の人格尊重の理念の下に慎重に取り扱われるべきものであることにかんがみ、その適正な取扱いが図られなければならない。
※学校教育法37条4項
 校長は、校務をつかさどり、所属職員を監督する。
※学校教育法49条〔準用規定〕
 第30条第2項、第31条、第34条、第35条及び第37条から第44条までの規定は、中学校に準用する。この場合において、第30条第2項中の「前項」とあるのは「第46条」と、第31条中「前条第1項」とあるのは「第46条」と読み替えるものとする。
※東京都板橋区立学校の管理運営に関する規則5条(校長の職務)
 学校教育法第37条第4項及び同項を準用する法第49条に規定する校長の職務は、おおむね次のとおりとする。
 (1)学校教育の管理、所属職員の管理、学校施設の管理及び学校事務の管理に関すること。
 (2)所属職員の職務上及び身分上の監督に関すること。
 (3)前各号に規定するもののほか、職務上委任又は命令された事項に関すること。
2 校長は、所属職員に校務を分掌させることができる。
※地方公務員法32条(法令等及び上司の職務上の命令に従う義務)
 職員は、その職務を遂行するに当たって、法令、条例、地方公共団体の規則及び地方公共団体の機関の定める規程に従い、且つ、上司の職務上の命令に忠実に従わなければならない。
※地方公務員法33条(信用失墜行為の禁止)
 職員は、その職の信用を傷つけ、又は職員の職全体の不名誉となるような行為をしてはならない。
※地方公務員法34条1項(秘密を守る義務)
 職員は、職務上知り得た秘密を漏らしてはならない。その職を退いた後も、また、同様とする。

 イ 職務上の情報及び個人情報の不正入手

 板橋第五中学校校長依田郁夫を除く平成25年度板橋区立中学校校長22名は、「平成26年度定期異動状況調査一覧表」(乙7)から、自校の外の21中学校に在職し平成26年4月1日付けで異動する教員約60人の職務上の情報及び個人情報を入手した。
 板橋第五中学校校長依田郁夫を除く22名の校長が入手した上記職務上の情報及び個人情報は、教科、氏名、性別、年齢、在籍年数、異動事由、第1異動希望地区、第2異動希望地区、第3異動希望地区、主幹・主任歴・特技・部活動等、推薦度(板橋区に残したい(本人が区外希望であっても)教員に〇を付ける)である。
 中学校校長の職務は、学校教育法37条4項を準用する49条により、「校務をつかさどり、所属職員を監督する。」である。東京都板橋区立学校の管理運営に関する規則5条は、校長の職務を「学校教育の管理、所属職員の管理、学校施設の管理及び学校事務の管理に関すること。」(同規則5条1項1号)、「所属職員の職務上及び身分上の監督に関すること。」(同規則5条1項2号)と規定している。
 中学校校長は、自校の外の学校に在職する職員を監督する権限を有しない。板橋区立中学校校長は、自校の外の学校に在職する職員を管理する権限を有しない。板橋区立中学校校長は、自校の外の学校に在職する職員の職務上及び身分上の監督を行う権限を有しない。
 したがって、板橋第五中学校校長依田郁夫を除く22名の校長が自校の外の21中学校に在職し平成26年4月1日付けで異動する教員約60人の職務上の情報及び個人情報を入手したことは、学校教育法37条4項を準用する49条、東京都板橋区立学校の管理運営に関する規則5条1項1号及び5条1項2号が規定する権限の逸脱濫用である。
 板橋第五中学校校長依田郁夫を除く22名の校長は、自校の外の21中学校に在職し平成26年4月1日付けで異動する教員約60人の職務上の情報及び個人情報を不正に入手し、同教員らの自己情報コントロール権を侵害した。
 よって、板橋第五中学校校長依田郁夫を除く平成25年度板橋区立中学校校長22名は、憲法13条、教育基本法9条2項、個人情報保護法3条、学校教育法37条4項を準用する49条、東京都板橋区立学校の管理運営に関する規則5条1項1号及び5条1項2号、地方公務員法32条及び33条に違反した。

※憲法13条〔個人の尊重、生命・自由・幸福追求の権利の尊重〕
 すべて国民は、個人として尊重される。生命、自由及び幸福追求に対する国民の権利については、公共の福祉に反しない限り、立法その他の国政の上で、最大の尊重を必要とする。
※教育基本法9条2項(教員)
 前項の教員については、その使命と職責の重要性にかんがみ、その身分は尊重され、待遇の適正が期せられるととに、養成と研修の充実が図られなければならない。
※個人情報保護法3条(基本理念)
 個人情報は、個々の人格尊重の理念の下に慎重に取り扱われるべきものであることにかんがみ、その適正な取扱いが図られなければならない。
※学校教育法37条4項
 校長は、校務をつかさどり、所属職員を監督する。
※学校教育法49条〔準用規定〕
 第30条第2項、第31条、第34条、第35条及び第37条から第44条までの規定は、中学校に準用する。この場合において、第30条第2項中の「前項」とあるのは「第46条」と、第31条中「前条第1項」とあるのは「第46条」と読み替えるものとする。
※東京都板橋区立学校の管理運営に関する規則5条(校長の職務)
 学校教育法第37条第4項及び同項を準用する法第49条に規定する校長の職務は、おおむね次のとおりとする。
 (1)学校教育の管理、所属職員の管理、学校施設の管理及び学校事務の管理に関すること。
 (2)所属職員の職務上及び身分上の監督に関すること。
 (3)前各号に規定するもののほか、職務上委任又は命令された事項に関すること。
2 校長は、所属職員に校務を分掌させることができる。
※地方公務員法32条(法令等及び上司の職務上の命令に従う義務)
 職員は、その職務を遂行するに当たって、法令、条例、地方公共団体の規則及び地方公共団体の機関の定める規程に従い、且つ、上司の職務上の命令に忠実に従わなければならない。
※地方公務員法33条(信用失墜行為の禁止)
 職員は、その職の信用を傷つけ、又は職員の職全体の不名誉となるような行為をしてはならない。

7 平成26年度定期異動に関する求人・紹介一覧表集計(乙8)

(1)被告板橋区の主張

 被告板橋区は、東京地方裁判所平成26年(ワ)第12268号事件に提出した平成26年9月1日付け準備書面(1)17頁・18頁において、「平成26年度定期異動に関する求人・紹介一覧表集計」(乙8)の使用方法及び必要性を下記のとおり主張した。
〔平成26年9月1日付け被告板橋区準備書面(1)、17頁上から26行目から18頁上から24行目まで〕
 ウ 人事異動には、板橋区内から板橋区外へ、又板橋区外から板橋区内へ
  の人事異動のほか、上記イ⑦のとおり板橋区内における人事異動がある。
   板橋区においては、上記イ⑤の人事上の要望事項として、校長が必要と
  する人材が具体的にいる場合、区教委は、当該人材の氏名等を校長から聴
  取し、その内容を勘案して、異動配置案に反映させることにより、校長の
  学校経営方針や人事構想の実現をきめ細かく支援し、板橋区立学校全体の
  教育水準の向上を図っている。
 エ 以上の人事異動の仕組みの下では、「平成24年度教職員一覧表」、「平
  成25年度教職員一覧表」、「平成24年度板橋区立中学校教職員一覧表」、
  「平成25年度板橋区立中学校教職員一覧表」、「平成26年度定期異動状
  況調査一覧表」及び「平成26年度定期異動に関する求人・紹介一覧表」
  は、必要なものである。
   すなわち、都教委の人事異動は、制度上、区教委の内申、各校長の具申
  の基に成り立っているところ、「教職員一覧表」は区教委の内申等、つまり
  区教委が都教委に提出する異動計画案及び異動配置案並びに各種調査回答
  を作成する際の資料等として、また、「中学校教職員一覧表」、「定期異動状
  況調査票」及び「定期異動に関する求人・紹介一覧表」は校長の具申を始
  めとして、自校の学校経営方針や人事構想の実現に向け、自校の人事上の
  要望事項を具体化等するための資料として、それぞれ必要なものである。
  また、これらを用いることによって、「適材適所の配置」や「学校における
  望ましい教員構成の確保」など、定期異動の目的達成に資することとなる。
  とりわけ、板橋区内の人事異動においては、校長から人事上の要望事項に
  ついて、個別具体的に聴取し、異動計画案に反映させることで、校長の学
  校経営方針や人事構想の実現をきめ細かく支援し、板橋区全体の教育水準
  の向上を図ることができるものである。

 被告板橋区は、東京地方裁判所平成26年(ワ)第12268号事件に提出した平成26年9月1日付け準備書面(1)24頁ないし25頁において、「平成26年度定期異動に関する求人・紹介一覧表集計」(乙8)作成の経緯を下記のとおり主張した。
〔平成26年9月1日付け被告板橋区準備書面(1)、24頁ないし25頁〕
 コ 平成25年7月頃、須田会長からの依頼を受け、校長会の総部部部員の
  坂田博美(以下「坂田総務部員」という。)は、定期異動状況調査表(甲3)
  及び定期異動に関する求人・紹介一覧表(甲4)の作成、提出を各中学校
  校長に依頼した。提出期限は同年9月27日とした。
 ソ 各中学校の「定期異動状況調査表」及び「定期異動に関する求人・紹介
  一覧表」の提出期限である平成25年9月27日を過ぎても、原告(板五
  中)からその提出がなかったため、坂田総務部員は原告に問い合わせたと
  ころ、同人から、板五中の情報は提供しない旨の回答を受けた。
 チ 平成25年10月3日、各中学校の「定期異動状況調査表」及び「定期
  異動に関する求人・紹介一覧表」の集計結果(「平成26年度定期異動状況
  調査一覧表」(乙7)及び「平成26年度定期異動に関する求人・紹介一覧
  表」(乙8。なお、紹介欄を記載した校長はいなかったので、求人のみの
  集計となった。))が各中学校校長へメールで送信された。原告(板五中)
  には送信されなかった。

(2)平成26年度定期異動に関する求人・紹介一覧表作成の経緯

 ア 平成25年7月頃、「平成26年度定期異動に関する求人・紹介一覧表」(甲4)の作成・提出依頼

 平成25年7月頃、校長会会長須田淳一(板橋第一中学校校長)の依頼を受けた総務部員坂田博美(板橋第二中学校校長)は、「平成26年度定期異動に関する求人・紹介一覧表」(甲4)を全校長23名にメール配信し、同一覧表(甲4)の作成・提出を依頼した。
 提出期限は平成25年9月27日とした。 
〔甲4.平成26年度定期異動に関する求人・紹介一覧表〕
平成26年度  定期異動に関する求人・紹介一覧表
                                 学校名                
 【求人】
NO 教科 希望することがら
1
2
3
4
5
6
7
8
9
10
 【紹介】
  他地区より転入予定の推薦者(教科・氏名・性別・地区名・理由等)
   例:数学・板橋太郎(男)・港区・道徳教育推進委員・バドミントン部
 ※定期異動状況調査表と一緒に、9月27日(金)までに板二中へご提出ください

 イ 「平成26年度定期異動に関する求人・紹介一覧表」(甲4)の作成・提出 

 板橋第五中学校校長依田郁夫を除く平成25年度板橋区立中学校校長22名は、「平成26年度定期異動に関する求人・紹介一覧表」(甲4)に求人情報及び紹介情報を記入して、総務部員坂田博美(板橋第二中学校校長)に提出した。

 ウ 「平成26年度定期異動に関する求人・紹介一覧表集計」(乙8)作成

 校長会会長須田淳一(板橋第一中学校校長)の依頼を受けた総務部員坂田博美(板橋第二中学校校長)は、板橋第五中学校校長依田郁夫を除く平成25年度板橋区立中学校校長22名が提出した「平成26年度定期異動に関する求人・紹介一覧表」(甲4)を集計して、「平成26年度定期異動に関する求人・紹介一覧表集計」(乙8)を作成した。
 現行の学制が施行された昭和22年から平成25年までの66年間、板橋区立中学校校長会は「定期異動に関する求人・紹介一覧表集計」を作成してきた蓋然性が高い。

〔乙8.平成26年度定期異動に関する求人・紹介一覧表集計〕
校名 教科 希望する事柄
1 数学 男性、陸上部、バスケット部、指導力ある30代の方
2 保体 男性、陸上部、バウケット部、指導力ある30代の方
3 音楽 男女どちらでも、吹奏楽の指導力のある30代~40代の方
4 英語 女性、吹奏楽の指導力のある30代~40代の方
5 特支 女性、陸上部、バスケットボール部の指導力のある方、新採可
6 特支 女性、陸上部、バスケットボール部の指導力のある方、新採可
1 社会 バドミントンの指導ができる人
2 保体 ソフトテニスの指導ができる人
1 社会 野球部の指導ができる人
2 理科 野球部の指導ができる人
3 数学 野球部の指導ができる人
なし
1 社会 ソフトテニス指導できる人、生活、または教務
2 数学 ソフトテニス指導できる人、生活、または教務
3 保体 ソフトテニス指導できる人、生活、または教務
4 理科 ソフトテニス指導できる人、生活、または教務
1 社会 学年主任ができる人材。
2 体男 生活指導主任、もしくは学年主任ができる人材。
3 養護教諭 教育相談ができる人材。特に保護者対応に長けている人材。
4 英語 学年主任ができる人材。
5 体育か国語 生活指導主任、学年主任ができる人材。
6 日本語 経験者がいいが新採可。英語科か国語科が希望。
1 保体 教科指導しっかりできる人男子教員、主幹、主任教諭を望む
2 国語 教科指導しっかりできる人  男女問わず
1 社会
2 保体
1 国語 指導力(教科・生活指導)に優れ、学年主任ができる人 主幹可
1 国語 授業が成立する人、テニス、バド、剣道の顧問
2 音楽 生徒理解をしつつ吹奏楽の指導ができる人+他教科に同じ
3 美術 授業が成立する人、テニス、バド、剣道の顧問
4 技術 授業が成立する人、テニス、バド、剣道の顧問
5 英語 授業が成立する人、テニス、バド、剣道の顧問
1 理科 教科指導力がある人
1 英語 女性で中堅、主任教諭、部活で英語部を担当できる人
1 数学
2 数学
校名 教科 希望する事柄
1 数学 教科指導、担任をきちんとできる人、バスケット部指導できる人
2 国語 教科指導、担任をきちんとできる人、バスケット部指導できる人
3 英語 教科指導、担任をきちんとできる人、バスケット部指導できる人
4 美術 教科指導、担任をきちんとできる人
1 理科 サッカー部の指導ができる人
2 英語 サッカー部の指導ができる人
家庭 講師で指導力ある人
英語 産休代替で指導力ある人
1 国語
2 英語 ・生活指導主任
3 英語 ・学年主任
4 音楽
5 保体
1 国語
2 国語
3 社会
4 社会
5 社会
6 数学 ◯主幹教諭 1人
7 数学 ◯学年主任
8 理科 ◯バスケット、サッカー、バレーボール部の顧問ができる人
9 理科
10 保体
11 家庭
12 英語
13 英語
14 特支
なし
1 保体 主幹以外の男性、バスケット
2 技術 部活動のできる人
3 英語 教科指導ができる人
1 数学 男性 経験豊かな主任教諭
2 理科 男性 都理数フロンティア研究に対応できる人
3 技術 男性 指導力のある人
1 数学 学級数によっては過員教科
2 技術 通級学級教員の配置換えで対応予定
3 英語 生活指導力のある若手希望(バド、卓球、陸上指導できる人)
4 社会 生活指導力のある若手希望(バド、卓球、陸上指導できる人)
5 通級 男性を希望
1 数学 主任教諭以上で指導力のある人
2 英語 主任教諭以上で指導力のある人
3 保体 陸上部の指導ができる人
4 技術 生活指導力があり、バレー部の指導ができる人
※「校名」は被覆されている。
※乙8には、教員77人の求人情報が記載されている。

 エ 平成25年10月3日、配付

 平成25年10月3日、校長会会長須田淳一(板橋第一中学校校長)の依頼を受けた総務部員坂田博美(板橋第二中学校校長)は、「平成26年度定期異動に関する求人・紹介一覧表集計」(乙8)を板橋第五中学校校長依田郁夫を除く22名の校長に配付した。

(3)掲載された項目

 「平成26年度定期異動に関する求人・紹介一覧表集計」(乙8)の求人欄には、下記の項目が記載された。
1 校名
2 教科
3 希望する事柄
 「平成26年度定期異動に関する求人・紹介一覧表集計」(乙8)の紹介欄には、下記の項目が記載された。
1 教科
2 氏名
3 性別
4 地区名
5 理由等
 記載例は、数学、板橋太郎(男)、港区、道徳教育推進委員、バドミントン部。

(4)掲載された教員数

 「平成26年度定期異動に関する求人・紹介一覧表集計」(乙8)の求人欄には、教員77人の求人情報が掲載された。

(5)配付先

 平成25年度板橋区立中学校校長会会長須田淳一(板橋第一中学校校長)の依頼を受けた総務部員坂田博美(板橋第二中学校校長)は、板橋第五中学校校長依田郁夫を除く平成25年度板橋区立中学校校長22名に、「平成26年度定期異動に関する求人・紹介一覧表集計」(乙8)を配付した。
 現行の学制が施行された昭和22年から平成25年までの66年間、板橋区立中学校校長会は「定期異動に関する求人・紹介一覧表集計」を作成して、同一覧表を板橋区立中学校校長に配付してきた蓋然性が高い。

〔平成25年度板橋区立中学校の校長(甲6)〕
NO 中学校名 校  長
1   板橋第一中学校 須 田 淳 一
2   板橋第二中学校 坂 田 博 美
3   板橋第三中学校 大 本 勝 利
4   板橋第五中学校 依 田 郁 夫
5   加賀中学校 北 村 康 子
6   志村第一中学校 福 田 洋 一
7   志村第二中学校 藤 江 敏 郎
8   志村第三中学校 飛 田 修 二
9   志村第四中学校 小 川 達 夫
10   志村第五中学校 上 倉 敏 郎
11   西台中学校 飯 塚 正 人
12   中台中学校 佐 藤 晴 法
13   上板橋第一中学校 島 﨑 達 朗
14   上板橋第二中学校 塩 野 賢 一
15   上板橋第三中学校 新飯田 潤 一
16   桜川中学校 戸 張 隆 次
17   向原中学校 百 武 政 信
18   赤塚第一中学校 大河原 嘉 朗
19   赤塚第二中学校 稲 葉 秀 哉
20   赤塚第三中学校 工 藤 雅 敏
21   高島第一中学校 岡 村 克 也
22   高島第二中学校 荒 井 秀 樹
23   高島第三中学校 加 藤 芳 和

(6)使用目的

 被告板橋区は、教員定期異動事務において、「校長が必要とする人材が具体的にいる場合、区教委は、当該人材の氏名等を校長から聴取し、その内容を勘案して、異動配置案に反映させる」と主張した。(平成26年9月1日付け被告板橋区準備書面(1)18頁)
〔平成26年9月1日付け被告板橋区準備書面(1)18頁、上から2行目から6行目まで〕
  板橋区においては、上記イ⑤の人事上の要望事項として、校長が必要と
 する人材が具体的にいる場合、区教委は、当該人材の氏名等を校長から聴
 取し、その内容を勘案して、異動配置案に反映させることにより、校長の
 学校経営方針や人事構想の実現をきめ細かく支援し、板橋区立学校全体の
 教育水準の向上を図っている。

 被告板橋区は、「平成26年度定期異動に関する求人・紹介一覧表集計」(乙8)の使用方法を、「中学校校長が、自校の学校経営方針や人事構想の実現に向け、自校の人事上の要望事項を具体化等するための資料などとして用いられるものである。」と主張した。(平成26年9月1日付け被告板橋区準備書面(1)22頁)
〔平成26年9月1日付け被告板橋区準備書面(1)22頁、上から11行目から14行目まで〕
 エ その使用方法については、「平成25年度板橋区立中学校教職員一覧表」
  及び「平成26年度定期異動状況調査一覧表」とほぼ同様に、中学校校長
  が、自校の学校経営方針や人事構想の実現に向け、自校の人事上の要望事
  項を具体化等するための資料などとして用いられるものである。

 平成25年度板橋区立中学校校長は、「平成25年度板橋区立中学校教職員一覧表」(乙6)、「平成26年度定期異動状況調査一覧表」(乙7)及び「平成26年度定期異動に関する求人・紹介一覧表集計」(乙8)があれば、次年度必要とする教員の氏名を特定して板橋区教育委員会に要望することができる。
 つまり、「平成26年度定期異動に関する求人・紹介一覧表集計」(乙8)の主な使用目的は、一部の校長が教員定期異動事務において「A中学校のa教諭を欲しい。」と要望するとき使用するものである。
 なお、“一部の校長”としたのは、被告板橋区が「校長が必要とする人材が具体的にいる場合、区教委は、当該人材の氏名等を校長から聴取し」と主張するとおり、全ての校長が教員の氏名を特定して要望したわけではないからである。仮に、全ての校長が次年度転入予定の教員をすべて特定して要望したら、複数の校長が同一教員を指名したり、まったく指名されない教員も出て、教員定期異動事務は立ち行かなくなる。したがって、「A中学校のa教諭を欲しい。」と浅ましい要望をするのは、自己の利益のみを考えた一部の校長である。

 ア 教育基本法16条1項違反

 上記(6)のとおり、教員定期異動事務において、板橋区立中学校校長23名全員が教員の氏名を特定して要望したわけではない。「A中学校のa教諭を欲しい。」と自己の利益のみを考えた浅ましい要望をした校長は一部である。
 平成25年度板橋区教育委員会教育長橋本正彦は、一部の校長にへつらい、同校長らの浅ましい要望を受け入れ、同校長らが教員定期異動事務に不当に介入することを許した。教育長橋本正彦は、自らの責任において主体的に教員定期異動事務を実施することを放棄した。したがって、教育長橋本正彦は、一部の校長の不当な介入を許し、教員定期異動事務を自らの責任において主体的に公正かつ適正に実施する義務に違反した。
 よって、教育長橋本正彦は、教育基本法16条1項に違反した。
 (ページ「板橋区・板橋区教育委員会の違法行為」、5(4)ア)

 イ 憲法15条2項違反

 平成25年度板橋区教育委員会教育長橋本正彦がx校長の要望「A中学校のa教諭を欲しい。」を受け入れることは、「x校長の学校経営方針や人事構想の実現をきめ細かく支援し、X中学校の教育水準を向上させる」(平成26年9月1日付け被告板橋区準備書面(1)18頁、上から4行目から5行目まで)のであるから、x校長に対する利益供与である。したがって、教育長橋本正彦は、教員定期異動事務を行うにあたり、一部の校長に利益供与し、板橋区立中学校校長23名を公平に扱わなかった。
 よって、教育長橋本正彦は、憲法15条2項に違反した。
 (ページ「板橋区・板橋区教育委員会の違法行為」、5(4)イ)

 ウ 地方公務員法30条違反

 平成25年度板橋区教育委員会教育長橋本正彦は、一部の校長にへつらい、同校長らの浅ましい要望を受け入れ、同校長らの学校の教育水準を向上させた。教育長橋本正彦は、教員の氏名を特定して要望した学校の教育水準を向上させ、そうでない学校の教育水準向上を後回しにした。したがって、教育長橋本正彦は、一部の学校の教育水準を向上させ、板橋区立中学校23校の教育水準を向上させる義務を果たさなかった。
 よって、教育長橋本正彦は、地方公務員法30条に違反した。
 (ページ「板橋区・板橋区教育委員会の違法行為」、5(4)ウ)

(8)被告板橋区の事実上の主張に対する反論

 ア 被告板橋区の事実上の主張

 被告板橋区は、「平成26年度定期異動に関する求人・紹介一覧表集計」(乙8)の「紹介欄」について、「なお、紹介欄の記載をした校長はいなかったので、求人のみの集計となった。」(平成26年9月1日付け被告板橋区準備書面(1)25頁、上から24行目から25行目まで)と主張した。
〔平成26年9月1日付け被告板橋区準備書面(1)25頁、上から21行目から26行目まで〕
 チ 平成25年10月3日、各中学校の「定期異動状況調査表」及び「定期
  異動に関する求人・紹介一覧表」の集計結果(「平成26年度定期異動状況
  調査一覧表」(乙7)及び「平成26年度定期異動に関する求人・紹介一覧
  表」(乙8。なお、紹介欄を記載した校長はいなかったので、求人のみの
  集計となった。))が各中学校校長へメールで送信された。原告(板五中)
  には送信されなかった。

 イ 反論

 依田郁夫は、被告板橋区の上記アの事実上の主張は虚偽であると考える。
 「紹介欄」には情報が記載されていたが、被告板橋区は「紹介欄」を削除して証拠書証乙8を作成し、東京地方裁判所平成26年(ワ)第12268号事件に提出したものと考える。
 依田郁夫の上記主張の根拠は、下記の(ア)、(イ)、(ウ)である。

(ア)標題、日付

 被告板橋区が提出した「平成26年度定期異動状況調査一覧表」(乙7)には、標題「平成26年度定期異動状況調査一覧表中学校別」、日付「平成25年10月23日現在」が記載されている。
 しかし、「平成26年度定期異動に関する求人・紹介一覧表集計」(乙8)には標題と日付がない。
 被告板橋区は、本来あった標題、日付、「紹介欄」を削除して、「求人欄」のみを証拠書証乙8として提出したものと考える。

(イ)職務上の情報及び個人情報

 「紹介欄」の記載事項は、他区市町村より板橋区に転入を希望する教員の教科、氏名、性別、在職地区名、理由等である。記入例は、「数学、板橋太郎(男)、港区、道徳教育推進委員、バドミントン部」である(甲4)。板橋区の外の区市町村に在職する教員の教科、氏名、性別、在職地区名、理由等は、同教員の職務上の情報及び個人情報である。
 東京都公立小中学校教員は、東京都内の複数の区市町村で勤務する。したがって、板橋区立中学校校長は、かつて勤務した区市町村における教員定期異動に係わる情報を、かつての同僚や部下から入手することができる。
 しかし、「紹介欄」に記載があるということは、区市町村を越えて教員の職務上の情報及び個人情報を漏えいした者及び同情報を不正に入手した者がいることを意味する。上記情報漏えい者及び同情報を不正に入手した者は、いずれも違法行為者である。
 それ故、「紹介欄」に記載があったことを公表することができなかった。

(ウ)重要情報

 板橋区教育委員会は、東京都教育委員会に「異動計画案」を提出しヒアリングを受ける際、板橋区の外の区市町村に在職し板橋区を異動希望地区に挙げている教員の情報にもとづき同委員会と交渉する。すなわち、板橋区教育委員会は、上記情報にもとづき、より良い教員を同区に転入させるべく東京都教育委員会と交渉する。板橋区教育委員会にとって、上記情報は教員定期異動事務の成否を分ける重要な情報である。
 一部の校長は、板橋区の外の区市町村に在職し板橋区を異動希望地区に挙げている教員の情報を板橋区教育委員会に積極的に提供し、その見返りに、目星をつけた教員を自校に転入させる働きかけを同委員会にする。“目星をつけた教員”は、板橋区の外の区市町村に在職し板橋区を異動希望地区に挙げている教員の場合もあるし、板橋区内で異動する教員の場合もある。
 板橋区教育委員会及び一部の校長にとって、板橋区の外の区市町村に在職し板橋区を異動希望地区に挙げている教員の情報は宝である。
 よって、教員定期異動事務の重要情報である「紹介欄」の記載をした校長がいなかったことは、あり得ない。


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