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板橋区・板橋区教育委員会の違法行為

目 次
1 平成24年度板橋区教育委員会
 (1)委員
 (2)事務局
2 平成25年度板橋区教育委員会
 (1)委員
 (2)事務局
3 改正前地方教育行政法における教育長と区長
4 人事異動の仕組み
 (1)被告板橋区の主張
 (2)東京都公立学校校長の職務行為
 (3)板橋区区長坂本健の違法行為
   ア 法令解釈の過誤
5 教員定期異動事務の進め方
 (1)被告板橋区の主張
 (2)校長が提出した書証
 (3)板橋区教育委員会が行うべき職務
 (4)教育長北川容子・教育長橋本正彦の違法行為
   ア 教育基本法16条1項違反
   イ 憲法15条2項違反
   ウ 地方公務員法30条違反
 (5)板橋区区長坂本健の違法行為
   ア 事実認定の過誤
   イ 法令解釈の過誤
   ウ 不作為責任
6 平成24年度板橋区立学校教職員一覧表(乙4)
 (1)平成24年度教職員一覧表の作成・提出
 (2)平成24年度教職員一覧表の様式
 (3)平成24年度板橋区立学校教職員一覧表(乙4)の作成
 (4)掲載された職種
 (5)掲載された項目
 (6)掲載された教職員数
 (7)配付先
 (8)使用目的
 (9)教育長北川容子の違法行為
   ア 学歴(卒(修)業学校名、卒(修)業年月日)情報の収集と配付
   イ 自宅電話番号の収集と配付
   ウ 親族及び子どもの個人情報収集と配付
   エ 指導主事への配付
   オ 板橋区立小学校校長会会長・同中学校校長会会長への配付
 (10)板橋区区長坂本健の違法行為
   ア 事実認定の過誤
   イ 法令解釈の過誤
   ウ 不作為責任
7 平成25年度板橋区立学校教職員一覧表(乙5)
 (1)平成25年度教職員一覧表の作成・提出
 (2)平成25年度教職員一覧表の様式
 (3)平成25年度板橋区立学校教職員一覧表(乙5)の作成
 (4)掲載された職種
 (5)掲載された項目
 (6)掲載された教職員数
 (7)配付先
 (8)使用目的
 (9)教育長橋本正彦の違法行為
   ア 学歴(卒(修)業学校名、卒(修)業年月日)情報の収集と配付
   イ 自宅電話番号の収集と配付
   ウ 親族及び子どもの個人情報収集と配付
   エ 指導主事への配付
 (10)板橋区区長坂本健の事実誤認
 (11)板橋区区長坂本健の違法行為
   ア 事実認定の過誤
   イ 法令解釈の過誤
   ウ 不作為責任
8 平成24年度板橋区立中学校教職員一覧表
 (1)被告板橋区の主張
 (2)平成24年度板橋区立中学校教職員一覧表の作成
 (3)掲載された職種
 (4)掲載された項目
 (5)掲載された教職員数
 (6)配付先
 (7)使用目的
 (8)平成24年度板橋区立中学校校長・副校長の違法行為
   ア 職務上の情報及び個人情報の漏えい
   イ 職務上の情報及び個人情報の不正入手
 (9)教育長北川容子の違法行為
   ア 不作為責任
 (10)板橋区区長坂本健の違法行為
   ア 事実認定の過誤
   イ 法令解釈の過誤
9 平成25年度板橋区立中学校教職員一覧表(乙6)
 (1)被告板橋区の主張
 (2)平成25年度板橋区立中学校教職員一覧表作成の経緯
 (3)平成25年度板橋区立中学校教職員一覧表の作成
 (4)平成25年度板橋区立中学校教職員一覧表の様式
 (5)掲載された職種
 (6)掲載された項目
 (7)掲載された教職員数
 (8)配付先
 (9)使用目的
 (10)平成25年度板橋区立中学校校長の違法行為
   ア 職務上の情報及び個人情報の漏えい
   イ 職務上の情報及び個人情報の不正入手
 (11)教育長橋本正彦の違法行為
   ア 不作為責任
 (12)板橋区区長坂本健の事実誤認
 (13)板橋区区長坂本健の違法行為
   ア 事実認定の過誤
   イ 法令解釈の過誤    
10 定期異動状況調査一覧表及び定期異動に関する求人・紹介一覧表
 (1)平成26年度定期異動状況調査一覧表(乙7)
 (2)平成26年度定期異動に関する求人・紹介一覧表(乙8)
 (3)平成25年度板橋区立中学校校長の違法行為
   ア 職務上の情報及び個人情報の漏えい
   イ 職務上の情報及び個人情報の不正入手
 (4)教育長橋本正彦の違法行為
   ア 不作為責任
 (5)板橋区区長坂本健の事実誤認
 (6)板橋区区長坂本健の違法行為
   ア 事実認定の過誤
   イ 法令解釈の過誤    

1 平成24年度板橋区教育委員会

(1)委員

委員長  別 府 明 雄 
委 員  今 井 英 彦
委 員  谷 田   泰
委 員  高 野 佐紀子
委 員
(教育長)
 北 川 容 子(H24.4.1~H24.11.30)
 橋 本 正 彦(H24.12.1~H25.3.31)

(2)事務局

教育長  北 川 容 子(H24.4.1~H24.11.30)
 橋 本 正 彦(H24.12.1~H25.3.31)
 次 長  寺 西 幸 雄 
指導室  指導室長  矢 部   崇
 ・教職員係職員
 ・指導主事
庶務課長  小 池 喜美子
学務課長  森 下 真 博
生涯学習課長  中 島   実
新しい学校づくり
担当課長
 田 中 光 輝
学校地域連携
担当課長
 大 澤 宣 仁
中央図書館長  代 田   治

2 平成25年度板橋区教育委員会

(1)委員

委員長  別 府 明 雄 
委 員  谷 田   泰
委 員  高 野 佐紀子
委 員  青 木 義 男
委 員
(教育長)
 橋 本 正 彦

(2)事務局

教育長  橋 本 正 彦
 次 長  寺 西 幸 雄 
指導室  指導室長  矢 部   崇
 ・教職員係長赤塚裕、教職員係職員
 ・指導主事
庶務課長  小 林   緑
学務課長  森 下 真 博
生涯学習課長  中 島   実
新しい学校づくり
担当課長
 田 中 光 輝
学校地域連携
担当課長
 木 内 俊 直
中央図書館長  代 田   治

3 改正前地方教育行政法における教育長と区長

 地方教育行政の組織及び運営に関する法律の一部を改正する法律が、平成26年6月20日に公布され、平成27年4月1日から施行された。改正は、教育委員会の委員長と事務局の長である教育長を一本化して新「教育長」とした。
 平成24年度板橋区教育委員会教育長北川容子、平成25年度板橋区教育委員会教育長橋本正彦は、平成27年4月1日に施行された改正地方教育行政の組織及び運営に関する法律における新「教育長」ではなく、改正前地方教育行政の組織及び運営に関する法律における教育長である。(以下、改正前地方教育行政の組織及び運営に関する法律を「地方教育行政法」という。)
 地方教育行政法4条1項により、北川容子、橋本正彦は、板橋区区長坂本健が板橋区議会の同意を得て任命した板橋区教育委員会の委員である。地方教育行政法16条2項により、北川容子、橋本正彦は、板橋区教育委員会が任命した教育長である。
 地方教育行政法における教育長は、執行機関である教育委員会の委員でありかつ教育委員会の補助機関である教育委員会事務局の長である。したがって、地方自治法154条により、板橋区区長坂本健は、板橋区教育委員会事務局の長である教育長北川容子、教育長橋本正彦を指揮監督する。なお、地方教育行政法における教育長は、特別職の公務員であるとともに併せて一般職の公務員でもあるから、地方公務員法の適用を受ける。
 よって、板橋区区長坂本健は、板橋区教育委員会の委員である北川容子、橋本正彦の任命権者であり、かつ板橋区教育委員会事務局の長である教育長北川容子、教育長橋本正彦の指揮監督者である。

※地方教育行政法4条1項(任命)
 委員は、当該地方公共団体の長の被選挙権を有する者で、人格が高潔で、教育、学術及び文化に関し識見を有するもののうちから、地方公共団体の長が、議会の同意を得て、任命する。
※地方教育行政法16条(教育長)
 教育委員会に、教育長を置く。
2 教育長は、第6条の規定にかかわらず、当該教育委員会の委員(委員長を除く。)である者のうちから、教育委員会が任命する。
※地方自治法154条
 普通地方公共団体の長は、その補助機関である職員を指揮監督する。 

4 人事異動の仕組み

(1)被告板橋区の主張

 被告板橋区は、東京地方裁判所平成26年(ワ)第12268号事件に提出した平成26年9月1日付け準備書面(1)16頁・17頁において、「板橋区立学校校長は所属の全教員の「教育職員自己申告書(異動について)」(乙2)及び「異動申告書(異動についての校長所見)」(乙3)を板橋区教育委員会に提出する」と主張した。
〔平成26年9月1日付け被告板橋区準備書面(1)、16頁上から19行目から17頁上から5行目まで〕
 イ 具体的な運用は、次のとおりである(本件要綱第4参照)。
  ① 例年9月中旬ないし下旬頃、各教員は、「教育職員自己申告書(異動に
   ついて)」(乙2。以下「自己申告書」という。)に必要事項を記入し、所
   属の校長に提出する。
  ② 校長は、各教員に対し個別にヒアリングを実施し、異動に関する希望
   等を聴取する。
  ③ 校長は、自己申告書の記載及び上記②のヒアリングの実施結果等を基
   に、次年度の自校の人事構想等をも勘案し、各教員につき、異動につい
   ての校長所見等を記載内容とする異動申告書(異動についての校長所見)
   (乙3)を作成する。
  ④ 10月中旬ないし下旬頃、校長は、上記異動申告書(異動についての
   校長所見)(乙3)を表面とし、自己申告書(乙2)を裏面とした書面(以
   下「異動申告書」という。)を作成し、これを区教委に提出する。

(2)東京都公立学校校長の職務行為

 東京都公立学校校長は、「東京都公立学校教員の定期異動実施要綱」(乙1)第4、1、2にもとづき、異動対象者の「教育職員自己申告書(異動について)」(乙2)及び「異動申告書(異動についての校長所見)」(乙3)を東京都教育委員会または区市町村教育委員会に提出する。
 したがって、板橋区立学校校長は、異動対象者の「教育職員自己申告書(異動について)」(乙2)及び「異動申告書(異動についての校長所見)」(乙3)を板橋区教育委員会に提出する。板橋区立学校校長は、異動対象者ではない教員の「教育職員自己申告書(異動について)」(乙2)及び「異動申告書(異動についての校長所見)」(乙3)を板橋区教育委員会に提出しない。
〔「東京都公立学校教員の定期異動実施要綱」(乙1)第4、1、2〕
 第4 異動の手続き及び決定
  1 第3「異動の基準」により異動対象者となる者は、「教育職員自己申告書
   (異動について)」に必要事項を記入し、校長に提出するものとする。
  2 校長は、異動対象者について異動申告書「教育職員自己申告書(異動
   について)」及び「異動についての校長所見」を作成し、都立学校におい
   ては東京都教育委員会に、区市町村立学校においては区市町村教育委員
   会に提出するものとする。

(3)板橋区区長坂本健の違法行為

 ア 法令解釈の過誤

 上記(1)のとおり、板橋区区長坂本健は、東京地方裁判所平成26年(ワ)第12268号事件に提出した平成26年9月1日付け被告板橋区準備書面(1)16頁・17頁において、「板橋区立学校校長は所属の全教員の「教育職員自己申告書(異動について)」(乙2)及び「異動申告書(異動についての校長所見)」(乙3)を板橋区教育委員会に提出する」と主張した。
 上記(2)のとおり、板橋区立学校校長は、異動対象者の「教育職員自己申告書(異動について)」(乙2)及び「異動申告書(異動についての校長所見)」(乙3)を板橋区教育委員会に提出し、異動対象者ではない教員の「教育職員自己申告書(異動について)」(乙2)及び「異動申告書(異動についての校長所見)」(乙3)を板橋区教育委員会に提出しない。
 したがって、板橋区区長坂本健は、東京都教育委員会が策定した「東京都公立学校教員の定期異動実施要綱」(乙1)第4、1、2の解釈適用を誤り、「板橋区立学校校長は所属の全教員の「教育職員自己申告書(異動について)」(乙2)及び「異動申告書(異動についての校長所見)」(乙3)を板橋区教育委員会に提出する」と主張した。
 よって、板橋区区長坂本健は、法令等の解釈適用を誤る違法行為を行った。

5 教員定期異動事務の進め方

(1)被告板橋区の主張

 被告板橋区は、東京地方裁判所平成26年(ワ)第12268号事件に提出した平成26年9月1日付け準備書面(1)18頁において、「校長が必要とする人材が具体的にいる場合、区教委は、当該人材の氏名等を校長から聴取し、その内容を勘案して、異動配置案に反映させる」と主張した。
〔平成26年9月1日付け被告板橋区準備書面(1)18頁、上から2行目から6行目まで〕
  板橋区においては、上記イ⑤の人事上の要望事項として、校長が必要と
 する人材が具体的にいる場合、区教委は、当該人材の氏名等を校長から聴
 取し、その内容を勘案して、異動配置案に反映させることにより、校長の
 学校経営方針や人事構想の実現をきめ細かく支援し、板橋区立学校全体の
 教育水準の向上を図っている。
 

 板橋区教育委員会は、教員定期異動事務において、x校長が「A中学校のa教諭を欲しい。」と要望した場合、X中学校にa教諭を異動させる。x校長は、板橋区立X中学校の校長である。A中学校は、板橋区立中学校あるいは板橋区の外の東京都公立中学校である。a教諭は、A中学校に所属する教員である。
 地方教育行政法39条により、校長が教員定期異動事務において区市町村教育委員会に行う具申は、所属教職員を異動対象とするか否かの意見申出及び所属教職員の異動に関する意見申出である。a教諭はx校長の所属教職員ではないので、x校長はa教諭の任免その他の進退に関する意見を板橋区教育委員会に申し出る権限を有しない。したがって、x校長が「A中学校のa教諭を欲しい。」と板橋区教育委員会に要望することは、地方教育行政法39条が規定する具申ではない。

※地方教育行政法39条(校長の所属教職員の進退に関する意見の申出)
 市町村立学校職員給与負担法第1条及び第2条に規定する学校の校長は、所属の県費負担教職員の任免その他の進退に関する意見を市町村委員会に申し出ることができる。

(2)校長が提出した書証

 平成26年度教員定期異動(平成26年4月1日付け異動)に係わり校長が板橋区教育委員会に提出した書証は、異動対象者の「平成25年度教育職員自己申告書(異動について)」(乙2)、「平成25年度異動申告書(異動についての校長所見)」(乙3)及び「平成26年度中学校人事構想調書」(甲35)である。上記3点の書証は、板橋区教育委員会を通じて東京都教育委員会に提出された。(「東京都公立学校教員の定期異動実施要綱」(乙1)第4、1、2)

〔乙2.平成25年度教育職員自己申告書(異動について)〕
小・中学校(主幹教諭以外、職種共通)
平成25年度  教育職員自己申告書(異動について)
学校番号
所属 職名 フ リ ガ ナ 性別 職員番号 自宅住所
氏 名 生年月日 S・H  年 月 日生 最寄駅    線   駅(   )   分
選考    線   駅(   )   分
年齢(年度末)  歳 現任校実勤務年数  年 月 現任校片道通勤時間   時間  分
1 校務分掌経験及び希望 4 所有する免許状 入都資格 (教科)        (   )
□一任する  (校務分掌・担任学年の経験) 専門とする内容
□現分掌を希望する 年度 分掌名 担任学年 主任 部活動 担当教科 (科目)        (   )
□他の分掌を希望する 5 異動について
(その理由) □異動を希望する □必要があれば異動を希望する □異動を希望しない
6 活用して欲しい能力
   能力          程度 その他の能力・資格・経験等
□情報処理   (            )
(来年度の希望分掌) □外国語会話  (            )
1 2 □教育相談   (            )
3 4  今後身に付けたい
2 教職歴(現任校を含む)    (採用年月日 昭和・平成   年   月   日)  能力・資格
学  校  名 職名 在職年数 地域 障害種別 ステージ 7 健康状況 8 家族等が都内公立学校に在籍・在職の場合
年   月 (   ) 【   】 《   》 □極めて健康である  (氏名、続柄、学校名、職又は学年)
年   月 (   ) 【   】 《   》 □普通に職務を遂行できる
年   月 (   ) 【   】 《   》 □病弱である
年   月 (   ) 【   】 《   》   (下欄に具体的状況を記入)
年   月 (   ) 【   】 《   》  (               )
年   月 (   ) 【   】 《   》 9 自由意見 (異動に関する要望、異動にあたって知っておいてほしいことなど)
年   月 (   ) 【   】 《   》
年   月 (   ) 【   】 《   》
年   月 (   ) 【   】 《   》
年   月 (   ) 【   】 《   》
適性選考 受験    年    月 校種 教科 受験番号
3 研修歴・研究歴
 「平成25年度教育職員自己申告書(異動について)」(乙2)は全ての教員が作成して、校長に提出した。校長は、異動対象者の「平成25年度教育職員自己申告書(異動について)」(乙2)を「平成25年度異動申告書(異動についての校長所見)」(乙3)の裏面にコピーして板橋区教育委員会に提出した。
 教員は「平成25年度教育職員自己申告書(異動について)」(乙2)に、所属、職名、氏名、性別、職員番号、生年月日、年齢、現任校実勤務年数、自宅住所、自宅最寄駅、現任校片道通勤時間、校務分掌、担任学年、主任、部活動、教職歴、研修歴・研究歴、所有する免許状、異動について、能力、健康状況、家族等が都内公立学校に在籍・在職の場合の氏名、続柄、学校名、職又は学年などを記入した。

〔乙3.平成25年度異動申告書(異動についての校長所見)〕
平成25年度(平成26年4月1日異動) 異動申告書 *所属 *新所属
異動についての校長所見   地区   地区
主幹教諭・指導教諭・主任教諭・主任養護教諭・教諭・養護教諭・栄養教諭 *教科      (     ) *教科      (     )
氏 名 フ リ ガ ナ 職員番号 性別
年齢 異種間 障害
異 動 種別
現任校における  勤 務 の 状 況 
病気休暇 期間等 *1 *2 *3
遅参・欠勤 (1)3年以上 (2)6年
(3)過員 (4)3年未満 初
休職     年   月 ~    年   月  (        ) 
産休・育休     年   月 ~    年   月  (        )  同教員についての校長所見 学習指導力
育児短時間勤務等     年   月 ~    年   月  (        ) 
(予定も含む)
能力活用と育成  【現任校での勤務実績と成果】 生活指導力・進路指導力
外部との連携・折衝力
 【活用できる能力】
 □学校運営 □校務分掌 □学習指導 □研 究 □生活指導
 □進路指導 □部活動   □地域対応 □その他 (         ) 学校運営力・組織貢献力
 (具体的な状況)
異動に関する 意見と理由 人事構想伝達日
 【昇任選考又は管理職選考等】 (受験中の選考)
 (指導及び受験の状況) 平成  年  月  日
□ 異動の対象とする
□ 異動の対象としない
 【資格・免許等】    平成     年     月     日
  ○学校図書館司書教諭免許 ( 有 ・ 無 )     板橋区立      学校  校長
  ○学校マネジメント講座受講 ( 有 ・ 無 )  *地教委 教育管理職候補者選考合格年度及び種別
  その他の資格・免許  平成    年度  □現任校昇任 □地区内昇任
 □他地区昇任
 「平成25年度異動申告書(異動についての校長所見)」(乙3)は、異動対象者について校長が作成した。
 校長は、該当教員の氏名、職員番号、性別、年齢、勤務の状況、能力活用と育成、学習指導力・生活指導力・進路指導力・外部との連携・折衝力・学校運営力・組織貢献力についての校長所見、異動に関する意見と理由、人事構想伝達日、□異動の対象とする、□異動の対象としないなどを記入した。

〔甲35.平成26年度中学校人事構想調書〕
平成26年度 中学校人事構想調書 
学校経営方針の要点 現在の教員構成上の課題 経営方針実現のために活用したい教員の能力
職名 氏 名 教職 現任校 教科 担任 次年度 異動 本人 校長 備考 地教委 異動検討 都教委
年数 年数 学年・組 校務分掌 予定分掌 時期 意向 具申 内申 対象 決定
1 1
2 2
3 3
4 4
5 5
6 6
7 7
8 8
9 9
10 10
~ ~ ~ ~ ~ ~ ~ ~ ~ ~ ~ ~ ~ ~ ~ ~ ~ ~ ~ ~ ~ ~ ~ ~ ~ ~ ~ ~ ~ ~ ~ ~ ~
48 48
49 49
50 50
次年度の
人事構想

〔甲36.平成26年度人事構想調書【校長記入例】〕
平成26年度 人事構想調書 【校長記入例】
学校経営方針の要点(例) 現在の教員構成上の課題(例) 経営方針実現のために活用したい教員の能力(例)
・学力の向上と個性の伸長を図り、生きる力を身 ・授業改善への創意工夫が不十分であり、区の研究 ・神奈川主任教諭は本校の研究の要である。次年度
に付けさせる。 奨励校として授業力向上を推進していく。研究につい の研究発表まで、あと1年は本校に必要。
・学校選択制度が3年目を迎える。山積する課題 て堪能教員の配置が必要である。 ・本校の吹奏楽部は積極的に活動し、地域の活動に
を全教職員が共通認識し、それぞれの担当で課 ・生活指導上の課題が沈静化しつつあるが未だ予断 おいても貢献している。吹奏楽指導ができる教員を活
題解決が図れるよう経営の充実を図る。 を許さない状況にある。今後も教育相談等を充実さ 用し発展を図る。
せるため、生活指導力のある教員が必要である。
中学校 例
職名 氏 名 教職 現任校 教科 担任 次年度 異動 本人 校長 備 考 地教委 異動検討 都教委
年数 年数 学年・組 校務分掌 予定分掌 時期 意向 具申 内申 対象 決定
結婚に伴う転居により
1 教諭 東京はるみ 26 4 4 音楽 1-C 生活指導部 25年度 120分以上の遠距離通 1
勤が発生。本人事情も
生活指導 生活指導の推進で教職
2 主任教諭 埼玉なつや 35 13 5 社会 2年付 主任 25年度 × 員と軋轢。生活指導力 2
抜群、環境を変え育成。
部活動支援要員、27年3
3 主任教諭 千葉ふゆや 41 19 7 体男 3年付 生活指導部 生活指導部 26年度 月まで 3
〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜
28 再任用フル 静岡ふじや 61 技術 1年付 進路指導部 進路指導部 28
平成27年3月31日まで育
29 産育休 栃木いちこ 27 5 4.02 英語 児休業予定。 29
平成27年3月31日まで病
30 病気休職 山梨ももお 56 34 5.04 国語 生活指導部 気休職。 30
29栃木いちこ教諭の復
31 産育代替 神奈川あきこ 34 英語 2年付 教務部 職まで継続予定。 31
次年度の人事構想 記入例
次年度の 例1)本校は算数の研究実践を経営の柱としている。算数の研究推進が堪能な教員を希望。
人事構想 例2)器楽指導の中心となっていた教員が異動対象となる。吹奏楽が本校の伝統であり優秀な結果を残している。吹奏楽部の指導ができる教員を希望。
〈留意点〉
①作成時に所属するすべての教員について記入し、年齢、教職年数、現任校年数については、平成26年3月31日現在とする。(校長、副校長及び非常勤
教員並びに講師の記入は不要。)
②本人意向、校長具申欄の○は異動、×は残留することを示す。
③記入順については、本人意向、校長具申欄の上から○○、×○、○×、××、職名欄の再任用(フル、短)、期付教員、休職者、退職者、産育代替の
順とし、それぞれの中を教科順、現任校在籍年数の長い順に並べる。
④再任用教員は職名欄にフルタイムは「再任用フル」、短時間は「再任用短」をプルダウンメニューから選択し入力する。
⑤期限付任用教員は職名欄に「期付教員」(養護教諭の場合は「期付養教」)をプルダウンメニューから選択し入力する。
⑥担任、学年・組については、本年度の担当を明記する。
⑦現校務分掌については、主任、委員長等の名称があれば校内で通常使っている名称を記入する。
⑧備考欄は、異動対象者については異動させる理由を具体的に記入する。異動検討対象者については、異動させる理由又は異動対象除外とする理由
を明記する。また、退職者、休職者についても例にならって記入する。更に、以下の項目について記入する。・主幹教諭及び主幹(養護)教諭について
は、純粋主幹と管候補の区別を記入する。・理科教育推進教員(小学校のみ)を記入する。・部活動に関わって、すでに現任校で複数年配置が認められ
ている教員については、例えば「部活動支援教員 平成27年3月まで」のように記入する。
⑨性別と年齢欄を入力すると、教員組織表の「②年齢層別現員数・平均年齢欄」に自動集計されるので、正しく数字を記入する。
 「平成26年度中学校人事構想調書」(甲35)は、校長が学校経営方針の要点、現在の教員構成上の課題、経営方針実現のために活用したい教員の能力、次年度の人事構想、所属する全ての教員の職名、氏名、性別、年齢、教職年数、現任校年数、教科、担任(学年・組)、現校務分掌、次年度予定分掌、異動時期、異動に関する本人意向・校長具申、異動に係わる備考を記入した。
 次年度の人事構想は、校長が必要とする教員の氏名を特定して記入することはできず、次のように記載した。「本校は算数の研究実践を経営の柱としている。算数の研究推進が堪能な教員を希望。」(甲36、次年度の人事構想記入例、例1)。「器楽指導の中心となっていた教員が異動対象となる。吹奏楽が本校の伝統であり優秀な結果も残している。吹奏楽部の指導ができる教員を希望。」(甲36、次年度の人事構想記入例、例2)。

(3)板橋区教育委員会が行うべき職務

 板橋区教育委員会が教員定期異動事務において行うべき職務は次である。
 「教育職員自己申告書(異動について)」(乙2)及び「異動申告書(異動についての校長所見)」(乙3)並びに校長ヒアリングにより、異動対象教員の教職歴、特性、能力を把握する。
 「人事構想調書」(甲35)並びに校長ヒアリングにより、板橋区立学校77校の教育課題、教員構成上の課題、課題解決のために必要な教員について理解する。
 そして、必要な学校に適切な教員を配置する。これら一連の職務は、不当な支配に服することなく、公正かつ適正に実施されることが前提である。

(4)教育長北川容子・教育長橋本正彦の違法行為

 ア 教育基本法16条1項違反

 平成24年度板橋区教育委員会教育長北川容子、平成25年度板橋区教育委員会教育長橋本正彦は、教育基本法16条1項により、不当な支配に服することなく、教育行政を公正かつ適正に実施する義務を負う。具体的には、教育長北川容子、教育長橋本正彦は、一部の校長の不当な介入を許さず、教員定期異動事務を自らの責任において主体的に、公正かつ適正に実施する義務を負う。
 上記(3)のとおり、板橋区教育委員会が教員定期異動事務において行うべき職務は、「教育職員自己申告書(異動について)」(乙2)及び「異動申告書(異動についての校長所見)」(乙3)並びに校長ヒアリングにより、異動対象教員の教職歴、特性、能力を把握する。「人事構想調書」(甲35)並びに校長ヒアリングにより、板橋区立学校77校の教育課題、教員構成上の課題、課題解決のために必要な教員について理解する。そして、不当な支配に服することなく、必要な学校に適切な教員を公正かつ適正に配置する。
 しかし、板橋区教育委員会は教員定期異動事務において、「
校長が必要とする人材が具体的にいる場合、当該人材の氏名等を校長から聴取し、その内容を勘案して、異動配置案に反映させる」(平成26年9月1日付け被告板橋区準備書面(1)18頁、上から2行目から4行目まで)として、x校長が「A中学校のa教諭を欲しい。」と要望することを受け入れた。
 a教諭はx校長の所属教職員ではないので、地方教育行政法39条により、x校長はa教諭の任免その他の進退に関する意見を板橋区教育委員会に申し出る権限を有しない。したがって、x校長が「A中学校のa教諭を欲しい。」と板橋区教育委員会に要望することは、教員定期異動事務における具申ではなく、同委員会が行う教員定期異動事務への不当な介入である。
 下記イのとおり、教員定期異動事務において、板橋区立中学校校長23名全員が教員の氏名を特定して要望したわけではない。x校長のように、自己の利益のみを考えた浅ましい要望をした校長は一部である。
 教育長北川容子、教育長橋本正彦は、一部の校長にへつらい、同校長らの浅ましい要望を受け入れ、同校長らが教員定期異動事務に不当に介入することを許した。教育長北川容子、教育長橋本正彦は、自らの責任において主体的に教員定期異動事務を実施することを放棄した。したがって、教育長北川容子、教育長橋本正彦は、一部の校長の不当な介入を許し、教員定期異動事務を自らの責任において主体的に公正かつ適正に実施する義務に違反した。
 よって、教育長北川容子、教育長橋本正彦は、教育基本法16条1項に違反した。教育長北川容子、教育長橋本正彦は、地方公務員法32条及び33条、地方教育行政法1条の2、11条6項及び25条に違反した。

※教育基本法16条1項(教育行政)
 教育は、不当な支配に服することなく、この法律及び他の法律の定めるところにより行われるべきものであり、教育行政は、国と地方公共団体との適切な役割分担及び相互の協力の下、公正かつ適正に行われなければならない。
※地方公務員法32条(法令等及び上司の職務上の命令に従う義務)
 職員は、その職務を遂行するに当たって、法令、条例、地方公共団体の規則及び地方公共団体の機関の定める規程に従い、且つ、上司の職務上の命令に忠実に従わなければならない。
※地方公務員法33条(信用失墜行為の禁止)
 職員は、その職の信用を傷つけ、又は職員の職全体の不名誉となるような行為をしてはならない。
※地方教育行政法1条の2(基本理念)
 地方公共団体における教育行政は、教育基本法の趣旨にのっとり、教育の機会均等、教育水準の維持向上及び地域の実情に応じた教育の振興が図られるよう、国との適正な役割分担及び相互の協力の下、公正かつ適正に行われなければならない。
※地方教育行政法11条6項(服務等)
 委員は、その職務の遂行に当たっては、自らが当該地方公共団体の教育行政の運営について負う重要な責任を自覚するとともに、第1条の2に規定する基本理念に則して当該地方公共団体の教育行政の運営が行われるよう意を用いなければならない。
※地方教育行政法25条(事務処理の法令準拠)
 教育委員会及び地方公共団体の長は、それぞれ前三条の事務を管理し、及び執行するに当たっては、法令、条例、地方公共団体の規則並びに地方公共団体の機関の定める規則及び規程に基づかなければならない。
※地方教育行政法39条(校長の所属教職員の進退に関する意見の申出)
 市町村立学校職員給与負担法第1条及び第2条に規定する学校の校長は、所属の県費負担教職員の任免その他の進退に関する意見を市町村委員会に申し出ることができる。

 イ 憲法15条2項違反

 平成24年度板橋区教育委員会教育長北川容子、平成25年度板橋区教育委員会教育長橋本正彦は、憲法15条2項により、全体の奉仕者であって一部の奉仕者ではない。具体的には、教育長北川容子、教育長橋本正彦は、一部の校長に利益供与するのではなく、板橋区立中学校校長23名を公平に扱わなければならない。
 しかし、板橋区教育委員会は教員定期異動事務において、「
校長が必要とする人材が具体的にいる場合、当該人材の氏名等を校長から聴取し、その内容を勘案して、異動配置案に反映させる」(平成26年9月1日付け被告板橋区準備書面(1)18頁、上から2行目から4行目まで)として、x校長が「A中学校のa教諭を欲しい。」と要望することを受け入れた。
 被告板橋区が“校長が必要とする人材が具体的にいる場合”と主張するとおり、板橋区教育委員会は、校長が教員の氏名を特定して要望しなければ上記の対応を行わない。
 板橋区立中学校で教諭、副校長、校長を長く経験した校長は、異動対象教員の教職歴、特性、能力を把握しており、氏名を特定して要望することが容易である。逆に、板橋区立中学校で教諭、副校長、校長の経験が短い校長(板橋区の外の区市町村から転入した校長)は、異動対象教員の人物を把握しておらず、氏名を特定して要望することは困難である。また、教員定期異動事務は板橋区教育委員会がその責任において公正かつ適正に実施するものであると考える校長は、教員の氏名を特定して要望することをしない。
 事実、「平成26年度定期異動に関する求人・紹介一覧表集計」(乙8)に求人情報を掲載しなかった学校が23校中5校ある。また、「平成26年度定期異動に関する求人・紹介一覧表集計」(乙8)に求人情報を掲載した18校の校長すべてが、板橋区教育委員会に必要とする教員の氏名を特定して要望したとは限らない。したがって、少なくとも23校中5校の校長は、教員の氏名を特定して要望することをしなかった。このように、教員定期異動事務において、板橋区立中学校校長23名全員が教員の氏名を特定して要望したわけではない。
 板橋区教育委員会がx校長の要望「A中学校のa教諭を欲しい。」を受け入れることは、「x校長の学校経営方針や人事構想の実現をきめ細かく支援し、X中学校の教育水準を向上させる」(平成26年9月1日付け被告板橋区準備書面(1)18頁、上から4行目から5行目まで)のであるから、x校長に対する利益供与である。したがって、教育長北川容子、教育長橋本正彦は、教員定期異動事務を行うにあたり、一部の校長に利益供与し、板橋区立中学校校長23名を公平に扱わなかった。
 よって、教育長北川容子、教育長橋本正彦は、憲法15条2項に違反した。教育長北川容子、教育長橋本正彦は、地方公務員法32条及び33条、地方教育行政法1条の2、11条6項及び25条に違反した。

〔乙8.平成26年度定期異動に関する求人・紹介一覧表 集計〕
校名 教科 希望する事柄
1 数学 男性、陸上部、バスケット部、指導力ある30代の方
2 保体 男性、陸上部、バウケット部、指導力ある30代の方
3 音楽 男女どちらでも、吹奏楽の指導力のある30代~40代の方
4 英語 女性、吹奏楽の指導力のある30代~40代の方
5 特支 女性、陸上部、バスケットボール部の指導力のある方、新採可
6 特支 女性、陸上部、バスケットボール部の指導力のある方、新採可
1 社会 バドミントンの指導ができる人
2 保体 ソフトテニスの指導ができる人
1 社会 野球部の指導ができる人
2 理科 野球部の指導ができる人
3 数学 野球部の指導ができる人
なし
1 社会 ソフトテニス指導できる人、生活、または教務
2 数学 ソフトテニス指導できる人、生活、または教務
3 保体 ソフトテニス指導できる人、生活、または教務
4 理科 ソフトテニス指導できる人、生活、または教務
1 社会 学年主任ができる人材。
2 体男 生活指導主任、もしくは学年主任ができる人材。
3 養護教諭 教育相談ができる人材。特に保護者対応に長けている人材。
4 英語 学年主任ができる人材。
5 体育か国語 生活指導主任、学年主任ができる人材。
6 日本語 経験者がいいが新採可。英語科か国語科が希望。
1 保体 教科指導しっかりできる人男子教員、主幹、主任教諭を望む
2 国語 教科指導しっかりできる人  男女問わず
1 社会
2 保体
1 国語 指導力(教科・生活指導)に優れ、学年主任ができる人 主幹可
1 国語 授業が成立する人、テニス、バド、剣道の顧問
2 音楽 生徒理解をしつつ吹奏楽の指導ができる人+他教科に同じ
3 美術 授業が成立する人、テニス、バド、剣道の顧問
4 技術 授業が成立する人、テニス、バド、剣道の顧問
5 英語 授業が成立する人、テニス、バド、剣道の顧問
1 理科 教科指導力がある人
1 英語 女性で中堅、主任教諭、部活で英語部を担当できる人
1 数学
2 数学
校名 教科 希望する事柄
1 数学 教科指導、担任をきちんとできる人、バスケット部指導できる人
2 国語 教科指導、担任をきちんとできる人、バスケット部指導できる人
3 英語 教科指導、担任をきちんとできる人、バスケット部指導できる人
4 美術 教科指導、担任をきちんとできる人
1 理科 サッカー部の指導ができる人
2 英語 サッカー部の指導ができる人
家庭 講師で指導力ある人
英語 産休代替で指導力ある人
1 国語
2 英語 ・生活指導主任
3 英語 ・学年主任
4 音楽
5 保体
1 国語
2 国語
3 社会
4 社会
5 社会
6 数学 ◯主幹教諭 1人
7 数学 ◯学年主任
8 理科 ◯バスケット、サッカー、バレーボール部の顧問ができる人
9 理科
10 保体
11 家庭
12 英語
13 英語
14 特支
なし
1 保体 主幹以外の男性、バスケット
2 技術 部活動のできる人
3 英語 教科指導ができる人
1 数学 男性 経験豊かな主任教諭
2 理科 男性 都理数フロンティア研究に対応できる人
3 技術 男性 指導力のある人
1 数学 学級数によっては過員教科
2 技術 通級学級教員の配置換えで対応予定
3 英語 生活指導力のある若手希望(バド、卓球、陸上指導できる人)
4 社会 生活指導力のある若手希望(バド、卓球、陸上指導できる人)
5 通級 男性を希望
1 数学 主任教諭以上で指導力のある人
2 英語 主任教諭以上で指導力のある人
3 保体 陸上部の指導ができる人
4 技術 生活指導力があり、バレー部の指導ができる人

※憲法15条2項〔公務員の本質〕
 すべて公務員は、全体の奉仕者であって、一部の奉仕者ではない。
※地方公務員法32条(法令等及び上司の職務上の命令に従う義務)
 職員は、その職務を遂行するに当たって、法令、条例、地方公共団体の規則及び地方公共団体の機関の定める規程に従い、且つ、上司の職務上の命令に忠実に従わなければならない。
※地方公務員法33条(信用失墜行為の禁止)
 職員は、その職の信用を傷つけ、又は職員の職全体の不名誉となるような行為をしてはならない。
※地方教育行政法1条の2(基本理念)
 地方公共団体における教育行政は、教育基本法の趣旨にのっとり、教育の機会均等、教育水準の維持向上及び地域の実情に応じた教育の振興が図られるよう、国との適正な役割分担及び相互の協力の下、公正かつ適正に行われなければならない。
※地方教育行政法11条6項(服務等)
 委員は、その職務の遂行に当たっては、自らが当該地方公共団体の教育行政の運営について負う重要な責任を自覚するとともに、第1条の2に規定する基本理念に則して当該地方公共団体の教育行政の運営が行われるよう意を用いなければならない。
※地方教育行政法25条(事務処理の法令準拠)
 教育委員会及び地方公共団体の長は、それぞれ前三条の事務を管理し、及び執行するに当たっては、法令、条例、地方公共団体の規則並びに地方公共団体の機関の定める規則及び規程に基づかなければならない。

 ウ 地方公務員法30条違反

 平成24年度板橋区教育委員会教育長北川容子、平成25年度板橋区教育委員会教育長橋本正彦は、地方公務員法30条により、全体の奉仕者として公共の利益のために勤務する義務を負う。具体的には、教育長北川容子、教育長橋本正彦は、一部の学校の教育水準を向上させるのではなく、板橋区立中学校23校の教育水準を向上させる義務を負う。
 しかし、板橋区教育委員会は教員定期異動事務において、「
校長が必要とする人材が具体的にいる場合、当該人材の氏名等を校長から聴取し、その内容を勘案して、異動配置案に反映させる」(平成26年9月1日付け被告板橋区準備書面(1)18頁、上から2行目から4行目まで)として、x校長が「A中学校のa教諭を欲しい。」と要望することを受け入れた。
 板橋区教育委員会がx校長の要望「A中学校のa教諭を欲しい。」を受け入れることは、同委員会がa教諭の教職歴、特性、能力を把握せず、板橋区立中学校23校の教育課題、教員構成上の課題、課題解決のために必要な教員について理解せず、x校長の要望を唯々として実現させることである。板橋区教育委員会は、上記(3)の自らの職責を放棄し、x校長が教員定期異動事務に介入することを許した。
 板橋区教育委員会がx校長の要望「A中学校のa教諭を欲しい。」を受け入れることは、「x校長の学校経営方針や人事構想の実現をきめ細かく支援し、X中学校の教育水準を向上させる」ことである(平成26年9月1日付け被告板橋区準備書面(1)18頁、上から4行目から5行目まで)。板橋区教育委員会は、x校長に利益供与し、X中学校の教育水準を向上させる教員定期異動事務を行った。
 上記イのとおり、教員定期異動事務において、板橋区立中学校校長23名全員が教員の氏名を特定して要望したわけではない。x校長のように、自己の利益のみを考えた浅ましい要望をした校長は一部である。したがって、教育長北川容子、教育長橋本正彦は、教員の氏名を特定して要望した学校の教育水準を向上させ、そうでない学校の教育水準向上を後回しにした。教育長北川容子、教育長橋本正彦は、一部の学校の教育水準を向上させ、板橋区立中学校23校の教育水準を向上させる義務を果たさなかった。
 よって、教育長北川容子、教育長橋本正彦は、地方公務員法30条に違反した。教育長北川容子、教育長橋本正彦は、地方公務員法32条及び33条、地方教育行政法1条の2、11条6項及び25条に違反した。

※地方公務員法30条(服務の根本基準)
 すべて職員は、全体の奉仕者として公共の利益のために勤務し、且つ、職務の遂行に当たっては、全力を挙げてこれに専念しなければならない。
※地方公務員法32条(法令等及び上司の職務上の命令に従う義務)
 職員は、その職務を遂行するに当たって、法令、条例、地方公共団体の規則及び地方公共団体の機関の定める規程に従い、且つ、上司の職務上の命令に忠実に従わなければならない。
※地方公務員法33条(信用失墜行為の禁止)
 職員は、その職の信用を傷つけ、又は職員の職全体の不名誉となるような行為をしてはならない。
※地方教育行政法1条の2(基本理念)
 地方公共団体における教育行政は、教育基本法の趣旨にのっとり、教育の機会均等、教育水準の維持向上及び地域の実情に応じた教育の振興が図られるよう、国との適正な役割分担及び相互の協力の下、公正かつ適正に行われなければならない。
※地方教育行政法11条6項(服務等)
 委員は、その職務の遂行に当たっては、自らが当該地方公共団体の教育行政の運営について負う重要な責任を自覚するとともに、第1条の2に規定する基本理念に則して当該地方公共団体の教育行政の運営が行われるよう意を用いなければならない。
※地方教育行政法25条(事務処理の法令準拠)
 教育委員会及び地方公共団体の長は、それぞれ前三条の事務を管理し、及び執行するに当たっては、法令、条例、地方公共団体の規則並びに地方公共団体の機関の定める規則及び規程に基づかなければならない。

(5)板橋区区長坂本健の違法行為

 ア 事実認定の過誤

 板橋区区長坂本健は、東京地方裁判所平成26年(ワ)第12268号事件に提出した平成26年9月1日付け被告板橋区準備書面(1)18頁において、「板橋区教育委員会が行う教員定期異動事務は、板橋区立学校全体の教育水準の向上を図っている。」と主張した。
〔平成26年9月1日付け被告板橋区準備書面(1)18頁、上から2行目から6行目まで〕
  板橋区においては、上記イ⑤の人事上の要望事項として、校長が必要と
 する人材が具体的にいる場合、区教委は、当該人材の氏名等を校長から聴
 取し、その内容を勘案して、異動配置案に反映させることにより、校長の
 学校経営方針や人事構想の実現をきめ細かく支援し、板橋区立学校全体の
 教育水準の向上を図っている。

 上記(3)のとおり、板橋区教育委員会が教員定期異動事務において行うべき職務は次である。「教育職員自己申告書(異動について)」(乙2)及び「異動申告書(異動についての校長所見)」(乙3)並びに校長ヒアリングにより、異動対象教員の教職歴、特性、能力を把握する。「人事構想調書」(甲35)並びに校長ヒアリングにより、板橋区立学校77校の教育課題、教員構成上の課題、課題解決のために必要な教員について理解する。そして、必要な学校に適切な教員を公正かつ適正に配置する。
 ところが、上記(4)ウのとおり、板橋区教育委員会は、上記(3)の職責を放棄して、a教諭の教職歴、特性、能力を把握せず、板橋区立中学校23校の教育課題、教員構成上の課題、課題解決のために必要な教員について理解せず、唯々としてx校長の要望「A中学校のa教諭を欲しい。」を受け入れた。板橋区教育委員会は、「x校長の学校経営方針や人事構想の実現をきめ細かく支援し、X中学校の教育水準を向上させた。」(平成26年9月1日付け被告板橋区準備書面(1)18頁、上から4行目から5行目まで)。上記(4)イのとおり、教員定期異動事務において、板橋区立中学校校長23名全員が教員の氏名を特定して要望したわけではない。x校長のように、自己の利益のみを考えた浅ましい要望をした校長は一部である。
 板橋区教育委員会は、自らの職責を放棄してx校長が教員定期異動事務に不当に介入することを許し、x校長に利益供与し、X中学校の教育水準を向上させた。板橋区教育委員会は、教員の氏名を特定して要望した学校の教育水準を向上させ、そうでない学校の教育水準向上を後回しにした。板橋区教育委員会が行った教員定期異動事務は、一部の学校の教育水準を向上させ、板橋区立中学校23校の教育水準を向上させなかった。
 したがって、板橋区区長坂本健の主張「板橋区教育委員会が行う教員定期異動事務は、板橋区立学校全体の教育水準の向上を図っている。」は、事実ではない。
 よって、板橋区区長坂本健は、板橋区教育委員会が行う教員定期異動事務の効果について事実認定を誤る違法行為を行った。

 イ 法令解釈の過誤

 板橋区区長坂本健は、東京地方裁判所平成26年(ワ)第12268号事件に提出した平成26年9月1日付け被告板橋区準備書面(1)18頁において、「校長が必要とする人材が具体的にいる場合、区教委は、当該人材の氏名等を校長から聴取し、その内容を勘案して、異動配置案に反映させることにより、校長の学校経営方針や人事構想の実現をきめ細かく支援し、板橋区立学校全体の教育水準の向上を図っている。」と主張し、教育長北川容子、教育長橋本正彦が行った教員定期異動事務を支持した。
〔平成26年9月1日付け被告板橋区準備書面(1)18頁、上から2行目から6行目まで〕
  板橋区においては、上記イ⑤の人事上の要望事項として、校長が必要と
 する人材が具体的にいる場合、区教委は、当該人材の氏名等を校長から聴
 取し、その内容を勘案して、異動配置案に反映させることにより、校長の
 学校経営方針や人事構想の実現をきめ細かく支援し、板橋区立学校全体の
 教育水準の向上を図っている。

 上記(4)アのとおり、教育長北川容子、教育長橋本正彦は、教員定期異動事務において「校長が必要とする人材が具体的にいる場合、当該人材の氏名等を校長から聴取し、その内容を勘案して、異動配置案に反映させる」として、x校長が「A中学校のa教諭を欲しい。」と要望することを受け入れた。教員定期異動事務において、板橋区立中学校校長23名全員が教員の氏名を特定して要望したわけではない。x校長のように、自己の利益のみを考えた浅ましい要望をした校長は一部である。教育長北川容子、教育長橋本正彦は、一部の校長にへつらい、同校長らの浅ましい要望を受け入れ、同校長らが教員定期異動事務に不当に介入することを許した。教育長北川容子、教育長橋本正彦は、自らの責任において主体的に、公正かつ適正に教員定期異動事務を実施することを放棄した。教育長北川容子、教育長橋本正彦は、教育行政の基本「教育は不当な支配に服することなく、教育行政は公正かつ適正に行われなければならない。」に違反した。
 教育長北川容子、教育長橋本正彦は、教育基本法16条1項に違反した。教育長北川容子、教育長橋本正彦は、地方公務員法32条及び33条、地方教育行政法1条の2、11条6項及び25条に違反した。
 上記(4)イのとおり、教育長北川容子、教育長橋本正彦は、x校長の要望「A中学校のa教諭を欲しい。」を受け入れ、「x校長の学校経営方針や人事構想の実現をきめ細かく支援し、X中学校の教育水準を向上させた。」(平成26年9月1日付け被告板橋区準備書面(1)18頁、上から4行目から5行目まで)。教員定期異動事務において、板橋区立中学校校長23名全員が教員の氏名を特定して要望したわけではない。x校長のように、自己の利益のみを考えた浅ましい要望をした校長は一部である。教育長北川容子、教育長橋本正彦は、教員定期異動事務を行うにあたり、一部の校長に利益供与し、板橋区立中学校校長23名を公平に扱わなかった。教育長北川容子、教育長橋本正彦は、公務員の本質「すべて公務員は、全体の奉仕者であって、一部の奉仕者ではない。」に違反した。
 教育長北川容子、教育長橋本正彦は、憲法15条2項に違反した。教育長北川容子、教育長橋本正彦は、地方公務員法32条及び33条、地方教育行政法1条の2、11条6項及び25条に違反した。
 上記(4)ウのとおり、教育長北川容子、教育長橋本正彦は、x校長の要望「A中学校のa教諭を欲しい。」を受け入れ、「x校長の学校経営方針や人事構想の実現をきめ細かく支援し、X中学校の教育水準を向上させた。」(平成26年9月1日付け被告板橋区準備書面(1)18頁、上から4行目から5行目まで)。教員定期異動事務において、板橋区立中学校校長23名全員が教員の氏名を特定して要望したわけではない。x校長のように、自己の利益のみを考えた浅ましい要望をした校長は一部である。教育長北川容子、教育長橋本正彦は、教員の氏名を特定して要望した学校の教育水準を向上させ、そうでない学校の教育水準向上を後回しにした。教育長北川容子、教育長橋本正彦は、地方公務員の服務の根本基準「すべて職員は、全体の奉仕者として公共の利益のために勤務する」に違反した。
 教育長北川容子、教育長橋本正彦は、地方公務員法30条に違反した。教育長北川容子、教育長橋本正彦は、地方公務員法32条及び33条、地方教育行政法1条の2、11条6項及び25条に違反した。
 上記(4)アないしウのとおり、教育長北川容子、教育長橋本正彦が行った教員定期異動事務は、教育基本法16条1項、憲法15条2項、地方公務員法30条、32条及び33条、地方教育行政法1条の2、11条6項及び25条に違反する。
 したがって、板橋区区長坂本健は、教育基本法16条1項、憲法15条2項、地方公務員法30条、32条及び33条、地方教育行政法1条の2、11条6項及び25条の解釈適用を誤り、教育長北川容子、教育長橋本正彦が行った違法な教員定期異動事務を支持した。
 よって、板橋区区長坂本健は、法令等の解釈適用を誤る違法行為を行った。

 ウ 不作為責任

 板橋区区長坂本健は、板橋区教育委員会の委員である北川容子、橋本正彦の任命権者であり、かつ板橋区教育委員会事務局の長である教育長北川容子、教育長橋本正彦の指揮監督者である。(本ページ、3改正前地方教育行政法における教育長と区長)
 上記(4)アのとおり、教育長北川容子、教育長橋本正彦は、一部の校長が教員定期異動事務に不当に介入することを許した。教育長北川容子、教育長橋本正彦は、教員定期異動事務を自らの責任において主体的に公正かつ適正に実施しなかった。教育長北川容子、教育長橋本正彦は、教育行政の基本「教育は不当な支配に服することなく、教育行政は公正かつ適正に行われなければならない。」に違反した。教育長北川容子、教育長橋本正彦は、教育基本法16条1項に違反した。教育長北川容子、教育長橋本正彦は、地方公務員法32条及び33条、地方教育行政法1条の2、11条6項及び25条に違反した。
 上記(4)イのとおり、教育長北川容子、教育長橋本正彦は、一部の校長に利益供与し、板橋区立中学校校長23名を公平に扱わなかった。教育長北川容子、教育長橋本正彦は、公務員の本質「すべて公務員は、全体の奉仕者であって、一部の奉仕者ではない。」に違反した。教育長北川容子、教育長橋本正彦は、憲法15条2項に違反した。教育長北川容子、教育長橋本正彦は、地方公務員法32条及び33条、地方教育行政法1条の2、11条6項及び25条に違反した。
 上記(4)ウのとおり、教育長北川容子、教育長橋本正彦は、教員の氏名を特定して要望した学校の教育水準を向上させ、そうでない学校の教育水準向上を後回しにした。教育長北川容子、教育長橋本正彦は、一部の学校の教育水準を向上させ、板橋区立中学校23校の教育水準を向上させる義務を果たさなかった。教育長北川容子、教育長橋本正彦は、地方公務員の服務の根本基準「すべて職員は、全体の奉仕者として公共の利益のために勤務する」に違反した。教育長北川容子、教育長橋本正彦は、地方公務員法30条に違反した。教育長北川容子、教育長橋本正彦は、地方公務員法32条及び33条、地方教育行政法1条の2、11条6項及び25条に違反した。
 しかし、板橋区区長坂本健は、違法行為者北川容子、違法行為者橋本正彦に改善命令を発することなく、懲戒処分を科すことなく、解任等を行わなかった。板橋区区長坂本健は、北川容子、橋本正彦に、任命権及び指揮監督権にもとづく措置を講じなかった。
 よって、板橋区区長坂本健には任命権及び指揮監督権の不行使による違法、不作為責任がある。

6 平成24年度板橋区立学校教職員一覧表(乙4)

(1)平成24年度教職員一覧表の作成・提出

 平成24年度板橋区教育委員会事務局指導室長矢部崇は、平成24年4月上旬頃、板橋区立幼稚園長2名、同小学校長54名、同中学校長23名に、自校の「平成24年度教職員一覧表」を作成して提出することを依頼した。(平成26年9月1日付け被告板橋区準備書面(1)22頁)
 平成24年度教職員一覧表の様式は、下記(2)のとおりである。
〔平成26年9月1日付け被告板橋区準備書面(1)22頁、上から15行目から18行目まで〕
 4 事実の経緯
  (1)平成24年度について
   ア 平成24年4月上旬頃、区教委指導室長矢部崇(以下「矢部室長」とい
    う。)は、平成24年度の教職員一覧表の作成及び提出を各校長に依頼した。

(2)平成24年度教職員一覧表の様式

〔平成24年度教職員一覧表の様式〕
板橋区立         学校教職員一覧表  校長室 ℡   (   )
 職員室 ℡   (   ) (      )
番号 職名 ふ り が な 学    歴 研究教科 分掌事務  〒 最寄駅 氏 名(ゴム印) 研究歴
氏    名 卒(修)業学校名 免許状種別 勤務年月 住   所 職 員 番 号 研究生 開発委員 研究員
生年月日(満年齢) 卒(修)業年月日 担任教科 学級担任 (電話番号) 所要時間 備  考
(時間)
本校
本区  〒
1 本都
通算
校長 (      )
司書
本校
本区  〒
2 本都
通算
副校長 (      )
司書
本校
本区  〒
3 本都
通算
(      )
司書
本校
本区  〒
4 本都
通算
(      )
司書
本校
本区  〒
5 本都
通算
(      )
司書
本校
本区  〒
6 本都
通算
(      )
司書

(3)平成24年度板橋区立学校教職員一覧表(乙4)の作成

 平成24年度板橋区教育委員会事務局指導室長矢部崇は、板橋区立幼稚園長2名、同小学校長54名、同中学校長23名から提出された自校の「平成24年度教職員一覧表」を集約して、「平成24年度板橋区立学校教職員一覧表」(乙4)を作成した。(平成26年9月1日付け被告板橋区準備書面(1)22頁)
〔平成26年9月1日付け被告板橋区準備書面(1)22頁、上から19行目から24行目まで〕
 イ 上記アの依頼を受け、各校長は、自校に備え置く人事関係の表簿(異動
  申告書など)に記載の情報を転記するなどして、自校の教職員一覧表を作
  成し、これを矢部室長に提出した。
 ウ 矢部室長は、指導室の職員らに対し、各校長から提出を受けた自校の教
  職員一覧表79校分の取り纏め(何ら加筆等せず綴る)を指示し、同職員
  らがその作業をして、「平成24年度教職員一覧表」が完成した(乙4)。

〔乙4.平成24年度板橋区立学校教職員一覧表〕
                               人 秘
 平成 24 年度
板橋区立学校  教職員一覧表
板 橋 区 教 育 委 員 会
        注)1.この名簿に記載してあるものは、平成24年5月1日現在在籍する教職員である。
           2.年齢及び勤務年月は、平成25年3月31日現在である。

板橋区立 板橋第五 中学校 学校教職員一覧表  校長室 ℡ (3964) 3822 3
 職員室 ℡ (3962) 7755 (      )
番号 職名 ふ り が な 学    歴 研究教科 分掌事務  〒 最寄駅 氏 名(ゴム印) 研究歴
氏    名 卒(修)業学校名 免許状種別 勤務年月 住   所 職 員 番 号 研究生 開発委員 研究員
生年月日(満年齢) 卒(修)業年月日 担任教科 学級担任 (電話番号) 所要時間 備  考
(時間)
本校
本区  〒
1 本都
通算
校長 (      ) 40
司書
本校
本区  〒
2 本都
通算
副校長 (      ) 40
司書
本校
本区  〒
3 本都
通算
10 (      ) 95
司書
本校
本区  〒
4 本都
通算
11 (      ) 70
司書
本校
本区  〒
5 本都
通算
18 (      ) 55
司書
本校
本区  〒
6 本都
通算
13 (      ) 55
司書
本校
本区  〒
7 本都
通算
13 (      ) 55
司書
本校
本区  〒
8 本都
通算
19 (      ) 10
司書
本校
本区  〒
9 本都
通算
14 (      ) 15
司書
本校
本区  〒
10 本都
通算
18 (      ) 60
司書
本校
本区  〒
11 本都
通算
16 (      ) 100
司書
本校
本区  〒
12 本都
通算
(      ) 30
司書
本校
本区  〒
13 本都
通算
(      ) 70
司書
本校
本区  〒
14 本都
通算
(      ) 120
司書
本校
本区  〒
15 本都
通算
(      ) 30
司書

 被告板橋区は、東京地方裁判所平成26年(ワ)第12268号事件の証拠書証乙4「平成24年度板橋区立学校教職員一覧表」として、平成24年度板橋第五中学校教職員一覧表を提出した。
 証拠書証乙4の平成24年度板橋第五中学校教職員一覧表の次の項目は被覆されていた。氏名、生年月日、満年齢、学歴(卒(修)業学校名、卒(修)業年月日)、免許状種別、勤務年月、研究教科、担任教科、分掌事務、学級担任、自宅住所、自宅電話番号、自宅最寄駅、氏名(ゴム印)、職員番号、備考欄記載事項、研究歴。 

(4)掲載された職種

 「平成24年度板橋区立学校教職員一覧表」(乙4)には、下記の職種の都費負担教職員及び幼稚園職員が掲載された。
 校長、副校長、主幹教諭、主任教諭、教諭、再任用教諭、養護教諭、栄養教諭、都費事務職員、都費栄養職員、指導主事。
 休職者、在籍専従者、在外教育施設、新教育大等は枠外に記入する。

(5)掲載された項目

 「平成24年度板橋区立学校教職員一覧表」(乙4)には、下記の25項目が記載された。
 ①職名  校長、副校長、主幹教諭、主任教諭、教諭など
 ②氏名、ふりがな
 ③性別
 ④生年月日
 ⑤満年齢
 ⑥学歴(卒(修)業学校名、卒(修)業年月日)
 ⑦免許状種別  幼稚園、小学校、中学校、高等学校、養護学校、司書教諭
 ⑧勤務年月  本校、本区、本都、通算、校長、副校長
 ⑨研究教科
 ⑩担任教科(時間)
 ⑪分掌事務
 ⑫学級担任  所属学年・学級、副担任は〇学年副
 ⑬自宅住所
 ⑭自宅電話番号
 ⑮自宅最寄駅
 ⑯自宅から勤務地までの所要時間
 ⑰氏名(ゴム印)
 ⑱職員番号
 ⑲親族又は子どもが東京都公立小中学校・幼稚園に勤務又は通学(通園)の場合は、所属する学校(園)名 【例】[妻:〇〇小
  教諭、子:〇〇区〇〇中在学]
 ⑳管理職候補者の場合は、種別(23B、21Aなど)
 ㉑必置主任(教務、生活指導、研究、進路指導、保健、学年)
 ㉒休職者等はその期間、産・育休代替教諭は任用期間
 ㉓新規採用教員で学級経営研修生(定数外)の場合は、学級経営研修
 ㉔再任用短時間教員で新人育成教員の場合は、新人育成教員
 ㉕研究歴  研究生、開発委員、研究員

(6)掲載された教職員数

 「平成24年度板橋区立学校教職員一覧表」(乙4)のうち板橋区立中学校に在職し同一覧表に掲載された教職員数は、下記〔甲2.平成24年度板橋区立中学校教職員一覧表記載人数〕のとおり617人である。板橋区立小学校に在職し同一覧表に掲載された教職員数は約1200人である。したがって、「平成24年度板橋区立学校教職員一覧表」(乙4)には約1800人の都費負担教職員及び幼稚園職員が掲載された。
〔甲2.平成24年度板橋区立中学校教職員一覧表記載人数〕
NO 中学校名 記載人数
1   板橋第一中学校 33
2   板橋第二中学校 27
3   板橋第三中学校 25
4   板橋第五中学校 15
5   加賀中学校 26
6   志村第一中学校 33
7   志村第二中学校 26
8   志村第三中学校 30
9   志村第四中学校 35
10   志村第五中学校 23
11   西台中学校 24
12   中台中学校 22
13   上板橋第一中学校 25
14   上板橋第二中学校 19
15   上板橋第三中学校 32
16   桜川中学校 26
17   向原中学校 17
18   赤塚第一中学校 38
19   赤塚第二中学校 25
20   赤塚第三中学校 37
21   高島第一中学校 23
22   高島第二中学校 25
23   高島第三中学校 31
617

(7)配付先

 平成24年度板橋区教育委員会教育長北川容子は、平成24年4月下旬頃、「平成24年度板橋区立学校教職員一覧表」(乙4)を、同教育長、事務局次長寺西幸雄、指導室長矢部崇、指導室教職員係職員、指導室指導主事、板橋区立小学校校長会会長及び板橋区立中学校校長会会長に配付した。(平成26年9月1日付け被告板橋区準備書面(1)22頁・23頁)
〔平成26年9月1日付け被告板橋区準備書面(1)、22頁上から25行目から23頁上から1行目まで〕
 エ 平成24年4月下旬頃、「平成24年度教職員一覧表」が区教委教育長、
  区教委事務局次長、同指導室長、同指導室教職員係及び指導主事、小学校
  校長会会長、中学校校長会会長に配付された。

(8)使用目的

 被告板橋区は、東京地方裁判所平成26年(ワ)第12268号事件に提出した平成26年9月1日付け準備書面(1)19頁において、「平成24年度板橋区立学校教職員一覧表」(乙4)の使用方法を下記のとおり主張した。
〔平成26年9月1日付け被告板橋区準備書面(1)19頁、上から18行目から22行目まで〕
 エ その使用方法については、区教委が都教委に提出する異動計画案及び異
  動配置案並びに各種調査回答を作成する際の資料として、また、各校長に
  対する個別ヒアリングにおける各校の人事上の要望事項等を十分に理解す
  るための参考としてなど、区教委による教員の人事に関する事務において
  用いられるものである。

 被告板橋区が主張する「平成24年度板橋区立学校教職員一覧表」(乙4)の使用目的は、区教委による教員の人事に関する事務の用に供するものであり、具体的には下記1、2のとおりに使用される。
1 板橋区教育委員会が東京都教育委員会に提出する異動計画案及び異動配置案並びに各種調査回答を作成する際の資料とする。
2 各校長に対する個別ヒアリングにおける各校の人事上の要望事項等を十分に理解する。

(9)教育長北川容子の違法行為

 ア 学歴(卒(修)業学校名、卒(修)業年月日)情報の収集と配付

 平成24年度板橋区教育委員会教育長北川容子は、「平成24年度板橋区立学校教職員一覧表」(乙4)を作成するにあたり、平成24年度板橋区立学校(園)に在職した職員の個人情報、学歴(卒(修)業学校名、卒(修)業年月日)を収集した。
 教育長北川容子は、上記個人情報、学歴(卒(修)業学校名、卒(修)業年月日)が記載された「平成24年度板橋区立学校教職員一覧表」(乙4)を、同教育長、事務局次長寺西幸雄、指導室長矢部崇、指導室教職員係職員、指導室指導主事、板橋区立小学校校長会会長及び板橋区立中学校校長会会長に配付した。
 現行の学制が施行された昭和22年から平成24年までの65年間、板橋区教育委員会教育長は、上記個人情報、学歴(卒(修)業学校名、卒(修)業年月日)を収集して、同教育長、事務局次長、指導室長、指導室教職員係職員、指導室指導主事、板橋区立小学校校長会会長及び板橋区立中学校校長会会長に配付してきた蓋然性が高い。
 上記(8)のとおり、「平成24年度板橋区立学校教職員一覧表」(乙4)は教員の人事に関する事務の用に供され、具体的には下記1、2のとおりに使用される。
1 板橋区教育委員会が東京都教育委員会に提出する異動計画案及び異動配置案並びに各種調査回答を作成する際の資料とする。
2 各校長に対する個別ヒアリングにおける各校の人事上の要望事項等を十分に理解する。
 教育長北川容子、事務局次長寺西幸雄、指導室長矢部崇、指導室教職員係職員が、東京都教育委員会に提出する異動計画案及び異動配置案並びに各種調査回答を作成する際(使用目的1)、「平成24年度板橋区立学校教職員一覧表」(乙4)に記載された個人情報、学歴(卒(修)業学校名、卒(修)業年月日)は不要である。
 教育長北川容子、事務局次長寺西幸雄、指導室長矢部崇、指導室教職員係職員が、各校長に対する個別ヒアリングにおける各校の人事上の要望事項等を十分に理解するために(使用目的2)、「平成24年度板橋区立学校教職員一覧表」(乙4)に記載された個人情報、学歴(卒(修)業学校名、卒(修)業年月日)は不要である。
 したがって、教育長北川容子は、板橋区教育委員会事務局職員が職務を行う上で不要な個人情報、学歴(卒(修)業学校名、卒(修)業年月日)を収集して、同教育長、事務局次長寺西幸雄、指導室長矢部崇、指導室教職員係職員、指導室指導主事、板橋区立小学校校長会会長及び板橋区立中学校校長会会長に配付した。
 教育長北川容子は、学歴(卒(修)業学校名、卒(修)業年月日)情報に関して、「平成24年度板橋区立学校教職員一覧表」(乙4)に掲載された都費負担教職員約1800人及び幼稚園職員の自己情報コントロール権を侵害した。
 よって、教育長北川容子は、憲法13条、教育基本法9条2項及び個人情報保護法3条に違反した。教育長北川容子は、地方公務員法32条、33条及び34条1項、地方教育行政法1条の2、11条6項及び25条に違反した。

※憲法13条〔個人の尊重、生命・自由・幸福追求の権利の尊重〕
 すべて国民は、個人として尊重される。生命、自由及び幸福追求に対する国民の権利については、公共の福祉に反しない限り、立法その他の国政の上で、最大の尊重を必要とする。
※教育基本法9条2項(教員)
 前項の教員については、その使命と職責の重要性にかんがみ、その身分は尊重され、待遇の適正が期せられるととに、養成と研修の充実が図られなければならない。
※個人情報保護法3条(基本理念)
 個人情報は、個々の人格尊重の理念の下に慎重に取り扱われるべきものであることにかんがみ、その適正な取扱いが図られなければならない。
※地方公務員法32条(法令等及び上司の職務上の命令に従う義務)
 職員は、その職務を遂行するに当たって、法令、条例、地方公共団体の規則及び地方公共団体の機関の定める規程に従い、且つ、上司の職務上の命令に忠実に従わなければならない。
※地方公務員法33条(信用失墜行為の禁止)
 職員は、その職の信用を傷つけ、又は職員の職全体の不名誉となるような行為をしてはならない。
※地方公務員法34条1項(秘密を守る義務)
 職員は、職務上知り得た秘密を漏らしてはならない。その職を退いた後も、また、同様とする。
※地方教育行政法1条の2(基本理念)
 地方公共団体における教育行政は、教育基本法の趣旨にのっとり、教育の機会均等、教育水準の維持向上及び地域の実情に応じた教育の振興が図られるよう、国との適正な役割分担及び相互の協力の下、公正かつ適正に行われなければならない。
※地方教育行政法11条6項(服務等)
 委員は、その職務の遂行に当たっては、自らが当該地方公共団体の教育行政の運営について負う重要な責任を自覚するとともに、第1条の2に規定する基本理念に則して当該地方公共団体の教育行政の運営が行われるよう意を用いなければならない。
※地方教育行政法25条(事務処理の法令準拠)
 教育委員会及び地方公共団体の長は、それぞれ前三条の事務を管理し、及び執行するに当たっては、法令、条例、地方公共団体の規則並びに地方公共団体の機関の定める規則及び規程に基づかなければならない。

 イ 自宅電話番号の収集と配付

 平成24年度板橋区教育委員会教育長北川容子は、「平成24年度板橋区立学校教職員一覧表」(乙4)を作成するにあたり、平成24年度板橋区立学校(園)に在職した職員の個人情報、自宅電話番号を収集した。
 教育長北川容子は、上記個人情報、自宅電話番号が記載された「平成24年度板橋区立学校教職員一覧表」(乙4)を、同教育長、事務局次長寺西幸雄、指導室長矢部崇、指導室教職員係職員、指導室指導主事、板橋区立小学校校長会会長及び板橋区立中学校校長会会長に配付した。
 現行の学制が施行された昭和22年から平成24年までの65年間、板橋区教育委員会教育長は、上記個人情報、自宅電話番号を収集して、同教育長、事務局次長、指導室長、指導室教職員係職員、指導室指導主事、板橋区立小学校校長会会長及び板橋区立中学校校長会会長に配付してきた蓋然性が高い。
 上記(8)のとおり、「平成24年度板橋区立学校教職員一覧表」(乙4)は教員の人事に関する事務の用に供され、具体的には下記1、2のとおりに使用される。
1 板橋区教育委員会が東京都教育委員会に提出する異動計画案及び異動配置案並びに各種調査回答を作成する際の資料とする。
2 各校長に対する個別ヒアリングにおける各校の人事上の要望事項等を十分に理解する。
 教育長北川容子、事務局次長寺西幸雄、指導室長矢部崇、指導室教職員係職員が、東京都教育委員会に提出する異動計画案及び異動配置案並びに各種調査回答を作成する際(使用目的1)、「平成24年度板橋区立学校教職員一覧表」(乙4)に記載された個人情報、自宅電話番号は不要である。
 教育長北川容子、事務局次長寺西幸雄、指導室長矢部崇、指導室教職員係職員が、各校長に対する個別ヒアリングにおける各校の人事上の要望事項等を十分に理解するために(使用目的2)、「平成24年度板橋区立学校教職員一覧表」(乙4)に記載された個人情報、自宅電話番号は不要である。
 したがって、教育長北川容子は、板橋区教育委員会事務局職員が職務を行う上で不要な個人情報、自宅電話番号を収集して、同教育長、事務局次長寺西幸雄、指導室長矢部崇、指導室教職員係職員、指導室指導主事、板橋区立小学校校長会会長及び板橋区立中学校校長会会長に配付した。
 教育長北川容子は、自宅電話番号に関して、「平成24年度板橋区立学校教職員一覧表」(乙4)に掲載された都費負担教職員約1800人及び幼稚園職員の自己情報コントロール権を侵害した。
 よって、教育長北川容子は、憲法13条、教育基本法9条2項及び個人情報保護法3条に違反した。教育長北川容子は、地方公務員法32条、33条及び34条1項、地方教育行政法1条の2、11条6項及び25条に違反した。

※憲法13条〔個人の尊重、生命・自由・幸福追求の権利の尊重〕
 すべて国民は、個人として尊重される。生命、自由及び幸福追求に対する国民の権利については、公共の福祉に反しない限り、立法その他の国政の上で、最大の尊重を必要とする。
※教育基本法9条2項(教員)
 前項の教員については、その使命と職責の重要性にかんがみ、その身分は尊重され、待遇の適正が期せられるととに、養成と研修の充実が図られなければならない。
※個人情報保護法3条(基本理念)
 個人情報は、個々の人格尊重の理念の下に慎重に取り扱われるべきものであることにかんがみ、その適正な取扱いが図られなければならない。
※地方公務員法32条(法令等及び上司の職務上の命令に従う義務)
 職員は、その職務を遂行するに当たって、法令、条例、地方公共団体の規則及び地方公共団体の機関の定める規程に従い、且つ、上司の職務上の命令に忠実に従わなければならない。
※地方公務員法33条(信用失墜行為の禁止)
 職員は、その職の信用を傷つけ、又は職員の職全体の不名誉となるような行為をしてはならない。
※地方公務員法34条1項(秘密を守る義務)
 職員は、職務上知り得た秘密を漏らしてはならない。その職を退いた後も、また、同様とする。
※地方教育行政法1条の2(基本理念)
 地方公共団体における教育行政は、教育基本法の趣旨にのっとり、教育の機会均等、教育水準の維持向上及び地域の実情に応じた教育の振興が図られるよう、国との適正な役割分担及び相互の協力の下、公正かつ適正に行われなければならない。
※地方教育行政法11条6項(服務等)
 委員は、その職務の遂行に当たっては、自らが当該地方公共団体の教育行政の運営について負う重要な責任を自覚するとともに、第1条の2に規定する基本理念に則して当該地方公共団体の教育行政の運営が行われるよう意を用いなければならない。
※地方教育行政法25条(事務処理の法令準拠)
 教育委員会及び地方公共団体の長は、それぞれ前三条の事務を管理し、及び執行するに当たっては、法令、条例、地方公共団体の規則並びに地方公共団体の機関の定める規則及び規程に基づかなければならない。

 ウ 親族及び子どもの個人情報収集と配付

 平成24年度板橋区教育委員会教育長北川容子は、平成24年4月の時点で、板橋区立学校に在職する全ての都費負担教職員を対象にして掲載項目⑲「親族又は子どもが東京都公立小中学校・幼稚園に勤務又は通学(通園)の場合は、所属する学校(園)名。【例】[妻:〇〇小教諭、子:〇〇区〇〇中在学]」を収集して、「平成24年度板橋区立学校教職員一覧表」(乙4)を作成した。
 教育長北川容子は、上記個人情報、掲載項目⑲が記載された「平成24年度板橋区立学校教職員一覧表」(乙4)を、同教育長、事務局次長寺西幸雄、指導室長矢部崇、指導室教職員係職員、指導室指導主事、板橋区立小学校校長会会長及び板橋区立中学校校長会会長に配付した。
 現行の学制が施行された昭和22年から平成24年までの65年間、板橋区教育委員会教育長は、上記個人情報、掲載項目⑲を収集して、同教育長、事務局次長、指導室長、指導室教職員係職員、指導室指導主事、板橋区立小学校校長会会長及び板橋区立中学校校長会会長に配付してきた蓋然性が高い。
 板橋区立学校校長は、異動対象者の「教育職員自己申告書(異動について)」(乙2)及び「異動申告書(異動についての校長所見)」(乙3)を板橋区教育委員会に提出し、異動対象者ではない教員の「教育職員自己申告書(異動について)」(乙2)及び「異動申告書(異動についての校長所見)」(乙3)を板橋区教育委員会に提出しない。(本ページ、4人事異動の仕組み(2))
 したがって、板橋区教育委員会は、平成24年10月に、各校長から異動対象者の「教育職員自己申告書(異動について)」(乙2)及び「異動申告書(異動についての校長所見)」(乙3)の提出を受けた。「教育職員自己申告書(異動について)」(乙2)には「8家族等が都内公立学校に在籍・在職の場合(氏名、続柄、学校名、職又は学年)」情報が記載されているので、板橋区教育委員会は、平成24年10月に、異動対象者の「8家族等が都内公立学校に在籍・在職の場合(氏名、続柄、学校名、職又は学年)」情報を入手した。
 しかし、平成24年4月の時点で、教育長北川容子が作成した「平成24年度板橋区立学校教職員一覧表」(乙4)は全ての都費負担教職員を対象にして掲載項目⑲を記載したので、次年度異動しない教職員の掲載項目⑲も記載された。ちなみに、校長が、平成24年4月の時点で、所属職員の掲載項目⑲を自校の「平成24年度教職員一覧表」に記載するには、前年度までの「教育職員自己申告書(異動について)」(乙2)を参照するだけでは足りない。年度が改まると、親族の職場の異動があり、子どもの幼稚園・小学校・中学校への入学(入園)があるので、校長は該当職員に改めに掲載項目⑲の内容を聴取する必要がある。
 上記(8)のとおり、「平成24年度板橋区立学校教職員一覧表」(乙4)は教員の人事に関する事務の用に供され、具体的には下記1、2のとおりに使用される。
1 板橋区教育委員会が東京都教育委員会に提出する異動計画案及び異動配置案並びに各種調査回答を作成する際の資料とする。
2 各校長に対する個別ヒアリングにおける各校の人事上の要望事項等を十分に理解する。
 教育長北川容子、事務局次長寺西幸雄、指導室長矢部崇、指導室教職員係職員が、東京都教育委員会に提出する異動計画案及び異動配置案並びに各種調査回答を作成する際(使用目的1)、次年度異動しない教職員の掲載項目⑲は不要である。
 教育長北川容子、事務局次長寺西幸雄、指導室長矢部崇、指導室教職員係職員が、各校長に対する個別ヒアリングにおける各校の人事上の要望事項等を十分に理解するために(使用目的2)、次年度異動しない教職員の掲載項目⑲は不要である。
 したがって、教育長北川容子は、板橋区教育委員会事務局職員が職務を行う上で不要な個人情報、次年度異動しない教職員の掲載項目⑲を収集して、同教育長、事務局次長寺西幸雄、指導室長矢部崇、指導室教職員係職員、指導室指導主事、板橋区立小学校校長会会長及び板橋区立中学校校長会会長に配付した。
 教育長北川容子は、掲載項目⑲に関して、「平成24年度板橋区立学校教職員一覧表」(乙4)に掲載された都費負担教職員約1800人及び幼稚園職員のうち次年度異動しない教職員の自己情報コントロール権を侵害した。
 よって、教育長北川容子は、憲法13条、教育基本法9条2項及び個人情報保護法3条に違反した。教育長北川容子は、地方公務員法32条、33条及び34条1項、地方教育行政法1条の2、11条6項及び25条に違反した。

※憲法13条〔個人の尊重、生命・自由・幸福追求の権利の尊重〕
 すべて国民は、個人として尊重される。生命、自由及び幸福追求に対する国民の権利については、公共の福祉に反しない限り、立法その他の国政の上で、最大の尊重を必要とする。
※教育基本法9条2項(教員)
 前項の教員については、その使命と職責の重要性にかんがみ、その身分は尊重され、待遇の適正が期せられるととに、養成と研修の充実が図られなければならない。
※個人情報保護法3条(基本理念)
 個人情報は、個々の人格尊重の理念の下に慎重に取り扱われるべきものであることにかんがみ、その適正な取扱いが図られなければならない。
※地方公務員法32条(法令等及び上司の職務上の命令に従う義務)
 職員は、その職務を遂行するに当たって、法令、条例、地方公共団体の規則及び地方公共団体の機関の定める規程に従い、且つ、上司の職務上の命令に忠実に従わなければならない。
※地方公務員法33条(信用失墜行為の禁止)
 職員は、その職の信用を傷つけ、又は職員の職全体の不名誉となるような行為をしてはならない。
※地方公務員法34条1項(秘密を守る義務)
 職員は、職務上知り得た秘密を漏らしてはならない。その職を退いた後も、また、同様とする。
※地方教育行政法1条の2(基本理念)
 地方公共団体における教育行政は、教育基本法の趣旨にのっとり、教育の機会均等、教育水準の維持向上及び地域の実情に応じた教育の振興が図られるよう、国との適正な役割分担及び相互の協力の下、公正かつ適正に行われなければならない。
※地方教育行政法11条6項(服務等)
 委員は、その職務の遂行に当たっては、自らが当該地方公共団体の教育行政の運営について負う重要な責任を自覚するとともに、第1条の2に規定する基本理念に則して当該地方公共団体の教育行政の運営が行われるよう意を用いなければならない。
※地方教育行政法25条(事務処理の法令準拠)
 教育委員会及び地方公共団体の長は、それぞれ前三条の事務を管理し、及び執行するに当たっては、法令、条例、地方公共団体の規則並びに地方公共団体の機関の定める規則及び規程に基づかなければならない。
 

 エ 指導主事への配付

 平成24年度板橋区教育委員会教育長北川容子は、「平成24年度板橋区立学校教職員一覧表」(乙4)を、板橋区教育委員会事務局指導室の指導主事に配付した。
 現行の学制が施行された昭和22年から平成24年までの65年間、板橋区教育委員会教育長は、「板橋区立学校教職員一覧表」を板橋区教育委員会事務局指導室の指導主事に配付してきた蓋然性が高い。
 上記(8)のとおり、「平成24年度板橋区立学校教職員一覧表」(乙4)は教員の人事に関する事務の用に供され、具体的には下記1、2のとおりに使用される。
1 板橋区教育委員会が東京都教育委員会に提出する異動計画案及び異動配置案並びに各種調査回答を作成する際の資料とする。
2 各校長に対する個別ヒアリングにおける各校の人事上の要望事項等を十分に理解する。
 地方教育行政法19条3項により、指導主事の職務は、「上司の命を受け、学校における教育課程、学習指導その他学校教育に関する専門的事項の指導に関する事務に従事する。」である。教員の人事に関する事務は、指導主事の職務ではない。したがって、指導主事は、板橋区教育委員会が東京都教育委員会に提出する異動計画案及び異動配置案の作成(使用目的1)を行わない。指導主事は、人事に係わる各校長に対する個別ヒアリング(使用目的2)を行わない。
 仮に、指導主事が東京都教育委員会に提出する各種調査回答のために「平成24年度板橋区立学校教職員一覧表」(乙4)を使用することがあるとすれば、同一覧表の「学校における教育課程、学習指導その他学校教育に関する専門的事項の指導に関する事務」に係わる内容を参照することになる。したがって、指導主事が職務を行う際、「平成24年度板橋区立学校教職員一覧表」(乙4)に記載された下記の個人情報は不要である。
 掲載項目④生年月日、⑥学歴(卒(修)業学校名、卒(修)業年月日)、⑬自宅住所、⑭自宅電話番号、⑮自宅最寄駅、⑯自宅から勤務地までの所要時間、⑲親族又は子どもが東京都公立小中学校・幼稚園に勤務又は通学(通園)の場合の所属する学校(園)名。【例】[妻:〇〇小教諭、子:〇〇区〇〇中在学]。
 したがって、教育長北川容子は、指導主事が職務を行う上で不要な個人情報が記載された「平成24年度板橋区立学校教職員一覧表」(乙4)を、指導主事に違法に配付した。
 教育長北川容子は、「平成24年度板橋区立学校教職員一覧表」(乙4)を指導主事に違法に配付したことにより、同一覧表に掲載された都費負担教職員約1800人及び幼稚園職員の自己情報コントロール権を侵害した。
 よって、教育長北川容子は、憲法13条、教育基本法9条2項及び個人情報保護法3条に違反した。教育長北川容子は、地方公務員法32条、33条及び34条1項、地方教育行政法1条の2、11条6項、19条3項及び25条に違反した。

※憲法13条〔個人の尊重、生命・自由・幸福追求の権利の尊重〕
 すべて国民は、個人として尊重される。生命、自由及び幸福追求に対する国民の権利については、公共の福祉に反しない限り、立法その他の国政の上で、最大の尊重を必要とする。
※教育基本法9条2項(教員)
 前項の教員については、その使命と職責の重要性にかんがみ、その身分は尊重され、待遇の適正が期せられるととに、養成と研修の充実が図られなければならない。
※個人情報保護法3条(基本理念)
 個人情報は、個々の人格尊重の理念の下に慎重に取り扱われるべきものであることにかんがみ、その適正な取扱いが図られなければならない。
※地方公務員法32条(法令等及び上司の職務上の命令に従う義務)
 職員は、その職務を遂行するに当たって、法令、条例、地方公共団体の規則及び地方公共団体の機関の定める規程に従い、且つ、上司の職務上の命令に忠実に従わなければならない。
※地方公務員法33条(信用失墜行為の禁止)
 職員は、その職の信用を傷つけ、又は職員の職全体の不名誉となるような行為をしてはならない。
※地方公務員法34条1項(秘密を守る義務)
 職員は、職務上知り得た秘密を漏らしてはならない。その職を退いた後も、また、同様とする。
※地方教育行政法1条の2(基本理念)
 地方公共団体における教育行政は、教育基本法の趣旨にのっとり、教育の機会均等、教育水準の維持向上及び地域の実情に応じた教育の振興が図られるよう、国との適正な役割分担及び相互の協力の下、公正かつ適正に行われなければならない。
※地方教育行政法11条6項(服務等)
 委員は、その職務の遂行に当たっては、自らが当該地方公共団体の教育行政の運営について負う重要な責任を自覚するとともに、第1条の2に規定する基本理念に則して当該地方公共団体の教育行政の運営が行われるよう意を用いなければならない。
※地方教育行政法19条3項(指導主事その他の職員)
 指導主事は、上司の命を受け、学校における教育課程、学習指導その他学校教育に関する専門的事項の指導に関する事務に従事する。
※地方教育行政法25条(事務処理の法令準拠)
 教育委員会及び地方公共団体の長は、それぞれ前三条の事務を管理し、及び執行するに当たっては、法令、条例、地方公共団体の規則並びに地方公共団体の機関の定める規則及び規程に基づかなければならない。
 

 オ 板橋区立小学校校長会会長・同中学校校長会会長への配付

 平成24年度板橋区教育委員会教育長北川容子は、「平成24年度板橋区立学校教職員一覧表」(乙4)を、板橋区立小学校校長会会長、板橋区立中学校校長会会長に配付した。
 現行の学制が施行された昭和22年から平成24年までの65年間、板橋区教育委員会教育長は、「板橋区立学校教職員一覧表」を板橋区立小学校校長会会長、板橋区立中学校校長会会長に配付してきた蓋然性が高い。
 学校教育法37条4項及び同項を準用する49条により、小学校校長・中学校校長の職務は「校務をつかさどり、所属職員を監督する。」である。東京都板橋区立学校の管理運営に関する規則は、校長の職務を「学校教育の管理、所属職員の管理、学校施設の管理及び学校事務の管理に関すること。」(同規則5条1項1号)、「所属職員の職務上及び身分上の監督に関すること。」(同規則5条1項2号)と規定している。
 小学校校長・中学校校長は、自校の外の学校(園)に在職する職員を監督する権限を有しない。板橋区立小学校校長・同中学校校長は、自校の外の学校(園)に在職する職員を管理する権限を有しない。板橋区立小学校校長・同中学校校長は、自校の外の学校(園)に在職する職員の職務上及び身分上の監督を行う権限を有しない。
 教育長北川容子が板橋区立小学校校長会会長・同中学校校長会会長に配付した「平成24年度板橋区立学校教職員一覧表」(乙4)には、平成24年度板橋区立学校(園)に在職した都費負担教職員約1800人及び幼稚園職員の職務上の情報及び個人情報が記載されていた。これにより、板橋区立小学校校長会会長・同中学校校長会会長は、自校の外の78校(園)に在職する都費負担教職員約1800人及び幼稚園職員の職務上の情報及び個人情報を入手した。
 したがって、教育長北川容子は、板橋区立小学校校長・同中学校校長が有する職務権限の外にある職務上の情報及び個人情報が記載された「平成24年度板橋区立学校教職員一覧表」(乙4)を、板橋区立小学校校長会会長・同中学校校長会会長に違法に配付した。
 教育長北川容子は、「平成24年度板橋区立学校教職員一覧表」(乙4)を板橋区立小学校校長会会長・同中学校校長会会長に違法に配付したことにより、同一覧表に掲載された都費負担教職員約1800人及び幼稚園職員の自己情報コントロール権を侵害した。
 よって、教育長北川容子は、憲法13条、教育基本法9条2項及び個人情報保護法3条に違反した。教育長北川容子は、学校教育法37条4項及び同項を準用する49条、東京都板橋区立学校の管理運営に関する規則5条1項1号及び5条1項2号、地方公務員法32条、33条及び34条1項、地方教育行政法1条の2、11条6項及び25条に違反した。

※憲法13条〔個人の尊重、生命・自由・幸福追求の権利の尊重〕
 すべて国民は、個人として尊重される。生命、自由及び幸福追求に対する国民の権利については、公共の福祉に反しない限り、立法その他の国政の上で、最大の尊重を必要とする。
※教育基本法9条2項(教員)
 前項の教員については、その使命と職責の重要性にかんがみ、その身分は尊重され、待遇の適正が期せられるととに、養成と研修の充実が図られなければならない。
※個人情報保護法3条(基本理念)
 個人情報は、個々の人格尊重の理念の下に慎重に取り扱われるべきものであることにかんがみ、その適正な取扱いが図られなければならない。
※学校教育法37条4項
 校長は、校務をつかさどり、所属職員を監督する。
※学校教育法49条〔準用規定〕
 第30条第2項、第31条、第34条、第35条及び第37条から第44条までの規定は、中学校に準用する。この場合において、第30条第2項中の「前項」とあるのは「第46条」と、第31条中「前条第1項」とあるのは「第46条」と読み替えるものとする。
※東京都板橋区立学校の管理運営に関する規則5条(校長の職務)
 学校教育法第37条第4項及び同項を準用する法第49条に規定する校長の職務は、おおむね次のとおりとする。
 (1)学校教育の管理、所属職員の管理、学校施設の管理及び学校事務の管理に関すること。
 (2)所属職員の職務上及び身分上の監督に関すること。
 (3)前各号に規定するもののほか、職務上委任又は命令された事項に関すること。
2 校長は、所属職員に校務を分掌させることができる。
※地方公務員法32条(法令等及び上司の職務上の命令に従う義務)
 職員は、その職務を遂行するに当たって、法令、条例、地方公共団体の規則及び地方公共団体の機関の定める規程に従い、且つ、上司の職務上の命令に忠実に従わなければならない。
※地方公務員法33条(信用失墜行為の禁止)
 職員は、その職の信用を傷つけ、又は職員の職全体の不名誉となるような行為をしてはならない。
※地方公務員法34条1項(秘密を守る義務)
 職員は、職務上知り得た秘密を漏らしてはならない。その職を退いた後も、また、同様とする。
※地方教育行政法1条の2(基本理念)
 地方公共団体における教育行政は、教育基本法の趣旨にのっとり、教育の機会均等、教育水準の維持向上及び地域の実情に応じた教育の振興が図られるよう、国との適正な役割分担及び相互の協力の下、公正かつ適正に行われなければならない。
※地方教育行政法11条6項(服務等)
 委員は、その職務の遂行に当たっては、自らが当該地方公共団体の教育行政の運営について負う重要な責任を自覚するとともに、第1条の2に規定する基本理念に則して当該地方公共団体の教育行政の運営が行われるよう意を用いなければならない。
※地方教育行政法25条(事務処理の法令準拠)
 教育委員会及び地方公共団体の長は、それぞれ前三条の事務を管理し、及び執行するに当たっては、法令、条例、地方公共団体の規則並びに地方公共団体の機関の定める規則及び規程に基づかなければならない。
 

(10)板橋区区長坂本健の違法行為

 ア 事実認定の過誤

 板橋区区長坂本健は、東京地方裁判所平成26年(ワ)第12268号事件に提出した平成26年9月1日付け被告板橋区準備書面(1)18頁において、「平成24年度板橋区立学校教職員一覧表」(乙4)は「区教委の内申等、つまり区教委が都教委に提出する異動計画案及び異動配置案並びに各種調査回答を作成する際の資料等として必要なものである」と主張した。
〔平成26年9月1日付け被告板橋区準備書面(1)18頁、上から7行目から24行目まで〕
 エ 以上の人事異動の仕組みの下では、「平成24年度教職員一覧表」、「平
  成25年度教職員一覧表」、「平成24年度板橋区立中学校教職員一覧表」、
  「平成25年度板橋区立中学校教職員一覧表」、「平成26年度定期異動状
  況調査一覧表」及び「平成26年度定期異動に関する求人・紹介一覧表」
  は、必要なものである。
   すなわち、都教委の人事異動は、制度上、区教委の内申、各校長の具申
  の基に成り立っているところ、「教職員一覧表」は区教委の内申等、つまり
  区教委が都教委に提出する異動計画案及び異動配置案並びに各種調査回答
  を作成する際の資料等として、また、「中学校教職員一覧表」、「定期異動状
  況調査票」及び「定期異動に関する求人・紹介一覧表」は校長の具申を始
  めとして、自校の学校経営方針や人事構想の実現に向け、自校の人事上の
  要望事項を具体化等するための資料として、それぞれ必要なものである。
  また、これらを用いることによって、「適材適所の配置」や「学校における
  望ましい教員構成の確保」など、定期異動の目的達成に資することとなる。
  とりわけ、板橋区内の人事異動においては、校長から人事上の要望事項に
  ついて、個別具体的に聴取し、異動計画案に反映させることで、校長の学
  校経営方針や人事構想の実現をきめ細かく支援し、板橋区全体の教育水準
  の向上を図ることができるものである。

 下記(ア)のとおり、板橋区教育委員会事務局は、板橋区立学校に在職する都費負担教職員の「履歴カード」(甲31ないし甲34)、「教育職員自己申告書(異動について)」(乙2)、「異動申告書(異動についての校長所見)」(乙3)、「人事構想調書」(甲35)及び外の表簿を保有する。
 板橋区教育委員会は、同事務局が保有する表簿により、「平成24年度板橋区立学校教職員一覧表」(乙4)の必要性「区教委の内申等、つまり区教委が都教委に提出する異動計画案及び異動配置案並びに各種調査回答を作成する際の資料等」並びに同一覧表の使用方法「区教委が都教委に提出する異動計画案及び異動配置案並びに各種調査回答を作成する際の資料として、また、各校長に対する個別ヒアリングにおける各校の人事上の要望事項等を十分に理解するための参考」(平成26年9月1日付け被告板橋区準備書面(1)19頁、上から18行目から21行目まで)を満たすことができる。したがって、「平成24年度板橋区立学校教職員一覧表」(乙4)は必要なものではない。
 上記(9)ア、イ、ウのとおり、板橋区教育委員会は、「平成24年度板橋区立学校教職員一覧表」(乙4)を作成するにあたり、同事務局職員が職務を行う上で不要な個人情報である学歴(卒(修)業学校名、卒(修)業年月日)、自宅電話番号、次年度異動しない教員の掲載項目⑲を収集した。したがって、板橋区教育委員会事務局職員が職務を行う上で不要な個人情報を収集して作成した「平成24年度板橋区立学校教職員一覧表」(乙4)は、必要なものであると言うことはできない。
 よって、板橋区区長坂本健は、「平成24年度板橋区立学校教職員一覧表」(乙4)の必要性について事実認定を誤る違法行為を行った。
 なお、板橋区教育委員会が、毎年度4月に板橋区立学校校長(園長)に自校の「教職員一覧表」を作成して提出させ、毎年度4月中に「板橋区立学校教職員一覧表」を作成した目的は下記(イ)のとおりである。
 (ア)板橋区教育委員会事務局が保有する表簿
 板橋区教育委員会事務局は、下記の「履歴カード」(甲31ないし甲34)、「教育職員自己申告書(異動について)」(乙2)、「異動申告書(異動についての校長所見)」(乙3)、「人事構想調書」(甲35)を保有する。
【履歴カード(甲31ないし甲34)】
 東京都教育庁は、毎年度5月下旬に、板橋区立学校に在職する全ての都費負担教職員の履歴カードを2部、板橋区教育委員会事務局に送付する。板橋区教育委員会事務局は履歴カードを1部保管し、外の1部を該当校に送付する。(甲32、甲33)
 履歴カードには、次の1ないし22が記載されている。1氏名、2職員番号、3生年月日、4性別、5職名、6現住所、7旧住所、8本(国)籍、9最寄り駅、10現所属、11職級等、12学歴、13教員免許、14資格免許、15旧氏名、16採用選考、17前歴、18採用年月日、19初任給に関する事項、20研修名、21勤務記録、22旧姓使用。(甲31、別紙1)
 履歴カードに記載されている上記内容は、「平成24年度板橋区立学校教職員一覧表」(乙4)の掲載項目①ないし㉕のうち次の項目に相当する。掲載項目①、②、③、④、⑥、⑦、⑧、⑨、⑩、⑬、⑮、⑰、⑱、⑳、㉒、㉓、㉔、㉕。
【教育職員自己申告書(異動について)(乙2)】
 「教育職員自己申告書(異動について)」(乙2)は、全ての教員が作成して校長に提出した。校長は、異動対象者の「教育職員自己申告書(異動について)」(乙2)を「異動申告書(異動についての校長所見)」(乙3)の裏面にコピーして、毎年度10月に板橋区教育委員会に提出した。
 教員は「教育職員自己申告書(異動について)」(乙2)に、所属、職名、氏名、性別、職員番号、生年月日、年齢、現任校実勤務年数、自宅住所、自宅最寄駅、現任校片道通勤時間、校務分掌、担任学年、主任、部活動、教職歴、研修歴・研究歴、所有する免許状、異動について、活用して欲しい能力、健康状況、家族等が都内公立学校に在籍・在職の場合の氏名、続柄、学校名、職又は学年などを記入した。
 「教育職員自己申告書(異動について)」(乙2)に記載されている上記内容は、「平成24年度板橋区立学校教職員一覧表」(乙4)の掲載項目①ないし㉕のうち次の項目に相当する。掲載項目①、②、③、④、⑤、⑦、⑧、⑨、⑩、⑪、⑫、⑬、⑮、⑯、⑰、⑱、⑲、⑳、㉑、㉒、㉓、㉔、㉕。
【異動申告書(異動についての校長所見)(乙3)】
 校長は、異動対象者の「異動申告書(異動についての校長所見)」(乙3)を作成し、裏面に「教育職員自己申告書(異動について)」(乙2)をコピーして、毎年度10月に板橋区教育委員会に提出した。
 校長は「異動申告書(異動についての校長所見)」(乙3)に、氏名、職員番号、性別、年齢、勤務の状況、能力活用と育成、資格・免許等、学習指導力・生活指導力・進路指導力・外部との連携・折衝力・学校運営力・組織貢献力についての校長所見、異動に関する意見と理由、人事構想伝達日、□異動の対象とする、□異動の対象としないなどを記入した。
 「異動申告書(異動についての校長所見)」(乙3)に記載されている上記内容は、「平成24年度板橋区立学校教職員一覧表」(乙4)の掲載項目①ないし㉕のうち次の項目に相当する。掲載項目②、③、⑤、⑰、⑱、㉒。
【人事構想調書(甲35)】
 「人事構想調書」(甲35)は、校長が次年度の人事構想を作成して、毎年度10月に板橋区教育委員会に提出した。
 校長は「人事構想調書」(甲35)に、学校経営方針の要点、現在の教員構成上の課題、経営方針実現のために活用したい教員の能力、所属する全ての教員の職名・氏名・性別・年齢・都教職年数・現任校年数・教科・担任(学年・組)・現校務分掌・次年度予定分掌・本人意向・校長具申・備考、次年度の人事構想を記載した。
 「人事構想調書」(甲35)に記載されている上記内容は、「平成24年度板橋区立学校教職員一覧表」(乙4)の掲載項目①ないし㉕のうち次の項目に相当する。掲載項目①、②、③、⑤、⑧、⑩、⑪、⑫、⑰、⑳、㉑、㉒、㉓、㉔。
 (イ)「板橋区立学校教職員一覧表」作成の目的
 板橋区教育委員会は下記ⅰないしⅳの目的のために、毎年度4月に板橋区立学校校長(園長)に自校の「教職員一覧表」を作成して提出させ、毎年度4月中に「板橋区立学校教職員一覧表」を作成した。
 ⅰ 複数の表簿に分散して記載されている教職員の情報を一つの表簿にまとめる
 ⅱ 板橋区立学校(園)全79校(園)に在職する都費負担教職員約1800人と幼稚園職員の情報を一つの表簿にまとめる
 ⅲ 年度当初の4月に情報を収集する
【履歴カード】
 板橋区教育委員会事務局は、前年度板橋区に在職していた教員の「履歴カード」を保管している(甲34)。また、板橋区の外から転入した教員の前年度の「履歴カード」は、異動とともに当該地教委から板橋区教育委員会事務局に送付される(甲34)。そして、最新の「履歴カード」は、毎年度5月下旬に、東京都教育庁から板橋区教育委員会事務局に送付される(甲32、甲33)。
 「履歴カード」に記載されている情報は、「板橋区立学校教職員一覧表」の掲載項目①職名、②氏名、③性別、④生年月日、⑥学歴(卒(修)業学校名、卒(修)業年月日)、⑦免許状種別、⑧勤務年月、⑨研究教科、⑩担任教科、⑬自宅住所、⑮自宅最寄駅、⑰氏名(ゴム印)、⑱職員番号、⑳管理職候補者の場合の種別、㉒休職者等の期間、㉓新規採用教員、㉔再任用短時間教員、㉕研究歴である。
 年度が改まると、「板橋区立学校教職員一覧表」の掲載項目⑧は変わり、掲載項目①、②、⑥、⑦、⑨、⑩、⑬、⑮、⑰、⑳、㉒、㉓、㉔、㉕は変わる可能性がある。そこで、板橋区教育委員会は、最新の「履歴カード」が送付される前の4月に、同カードに記載されている情報を収集するために「板橋区立学校教職員一覧表」を作成した。
【教育職員自己申告書(異動について)、異動申告書(異動についての校長所見)、人事構想調書】
 「教育職員自己申告書(異動について)」(乙2)、「異動申告書(異動についての校長所見)」(乙3)及び「人事構想調書」(甲35)は、毎年度10月に、校長が板橋区教育委員会に提出した。板橋区教育委員会は上記3点の表簿が提出される前の4月に、同表簿に記載されている情報を収集するために「板橋区立学校教職員一覧表」を作成した。
 上記3点の表簿に記載があり「履歴カードに」に記載がない情報は、「板橋区立学校教職員一覧表」の掲載項目⑤満年齢、⑪分掌事務、⑫学級担任、⑯自宅から勤務地までの所要時間、⑲親族又は子どもが東京都公立小中学校・幼稚園に勤務又は通学(通園)の場合の学校名【例】[妻:〇〇小教諭、子:〇〇区〇〇中在学]、㉑必置主任(教務、生活指導、研究、進路指導、保健、学年)である。
 ⅳ 親族及び子どもの個人情報を収集する
 校長が板橋区教育委員会に提出する「教育職員自己申告書(異動について)」(乙2)及び「異動申告書(異動についての校長所見)」(乙3)は、異動対象者の分である。したがって、板橋区教育委員会は、次年度異動しない教員の「教育職員自己申告書(異動について)」(乙2)及び「異動申告書(異動についての校長所見)」(乙3)を保有していない。
 外の表簿に記載がなく、「教育職員自己申告書(異動について)」(乙2)にのみ記載されている情報は掲載項目⑲「親族又は子どもが東京都公立小中学校・幼稚園に勤務又は通学(通園)の場合は、所属する学校(園)名。【例】[妻:〇〇小教諭、子:〇〇区〇〇中在学]」である。そこで、板橋区教育委員会は、次年度異動しない教員を含めた全教職員を対象にして掲載項目⑲を収集するために「板橋区立学校教職員一覧表」を作成した。
 なお、校長が、毎年度4月に、自校の「教職員一覧表」の掲載項目⑲を記載するためには、前年度までの「教育職員自己申告書(異動について)」(乙2)を参照するだけでは足りない。なぜならば、年度が改まると、親族の職場の異動があり、子どもの幼稚園・小学校・中学校への入学(入園)があるので、校長は該当職員から改めて掲載項目⑲の内容を聴取する必要がある。

 イ 法令解釈の過誤

 板橋区区長坂本健は、東京地方裁判所平成26年(ワ)第12268号事件に提出した平成26年9月1日付け被告板橋区準備書面(1)18頁において、「平成24年度板橋区立学校教職員一覧表」(乙4)は必要なものであると主張し、平成24年度板橋区教育委員会教育長北川容子が同一覧表を作成して配付・使用したことを支持した。
〔平成26年9月1日付け被告板橋区準備書面(1)18頁、上から7行目から11行目まで〕
 エ 以上の人事異動の仕組みの下では、「平成24年度教職員一覧表」、「平
  成25年度教職員一覧表」、「平成24年度板橋区立中学校教職員一覧表」、
  「平成25年度板橋区立中学校教職員一覧表」、「平成26年度定期異動状
  況調査一覧表」及び「平成26年度定期異動に関する求人・紹介一覧表」
  は、必要なものである。

 上記(9)アのとおり、教育長北川容子は、板橋区教育委員会事務局職員が職務を行う上で不要な個人情報、学歴(卒(修)業学校名、卒(修)業年月日)を収集して、同教育長、事務局次長寺西幸雄、指導室長矢部崇、指導室教職員係職員、指導室指導主事、板橋区立小学校校長会会長及び板橋区立中学校校長会会長に配付した。
 教育長北川容子は、学歴(卒(修)業学校名、卒(修)業年月日)情報に関して、「平成24年度板橋区立学校教職員一覧表」(乙4)に掲載された都費負担教職員約1800人及び幼稚園職員の自己情報コントロール権を侵害した。
 教育長北川容子は、憲法13条、教育基本法9条2項、個人情報保護法3条、地方公務員法32条、33条及び34条1項、地方教育行政法1条の2、11条6項及び25条に違反した。
 上記(9)イのとおり、教育長北川容子は、板橋区教育委員会事務局職員が職務を行う上で不要な個人情報、自宅電話番号を収集して、同教育長、事務局次長寺西幸雄、指導室長矢部崇、指導室教職員係職員、指導室指導主事、板橋区立小学校校長会会長及び板橋区立中学校校長会会長に配付した。
 教育長北川容子は、自宅電話番号に関して、「平成24年度板橋区立学校教職員一覧表」(乙4)に掲載された都費負担教職員約1800人及び幼稚園職員の自己情報コントロール権を侵害した。
 教育長北川容子は、憲法13条、教育基本法9条2項、個人情報保護法3条、地方公務員法32条、33条及び34条1項、地方教育行政法1条の2、11条6項及び25条に違反した。
 上記(9)ウのとおり、教育長北川容子は、板橋区教育委員会事務局職員が職務を行う上で不要な個人情報、次年度異動しない教職員の掲載項目⑲「親族又は子どもが東京都公立小中学校・幼稚園に勤務又は通学(通園)の場合は、所属する学校(園)名。【例】[妻:〇〇小教諭、子:〇〇区〇〇中在学]」を収集して、同教育長、事務局次長寺西幸雄、指導室長矢部崇、指導室教職員係職員、指導室指導主事、板橋区立小学校校長会会長及び板橋区立中学校校長会会長に配付した。
 教育長北川容子は、掲載項目⑲に関して、「平成24年度板橋区立学校教職員一覧表」(乙4)に掲載された都費負担教職員約1800人及び幼稚園職員のうち次年度異動しない教職員の自己情報コントロール権を侵害した。
 教育長北川容子は、憲法13条、教育基本法9条2項、個人情報保護法3条、地方公務員法32条、33条及び34条1項、地方教育行政法1条の2、11条6項及び25条に違反した。
 上記(9)エのとおり、教育長北川容子は、指導主事が職務を行う上で不要な個人情報が記載された「平成24年度板橋区立学校教職員一覧表」(乙4)を、指導主事に違法に配付した。
 教育長北川容子は、「平成24年度板橋区立学校教職員一覧表」(乙4)を指導主事に違法に配付したことにより、同一覧表に掲載された都費負担教職員約1800人及び幼稚園職員の自己情報コントロール権を侵害した。
 教育長北川容子は、憲法13条、教育基本法9条2項、個人情報保護法3条、地方公務員法32条、33条及び34条1項、地方教育行政法1条の2、11条6項、19条3項及び25条に違反した。
 上記(9)オのとおり、教育長北川容子は、板橋区立小学校校長・同中学校校長が有する職務権限の外にある職務上の情報及び個人情報が記載された「平成24年度板橋区立学校教職員一覧表」(乙4)を、板橋区立小学校校長会会長・同中学校校長会会長に違法に配付した。
 教育長北川容子は、「平成24年度板橋区立学校教職員一覧表」(乙4)を板橋区立小学校校長会会長・同中学校校長会会長に違法に配付したことにより、同一覧表に掲載された都費負担教職員約1800人及び幼稚園職員の自己情報コントロール権を侵害した。
 教育長北川容子は、憲法13条、教育基本法9条2項、個人情報保護法3条、学校教育法37条4項及び同項を準用する49条、東京都板橋区立学校の管理運営に関する規則5条1項1号及び5条1項2号、地方公務員法32条、33条及び34条1項、地方教育行政法1条の2、11条6項及び25条に違反した。
 したがって、板橋区区長坂本健は、憲法13条、教育基本法9条2項、個人情報保護法3条、学校教育法37条4項及び同項を準用する49条、東京都板橋区立学校の管理運営に関する規則5条1項1号及び5条1項2号、地方公務員法32条、33条及び34条1項、地方教育行政法1条の2、11条6項、19条3項及び25条の解釈適用を誤り、教育長北川容子の違法行為を支持した。
 よって、板橋区区長坂本健は、法令等の解釈適用を誤る違法行為を行った。

 ウ 不作為責任

 板橋区区長坂本健は、板橋区教育委員会の委員である北川容子の任命権者であり、かつ板橋区教育委員会事務局の長である教育長北川容子の指揮監督者である。(本ページ、3改正前地方教育行政法における教育長と区長)
 上記(9)アのとおり、教育長北川容子は、板橋区教育委員会事務局職員が職務を行う上で不要な個人情報、学歴(卒(修)業学校名、卒(修)業年月日)を収集して、同教育長、事務局次長寺西幸雄、指導室長矢部崇、指導室教職員係職員、指導室指導主事、板橋区立小学校校長会会長及び板橋区立中学校校長会会長に配付した。
 教育長北川容子は、学歴(卒(修)業学校名、卒(修)業年月日)情報に関して、「平成24年度板橋区立学校教職員一覧表」(乙4)に掲載された都費負担教職員約1800人及び幼稚園職員の自己情報コントロール権を侵害した。
 上記(9)イのとおり、教育長北川容子は、板橋区教育委員会事務局職員が職務を行う上で不要な個人情報、自宅電話番号を収集して、同教育長、事務局次長寺西幸雄、指導室長矢部崇、指導室教職員係職員、指導室指導主事、板橋区立小学校校長会会長及び板橋区立中学校校長会会長に配付した。
 教育長北川容子は、自宅電話番号に関して、「平成24年度板橋区立学校教職員一覧表」(乙4)に掲載された都費負担教職員約1800人及び幼稚園職員の自己情報コントロール権を侵害した。
 上記(9)ウのとおり、教育長北川容子は、板橋区教育委員会事務局職員が職務を行う上で不要な個人情報、次年度異動しない教職員の掲載項目⑲「親族又は子どもが東京都公立小中学校・幼稚園に勤務又は通学(通園)の場合は、所属する学校(園)名。【例】[妻:〇〇小教諭、子:〇〇区〇〇中在学]」を収集して、同教育長、事務局次長寺西幸雄、指導室長矢部崇、指導室教職員係職員、指導室指導主事、板橋区立小学校校長会会長及び板橋区立中学校校長会会長に配付した。
 教育長北川容子は、掲載項目⑲に関して、「平成24年度板橋区立学校教職員一覧表」(乙4)に掲載された都費負担教職員約1800人及び幼稚園職員のうち次年度異動しない教職員の自己情報コントロール権を侵害した。
 上記(9)エのとおり、教育長北川容子は、指導主事が職務を行う上で不要な個人情報が記載された「平成24年度板橋区立学校教職員一覧表」(乙4)を、指導主事に違法に配付した。
 教育長北川容子は、「平成24年度板橋区立学校教職員一覧表」(乙4)を指導主事に違法に配付したことにより、同一覧表に掲載された都費負担教職員約1800人及び幼稚園職員の自己情報コントロール権を侵害した。
 上記(9)オのとおり、教育長北川容子は、板橋区立小学校校長・同中学校校長が有する職務権限の外にある職務上の情報及び個人情報が記載された「平成24年度板橋区立学校教職員一覧表」(乙4)を、板橋区立小学校校長会会長・同中学校校長会会長に違法に配付した。
 教育長北川容子は、「平成24年度板橋区立学校教職員一覧表」(乙4)を板橋区立小学校校長会会長・同中学校校長会会長に違法に配付したことにより、同一覧表に掲載された都費負担教職員約1800人及び幼稚園職員の自己情報コントロール権を侵害した。
 教育長北川容子の上記(9)アないしオの行為は、憲法13条、教育基本法9条2項、個人情報保護法3条、学校教育法37条4項及び同項を準用する49条、東京都板橋区立学校の管理運営に関する規則5条1項1号及び5条1項2号、地方公務員法32条、33条及び34条1項、地方教育行政法1条の2、11条6項、19条3項及び25条違反である。
 しかし、板橋区区長坂本健は、違法行為者北川容子に改善命令を発することなく、懲戒処分を科すことなく、解任等を行わなかった。板橋区区長坂本健は、北川容子に、任命権及び指揮監督権にもとづく措置を講じなかった。それどころか、板橋区区長坂本健は、「平成24年度板橋区立学校教職員一覧表」(乙4)は必要なものであると主張して、教育長北川容子の違法行為を支持した。(平成26年9月1日付け被告板橋区準備書面(1)18頁、上から7行目から11行目まで)
 よって、板橋区区長坂本健には任命権及び指揮監督権の不行使による違法、不作為責任がある。 

7 平成25年度板橋区立学校教職員一覧表(乙5)

(1)平成25年度教職員一覧表の作成・提出

 平成25年度板橋区教育委員会事務局指導室長矢部崇は、平成25年4月1日、〔甲1.平成25年度教職員一覧表の提出について〕により、板橋区立幼稚園長2名、同小学校長54名、同中学校長23名に、自校の「平成25年度教職員一覧表」を作成して提出することを依頼した。(平成26年9月1日付け被告板橋区準備書面(1)23頁)
 平成25年度教職員一覧表の様式は、下記(2)のとおりである。
〔平成26年9月1日付け被告板橋区準備書面(1)23頁、上から8行目から11行目まで〕
(2)平成25年度について
  ア 平成25年4月1日、原告は板五中の校長に赴任した。
  イ 同日、矢部室長は、平成25年度教職員一覧表の作成及び提出を各校
   長に依頼した(甲1)。

〔甲1.平成25年度教職員一覧表の提出について〕
事 務 連 絡
平成25年4月1日
      各学校(園)長 様
板橋区教育委員会
指導室長 矢部 崇
      
平成25年度  教職員一覧表の提出について
      
        このことについて、下記により作成のうえ提出願います。
        なお、今年度から、これまで除外していた期限付任用教員、産・育休代替教諭、非
      常勤教員及び嘱託員も掲載することとしますので、よろしくお願いします。
      
      1 提出書類    教職員一覧表 ……… 1部(片面印刷で)
               ※ そのまま印刷原稿としますので、正確に記入作成願います。
                 両面印刷で長辺を綴じますので、ページの上下に綴じしろをとっ
                 てください。
      2 作成上の注意
        (1)対象者は、平成25年5月1日に在職(提出時点で想定)する都費職員(非常
            勤講師は除く)及び幼稚園教職員とする。
              なお、年齢、勤務年月は、平成25年度末(平成26年3月31日)現在で記
            入する。
         ※ 年数計算の誤りが多く見受けられますので、再点検願います。
        (2)記入順序は、校長、副校長、主幹教諭、主任教諭、教諭、再任用教諭、養護教
            諭、(栄養教諭…大谷口小、志村第六小のみ)、期限付任用教員、産・育休代替教
            諭、都費事務職員、都費栄養職員、指導主事、非常勤教員及び嘱託員の順とし、
            各区分内は年齢順とする。
              また、休職者、在籍専従者、在外教育施設、新教育大等は、枠外とし末尾に記
            入するとともに、その旨を「学級担任」欄に記入する。
        (3)「学級数」欄の(  )内は、心障・日本語学級数を外数として記入する。
            【例】(知1、情1、難1、言1、日1)
        (4)「氏名(ふりがな)(性別)」欄は、戸籍に記載されている氏名を楷書で正確に記
            入する。
        (5)「勤務年月」欄の記入にあたり、期限付任用教員、産・育休代替教諭、非常勤教
            員及び嘱託員については、「本校」及び「本区」欄のみを記入する。
              なお、新規採用教員が本区で期限付任用教員の期間があっても、新規採用とな
            った時点からの年数を記入する。
        (6)「学級担任」欄については、所属学年・学級を記入する。
            また、副担任の場合も○学年副と記入する。
        (7)備考欄の上欄に、職員番号、氏名を記入すること。
            また、「備考」欄には、次の各事項を記入する。
          ☆親族又は子どもが東京都公立小中学校・幼稚園に勤務又は通学(通園)の場
            合は、所属する学校(園)名を記入する。
              【例】[妻:○○小教諭、子:○○区○○中在学]
          ☆管理職候補者の場合は、種別(23B、21Aなど)を記入する。
          ☆必置主任(教務・生活指導・研究・進路指導・保健・学年)を記入する。
          ☆休職者等はその期間、産・育休代替教諭は任用期間を記入する。
          ★新規採用教員で学級経営研修生(定数外)の場合は、学級経営研修と記入す
            る。
          ★再任用短時間教員で新人育成教員の場合は、新人育成教員と記入する。
        (8)「研究歴」欄は、該当する項目に年度を記入する。
      3 提出期限   平成25年4月17日(水)
      4 提 出 先    指導室教職員係 担当 椎谷 電話3579-2641
      5 連絡事項   一覧表様式等を校長・副校長・園長メールアドレスあてに送信いたし
                ますので、ご活用ください。

(2)平成25年度教職員一覧表の様式

〔甲1.平成25年度教職員一覧表の様式〕
板橋区立         学校教職員一覧表  校長室 ℡   (   )
 職員室 ℡   (   ) (      )
番号 職名 ふ り が な 学    歴 研究教科 分掌事務  〒 最寄駅 氏 名(ゴム印) 研究歴
氏    名 卒(修)業学校名 免許状種別 勤務年月 住   所 職 員 番 号 研究生 開発委員 研究員
生年月日(満年齢) 卒(修)業年月日 担任教科 学級担任 (電話番号) 所要時間 備  考
(時間)
本校
本区  〒
1 本都
通算
校長 (      )
司書
本校
本区  〒
2 本都
通算
副校長 (      )
司書
本校
本区  〒
3 本都
通算
(      )
司書
本校
本区  〒
4 本都
通算
(      )
司書
本校
本区  〒
5 本都
通算
(      )
司書
本校
本区  〒
6 本都
通算
(      )
司書

(3)平成25年度板橋区立学校教職員一覧表(乙5)の作成

 平成25年度板橋区教育委員会事務局指導室長矢部崇は、板橋区立幼稚園長2名、同小学校長54名、同中学校長23名から提出された自校の「平成25年度教職員一覧表」を集約して、「平成25年度板橋区立学校教職員一覧表」(乙5)を作成した。(平成26年9月1日付け被告板橋区準備書面(1)24頁)
〔平成26年9月1日付け被告板橋区準備書面(1)24頁、上から10行目から17行目まで〕
 キ 平成25年4月中旬頃、上記イの依頼を受け、各校長は、自校に備え置
  く人事関係の表簿(異動申告書など)に記載の情報を転記するなどして、
  自校の教職員一覧表を作成し、これを矢部室長に提出した。原告も板五中
  の教職員一覧表の作成・提出をしたが、生年月日、満年齢及び学歴の欄は
  空欄であった。
 ク 矢部室長は、指導室の職員らに対し、各校長から提出を受けた自校の教
  職員一覧表79校分の取り纏め(何ら加筆等せず綴る)を指示し、同職員
  らがその作業をして、「平成25年度教職員一覧表」が完成した(乙5)。

〔乙5.平成25年度板橋区立学校教職員一覧表〕
                               人 秘
  平成 25 年度
板橋区立学校  教職員一覧表
板 橋 区 教 育 委 員 会
          注)1.この名簿に記載してあるものは、平成25年5月1日現在在籍する教職員である。
             2.年齢及び勤務年月は、平成26年3月31日現在である。

板橋区立 板橋第五 中学校 学校教職員一覧表  校長室 ℡ (3964) 3822 4
 職員室 ℡ (3962) 7755 (      )
番号 職名 ふ り が な 学    歴 研究教科 分掌事務  〒 最寄駅 氏 名(ゴム印) 研究歴
氏    名 卒(修)業学校名 免許状種別 勤務年月 住   所 職 員 番 号 研究生 開発委員 研究員
生年月日(満年齢) 卒(修)業年月日 担任教科 学級担任 (電話番号) 所要時間 備  考
(時間)
本校
本区  〒
1 本都
通算
校長 (      ) 35
司書
本校
本区  〒
2 本都
通算
副校長 (      ) 40
司書
本校
本区  〒
3 本都
通算
7 (      ) 95
司書
本校
本区  〒
4 本都
通算
14 (      ) 70
司書
本校
本区  〒
5 本都
通算
15 (      ) 55
司書
本校
本区  〒
6 本都
通算
8 (      ) 65
司書
本校
本区  〒
7 本都
通算
9 (      ) 75
司書
本校
本区  〒
8 本都
通算
8 (      ) 50
司書
本校
本区  〒
9 本都
通算
8 (      ) 15
司書
本校
本区  〒
10 本都
通算
15 (      ) 60
司書
本校
本区  〒
11 本都
通算
13 (      ) 100
司書
本校
本区  〒
12 本都
通算
(      ) 60
司書
本校
本区  〒
13 本都
通算
3.5 (      ) 50
司書
本校
本区  〒
14 本都
通算
(      ) 70
司書
本校
本区  〒
15 本都
通算
(      ) 90
司書
本校
本区  〒
16 本都
通算
(      ) 30
司書

 被告板橋区は、東京地方裁判所平成26年(ワ)第12268号事件の証拠書証乙5「平成25年度板橋区立学校教職員一覧表」として、平成25年度板橋第五中学校教職員一覧表を提出した。
 証拠書証乙5の平成25年度板橋第五中学校教職員一覧表の次の項目は被覆されていた。氏名、生年月日、満年齢、学歴(卒(修)業学校名、卒(修)業年月日)、免許状種別、勤務年月、研究教科、担任教科、分掌事務、学級担任、自宅住所、自宅電話番号、自宅最寄駅、氏名(ゴム印)、職員番号、備考欄記載事項、研究歴。 

(4)掲載された職種

 「平成25年度板橋区立学校教職員一覧表」(乙5)には、下記の職種の都費負担教職員及び幼稚園職員が掲載された。
 校長、副校長、主幹教諭、主任教諭、教諭、再任用教諭、養護教諭、栄養教諭、期限付任用教諭、産・育休代替教諭、都費事務職員、都費栄養職員、指導主事、非常勤教員、嘱託員。
 休職者、在籍専従者、在外教育施設、新教育大等は枠外に記入する。

(5)掲載された項目

 「平成25年度板橋区立学校教職員一覧表」(乙5)には、下記の25項目が記載された。
 ①職名  校長、副校長、主幹教諭、主任教諭、教諭など
 ②氏名、ふりがな
 ③性別
 ④生年月日
 ⑤満年齢
 ⑥学歴(卒(修)業学校名、卒(修)業年月日)
 ⑦免許状種別  幼稚園、小学校、中学校、高等学校、養護学校、司書教諭
 ⑧勤務年月  本校、本区、本都、通算、校長、副校長
 ⑨研究教科
 ⑩担任教科(時間)
 ⑪分掌事務
 ⑫学級担任  所属学年・学級、副担任は〇学年副
 ⑬自宅住所
 ⑭自宅電話番号
 ⑮自宅最寄駅
 ⑯自宅から勤務地までの所要時間
 ⑰氏名(ゴム印)
 ⑱職員番号
 ⑲親族又は子どもが東京都公立小中学校・幼稚園に勤務又は通学(通園)の場合は、所属する学校(園)名 【例】[妻:〇〇小
  教諭、子:〇〇区〇〇中在学]
 ⑳管理職候補者の場合は、種別(23B、21Aなど)
 ㉑必置主任(教務、生活指導、研究、進路指導、保健、学年)
 ㉒休職者等はその期間、産・育休代替教諭は任用期間
 ㉓新規採用教員で学級経営研修生(定数外)の場合は、学級経営研修
 ㉔再任用短時間教員で新人育成教員の場合は、新人育成教員
 ㉕研究歴  研究生、開発委員、研究員

(6)掲載された教職員数

 「平成25年度板橋区立学校教職員一覧表」(乙5)には、「平成24年度板橋区立学校教職員一覧表」(乙4)と同様に、約1800人の板橋区立小中学校の都費負担教職員及び幼稚園職員が掲載された。

(7)配付先

 平成25年度板橋区教育委員会教育長橋本正彦は、平成25年4月下旬頃、「平成25年度板橋区立学校教職員一覧表」(乙5)を、同教育長、事務局次長寺西幸雄、指導室長矢部崇、指導室教職員係職員、指導室指導主事に配付した。(平成26年9月1日付け被告板橋区準備書面(1)24頁)
〔平成26年9月1日付け被告板橋区準備書面(1)24頁、上から18行目から20行目まで〕
 ケ 平成25年4月下旬頃、「平成25年度教職員一覧表」が区教委教育長、
  区教委事務局次長、同指導室長、同指導室教職員係及び指導主事に配付さ
  れた。

 平成24年度板橋区教育委員会教育長北川容子は、「平成24年度板橋区立学校教職員一覧表」(乙4)を板橋区立小学校校長会会長、板橋区立中学校校長会会長に配付したが、平成25年度板橋区教育委員会教育長橋本正彦は「平成25年度板橋区立学校教職員一覧表」(乙5)を板橋区立小学校校長会会長、板橋区立中学校校長会会長に配付しなかった。(平成26年9月1日付け被告板橋区準備書面(1)19頁・20頁)
〔平成26年9月1日付け被告板橋区準備書面(1)、19頁上から23行目から20頁上から1行目まで〕
 (2)「平成25年度教職員一覧表」について
    「平成25年度教職員一覧表」の作成過程、記載事項、配付先及び使用方
   法は、上記「平成24年度教職員一覧表」とほぼ同様である(乙5)。ただし、
   配付先については、板橋区立小学校校長会会長、同中学校校長会会長を除い
   た。

(8)使用目的

 「平成25年度板橋区立学校教職員一覧表」(乙5)の使用方法は、「平成24年度板橋区立学校教職員一覧表」(乙4)の使用方法と同じである。(平成26年9月1日付け被告板橋区準備書面(1)19頁・20頁)
〔平成26年9月1日付け被告板橋区準備書面(1)、19頁上から18行目から20頁上から1行目まで〕
  エ その使用方法については、区教委が都教委に提出する異動計画案及び異
   動配置案並びに各種調査回答を作成する際の資料として、また、各校長に
   対する個別ヒアリングにおける各校の人事上の要望事項等を十分に理解す
   るための参考としてなど、区教委による教員の人事に関する事務において
   用いられるものである。
(2)「平成25年度教職員一覧表」について
   「平成25年度教職員一覧表」の作成過程、記載事項、配付先及び使用方
  法は、上記「平成24年度教職員一覧表」とほぼ同様である(乙5)。ただし、
  配付先については、板橋区立小学校校長会会長、同中学校校長会会長を除い
  た。

 被告板橋区が主張する「平成25年度板橋区立学校教職員一覧表」(乙5)の使用目的は、区教委による教員の人事に関する事務の用に供するものであり、具体的には下記1、2のとおりに使用される。
1 板橋区教育委員会が東京都教育委員会に提出する異動計画案及び異動配置案並びに各種調査回答を作成する際の資料とする。
2 各校長に対する個別ヒアリングにおける各校の人事上の要望事項等を十分に理解する。

(9)教育長橋本正彦の違法行為

 ア 学歴(卒(修)業学校名、卒(修)業年月日)情報の収集と配付

 平成25年度板橋区教育委員会教育長橋本正彦は、「平成25年度板橋区立学校教職員一覧表」(乙5)を作成するにあたり、平成25年度板橋区立学校(園)に在職した職員の個人情報、学歴(卒(修)業学校名、卒(修)業年月日)を収集した。
 教育長橋本正彦は、上記個人情報、学歴(卒(修)業学校名、卒(修)業年月日)が記載された「平成25年度板橋区立学校教職員一覧表」(乙5)を、同教育長、事務局次長寺西幸雄、指導室長矢部崇、指導室教職員係職員、指導室指導主事に配付した。
 上記(8)のとおり、「平成25年度板橋区立学校教職員一覧表」(乙5)は教員の人事に関する事務の用に供され、具体的には下記1、2のとおりに使用される。
1 板橋区教育委員会が東京都教育委員会に提出する異動計画案及び異動配置案並びに各種調査回答を作成する際の資料とする。
2 各校長に対する個別ヒアリングにおける各校の人事上の要望事項等を十分に理解する。
 教育長橋本正彦、事務局次長寺西幸雄、指導室長矢部崇、指導室教職員係職員が、東京都教育委員会に提出する異動計画案及び異動配置案並びに各種調査回答を作成する際(使用目的1)、「平成25年度板橋区立学校教職員一覧表」(乙5)に記載された個人情報、学歴(卒(修)業学校名、卒(修)業年月日)は不要である。
 教育長橋本正彦、事務局次長寺西幸雄、指導室長矢部崇、指導室教職員係職員が、各校長に対する個別ヒアリングにおける各校の人事上の要望事項等を十分に理解するために(使用目的2)、「平成25年度板橋区立学校教職員一覧表」(乙5)に記載された個人情報、学歴(卒(修)業学校名、卒(修)業年月日)は不要である。
 したがって、教育長橋本正彦は、板橋区教育委員会事務局職員が職務を行う上で不要な個人情報、学歴(卒(修)業学校名、卒(修)業年月日)を収集して、同教育長、事務局次長寺西幸雄、指導室長矢部崇、指導室教職員係職員、指導室指導主事に配付した。
 教育長橋本正彦は、学歴(卒(修)業学校名、卒(修)業年月日)情報に関して、「平成25年度板橋区立学校教職員一覧表」(乙5)に掲載された都費負担教職員約1800人及び幼稚園職員の自己情報コントロール権を侵害した。
 よって、教育長橋本正彦は、憲法13条、教育基本法9条2項及び個人情報保護法3条に違反した。教育長橋本正彦は、地方公務員法32条、33条及び34条1項、地方教育行政法1条の2、11条6項及び25条に違反した。

※憲法13条〔個人の尊重、生命・自由・幸福追求の権利の尊重〕
 すべて国民は、個人として尊重される。生命、自由及び幸福追求に対する国民の権利については、公共の福祉に反しない限り、立法その他の国政の上で、最大の尊重を必要とする。
※教育基本法9条2項(教員)
 前項の教員については、その使命と職責の重要性にかんがみ、その身分は尊重され、待遇の適正が期せられるととに、養成と研修の充実が図られなければならない。
※個人情報保護法3条(基本理念)
 個人情報は、個々の人格尊重の理念の下に慎重に取り扱われるべきものであることにかんがみ、その適正な取扱いが図られなければならない。
※地方公務員法32条(法令等及び上司の職務上の命令に従う義務)
 職員は、その職務を遂行するに当たって、法令、条例、地方公共団体の規則及び地方公共団体の機関の定める規程に従い、且つ、上司の職務上の命令に忠実に従わなければならない。
※地方公務員法33条(信用失墜行為の禁止)
 職員は、その職の信用を傷つけ、又は職員の職全体の不名誉となるような行為をしてはならない。
※地方公務員法34条1項(秘密を守る義務)
 職員は、職務上知り得た秘密を漏らしてはならない。その職を退いた後も、また、同様とする。
※地方教育行政法1条の2(基本理念)
 地方公共団体における教育行政は、教育基本法の趣旨にのっとり、教育の機会均等、教育水準の維持向上及び地域の実情に応じた教育の振興が図られるよう、国との適正な役割分担及び相互の協力の下、公正かつ適正に行われなければならない。
※地方教育行政法11条6項(服務等)
 委員は、その職務の遂行に当たっては、自らが当該地方公共団体の教育行政の運営について負う重要な責任を自覚するとともに、第1条の2に規定する基本理念に則して当該地方公共団体の教育行政の運営が行われるよう意を用いなければならない。
※地方教育行政法25条(事務処理の法令準拠)
 教育委員会及び地方公共団体の長は、それぞれ前三条の事務を管理し、及び執行するに当たっては、法令、条例、地方公共団体の規則並びに地方公共団体の機関の定める規則及び規程に基づかなければならない。

 イ 自宅電話番号の収集と配付

 平成25年度板橋区教育委員会教育長橋本正彦は、「平成25年度板橋区立学校教職員一覧表」(乙5)を作成するにあたり、平成25年度板橋区立学校(園)に在職した職員の個人情報、自宅電話番号を収集した。
 教育長橋本正彦は、上記個人情報、自宅電話番号が記載された「平成25年度板橋区立学校教職員一覧表」(乙5)を、同教育長、事務局次長寺西幸雄、指導室長矢部崇、指導室教職員係職員、指導室指導主事に配付した。
 上記(8)のとおり、「平成25年度板橋区立学校教職員一覧表」(乙5)は教員の人事に関する事務の用に供され、具体的には下記1、2のとおりに使用される。
1 板橋区教育委員会が東京都教育委員会に提出する異動計画案及び異動配置案並びに各種調査回答を作成する際の資料とする。
2 各校長に対する個別ヒアリングにおける各校の人事上の要望事項等を十分に理解する。
 教育長橋本正彦、事務局次長寺西幸雄、指導室長矢部崇、指導室教職員係職員が、東京都教育委員会に提出する異動計画案及び異動配置案並びに各種調査回答を作成する際(使用目的1)、「平成25年度板橋区立学校教職員一覧表」(乙5)に記載された個人情報、自宅電話番号は不要である。
 教育長橋本正彦、事務局次長寺西幸雄、指導室長矢部崇、指導室教職員係職員が、各校長に対する個別ヒアリングにおける各校の人事上の要望事項等を十分に理解するために(使用目的2)、「平成25年度板橋区立学校教職員一覧表」(乙5)に記載された個人情報、自宅電話番号は不要である。
 したがって、教育長橋本正彦は、板橋区教育委員会事務局職員が職務を行う上で不要な個人情報、自宅電話番号を収集して、同教育長、事務局次長寺西幸雄、指導室長矢部崇、指導室教職員係職員、指導室指導主事に配付した。
 教育長橋本正彦は、自宅電話番号に関して、「平成25年度板橋区立学校教職員一覧表」(乙5)に掲載された都費負担教職員約1800人及び幼稚園職員の自己情報コントロール権を侵害した。
 よって、教育長橋本正彦は、憲法13条、教育基本法9条2項及び個人情報保護法3条に違反した。教育長橋本正彦は、地方公務員法32条、33条及び34条1項、地方教育行政法1条の2、11条6項及び25条に違反した。

※憲法13条〔個人の尊重、生命・自由・幸福追求の権利の尊重〕
 すべて国民は、個人として尊重される。生命、自由及び幸福追求に対する国民の権利については、公共の福祉に反しない限り、立法その他の国政の上で、最大の尊重を必要とする。
※教育基本法9条2項(教員)
 前項の教員については、その使命と職責の重要性にかんがみ、その身分は尊重され、待遇の適正が期せられるととに、養成と研修の充実が図られなければならない。
※個人情報保護法3条(基本理念)
 個人情報は、個々の人格尊重の理念の下に慎重に取り扱われるべきものであることにかんがみ、その適正な取扱いが図られなければならない。
※地方公務員法32条(法令等及び上司の職務上の命令に従う義務)
 職員は、その職務を遂行するに当たって、法令、条例、地方公共団体の規則及び地方公共団体の機関の定める規程に従い、且つ、上司の職務上の命令に忠実に従わなければならない。
※地方公務員法33条(信用失墜行為の禁止)
 職員は、その職の信用を傷つけ、又は職員の職全体の不名誉となるような行為をしてはならない。
※地方公務員法34条1項(秘密を守る義務)
 職員は、職務上知り得た秘密を漏らしてはならない。その職を退いた後も、また、同様とする。
※地方教育行政法1条の2(基本理念)
 地方公共団体における教育行政は、教育基本法の趣旨にのっとり、教育の機会均等、教育水準の維持向上及び地域の実情に応じた教育の振興が図られるよう、国との適正な役割分担及び相互の協力の下、公正かつ適正に行われなければならない。
※地方教育行政法11条6項(服務等)
 委員は、その職務の遂行に当たっては、自らが当該地方公共団体の教育行政の運営について負う重要な責任を自覚するとともに、第1条の2に規定する基本理念に則して当該地方公共団体の教育行政の運営が行われるよう意を用いなければならない。
※地方教育行政法25条(事務処理の法令準拠)
 教育委員会及び地方公共団体の長は、それぞれ前三条の事務を管理し、及び執行するに当たっては、法令、条例、地方公共団体の規則並びに地方公共団体の機関の定める規則及び規程に基づかなければならない。

 ウ 親族及び子どもの個人情報収集と配付

 平成25年度板橋区教育委員会教育長橋本正彦は、平成25年4月の時点で、板橋区立学校に在職する全ての都費負担教職員を対象にして掲載項目⑲「親族又は子どもが東京都公立小中学校・幼稚園に勤務又は通学(通園)の場合は、所属する学校(園)名。【例】[妻:〇〇小教諭、子:〇〇区〇〇中在学]」を収集して、「平成25年度板橋区立学校教職員一覧表」(乙5)を作成した。
 教育長橋本正彦は、上記個人情報、掲載項目⑲が記載された「平成25年度板橋区立学校教職員一覧表」(乙5)を、同教育長、事務局次長寺西幸雄、指導室長矢部崇、指導室教職員係職員、指導室指導主事に配付した。
 板橋区立学校校長は、異動対象者の「教育職員自己申告書(異動について)」(乙2)及び「異動申告書(異動についての校長所見)」(乙3)を板橋区教育委員会に提出し、異動対象者ではない教員の「教育職員自己申告書(異動について)」(乙2)及び「異動申告書(異動についての校長所見)」(乙3)を板橋区教育委員会に提出しない。(本ページ、4人事異動の仕組み(2))
 したがって、板橋区教育委員会は、平成25年10月に、各校長から異動対象者の「平成25年度教育職員自己申告書(異動について)」(乙2)及び「平成25年度異動申告書(異動についての校長所見)」(乙3)の提出を受けた。「平成25年度教育職員自己申告書(異動について)」(乙2)には「8家族等が都内公立学校に在籍・在職の場合(氏名、続柄、学校名、職又は学年)」情報が記載されているので、板橋区教育委員会は、平成25年10月に、異動対象者の「8家族等が都内公立学校に在籍・在職の場合(氏名、続柄、学校名、職又は学年)」情報を入手した。
 しかし、平成25年4月の時点で、教育長橋本正彦が作成した「平成25年度板橋区立学校教職員一覧表」(乙5)は全ての都費負担教職員を対象にして掲載項目⑲を記載したので、次年度異動しない教職員の掲載項目⑲も記載された。ちなみに、校長が、平成25年4月の時点で、所属職員の掲載項目⑲を自校の「平成25年度教職員一覧表」に記載するには、前年度までの「教育職員自己申告書(異動について)」(乙2)を参照するだけでは足りない。年度が改まると、親族の職場の異動があり、子どもの幼稚園・小学校・中学校への入学(入園)があるので、校長は該当職員に改めに掲載項目⑲の内容を聴取する必要がある。
 上記(8)のとおり、「平成25年度板橋区立学校教職員一覧表」(乙5)は教員の人事に関する事務の用に供され、具体的には下記1、2のとおりに使用される。
1 板橋区教育委員会が東京都教育委員会に提出する異動計画案及び異動配置案並びに各種調査回答を作成する際の資料とする。
2 各校長に対する個別ヒアリングにおける各校の人事上の要望事項等を十分に理解する。
 教育長橋本正彦、事務局次長寺西幸雄、指導室長矢部崇、指導室教職員係職員が、東京都教育委員会に提出する異動計画案及び異動配置案並びに各種調査回答を作成する際(使用目的1)、次年度異動しない教職員の掲載項目⑲は不要である。
 教育長橋本正彦、事務局次長寺西幸雄、指導室長矢部崇、指導室教職員係職員が、各校長に対する個別ヒアリングにおける各校の人事上の要望事項等を十分に理解するために(使用目的2)、次年度異動しない教職員の掲載項目⑲は不要である。
 したがって、教育長橋本正彦は、板橋区教育委員会事務局職員が職務を行う上で不要な個人情報、次年度異動しない教職員の掲載項目⑲を収集して、同教育長、事務局次長寺西幸雄、指導室長矢部崇、指導室教職員係職員、指導室指導主事に配付した。
 教育長橋本正彦は、掲載項目⑲に関して、「平成25年度板橋区立学校教職員一覧表」(乙5)に掲載された都費負担教職員約1800人及び幼稚園職員のうち次年度異動しない教職員の自己情報コントロール権を侵害した。
 よって、教育長橋本正彦は、憲法13条、教育基本法9条2項及び個人情報保護法3条に違反した。教育長橋本正彦は、地方公務員法32条、33条及び34条1項、地方教育行政法1条の2、11条6項及び25条に違反した。

※憲法13条〔個人の尊重、生命・自由・幸福追求の権利の尊重〕
 すべて国民は、個人として尊重される。生命、自由及び幸福追求に対する国民の権利については、公共の福祉に反しない限り、立法その他の国政の上で、最大の尊重を必要とする。
※教育基本法9条2項(教員)
 前項の教員については、その使命と職責の重要性にかんがみ、その身分は尊重され、待遇の適正が期せられるととに、養成と研修の充実が図られなければならない。
※個人情報保護法3条(基本理念)
 個人情報は、個々の人格尊重の理念の下に慎重に取り扱われるべきものであることにかんがみ、その適正な取扱いが図られなければならない。
※地方公務員法32条(法令等及び上司の職務上の命令に従う義務)
 職員は、その職務を遂行するに当たって、法令、条例、地方公共団体の規則及び地方公共団体の機関の定める規程に従い、且つ、上司の職務上の命令に忠実に従わなければならない。
※地方公務員法33条(信用失墜行為の禁止)
 職員は、その職の信用を傷つけ、又は職員の職全体の不名誉となるような行為をしてはならない。
※地方公務員法34条1項(秘密を守る義務)
 職員は、職務上知り得た秘密を漏らしてはならない。その職を退いた後も、また、同様とする。
※地方教育行政法1条の2(基本理念)
 地方公共団体における教育行政は、教育基本法の趣旨にのっとり、教育の機会均等、教育水準の維持向上及び地域の実情に応じた教育の振興が図られるよう、国との適正な役割分担及び相互の協力の下、公正かつ適正に行われなければならない。
※地方教育行政法11条6項(服務等)
 委員は、その職務の遂行に当たっては、自らが当該地方公共団体の教育行政の運営について負う重要な責任を自覚するとともに、第1条の2に規定する基本理念に則して当該地方公共団体の教育行政の運営が行われるよう意を用いなければならない。
※地方教育行政法25条(事務処理の法令準拠)
 教育委員会及び地方公共団体の長は、それぞれ前三条の事務を管理し、及び執行するに当たっては、法令、条例、地方公共団体の規則並びに地方公共団体の機関の定める規則及び規程に基づかなければならない。
 

 エ 指導主事への配付

 平成25年度板橋区教育委員会教育長橋本正彦は、「平成25年度板橋区立学校教職員一覧表」(乙5)を、板橋区教育委員会事務局指導室の指導主事に配付した。
 上記(8)のとおり、「平成25年度板橋区立学校教職員一覧表」(乙5)は教員の人事に関する事務の用に供され、具体的には下記1、2のとおりに使用される。
1 板橋区教育委員会が東京都教育委員会に提出する異動計画案及び異動配置案並びに各種調査回答を作成する際の資料とする。
2 各校長に対する個別ヒアリングにおける各校の人事上の要望事項等を十分に理解する。
 地方教育行政法19条3項により、指導主事の職務は、「上司の命を受け、学校における教育課程、学習指導その他学校教育に関する専門的事項の指導に関する事務に従事する。」である。教員の人事に関する事務は、指導主事の職務ではない。したがって、指導主事は、板橋区教育委員会が東京都教育委員会に提出する異動計画案及び異動配置案の作成(使用目的1)を行わない。指導主事は、人事に係わる各校長に対する個別ヒアリング(使用目的2)を行わない。
 仮に、指導主事が東京都教育委員会に提出する各種調査回答のために「平成25年度板橋区立学校教職員一覧表」(乙5)を使用することがあるとすれば、同一覧表の「学校における教育課程、学習指導その他学校教育に関する専門的事項の指導に関する事務」に係わる内容を参照することになる。したがって、指導主事が職務を行う際、「平成25年度板橋区立学校教職員一覧表」(乙5)に記載された下記の個人情報は不要である。
 掲載項目④生年月日、⑥学歴(卒(修)業学校名、卒(修)業年月日)、⑬自宅住所、⑭自宅電話番号、⑮自宅最寄駅、⑯自宅から勤務地までの所要時間、⑲親族又は子どもが東京都公立小中学校・幼稚園に勤務又は通学(通園)の場合の所属する学校(園)名。【例】[妻:〇〇小教諭、子:〇〇区〇〇中在学]。
 したがって、教育長橋本正彦は、指導主事が職務を行う上で不要な個人情報が記載された「平成25年度板橋区立学校教職員一覧表」(乙5)を、指導主事に違法に配付した。
 教育長橋本正彦は、「平成25年度板橋区立学校教職員一覧表」(乙5)を指導主事に違法に配付したことにより、同一覧表に掲載された都費負担教職員約1800人及び幼稚園職員の自己情報コントロール権を侵害した。
 よって、教育長橋本正彦は、憲法13条、教育基本法9条2項及び個人情報保護法3条に違反した。教育長橋本正彦は、地方公務員法32条、33条及び34条1項、地方教育行政法1条の2、11条6項、19条3項及び25条に違反した。

※憲法13条〔個人の尊重、生命・自由・幸福追求の権利の尊重〕
 すべて国民は、個人として尊重される。生命、自由及び幸福追求に対する国民の権利については、公共の福祉に反しない限り、立法その他の国政の上で、最大の尊重を必要とする。
※教育基本法9条2項(教員)
 前項の教員については、その使命と職責の重要性にかんがみ、その身分は尊重され、待遇の適正が期せられるととに、養成と研修の充実が図られなければならない。
※個人情報保護法3条(基本理念)
 個人情報は、個々の人格尊重の理念の下に慎重に取り扱われるべきものであることにかんがみ、その適正な取扱いが図られなければならない。
※地方公務員法32条(法令等及び上司の職務上の命令に従う義務)
 職員は、その職務を遂行するに当たって、法令、条例、地方公共団体の規則及び地方公共団体の機関の定める規程に従い、且つ、上司の職務上の命令に忠実に従わなければならない。
※地方公務員法33条(信用失墜行為の禁止)
 職員は、その職の信用を傷つけ、又は職員の職全体の不名誉となるような行為をしてはならない。
※地方公務員法34条1項(秘密を守る義務)
 職員は、職務上知り得た秘密を漏らしてはならない。その職を退いた後も、また、同様とする。
※地方教育行政法1条の2(基本理念)
 地方公共団体における教育行政は、教育基本法の趣旨にのっとり、教育の機会均等、教育水準の維持向上及び地域の実情に応じた教育の振興が図られるよう、国との適正な役割分担及び相互の協力の下、公正かつ適正に行われなければならない。
※地方教育行政法11条6項(服務等)
 委員は、その職務の遂行に当たっては、自らが当該地方公共団体の教育行政の運営について負う重要な責任を自覚するとともに、第1条の2に規定する基本理念に則して当該地方公共団体の教育行政の運営が行われるよう意を用いなければならない。
※地方教育行政法19条3項(指導主事その他の職員)
 指導主事は、上司の命を受け、学校における教育課程、学習指導その他学校教育に関する専門的事項の指導に関する事務に従事する。
※地方教育行政法25条(事務処理の法令準拠)
 教育委員会及び地方公共団体の長は、それぞれ前三条の事務を管理し、及び執行するに当たっては、法令、条例、地方公共団体の規則並びに地方公共団体の機関の定める規則及び規程に基づかなければならない。
 

(10)板橋区区長坂本健の事実誤認

 板橋区区長坂本健は、東京地方裁判所平成26年(ワ)第12268号事件に提出した平成26年9月1日付け被告板橋区準備書面(1)23頁において、原告依田郁夫の「平成25年度板橋区立学校教職員一覧表」(乙5)に係わる事実を下記のとおり主張した。
〔平成26年9月1日付け被告板橋区準備書面(1)23頁、上から12行目から20行目まで〕
 ウ 平成25年4月2日(又は3日)、矢部室長は原告から電話を受け、同人
  から、板五中の平成25年度の教職員一覧表については、生年月日(満年
  齢)、学歴(卒(修)業学校名、卒(修)業年月日)、親族又は子どもが東
  京都公立小中学校・幼稚園に勤務又は通学(通園)の場合の所属する学校
  (園)名は個人情報に当たるので、これらは記載しないで提出するとの申
  し出を受けた。これに対し矢部室長は、生年月日と満年齢は記載して欲し
  いと依頼した。しかし、原告はこれに応じず、個人情報に当たると繰り返
  し述べるので、矢部室長も、生年月日と満年齢は記載して欲しいと繰り返
  し依頼したが、原告の理解は得られなかった。

 原告依田郁夫は、平成25年4月2日(又は3日)に、指導室長矢部崇に、電話で、「板五中の平成25年度の教職員一覧表については、生年月日(満年齢)、学歴(卒(修)業学校名、卒(修)業年月日)、親族又は子どもが東京都公立小中学校・幼稚園に勤務又は通学(通園)の場合の所属する学校(園)名は個人情報に当たるので、これらは記載しないで提出する」との申出をしていない。
 原告依田郁夫は、平成25年4月10日頃、指導室長矢部崇に「板橋第五中学校が提出する「平成25年度教職員一覧表」の記載事項のうち出身大学名、卒(修)業年月日、生年月日、満年齢、親族及び子どもが東京都内公立小中学校に在職(在籍)している場合の親族(子ども)の氏名、在職(在学)校名、職名(学年)は個人情報にあたるので、記載しない旨」を電話で伝えた。(訴状、18頁)
 したがって、「平成25年4月2日(又は3日)、矢部室長は原告から電話を受け、同人から、板五中の平成25年度の教職員一覧表については、生年月日(満年齢)、学歴(卒(修)業学校名、卒(修)業年月日)、親族又は子どもが東京都公立小中学校・幼稚園に勤務又は通学(通園)の場合の所属する学校(園)名は個人情報に当たるので、これらは記載しないで提出するとの申し出を受けた。」(平成26年9月1日付け被告板橋区準備書面(1)23頁、上から12行目から17行目まで)は、原告依田郁夫が指導室長矢部崇に電話をした期日が事実ではない。

〔訴状18頁、上から20行目から25行目まで〕
   平成25年4月10日頃、原告は指導室長矢部崇に、板橋第五中学校
  が提出する「平成25年度教職員一覧表」の記載事項のうち出身大学名、
  卒(修)業年月日、生年月日、満年齢、親族及び子どもが東京都内公立
  小中学校に在職(在籍)している場合の親族(子ども)の氏名、在職(在
  学)校名、職名(学年)は個人情報にあたるので、記載しない旨を電話
  で伝えた。

(11)板橋区区長坂本健の違法行為

 ア 事実認定の過誤

 板橋区区長坂本健は、東京地方裁判所平成26年(ワ)第12268号事件に提出した平成26年9月1日付け被告板橋区準備書面(1)18頁において、「平成25年度板橋区立学校教職員一覧表」(乙5)は「区教委の内申等、つまり区教委が都教委に提出する異動計画案及び異動配置案並びに各種調査回答を作成する際の資料等として必要なものである」と主張した。
〔平成26年9月1日付け被告板橋区準備書面(1)18頁、上から7行目から24行目まで〕
 エ 以上の人事異動の仕組みの下では、「平成24年度教職員一覧表」、「平
  成25年度教職員一覧表」、「平成24年度板橋区立中学校教職員一覧表」、
  「平成25年度板橋区立中学校教職員一覧表」、「平成26年度定期異動状
  況調査一覧表」及び「平成26年度定期異動に関する求人・紹介一覧表」
  は、必要なものである。
   すなわち、都教委の人事異動は、制度上、区教委の内申、各校長の具申
  の基に成り立っているところ、「教職員一覧表」は区教委の内申等、つまり
  区教委が都教委に提出する異動計画案及び異動配置案並びに各種調査回答
  を作成する際の資料等として、また、「中学校教職員一覧表」、「定期異動状
  況調査票」及び「定期異動に関する求人・紹介一覧表」は校長の具申を始
  めとして、自校の学校経営方針や人事構想の実現に向け、自校の人事上の
  要望事項を具体化等するための資料として、それぞれ必要なものである。
  また、これらを用いることによって、「適材適所の配置」や「学校における
  望ましい教員構成の確保」など、定期異動の目的達成に資することとなる。
  とりわけ、板橋区内の人事異動においては、校長から人事上の要望事項に
  ついて、個別具体的に聴取し、異動計画案に反映させることで、校長の学
  校経営方針や人事構想の実現をきめ細かく支援し、板橋区全体の教育水準
  の向上を図ることができるものである。

 下記(ア)のとおり、板橋区教育委員会事務局は、板橋区立学校に在職する都費負担教職員の「履歴カード」(甲31ないし甲34)、「教育職員自己申告書(異動について)」(乙2)、「異動申告書(異動についての校長所見)」(乙3)、「人事構想調書」(甲35)及び外の表簿を保有する。
 板橋区教育委員会は、同事務局が保有する表簿により、「平成25年度板橋区立学校教職員一覧表」(乙5)の必要性「区教委の内申等、つまり区教委が都教委に提出する異動計画案及び異動配置案並びに各種調査回答を作成する際の資料等」並びに同一覧表の使用方法「区教委が都教委に提出する異動計画案及び異動配置案並びに各種調査回答を作成する際の資料として、また、各校長に対する個別ヒアリングにおける各校の人事上の要望事項等を十分に理解するための参考」(平成26年9月1日付け被告板橋区準備書面(1)19頁、上から18行目から21行目まで)を満たすことができる。したがって、「平成25年度板橋区立学校教職員一覧表」(乙5)は必要なものではない。
 上記(9)ア、イ、ウのとおり、板橋区教育委員会は、「平成25年度板橋区立学校教職員一覧表」(乙5)を作成するにあたり、同事務局職員が職務を行う上で不要な個人情報である学歴(卒(修)業学校名、卒(修)業年月日)、自宅電話番号、次年度異動しない教員の掲載項目⑲を収集した。したがって、板橋区教育委員会事務局職員が職務を行う上で不要な個人情報を収集して作成した「平成25年度板橋区立学校教職員一覧表」(乙5)は、必要なものであると言うことはできない。
 よって、板橋区区長坂本健は、「平成25年度板橋区立学校教職員一覧表」(乙5)の必要性について事実認定を誤る違法行為を行った。
 なお、板橋区教育委員会が、毎年度4月に板橋区立学校校長(園長)に自校の「教職員一覧表」を作成して提出させ、毎年度4月中に「板橋区立学校教職員一覧表」を作成した目的は下記(イ)のとおりである。
 (ア)板橋区教育委員会事務局が保有する表簿
 板橋区教育委員会事務局は、下記の「履歴カード」(甲31ないし甲34)、「教育職員自己申告書(異動について)」(乙2)、「異動申告書(異動についての校長所見)」(乙3)、「人事構想調書」(甲35)を保有する。
【履歴カード(甲31ないし甲34)】
 東京都教育庁は、毎年度5月下旬に、板橋区立学校に在職する全ての都費負担教職員の履歴カードを2部、板橋区教育委員会事務局に送付する。板橋区教育委員会事務局は履歴カードを1部保管し、外の1部を該当校に送付する。(甲32、甲33)
 履歴カードには、次の1ないし22が記載されている。1氏名、2職員番号、3生年月日、4性別、5職名、6現住所、7旧住所、8本(国)籍、9最寄り駅、10現所属、11職級等、12学歴、13教員免許、14資格免許、15旧氏名、16採用選考、17前歴、18採用年月日、19初任給に関する事項、20研修名、21勤務記録、22旧姓使用。(甲31、別紙1)
 履歴カードに記載されている上記内容は、「平成25年度板橋区立学校教職員一覧表」(乙5)の掲載項目①ないし㉕のうち次の項目に相当する。掲載項目①、②、③、④、⑥、⑦、⑧、⑨、⑩、⑬、⑮、⑰、⑱、⑳、㉒、㉓、㉔、㉕。
【教育職員自己申告書(異動について)(乙2)】
 「教育職員自己申告書(異動について)」(乙2)は、全ての教員が作成して校長に提出した。校長は、異動対象者の「教育職員自己申告書(異動について)」(乙2)を「異動申告書(異動についての校長所見)」(乙3)の裏面にコピーして、毎年度10月に板橋区教育委員会に提出した。
 教員は「教育職員自己申告書(異動について)」(乙2)に、所属、職名、氏名、性別、職員番号、生年月日、年齢、現任校実勤務年数、自宅住所、自宅最寄駅、現任校片道通勤時間、校務分掌、担任学年、主任、部活動、教職歴、研修歴・研究歴、所有する免許状、異動について、活用して欲しい能力、健康状況、家族等が都内公立学校に在籍・在職の場合の氏名、続柄、学校名、職又は学年などを記入した。
 「教育職員自己申告書(異動について)」(乙2)に記載されている上記内容は、「平成25年度板橋区立学校教職員一覧表」(乙5)の掲載項目①ないし㉕のうち次の項目に相当する。掲載項目①、②、③、④、⑤、⑦、⑧、⑨、⑩、⑪、⑫、⑬、⑮、⑯、⑰、⑱、⑲、⑳、㉑、㉒、㉓、㉔、㉕。
【異動申告書(異動についての校長所見)(乙3)】
 校長は、異動対象者の「異動申告書(異動についての校長所見)」(乙3)を作成し、裏面に「教育職員自己申告書(異動について)」(乙2)をコピーして、毎年度10月に板橋区教育委員会に提出した。
 校長は「異動申告書(異動についての校長所見)」(乙3)に、氏名、職員番号、性別、年齢、勤務の状況、能力活用と育成、資格・免許等、学習指導力・生活指導力・進路指導力・外部との連携・折衝力・学校運営力・組織貢献力についての校長所見、異動に関する意見と理由、人事構想伝達日、□異動の対象とする、□異動の対象としないなどを記入した。
 「異動申告書(異動についての校長所見)」(乙3)に記載されている上記内容は、「平成25年度板橋区立学校教職員一覧表」(乙5)の掲載項目①ないし㉕のうち次の項目に相当する。掲載項目②、③、⑤、⑰、⑱、㉒。
【人事構想調書(甲35)】
 「人事構想調書」(甲35)は、校長が次年度の人事構想を作成して、毎年度10月に板橋区教育委員会に提出した。
 校長は「人事構想調書」(甲35)に、学校経営方針の要点、現在の教員構成上の課題、経営方針実現のために活用したい教員の能力、所属する全ての教員の職名・氏名・性別・年齢・都教職年数・現任校年数・教科・担任(学年・組)・現校務分掌・次年度予定分掌・本人意向・校長具申・備考、次年度の人事構想を記載した。
 「人事構想調書」(甲35)に記載されている上記内容は、「平成25年度板橋区立学校教職員一覧表」(乙5)の掲載項目①ないし㉕のうち次の項目に相当する。掲載項目①、②、③、⑤、⑧、⑩、⑪、⑫、⑰、⑳、㉑、㉒、㉓、㉔。
 (イ)「板橋区立学校教職員一覧表」作成の目的
 板橋区教育委員会は下記ⅰないしⅳの目的のために、毎年度4月に板橋区立学校校長(園長)に自校の「教職員一覧表」を作成して提出させ、毎年度4月中に「板橋区立学校教職員一覧表」を作成した。
 ⅰ 複数の表簿に分散して記載されている教職員の情報を一つの表簿にまとめる
 ⅱ 板橋区立学校(園)全79校(園)に在職する都費負担教職員約1800人と幼稚園職員の情報を一つの表簿にまとめる
 ⅲ 年度当初の4月に情報を収集する
【履歴カード】
 板橋区教育委員会事務局は、前年度板橋区に在職していた教員の「履歴カード」を保管している(甲34)。また、板橋区の外から転入した教員の前年度の「履歴カード」は、異動とともに当該地教委から板橋区教育委員会事務局に送付される(甲34)。そして、最新の「履歴カード」は、毎年度5月下旬に、東京都教育庁から板橋区教育委員会事務局に送付される(甲32、甲33)。
 「履歴カード」に記載されている情報は、「板橋区立学校教職員一覧表」の掲載項目①職名、②氏名、③性別、④生年月日、⑥学歴(卒(修)業学校名、卒(修)業年月日)、⑦免許状種別、⑧勤務年月、⑨研究教科、⑩担任教科、⑬自宅住所、⑮自宅最寄駅、⑰氏名(ゴム印)、⑱職員番号、⑳管理職候補者の場合の種別、㉒休職者等の期間、㉓新規採用教員、㉔再任用短時間教員、㉕研究歴である。
 年度が改まると、「板橋区立学校教職員一覧表」の掲載項目⑧は変わり、掲載項目①、②、⑥、⑦、⑨、⑩、⑬、⑮、⑰、⑳、㉒、㉓、㉔、㉕は変わる可能性がある。そこで、板橋区教育委員会は、最新の「履歴カード」が送付される前の4月に、同カードに記載されている情報を収集するために「板橋区立学校教職員一覧表」を作成した。
【教育職員自己申告書(異動について)、異動申告書(異動についての校長所見)、人事構想調書】
 「教育職員自己申告書(異動について)」(乙2)、「異動申告書(異動についての校長所見)」(乙3)及び「人事構想調書」(甲35)は、毎年度10月に、校長が板橋区教育委員会に提出した。板橋区教育委員会は上記3点の表簿が提出される前の4月に、同表簿に記載されている情報を収集するために「板橋区立学校教職員一覧表」を作成した。
 上記3点の表簿に記載があり「履歴カード」に記載がない情報は、「板橋区立学校教職員一覧表」の掲載項目⑤満年齢、⑪分掌事務、⑫学級担任、⑯自宅から勤務地までの所要時間、⑲親族又は子どもが東京都公立小中学校・幼稚園に勤務又は通学(通園)の場合の学校名【例】[妻:〇〇小教諭、子:〇〇区〇〇中在学]、㉑必置主任(教務、生活指導、研究、進路指導、保健、学年)である。
 ⅳ 親族及び子どもの個人情報を収集する
 校長が板橋区教育委員会に提出する「教育職員自己申告書(異動について)」(乙2)及び「異動申告書(異動についての校長所見)」(乙3)は、異動対象者の分である。したがって、板橋区教育委員会は、次年度異動しない教員の「教育職員自己申告書(異動について)」(乙2)及び「異動申告書(異動についての校長所見)」(乙3)を保有していない。(本ページ、4人事異動の仕組み(2))
 外の表簿に記載がなく、「教育職員自己申告書(異動について)」(乙2)にのみ記載されている情報は掲載項目⑲「親族又は子どもが東京都公立小中学校・幼稚園に勤務又は通学(通園)の場合は、所属する学校(園)名。【例】[妻:〇〇小教諭、子:〇〇区〇〇中在学]」である。そこで、板橋区教育委員会は、次年度異動しない教員を含めた全教職員を対象にして掲載項目⑲を収集するために「板橋区立学校教職員一覧表」を作成した。
 なお、校長が、毎年度4月に、自校の「教職員一覧表」の掲載項目⑲を記載するためには、前年度までの「教育職員自己申告書(異動について)」(乙2)を参照するだけでは足りない。なぜならば、年度が改まると、親族の職場の異動があり、子どもの幼稚園・小学校・中学校への入学(入園)があるので、校長は該当職員から改めて掲載項目⑲の内容を聴取する必要がある。

 イ 法令解釈の過誤

 板橋区区長坂本健は、東京地方裁判所平成26年(ワ)第12268号事件に提出した平成26年9月1日付け被告板橋区準備書面(1)18頁において、「平成25年度板橋区立学校教職員一覧表」(乙5)は必要なものであると主張し、平成25年度板橋区教育委員会教育長橋本正彦が同一覧表を作成して配付・使用したことを支持した。
〔平成26年9月1日付け被告板橋区準備書面(1)18頁、上から7行目から11行目まで〕
 エ 以上の人事異動の仕組みの下では、「平成24年度教職員一覧表」、「平
  成25年度教職員一覧表」、「平成24年度板橋区立中学校教職員一覧表」、
  「平成25年度板橋区立中学校教職員一覧表」、「平成26年度定期異動状
  況調査一覧表」及び「平成26年度定期異動に関する求人・紹介一覧表」
  は、必要なものである。

 上記(9)アのとおり、教育長橋本正彦は、板橋区教育委員会事務局職員が職務を行う上で不要な個人情報、学歴(卒(修)業学校名、卒(修)業年月日)を収集して、同教育長、事務局次長寺西幸雄、指導室長矢部崇、指導室教職員係職員、指導室指導主事に配付した。
 教育長橋本正彦は、学歴(卒(修)業学校名、卒(修)業年月日)情報に関して、「平成25年度板橋区立学校教職員一覧表」(乙5)に掲載された都費負担教職員約1800人及び幼稚園職員の自己情報コントロール権を侵害した。
 教育長橋本正彦は、憲法13条、教育基本法9条2項、個人情報保護法3条、地方公務員法32条、33条及び34条1項、地方教育行政法1条の2、11条6項及び25条に違反した。
 上記(9)イのとおり、教育長橋本正彦は、板橋区教育委員会事務局職員が職務を行う上で不要な個人情報、自宅電話番号を収集して、同教育長、事務局次長寺西幸雄、指導室長矢部崇、指導室教職員係職員、指導室指導主事に配付した。
 教育長橋本正彦は、自宅電話番号に関して、「平成25年度板橋区立学校教職員一覧表」(乙5)に掲載された都費負担教職員約1800人及び幼稚園職員の自己情報コントロール権を侵害した。
 教育長橋本正彦は、憲法13条、教育基本法9条2項、個人情報保護法3条、地方公務員法32条、33条及び34条1項、地方教育行政法1条の2、11条6項及び25条に違反した。
 上記(9)ウのとおり、教育長橋本正彦は、板橋区教育委員会事務局職員が職務を行う上で不要な個人情報、次年度異動しない教職員の掲載項目⑲「親族又は子どもが東京都公立小中学校・幼稚園に勤務又は通学(通園)の場合は、所属する学校(園)名。【例】[妻:〇〇小教諭、子:〇〇区〇〇中在学]」を収集して、同教育長、事務局次長寺西幸雄、指導室長矢部崇、指導室教職員係職員、指導室指導主事に配付した。
 教育長橋本正彦は、掲載項目⑲に関して、「平成25年度板橋区立学校教職員一覧表」(乙5)に掲載された都費負担教職員約1800人及び幼稚園職員のうち次年度異動しない教職員の自己情報コントロール権を侵害した。
 教育長橋本正彦は、憲法13条、教育基本法9条2項、個人情報保護法3条、地方公務員法32条、33条及び34条1項、地方教育行政法1条の2、11条6項及び25条に違反した。
 上記(9)エのとおり、教育長橋本正彦は、指導主事が職務を行う上で不要な個人情報が記載された「平成25年度板橋区立学校教職員一覧表」(乙5)を、指導主事に違法に配付した。
 教育長橋本正彦は、「平成25年度板橋区立学校教職員一覧表」(乙5)を指導主事に違法に配付したことにより、同一覧表に掲載された都費負担教職員約1800人及び幼稚園職員の自己情報コントロール権を侵害した。
 教育長橋本正彦は、憲法13条、教育基本法9条2項、個人情報保護法3条、地方公務員法32条、33条及び34条1項、地方教育行政法1条の2、11条6項、19条3項及び25条に違反した。
 したがって、板橋区区長坂本健は、憲法13条、教育基本法9条2項、個人情報保護法3条、地方公務員法32条、33条及び34条1項、地方教育行政法1条の2、11条6項、19条3項及び25条の解釈適用を誤り、教育長橋本正彦の違法行為を支持した。
 よって、板橋区区長坂本健は、法令等の解釈適用を誤る違法行為を行った。

 ウ 不作為責任

 板橋区区長坂本健は、板橋区教育委員会の委員である橋本正彦の任命権者であり、かつ板橋区教育委員会事務局の長である教育長橋本正彦の指揮監督者である。(本ページ、3改正前地方教育行政法における教育長と区長)
 上記(9)アのとおり、教育長橋本正彦は、板橋区教育委員会事務局職員が職務を行う上で不要な個人情報、学歴(卒(修)業学校名、卒(修)業年月日)を収集して、同教育長、事務局次長寺西幸雄、指導室長矢部崇、指導室教職員係職員、指導室指導主事に配付した。
 教育長橋本正彦は、学歴(卒(修)業学校名、卒(修)業年月日)情報に関して、「平成25年度板橋区立学校教職員一覧表」(乙5)に掲載された都費負担教職員約1800人及び幼稚園職員の自己情報コントロール権を侵害した。
 上記(9)イのとおり、教育長橋本正彦は、板橋区教育委員会事務局職員が職務を行う上で不要な個人情報、自宅電話番号を収集して、同教育長、事務局次長寺西幸雄、指導室長矢部崇、指導室教職員係職員、指導室指導主事に配付した。
 教育長橋本正彦は、自宅電話番号に関して、「平成25年度板橋区立学校教職員一覧表」(乙5)に掲載された都費負担教職員約1800人及び幼稚園職員の自己情報コントロール権を侵害した。
 上記(9)ウのとおり、教育長橋本正彦は、板橋区教育委員会事務局職員が職務を行う上で不要な個人情報、次年度異動しない教職員の掲載項目⑲「親族又は子どもが東京都公立小中学校・幼稚園に勤務又は通学(通園)の場合は、所属する学校(園)名。【例】[妻:〇〇小教諭、子:〇〇区〇〇中在学]」を収集して、同教育長、事務局次長寺西幸雄、指導室長矢部崇、指導室教職員係職員、指導室指導主事に配付した。
 教育長橋本正彦は、掲載項目⑲に関して、「平成25年度板橋区立学校教職員一覧表」(乙5)に掲載された都費負担教職員約1800人及び幼稚園職員のうち次年度異動しない教職員の自己情報コントロール権を侵害した。
 上記(9)エのとおり、教育長橋本正彦は、指導主事が職務を行う上で不要な個人情報が記載された「平成25年度板橋区立学校教職員一覧表」(乙5)を、指導主事に違法に配付した。
 教育長橋本正彦は、「平成25年度板橋区立学校教職員一覧表」(乙5)を指導主事に違法に配付したことにより、同一覧表に掲載された都費負担教職員約1800人及び幼稚園職員の自己情報コントロール権を侵害した。
 教育長橋本正彦の上記(9)アないしエの行為は、憲法13条、教育基本法9条2項、個人情報保護法3条、地方公務員法32条、33条及び34条1項、地方教育行政法1条の2、11条6項、19条3項及び25条違反である。
 しかし、板橋区区長坂本健は、違法行為者橋本正彦に改善命令を発することなく、懲戒処分を科すことなく、解任等を行わなかった。板橋区区長坂本健は、橋本正彦に、任命権及び指揮監督権にもとづく措置を講じなかった。それどころか、板橋区区長坂本健は、「平成25年度板橋区立学校教職員一覧表」(乙5)は必要なものであると主張して、教育長橋本正彦の違法行為を支持した。(平成26年9月1日付け被告板橋区準備書面(1)18頁、上から7行目から11行目まで)
 よって、板橋区区長坂本健には任命権及び指揮監督権の不行使による違法、不作為責任がある。 

8 平成24年度板橋区立中学校教職員一覧表

(1)被告板橋区の主張

 被告板橋区は、東京地方裁判所平成26年(ワ)第12268号事件に提出した平成26年9月1日付け準備書面(1)17頁・18頁において、「平成24年度板橋区立中学校教職員一覧表」の使用方法及び必要性を下記のとおり主張した。
〔平成26年9月1日付け被告板橋区準備書面(1)、17頁上から26行目から18頁上から24行目まで〕
 ウ 人事異動には、板橋区内から板橋区外へ、又板橋区外から板橋区内へ
  の人事異動のほか、上記イ⑦のとおり板橋区内における人事異動がある。
   板橋区においては、上記イ⑤の人事上の要望事項として、校長が必要と
  する人材が具体的にいる場合、区教委は、当該人材の氏名等を校長から聴
  取し、その内容を勘案して、異動配置案に反映させることにより、校長の
  学校経営方針や人事構想の実現をきめ細かく支援し、板橋区立学校全体の
  教育水準の向上を図っている。
 エ 以上の人事異動の仕組みの下では、「平成24年度教職員一覧表」、「平
  成25年度教職員一覧表」、「平成24年度板橋区立中学校教職員一覧表」、
  「平成25年度板橋区立中学校教職員一覧表」、「平成26年度定期異動状
  況調査一覧表」及び「平成26年度定期異動に関する求人・紹介一覧表」
  は、必要なものである。
   すなわち、都教委の人事異動は、制度上、区教委の内申、各校長の具申
  の基に成り立っているところ、「教職員一覧表」は区教委の内申等、つまり
  区教委が都教委に提出する異動計画案及び異動配置案並びに各種調査回答
  を作成する際の資料等として、また、「中学校教職員一覧表」、「定期異動状
  況調査票」及び「定期異動に関する求人・紹介一覧表」は校長の具申を始
  めとして、自校の学校経営方針や人事構想の実現に向け、自校の人事上の
  要望事項を具体化等するための資料として、それぞれ必要なものである。
  また、これらを用いることによって、「適材適所の配置」や「学校における
  望ましい教員構成の確保」など、定期異動の目的達成に資することとなる。
  とりわけ、板橋区内の人事異動においては、校長から人事上の要望事項に
  ついて、個別具体的に聴取し、異動計画案に反映させることで、校長の学
  校経営方針や人事構想の実現をきめ細かく支援し、板橋区全体の教育水準
  の向上を図ることができるものである。

 被告板橋区は、東京地方裁判所平成26年(ワ)第12268号事件に提出した平成26年9月1日付け準備書面(1)20頁において、「平成24年度板橋区立中学校教職員一覧表」の作成過程、記載事項、配付先、使用方法について、事実上の主張をした。 
〔平成26年9月1日付け被告板橋区準備書面(1)20頁、上から2行目から16行目まで〕
(3)「平成24年度板橋区立中学校教職員一覧表」について
  ア 「平成24年度板橋区立中学校教職員一覧表」の作成過程は、次のとお
   りである。
    板橋区立中学校校長会(以下「校長会」という。)の会長は、各中学校校
   長が作成した自校の教職員一覧表23校分を同校長から収集し、これを
   取り纏め(何ら加筆等せずに綴る)、「平成24年度板橋区立中学校教職員
   一覧表」が完成する(上記収集及び取り纏めの作業は、板橋区立中学校副
   校長会(副校長ら。以下「副校長会」という。)が行っている。)。
  イ その記載事項は、「平成24年度教職員一覧表」と同様に、職名、氏名、
   性別、生年月日、満年齢、学歴、免許状種別、勤務年月、住所、研究歴等
   である(乙4参照)。
  ウ その配付先は、各中学校校長及び副校長である。
  エ その使用方法については、中学校校長が、自校の学校経営方針や人事構
   想の実現に向け、自校の人事上の要望事項を具体化等するための資料など
   として用いられるものである。

(2)平成24年度板橋区立中学校教職員一覧表の作成

 平成24年度板橋区立中学校校長会会長工藤雅敏(赤塚第三中学校校長)は、平成24年5月、各中学校校長が作成して平成24年度板橋区教育委員会事務局指導室長矢部崇に提出した自校の「平成24年度教職員一覧表」23校分を集約して、「平成24年度板橋区立中学校教職員一覧表」を作成した。
 現行の学制が施行された昭和22年から平成24年までの65年間、板橋区立中学校校長会は「板橋区立中学校教職員一覧表」を作成してきた蓋然性が高い。
〔平成26年9月1日付け被告板橋区準備書面(1)23頁、上から2行目から5行目まで〕
 オ 平成24年5月、平成24年度副校長会(副校長ら)は、各中学校校長
  が作成した自校の教職員一覧表23校分の収集及び取り纏め(何ら加筆等
  せず綴る)の作業をして、「平成24年度板橋区立中学校教職員一覧表」が
  完成した。

(3)掲載された職種

 「平成24年度板橋区立中学校教職員一覧表」には、下記の職種の都費負担教職員が掲載された。
 校長、副校長、主幹教諭、主任教諭、教諭、再任用教諭、養護教諭、栄養教諭、都費事務職員、都費栄養職員、指導主事。
 休職者、在籍専従者、在外教育施設、新教育大等は枠外に記入する。

(4)掲載された項目

 「平成24年度板橋区立中学校教職員一覧表」には、下記の25項目が記載された。
 ①職名  校長、副校長、主幹教諭、主任教諭、教諭など
 ②氏名、ふりがな
 ③性別
 ④生年月日
 ⑤満年齢
 ⑥学歴(卒(修)業学校名、卒(修)業年月日)
 ⑦免許状種別  幼稚園、小学校、中学校、高等学校、養護学校、司書教諭
 ⑧勤務年月  本校、本区、本都、通算、校長、副校長
 ⑨研究教科
 ⑩担任教科(時間)
 ⑪分掌事務
 ⑫学級担任  所属学年・学級、副担任は〇学年副
 ⑬自宅住所
 ⑭自宅電話番号
 ⑮自宅最寄駅
 ⑯自宅から勤務地までの所要時間
 ⑰氏名(ゴム印)
 ⑱職員番号
 ⑲親族又は子どもが東京都公立小中学校・幼稚園に勤務又は通学(通園)の場合は、所属する学校(園)名 【例】[妻:〇〇小
  教諭、子:〇〇区〇〇中在学]
 ⑳管理職候補者の場合は、種別(23B、21Aなど)
 ㉑必置主任(教務、生活指導、研究、進路指導、保健、学年)
 ㉒休職者等はその期間、産・育休代替教諭は任用期間
 ㉓新規採用教員で学級経営研修生(定数外)の場合は、学級経営研修
 ㉔再任用短時間教員で新人育成教員の場合は、新人育成教員
 ㉕研究歴  研究生、開発委員、研究員

(5)掲載された教職員数

 「平成24年度板橋区立中学校教職員一覧表」には、下記〔甲2.平成24年度板橋区立中学校教職員一覧表記載人数〕のとおり、平成24年度板橋区立中学校全23校に在職した617人の都費負担教職員が掲載された。
〔甲2.平成24年度板橋区立中学校教職員一覧表記載人数〕
NO 中学校名 記載人数
1   板橋第一中学校 33
2   板橋第二中学校 27
3   板橋第三中学校 25
4   板橋第五中学校 15
5   加賀中学校 26
6   志村第一中学校 33
7   志村第二中学校 26
8   志村第三中学校 30
9   志村第四中学校 35
10   志村第五中学校 23
11   西台中学校 24
12   中台中学校 22
13   上板橋第一中学校 25
14   上板橋第二中学校 19
15   上板橋第三中学校 32
16   桜川中学校 26
17   向原中学校 17
18   赤塚第一中学校 38
19   赤塚第二中学校 25
20   赤塚第三中学校 37
21   高島第一中学校 23
22   高島第二中学校 25
23   高島第三中学校 31
617

(6)配付先

 平成24年度板橋区立中学校校長会会長工藤雅敏(赤塚第三中学校校長)は、平成24年5月、「平成24年度板橋区立中学校教職員一覧表」を、下記の校長23名、副校長23名に配付した。
 現行の学制が施行された昭和22年から平成24年までの65年間、板橋区立中学校校長会は「板橋区立中学校教職員一覧表」を板橋区立中学校の全校長及び全副校長(教頭)に配付してきた蓋然性が高い。
〔平成26年9月1日付け被告板橋区準備書面(1)23頁、上から2行目から7行目まで〕
 オ 平成24年5月、平成24年度副校長会(副校長ら)は、各中学校校長
  が作成した自校の教職員一覧表23校分の収集及び取り纏め(何ら加筆等
  せず綴る)の作業をして、「平成24年度板橋区立中学校教職員一覧表」が
  完成した。
 キ 同月、「平成24年度板橋区立中学校教職員一覧表」が各中学校校長及び
  副校長に配付された。

〔平成24年度板橋区立中学校の校長・副校長〕
NO 中学校名 校  長 副 校 長
1   板橋第一中学校 須 田 淳 一 木名瀬 伸 博
2   板橋第二中学校 小 池 郁 男 関    一 彦
3   板橋第三中学校 大 本 勝 利 石 塚 雄 一
4   板橋第五中学校 小 川 達 夫 近 藤 章 子
5   加賀中学校 北 村 康 子 宮 崎    剛
6   志村第一中学校 福 田 洋 一 坂 田 博 美
7   志村第二中学校 松 本 洋 人 小 林    薫
8   志村第三中学校 飛 田 修 二 河 村 英 明
9   志村第四中学校 田 鹿 明 彦 宮 田    誠
10   志村第五中学校 上 倉 敏 郎 杉 山 直 之
11   西台中学校 飯 塚 正 人 渡 部 孝 司
12   中台中学校 佐 藤 晴 法 清 水 龍 治
13   上板橋第一中学校 島 﨑 達 朗 龍 野    真
14   上板橋第二中学校 塩 野 賢 一 関 田    誠
15   上板橋第三中学校 新飯田 潤 一 遠 藤 哲 也
16   桜川中学校 戸 張 隆 次 増 田 裕 子
17   向原中学校 百 武 政 信 大 野 幸 男
18   赤塚第一中学校 大河原 嘉 朗 長 濱 裕 也
19   赤塚第二中学校 稲 葉 秀 哉 椿   正 明
20   赤塚第三中学校 工 藤 雅 敏 渡 邊 俊 一
21   高島第一中学校 岡 村 克 也 工 藤 公 彦
22   高島第二中学校 荒 井 秀 樹 高 橋 和 久
23   高島第三中学校 加 藤 芳 和 鳥 居 克 己

(7)使用目的

 被告板橋区は、教員定期異動事務において、「校長が必要とする人材が具体的にいる場合、区教委は、当該人材の氏名等を校長から聴取し、その内容を勘案して、異動配置案に反映させる」と主張した。(平成26年9月1日付け被告板橋区準備書面(1)18頁)
〔平成26年9月1日付け被告板橋区準備書面(1)18頁、上から2行目から6行目まで〕
  板橋区においては、上記イ⑤の人事上の要望事項として、校長が必要と
 する人材が具体的にいる場合、区教委は、当該人材の氏名等を校長から聴
 取し、その内容を勘案して、異動配置案に反映させることにより、校長の
 学校経営方針や人事構想の実現をきめ細かく支援し、板橋区立学校全体の
 教育水準の向上を図っている。

 被告板橋区は、「平成24年度板橋区立中学校教職員一覧表」の使用方法を、「中学校校長が、自校の学校経営方針や人事構想の実現に向け、自校の人事上の要望事項を具体化等するための資料などとして用いられるものである。」と主張した。(平成26年9月1日付け被告板橋区準備書面(1)20頁)
〔平成26年9月1日付け被告板橋区準備書面(1)20頁、上から14行目から16行目まで〕
 エ その使用方法については、中学校校長が、自校の学校経営方針や人事構
  想の実現に向け、自校の人事上の要望事項を具体化等するための資料など
  として用いられるものである。

 板橋区立中学校校長は、「板橋区立中学校教職員一覧表」(乙6)、「定期異動状況調査一覧表」(乙7)及び「定期異動に関する求人・紹介一覧表集計」(乙8)があれば、次年度必要とする教員の氏名を特定して板橋区教育委員会に要望することができる。
 つまり、「平成24年度板橋区立中学校教職員一覧表」の主な使用目的は、一部の校長が教員定期異動事務において「A中学校のa教諭を欲しい。」と要望するとき使用するものである。
 なお、“一部の校長”としたのは、被告板橋区が「校長が必要とする人材が具体的にいる場合、区教委は、当該人材の氏名等を校長から聴取し」と主張するとおり、全ての校長が教員の氏名を特定して要望したわけではないからである。仮に、全ての校長が次年度転入予定の教員をすべて特定して要望したら、複数の校長が同一教員を指名したり、まったく指名されない教員も出て、教員定期異動事務は立ち行かなくなる。したがって、「A中学校のa教諭を欲しい。」と浅ましい要望をするのは、自己の利益のみを考えた一部の校長である。

(8)平成24年度板橋区立中学校校長・副校長の違法行為

 ア 職務上の情報及び個人情報の漏えい

 平成24年度板橋区立中学校校長は、平成24年度板橋区教育委員会事務局指導室長矢部崇に提出した自校の「平成24年度教職員一覧表」を平成24年度板橋区立中学校校長会会長工藤雅敏(赤塚第三中学校校長)に提出した。校長会会長工藤雅敏は、上記「平成24年度教職員一覧表」23校分を集約して「平成24年度板橋区立中学校教職員一覧表」を作成し、同一覧表を板橋区立中学校校長23名及び副校長23名に配付した。
 平成24年度板橋区立中学校校長が自校の外の校長22名及び副校長22名に漏えいした所属職員の職務上の情報及び個人情報は、①職名、②氏名、③性別、④生年月日、⑤満年齢、⑥学歴(卒(修)業学校名、卒(修)業年月日)、⑦免許状種別、⑧勤務年月、⑨研究教科、⑩担任教科(時間)、⑪分掌事務、⑫学級担任、⑬自宅住所、⑭自宅電話番号、⑮自宅最寄駅、⑯自宅から勤務地までの所要時間、⑰氏名(ゴム印)、⑱職員番号、⑲親族又は子どもが東京都公立小中学校・幼稚園に勤務又は通学(通園)の場合は、所属する学校(園)名【例】[妻:〇〇小教諭、子:〇〇区〇〇中在学]、⑳管理職候補者、㉑必置主任(教務、生活指導、研究、進路指導、保健、学年)、㉒休職者等、産・育休代替教諭、㉓新規採用教員、㉔再任用短時間教員、㉕研究歴である。
 中学校校長の職務は、学校教育法37条4項を準用する49条により、「校務をつかさどり、所属職員を監督する。」である。東京都板橋区立学校の管理運営に関する規則5条は、校長の職務を「学校教育の管理、所属職員の管理、学校施設の管理及び学校事務の管理に関すること。」(同規則5条1項1号)、「所属職員の職務上及び身分上の監督に関すること。」(同規則5条1項2号)と規定している。
 したがって、平成24年度板橋区立中学校校長が所属職員の職務上の情報及び個人情報を自校の外の校長22名及び副校長22名に漏えいしたことは、学校教育法37条4項を準用する49条、東京都板橋区立学校の管理運営に関する規則5条1項1号及び5条1項2号が規定する権限の逸脱濫用であり、地方公務員法34条1項違反である。
 平成24年度板橋区立中学校校長は所属職員の職務上の情報及び個人情報を自校の外の校長22名及び副校長22名に漏えいし、所属職員の自己情報コントロール権を侵害した。
 よって、平成24年度板橋区立中学校校長23名は、憲法13条、教育基本法9条2項、個人情報保護法3条、学校教育法37条4項を準用する49条、東京都板橋区立学校の管理運営に関する規則5条1項1号及び5条1項2号、地方公務員法32条、33条及び34条1項に違反した。

※憲法13条〔個人の尊重、生命・自由・幸福追求の権利の尊重〕
 すべて国民は、個人として尊重される。生命、自由及び幸福追求に対する国民の権利については、公共の福祉に反しない限り、立法その他の国政の上で、最大の尊重を必要とする。
※教育基本法9条2項(教員)
 前項の教員については、その使命と職責の重要性にかんがみ、その身分は尊重され、待遇の適正が期せられるととに、養成と研修の充実が図られなければならない。
※個人情報保護法3条(基本理念)
 個人情報は、個々の人格尊重の理念の下に慎重に取り扱われるべきものであることにかんがみ、その適正な取扱いが図られなければならない。
※学校教育法37条4項
 校長は、校務をつかさどり、所属職員を監督する。
※学校教育法49条〔準用規定〕
 第30条第2項、第31条、第34条、第35条及び第37条から第44条までの規定は、中学校に準用する。この場合において、第30条第2項中の「前項」とあるのは「第46条」と、第31条中「前条第1項」とあるのは「第46条」と読み替えるものとする。
※東京都板橋区立学校の管理運営に関する規則5条(校長の職務)
 学校教育法第37条第4項及び同項を準用する法第49条に規定する校長の職務は、おおむね次のとおりとする。
 (1)学校教育の管理、所属職員の管理、学校施設の管理及び学校事務の管理に関すること。
 (2)所属職員の職務上及び身分上の監督に関すること。
 (3)前各号に規定するもののほか、職務上委任又は命令された事項に関すること。
2 校長は、所属職員に校務を分掌させることができる。
※地方公務員法32条(法令等及び上司の職務上の命令に従う義務)
 職員は、その職務を遂行するに当たって、法令、条例、地方公共団体の規則及び地方公共団体の機関の定める規程に従い、且つ、上司の職務上の命令に忠実に従わなければならない。
※地方公務員法33条(信用失墜行為の禁止)
 職員は、その職の信用を傷つけ、又は職員の職全体の不名誉となるような行為をしてはならない。
※地方公務員法34条1項(秘密を守る義務)
 職員は、職務上知り得た秘密を漏らしてはならない。その職を退いた後も、また、同様とする。

 イ 職務上の情報及び個人情報の不正入手

 平成24年度板橋区立中学校校長及び副校長は、「平成24年度板橋区立中学校教職員一覧表」から自校の外の22中学校に在職する都費負担教職員約600人の職務上の情報及び個人情報を入手した。
 平成24年度板橋区立中学校校長及び副校長が入手した自校の外の22中学校に在職する都費負担教職員約600人の職務上の情報及び個人情報は、①職名、②氏名、③性別、④生年月日、⑤満年齢、⑥学歴(卒(修)業学校名、卒(修)業年月日)、⑦免許状種別、⑧勤務年月、⑨研究教科、⑩担任教科(時間)、⑪分掌事務、⑫学級担任、⑬自宅住所、⑭自宅電話番号、⑮自宅最寄駅、⑯自宅から勤務地までの所要時間、⑰氏名(ゴム印)、⑱職員番号、⑲親族又は子どもが東京都公立小中学校・幼稚園に勤務又は通学(通園)の場合は、所属する学校(園)名【例】[妻:〇〇小教諭、子:〇〇区〇〇中在学]、⑳管理職候補者、㉑必置主任(教務、生活指導、研究、進路指導、保健、学年)、㉒休職者等、産・育休代替教諭、㉓新規採用教員、㉔再任用短時間教員、㉕研究歴である。
 中学校校長の職務は、学校教育法37条4項を準用する49条により、「校務をつかさどり、所属職員を監督する。」である。東京都板橋区立学校の管理運営に関する規則5条は、校長の職務を「学校教育の管理、所属職員の管理、学校施設の管理及び学校事務の管理に関すること。」(同規則5条1項1号)、「所属職員の職務上及び身分上の監督に関すること。」(同規則5条1項2号)と規定している。
 中学校副校長の職務は、学校教育法37条5項を準用する49条により、「校長を助け、命を受けて校務をつかさどる。」である。東京都板橋区立学校の管理運営に関する規則6条は、副校長の職務を「校長を助け、命を受けて校務をつかさどり、及び校務を整理する。」(同規則6条2項)、「校長の命を受け、所属職員を監督し、及び必要に応じ児童又は生徒の教育をつかさどる。」(同規則6条3項)と規定している。
 中学校校長・副校長は、自校の外の学校に在職する職員を監督する権限を有しない。板橋区立中学校校長・副校長は、自校の外の学校に在職する職員を管理する権限を有しない。板橋区立中学校校長・副校長は、自校の外の学校に在職する職員の職務上及び身分上の監督を行う権限を有しない。
 したがって、平成24年度板橋区立中学校校長及び副校長が自校の外の22中学校に在職する都費負担教職員約600人の職務上の情報及び個人情報を入手したことは、学校教育法37条4項及び5項を準用する49条、東京都板橋区立学校の管理運営に関する規則5条1項1号、5条1項2号、6条2項及び6条3項が規定する権限の逸脱濫用である。
 平成24年度板橋区立中学校校長及び副校長は自校の外の22中学校に在職する都費負担教職員約600人の職務上の情報及び個人情報を不正に入手し、同職員らの自己情報コントロール権を侵害した。
 よって、平成24年度板橋区立中学校校長23名及び副校長23名は、憲法13条、教育基本法9条2項、個人情報保護法3条、学校教育法37条4項及び5項を準用する49条、東京都板橋区立学校の管理運営に関する規則5条1項1号、5条1項2号、6条2項及び6条3項、地方公務員法32条及び33条に違反した。

※憲法13条〔個人の尊重、生命・自由・幸福追求の権利の尊重〕
 すべて国民は、個人として尊重される。生命、自由及び幸福追求に対する国民の権利については、公共の福祉に反しない限り、立法その他の国政の上で、最大の尊重を必要とする。
※教育基本法9条2項(教員)
 前項の教員については、その使命と職責の重要性にかんがみ、その身分は尊重され、待遇の適正が期せられるととに、養成と研修の充実が図られなければならない。
※個人情報保護法3条(基本理念)
 個人情報は、個々の人格尊重の理念の下に慎重に取り扱われるべきものであることにかんがみ、その適正な取扱いが図られなければならない。
※学校教育法37条4項
 校長は、校務をつかさどり、所属職員を監督する。
※学校教育法37条5項
 副校長は、校長を助け、命を受けて校務をつかさどる。
※学校教育法49条〔準用規定〕
 第30条第2項、第31条、第34条、第35条及び第37条から第44条までの規定は、中学校に準用する。この場合において、第30条第2項中の「前項」とあるのは「第46条」と、第31条中「前条第1項」とあるのは「第46条」と読み替えるものとする。
※東京都板橋区立学校の管理運営に関する規則5条(校長の職務)
 学校教育法第37条第4項及び同項を準用する法第49条に規定する校長の職務は、おおむね次のとおりとする。
 (1)学校教育の管理、所属職員の管理、学校施設の管理及び学校事務の管理に関すること。
 (2)所属職員の職務上及び身分上の監督に関すること。
 (3)前各号に規定するもののほか、職務上委任又は命令された事項に関すること。
2 校長は、所属職員に校務を分掌させることができる。
※東京都板橋区立学校の管理運営に関する規則6条(副校長)
 学校に副校長を置く。
2 副校長は、校長を助け、命を受けて校務をつかさどり、及び校務を整理する。
3 副校長は、校長の命を受け、所属職員を監督し、及び必要に応じ児童又は生徒の教育をつかさどる。
※地方公務員法32条(法令等及び上司の職務上の命令に従う義務)
 職員は、その職務を遂行するに当たって、法令、条例、地方公共団体の規則及び地方公共団体の機関の定める規程に従い、且つ、上司の職務上の命令に忠実に従わなければならない。
※地方公務員法33条(信用失墜行為の禁止)
 職員は、その職の信用を傷つけ、又は職員の職全体の不名誉となるような行為をしてはならない。

(9)教育長北川容子の違法行為

 ア 不作為責任

 平成24年度板橋区教育委員会教育長北川容子は、地方教育行政法43条1項により、板橋区立中学校校長及び副校長の服務を監督する権限及び義務を有する。
 上記(8)アのとおり、平成24年度板橋区立中学校校長は、所属職員の職務上の情報及び個人情報を自校の外の校長22名及び副校長22名に漏えいした。平成24年度板橋区立中学校校長は、学校教育法37条4項を準用する49条、東京都板橋区立学校の管理運営に関する規則5条1項1号及び5条1項2号が規定する権限を逸脱濫用し、地方公務員法34条1項に違反した。平成24年度板橋区立中学校校長は、所属職員の自己情報コントロール権を侵害し、憲法13条、教育基本法9条2項、個人情報保護法3条に違反した。
 上記(8)イのとおり、平成24年度板橋区立中学校校長及び副校長は、自校の外の22中学校に在職する都費負担教職員約600人の職務上の情報及び個人情報を不正に入手した。平成24年度板橋区立中学校校長及び副校長は、学校教育法37条4項及び5項を準用する49条、東京都板橋区立学校の管理運営に関する規則5条1項1号、5条1項2号、6条2項及び6条3項が規定する権限を逸脱濫用した。平成24年度板橋区立中学校校長及び副校長は、自校の外の22中学校に在職する都費負担教職員約600人の自己情報コントロール権を侵害し、憲法13条、教育基本法9条2項、個人情報保護法3条に違反した。
 しかし、教育長北川容子は、上記の者らの違法行為に対して指導、助言及び改善命令を発しなかった。むしろ、教育長北川容子は、「平成24年度板橋区立学校教職員一覧表」(乙4)を平成24年度板橋区立中学校校長会会長工藤雅敏(赤塚第三中学校校長)に配付し、同校長会が「平成24年度板橋区立中学校教職員一覧表」を作成して使用することを容認した。
 よって、教育長北川容子には地方教育行政法43条1項の義務を誠実に履行しない違法、不作為責任がある。

〔平成26年9月1日付け被告板橋区準備書面(1)、22頁上から25行目から23頁上から1行目まで〕
 エ 平成24年4月下旬頃、「平成24年度教職員一覧表」が区教委教育長、
  区教委事務局次長、同指導室長、同指導室教職員係及び指導主事、小学校
  校長会会長、中学校校長会会長に配付された。

※地方教育行政法43条1項(服務の監督)
 市町村委員会は、県費負担教職員の服務を監督する。

(10)板橋区区長坂本健の違法行為

 ア 事実認定の過誤

 板橋区区長坂本健は、東京地方裁判所平成26年(ワ)第12268号事件に提出した平成26年9月1日付け被告板橋区準備書面(1)18頁において、「平成24年度板橋区立中学校教職員一覧表」は「校長の具申を始めとして、自校の学校経営方針や人事構想の実現に向け、自校の人事上の要望事項を具体化等するための資料として必要なものである」と主張した。
〔平成26年9月1日付け被告板橋区準備書面(1)18頁、上から7行目から24行目まで〕
 エ 以上の人事異動の仕組みの下では、「平成24年度教職員一覧表」、「平
  成25年度教職員一覧表」、「平成24年度板橋区立中学校教職員一覧表」、
  「平成25年度板橋区立中学校教職員一覧表」、「平成26年度定期異動状
  況調査一覧表」及び「平成26年度定期異動に関する求人・紹介一覧表」
  は、必要なものである。
   すなわち、都教委の人事異動は、制度上、区教委の内申、各校長の具申
  の基に成り立っているところ、「教職員一覧表」は区教委の内申等、つまり
  区教委が都教委に提出する異動計画案及び異動配置案並びに各種調査回答
  を作成する際の資料等として、また、「中学校教職員一覧表」、「定期異動状
  況調査票」及び「定期異動に関する求人・紹介一覧表」は校長の具申を始
  めとして、自校の学校経営方針や人事構想の実現に向け、自校の人事上の
  要望事項を具体化等するための資料として、それぞれ必要なものである。
  また、これらを用いることによって、「適材適所の配置」や「学校における
  望ましい教員構成の確保」など、定期異動の目的達成に資することとなる。
  とりわけ、板橋区内の人事異動においては、校長から人事上の要望事項に
  ついて、個別具体的に聴取し、異動計画案に反映させることで、校長の学
  校経営方針や人事構想の実現をきめ細かく支援し、板橋区全体の教育水準
  の向上を図ることができるものである。

 板橋区区長坂本健が主張した「平成24年度板橋区立中学校教職員一覧表」の必要性は、下記のⅰ、ⅱである。
ⅰ 校長の具申
ⅱ 自校の学校経営方針や人事構想の実現に向け、自校の人事上の要望事項を具体化等する(板橋区内の人事異動においては、校長から人事上の要望事項について、個別具体的に聴取し、異動計画案に反映させる)
 下記(ア)のとおり、教員定期異動事務における校長の具申は、「異動申告書(異動についての校長所見)」(乙3)及び「人事構想調書」(甲35)の作成・提出により行われる。上記2点の表簿を作成するためには、「履歴カード」(甲31ないし甲34)、「教育職員自己申告書(異動について)」(乙2)及び学校に備え置く表簿並びに当該職員とのヒアリングがあれば足りる。したがって、教員定期異動事務における校長の具申に「平成24年度板橋区立中学校教職員一覧表」は必要ではない。
 下記(イ)のとおり、自校の学校経営方針や人事構想の実現に向け自校の人事上の要望事項を具体化等するためには、「人事構想調書」(甲35)の作成と提出、並びに校長ヒアリングがあれば足りる。したがって、自校の学校経営方針や人事構想の実現に向け、自校の人事上の要望事項を具体化等するために、「平成24年度板橋区立中学校教職員一覧表」は必要ではない。
 板橋区教育委員会が行う教員定期異動事務、x校長の要望「A中学校のa教諭を欲しい。」を異動計画案(異動配置案)に反映させることは、不当な支配に服することなく教員定期異動事務を公正かつ適正に実施する義務に違反し(教育基本法16条1項違反)、かつ公平ではない(憲法15条2項違反、地方公務員法30条違反)。したがって、違法な教員定期異動事務を行うための資料である「平成24年度板橋区立中学校教職員一覧表」は、必要なものであると言うことはできない。(本ページ、5教員定期異動事務の進め方(4))
 よって、板橋区区長坂本健は、「平成24年度板橋区立中学校教職員一覧表」の必要性について事実認定を誤る違法行為を行った。
 (ア)必要性ⅰ
 必要性ⅰは、教員定期異動事務における校長の具申である。
 地方教育行政法39条により、校長が教員定期異動事務において区市町村教育委員会に行う具申は、所属教職員を異動対象とするか否かの意見申出及び所属教職員の異動に関する意見申出である。具体的には、「異動申告書(異動についての校長所見)」(乙3)及び「人事構想調書」(甲35)の作成と提出である。校長が「異動申告書(異動についての校長所見)」(乙3)及び「人事構想調書」(甲35)を作成するにあたり、「平成24年度板橋区立中学校教職員一覧表」は必要ではない。「履歴カード」(甲31ないし甲34)、「教育職員自己申告書(異動について)」(乙2)及び学校に備え置く表簿並びに当該職員とのヒアリングがあれば足りる。
 なお、必要性ⅱ「自校の学校経営方針や人事構想の実現に向け、自校の人事上の要望事項を具体化等する(板橋区内の人事異動においては、校長から人事上の要望事項について、個別具体的に聴取し、異動計画案に反映させる)」すなわちx校長が「A中学校のa教諭を欲しい。」と板橋区教育委員会に要望することは、地方教育行政法39条が規定する具申ではない。なぜならば、a教諭はx校長の所属教職員ではないから、x校長はa教諭の任免その他の進退に関する意見を板橋区教育委員会に申し出ることはできない。

※地方教育行政法39条(校長の所属教職員の進退に関する意見の申出)
 市町村立学校職員給与負担法第1条及び第2条に規定する学校の校長は、所属の県費負担教職員の任免その他の進退に関する意見を市町村委員会に申し出ることができる。
 (イ)必要性ⅱ
 必要性ⅱ(自校の学校経営方針や人事構想の実現に向け、自校の人事上の要望事項を具体化等する)のためには、「人事構想調書」(甲35)の作成と提出、並びに校長ヒアリングがあれば足りる。
 「人事構想調書」(甲35)は、校長が所属する全ての教員について、職名、氏名、性別、年齢、都教職年数、現任校年数、教科、担任(学年・組)、現校務分掌、次年度予定分掌、異動時期、本人意向、校長具申、備考を記入した。さらに、学校経営方針の要点、現在の教員構成上の課題、経営方針実現のために活用したい教員の能力、次年度の人事構想について記入した。
 次年度の人事構想は、課題解決のために必要な教員について、「本校は算数の研究実践を経営の柱としている。算数の研究推進が堪能な教員を希望。」(甲36、次年度の人事構想記入例、例1)、「器楽指導の中心となっていた教員が異動対象となる。吹奏楽が本校の伝統であり優秀な結果を残している。吹奏楽部の指導ができる教員を希望。」(甲36、次年度の人事構想記入例、例2)などと記載した。
 校長は、「人事構想調書」(甲35)の「次年度の人事構想」に上記例のように記載し、校長ヒアリングにおいて「算数の研究推進が堪能な教員を希望する。」、「吹奏楽部の指導ができる教員を希望する。」と申し出ればよい。
 その後は、板橋区教育委員会が行う仕事である。つまり、「教育職員自己申告書(異動について)」(乙2)及び「異動申告書(異動についての校長所見)」(乙3)並びに校長ヒアリングにより、異動対象教員の教職歴、特性、能力を把握する。「人事構想調書」(甲35)並びに校長ヒアリングにより、板橋区立学校77校の教育課題、教員構成上の課題、課題解決のために必要な教員について理解する。そして、必要な学校に適切な教員を公正かつ適正に配置する。(本ページ、5教員定期異動事務の進め方(3)板橋区教育委員会が行うべき職務)

 イ 法令解釈の過誤

 板橋区区長坂本健は、東京地方裁判所平成26年(ワ)第12268号事件に提出した平成26年9月1日付け被告板橋区準備書面(1)18頁において、「平成24年度板橋区立中学校教職員一覧表」は「校長の具申を始めとして、自校の学校経営方針や人事構想の実現に向け、自校の人事上の要望事項を具体化等するための資料として必要なものである」と主張し、平成24年度板橋区立中学校校長及び副校長が同一覧表を作成して使用したことを支持した。
〔平成26年9月1日付け被告板橋区準備書面(1)18頁、上から7行目から24行目まで〕
 エ 以上の人事異動の仕組みの下では、「平成24年度教職員一覧表」、「平
  成25年度教職員一覧表」、「平成24年度板橋区立中学校教職員一覧表」、
  「平成25年度板橋区立中学校教職員一覧表」、「平成26年度定期異動状
  況調査一覧表」及び「平成26年度定期異動に関する求人・紹介一覧表」
  は、必要なものである。
   すなわち、都教委の人事異動は、制度上、区教委の内申、各校長の具申
  の基に成り立っているところ、「教職員一覧表」は区教委の内申等、つまり
  区教委が都教委に提出する異動計画案及び異動配置案並びに各種調査回答
  を作成する際の資料等として、また、「中学校教職員一覧表」、「定期異動状
  況調査票」及び「定期異動に関する求人・紹介一覧表」は校長の具申を始
  めとして、自校の学校経営方針や人事構想の実現に向け、自校の人事上の
  要望事項を具体化等するための資料として、それぞれ必要なものである。
  また、これらを用いることによって、「適材適所の配置」や「学校における
  望ましい教員構成の確保」など、定期異動の目的達成に資することとなる。
  とりわけ、板橋区内の人事異動においては、校長から人事上の要望事項に
  ついて、個別具体的に聴取し、異動計画案に反映させることで、校長の学
  校経営方針や人事構想の実現をきめ細かく支援し、板橋区全体の教育水準
  の向上を図ることができるものである。

 上記(8)アのとおり、平成24年度板橋区立中学校校長は、所属職員の職務上の情報及び個人情報を自校の外の校長22名及び副校長22名に漏えいした。平成24年度板橋区立中学校校長は、学校教育法37条4項を準用する49条、東京都板橋区立学校の管理運営に関する規則5条1項1号及び5条1項2号が規定する権限を逸脱濫用し、地方公務員法34条1項に違反した。平成24年度板橋区立中学校校長は、所属職員の自己情報コントロール権を侵害し、憲法13条、教育基本法9条2項、個人情報保護法3条に違反した。
 上記(8)イのとおり、平成24年度板橋区立中学校校長及び副校長は、自校の外の22中学校に在職する都費負担教職員約600人の職務上の情報及び個人情報を不正に入手した。平成24年度板橋区立中学校校長及び副校長は、学校教育法37条4項及び5項を準用する49条、東京都板橋区立学校の管理運営に関する規則5条1項1号、5条1項2号、6条2項及び6条3項が規定する権限を逸脱濫用した。平成24年度板橋区立中学校校長及び副校長は、自校の外の22中学校に在職する都費負担教職員約600人の自己情報コントロール権を侵害し、憲法13条、教育基本法9条2項、個人情報保護法3条に違反した。
 したがって、板橋区区長坂本健は、憲法13条、教育基本法9条2項、個人情報保護法3条、学校教育法37条4項及び5項を準用する49条、東京都板橋区立学校の管理運営に関する規則5条1項1号、5条1項2号、6条2項及び6条3項、地方公務員法34条1項の解釈適用を誤り、平成24年度板橋区立中学校校長及び副校長の違法行為を支持した。
 よって、板橋区区長坂本健は、法令等の解釈適用を誤る違法行為を行った。

9 平成25年度板橋区立中学校教職員一覧表(乙6)

(1)被告板橋区の主張

 被告板橋区は、東京地方裁判所平成26年(ワ)第12268号事件に提出した平成26年9月1日付け準備書面(1)17頁・18頁において、「平成25年度板橋区立中学校教職員一覧表」(乙6)の使用方法及び必要性を下記のとおり主張した。
〔平成26年9月1日付け被告板橋区準備書面(1)、17頁上から26行目から18頁上から24行目まで〕
 ウ 人事異動には、板橋区内から板橋区外へ、又板橋区外から板橋区内へ
  の人事異動のほか、上記イ⑦のとおり板橋区内における人事異動がある。
   板橋区においては、上記イ⑤の人事上の要望事項として、校長が必要と
  する人材が具体的にいる場合、区教委は、当該人材の氏名等を校長から聴
  取し、その内容を勘案して、異動配置案に反映させることにより、校長の
  学校経営方針や人事構想の実現をきめ細かく支援し、板橋区立学校全体の
  教育水準の向上を図っている。
 エ 以上の人事異動の仕組みの下では、「平成24年度教職員一覧表」、「平
  成25年度教職員一覧表」、「平成24年度板橋区立中学校教職員一覧表」、
  「平成25年度板橋区立中学校教職員一覧表」、「平成26年度定期異動状
  況調査一覧表」及び「平成26年度定期異動に関する求人・紹介一覧表」
  は、必要なものである。
   すなわち、都教委の人事異動は、制度上、区教委の内申、各校長の具申
  の基に成り立っているところ、「教職員一覧表」は区教委の内申等、つまり
  区教委が都教委に提出する異動計画案及び異動配置案並びに各種調査回答
  を作成する際の資料等として、また、「中学校教職員一覧表」、「定期異動状
  況調査票」及び「定期異動に関する求人・紹介一覧表」は校長の具申を始
  めとして、自校の学校経営方針や人事構想の実現に向け、自校の人事上の
  要望事項を具体化等するための資料として、それぞれ必要なものである。
  また、これらを用いることによって、「適材適所の配置」や「学校における
  望ましい教員構成の確保」など、定期異動の目的達成に資することとなる。
  とりわけ、板橋区内の人事異動においては、校長から人事上の要望事項に
  ついて、個別具体的に聴取し、異動計画案に反映させることで、校長の学
  校経営方針や人事構想の実現をきめ細かく支援し、板橋区全体の教育水準
  の向上を図ることができるものである。

(2)平成25年度板橋区立中学校教職員一覧表作成の経緯

 被告板橋区は、東京地方裁判所平成26年(ワ)第12268号事件に提出した平成26年9月1日付け準備書面(1)23頁ないし26頁において、「平成25年度板橋区立中学校教職員一覧表」(乙6)作成の経緯を下記のとおり主張した。
〔平成26年9月1日付け被告板橋区準備書面(1)、23頁ないし26頁〕
 エ 平成25年4月8日、矢部室長は、平成25年度校長会会長須田淳一(以
  下「須田会長」という。)に対し、各中学校校長が自校の平成25年度教職
  員一覧表として区教委指導室に提出したものと同一内容のものを、各校長
  間で情報共有するのは再考を要する旨伝えた。
 オ 平成25年4月10日頃、矢部室長は原告から電話を受け、平成24年
  4月に各中学校校長が指導室長に提出した自校の教職員一覧表が、23校
  分集約されて、「平成24年度板橋区立中学校教職員一覧表」となり、これ
  が板橋区立中学校の全校長・全副校長に配付されている旨報告を受けた。
  矢部室長は原告に対し、先日、須田会長に対し、各中学校校長が自校の
  教職員一覧表として区教委指導室に提出したものと同一のものを、各
  校長間で情報共有するのは再考を要する旨伝えたことを話した。
 カ 平成25年4月11日、板橋区立中学校副校長会が開催され、同会の会
  長増田裕子は副校長らに対し、平成25年度の各校の教職員一覧表は、指
  導室長には昨年度と同様に作成して提出されたいが、平成25年度の板橋
  区立中学校教職員一覧表の取扱いはどうなるかわからない旨述べた。
 サ 平成25年9月10日、午後2時30分から板橋区立上板橋第二中学校
  で板橋区立中学校校長会が行われ、「平成25年度板橋区立中学校教職員
  一覧表」について、作成するかどうか、どの程度の情報を盛り込むのか、
  配付先は校長だけにするかなど、議論になり、校長らから意見が出された
  が、結論は出なかった。
 シ 同日、矢部室長は原告から、「平成25年度板橋区立中学校教職員一覧
  表」の作成について反対の意思を表明する旨のFAX送信を受けた(甲2
  0)。
 セ 平成25年9月13日、矢部室長は原告との電話の際、原告から、「平成
  25年度板橋区立中学校教職員一覧表」の作成・配付は個人情報の漏えい
  である旨の話を聞いた。これに対し、矢部室長は、個人情報漏えいには収
  集と使用があり難しい問題である旨述べた。
 タ 平成25年9月30日、校長会幹事会(構成員は、会長、副会長、総務
  部長ら各部長である。)が開かれ、「平成25年度板橋区立中学校教職員一
  覧表」の作成について、その基となる各中学校校長が作成した自校の教職
  員一覧表の掲載項目のうち、学齢、住所等を削除することを決定した。
 ツ 平成25年10月15日、校長会総務部長上倉敏郎(以下「上倉総務部
  長」という。)は、「平成25年度板橋区立中学校教職員一覧表」の作成依
  頼について、原告を除く全中学校校長に対しメール送信した。
 ナ 平成25年10月30日、上倉総務部長は、各中学校校長(原告を除く。)
  から、自校の教職員一覧表の提出を受け、その集約をし、同年11月上旬、
  各中学校校長(原告を除く。)に対し、「平成25年度板橋区立中学校教職
  員一覧表」を配付した(乙6)。

(3)平成25年度板橋区立中学校教職員一覧表の作成

 平成25年度板橋区立中学校校長会会長須田淳一(板橋第一中学校校長)は、平成25年11月上旬、各校長が作成して平成25年度板橋区教育委員会事務局指導室長矢部崇に提出した自校の「平成25年度教職員一覧表」を22校分集約して、「平成25年度板橋区立中学校教職員一覧表」(乙6)を作成した。ただし、「平成25年度板橋区立中学校教職員一覧表」(乙6)に、板橋第五中学校は含まれない。(平成26年9月1日付け被告板橋区準備書面(1)26頁、ナ)
 また、「平成25年度板橋区立中学校教職員一覧表」(乙6)は、各校長が平成25年度板橋区教育委員会事務局指導室長矢部崇に提出した自校の「平成25年度教職員一覧表」の一部を削除して作成した。削除した項目は、⑥学歴(卒(修)業学校名、卒(修)業年月日)、⑬自宅住所、⑭自宅電話番号、⑰氏名(ゴム印)、⑱職員番号、⑲~㉔備考欄記載事項、㉕研究歴である。(平成26年9月1日付け被告板橋区準備書面(1)25頁、タ)
 「平成25年度板橋区立中学校教職員一覧表」(乙6)の様式は下記(4)のとおりである。 

(4)平成25年度板橋区立中学校教職員一覧表の様式

〔乙6.平成25年度板橋区立中学校教職員一覧表〕
板橋区立 板橋第一 中学校 学校教職員一覧表  校長室 ℡ (3964) 3576 17
 職員室 ℡ (3962) 5315 ( 知 4 )
番号 職名 ふ り が な 免許状種別 勤務年月 研究教科 分掌事務 最寄駅
氏    名
生年月日(満年齢) 担任教科 学級担任 所要時間
(時間)
本校
本区
1 本都
通算
校長 45
司書
本校
本区
2 本都
通算
副校長 40
司書
本校
本区
3 本都
通算
16 40
司書
本校
本区
4 本都
通算
13 60
司書
本校
本区
5 本都
通算
21 60
司書
本校
本区
6 本都
通算
14 40
司書
本校
本区 教務
7 本都
通算
20 2年副担 25
司書
本校
本区 進路学習
8 本都
通算
19 3年A組 60
司書
本校
本区 教務
9 本都
通算
20 2年A組 50
司書
本校
本区 生活指導
10 本都
通算
2年G組 60
司書
本校
本区 進路指導
11 本都
通算
20 3年G組 50
司書
本校
本区 教務
12 本都
通算
19 3年B組 60
司書
本校
本区 進路学習
13 本都
通算
17 3年副担 50
司書
本校
本区
14 本都
通算
60
司書
本校
本区
15 本都
通算
45
司書
本校
本区
16 本都
通算
20 60
司書
本校
本区
17 本都
通算
19 60
司書
板橋区立 板橋第一 中学校 学校教職員一覧表  校長室 ℡ (3964) 3576 17
 職員室 ℡ (3962) 5315 ( 知 4 )
番号 職名 ふ り が な 免許状種別 勤務年月 研究教科 分掌事務 最寄駅
氏    名
生年月日(満年齢) 担任教科 学級担任 所要時間
(時間)
本校
本区
18 本都
通算
20 60
司書
本校
本区
19 本都
通算
24 40
司書
本校
本区
20 本都
通算
20 70
司書
本校
本区
21 本都
通算
40
司書
本校
本区
22 本都
通算
18 55
司書
本校
本区
23 本都
通算
18 40
司書
本校
本区
24 本都
通算
35
司書
本校
本区
25 本都
通算
50
司書
本校
本区
26 本都
通算
16 30
司書
本校
本区
27 本都
通算
16 20
司書
本校
本区
28 本都
通算
20 20
司書
本校
本区
29 本都
通算
17 10
司書
本校
本区
30 本都
通算
22 90
司書
本校
本区
31 本都
通算
19 25
司書
本校
本区
32 本都
通算
60
司書
本校
本区
33 本都
通算
50
司書
本校
本区
34 本都
通算
司書
本校
本区
35 本都
通算
40
司書

 被告板橋区は、東京地方裁判所平成26年(ワ)第12268号事件の証拠書証乙6「平成25年度板橋区立中学校教職員一覧表」として、平成25年度板橋第一中学校の分を提出した。
 証拠書証乙6の平成25年度板橋第一中学校の次の項目は被覆されていた。氏名、生年月日、満年齢、免許状種別、勤務年月、研究教科、担任教科、分掌事務、学級担任、自宅最寄駅。ただし、番号7ないし番号13の分掌事務、学級担任は被覆されていない。

(5)掲載された職種

 「平成25年度板橋区立中学校教職員一覧表」(乙6)には、下記の職種の都費負担教職員が掲載された。
 校長、副校長、主幹教諭、主任教諭、教諭、再任用教諭、養護教諭、栄養教諭、期限付任用教諭、産・育休代替教諭、都費事務職員、都費栄養職員、指導主事、非常勤教員、嘱託員。
 休職者、在籍専従者、在外教育施設、新教育大等は枠外に記入する。

(6)掲載された項目

 「平成25年度板橋区立中学校教職員一覧表」(乙6)には、下記の13項目が掲載された。①、②、③·········は、「平成25年度板橋区立学校教職員一覧表」(乙5)の掲載項目①ないし㉕の番号である。
 1 ①職名  校長、副校長、主幹教諭、主任教諭、教諭など
 2 ②氏名、ふりがな
 3 ③性別
 4 ④生年月日
 5 ⑤満年齢
 6 ⑦免許状種別  幼稚園、小学校、中学校、高等学校、養護学校、司書教諭
 7 ⑧勤務年月  本校、本区、本都、通算、校長、副校長
 8 ⑨研究教科
 9 ⑩担任教科(時間)
10 ⑪分掌事務
11 ⑫学級担任  所属学年・学級、副担任は〇学年副
12 ⑮自宅最寄駅
13 ⑯自宅から勤務地までの所要時間

(7)掲載された教職員数

 「平成25年度板橋区立中学校教職員一覧表」(乙6)には、板橋第五中学校を除く22校の板橋区立中学校に在職した約600人の都費負担教職員が掲載された。

(8)配付先

 平成25年度板橋区立中学校校長会会長須田淳一(板橋第一中学校校長)は、平成25年11月上旬、「平成25年度板橋区立中学校教職員一覧表」(乙6)を、板橋第五中学校校長依田郁夫を除く下記22名の校長に配付した。(平成26年9月1日付け被告板橋区準備書面(1)26頁、ナ)
 平成24年度板橋区立中学校校長会会長工藤雅敏(赤塚第三中学校校長)は「平成24年度板橋区立中学校教職員一覧表」を全校長23名及び全副校長23名に配付したが、平成25年度板橋区立中学校校長会会長須田淳一(板橋第一中学校校長)は「平成25年度板橋区立中学校教職員一覧表」(乙6)を校長のみに配付し、副校長には配付しなかった。(平成26年9月1日付け被告板橋区準備書面(1)、20頁・21頁) 
〔平成26年9月1日付け被告板橋区準備書面(1)、20頁上から17行目から21頁上から2行目まで〕
(4)「平成25年度板橋区立中学校教職員一覧表」について
   「平成25年度板橋区立中学校教職員一覧表」の作成過程、記載事項、配
  付先及び使用方法は、上記「平成24年度板橋区立中学校教職員一覧表」
  とほぼ同様である。
   ただし、次の点で違いがある。
  ①作成過程については、作成時期の変更や校長会での議論等、後記4(2)
   のとおり異なる部分があった。
  ②原告は、自らが校長を務めていた板橋区立板橋第五中学校(以下「板
   五中」という。)の教職員一覧表を校長会の会長に提出していないので、
   「平成25年度板橋区立中学校教職員一覧表」は22校分である。
  ③記載事項から学歴、住所等を削除し(乙6)、配付先も各中学校校長の
   みとなった。

〔平成25年度板橋区立中学校の校長〕
NO 中学校名 校  長
1   板橋第一中学校 須 田 淳 一
2   板橋第二中学校 坂 田 博 美
3   板橋第三中学校 大 本 勝 利
4   板橋第五中学校 依 田 郁 夫
5   加賀中学校 北 村 康 子
6   志村第一中学校 福 田 洋 一
7   志村第二中学校 藤 江 敏 郎
8   志村第三中学校 飛 田 修 二
9   志村第四中学校 小 川 達 夫
10   志村第五中学校 上 倉 敏 郎
11   西台中学校 飯 塚 正 人
12   中台中学校 佐 藤 晴 法
13   上板橋第一中学校 島 﨑 達 朗
14   上板橋第二中学校 塩 野 賢 一
15   上板橋第三中学校 新飯田 潤 一
16   桜川中学校 戸 張 隆 次
17   向原中学校 百 武 政 信
18   赤塚第一中学校 大河原 嘉 朗
19   赤塚第二中学校 稲 葉 秀 哉
20   赤塚第三中学校 工 藤 雅 敏
21   高島第一中学校 岡 村 克 也
22   高島第二中学校 荒 井 秀 樹
23   高島第三中学校 加 藤 芳 和

(9)使用目的

 被告板橋区は、教員定期異動事務において、「校長が必要とする人材が具体的にいる場合、区教委は、当該人材の氏名等を校長から聴取し、その内容を勘案して、異動配置案に反映させる」と主張した。(平成26年9月1日付け被告板橋区準備書面(1)18頁)
〔平成26年9月1日付け被告板橋区準備書面(1)18頁、上から2行目から6行目まで〕
  板橋区においては、上記イ⑤の人事上の要望事項として、校長が必要と
 する人材が具体的にいる場合、区教委は、当該人材の氏名等を校長から聴
 取し、その内容を勘案して、異動配置案に反映させることにより、校長の
 学校経営方針や人事構想の実現をきめ細かく支援し、板橋区立学校全体の
 教育水準の向上を図っている。

 被告板橋区は、「平成25年度板橋区立中学校教職員一覧表」(乙6)の使用方法を、「中学校校長が、自校の学校経営方針や人事構想の実現に向け、自校の人事上の要望事項を具体化等するための資料などとして用いられるものである。」と主張した。(平成26年9月1日付け被告板橋区準備書面(1)20頁)
〔平成26年9月1日付け被告板橋区準備書面(1)20頁、上から14行目から20行目まで〕
  エ その使用方法については、中学校校長が、自校の学校経営方針や人事構
   想の実現に向け、自校の人事上の要望事項を具体化等するための資料など
   として用いられるものである。
(4)「平成25年度板橋区立中学校教職員一覧表」について
   「平成25年度板橋区立中学校教職員一覧表」の作成過程、記載事項、配
  付先及び使用方法は、上記「平成24年度板橋区立中学校教職員一覧表」
  とほぼ同様である。

 平成25年度板橋区立中学校校長は、「平成25年度板橋区立中学校教職員一覧表」(乙6)、「平成26年度定期異動状況調査一覧表」(乙7)及び「平成26年度定期異動に関する求人・紹介一覧表集計」(乙8)があれば、次年度必要とする教員の氏名を特定して板橋区教育委員会に要望することができる。
 つまり、「平成25年度板橋区立中学校教職員一覧表」(乙6)の主な使用目的は、一部の校長が教員定期異動事務において「A中学校のa教諭を欲しい。」と要望するとき使用するものである。
 なお、“一部の校長”としたのは、被告板橋区が「校長が必要とする人材が具体的にいる場合、区教委は、当該人材の氏名等を校長から聴取し」と主張するとおり、全ての校長が教員の氏名を特定して要望したわけではないからである。仮に、全ての校長が次年度転入予定の教員をすべて特定して要望したら、複数の校長が同一教員を指名したり、まったく指名されない教員も出て、教員定期異動事務は立ち行かなくなる。したがって、「A中学校のa教諭を欲しい。」と浅ましい要望をするのは、自己の利益のみを考えた一部の校長である。

(10)平成25年度板橋区立中学校校長の違法行為

 ア 職務上の情報及び個人情報の漏えい

 板橋第五中学校校長依田郁夫を除く平成25年度板橋区立中学校校長22名は、平成25年度板橋区教育委員会事務局指導室長矢部崇に提出した自校の「平成25年度教職員一覧表」の記載項目から⑥学歴(卒(修)業学校名、卒(修)業年月日)、⑬自宅住所、⑭自宅電話番号、⑰氏名(ゴム印)、⑱職員番号、⑲~㉔備考欄記載事項、㉕研究歴を除いた所属職員の職務上の情報及び個人情報を、平成25年度板橋区立中学校校長会会長須田淳一(板橋第一中学校校長)に提出した。校長会会長須田淳一は、上記職務上の情報及び個人情報を22校分集約して「平成25年度板橋区立中学校教職員一覧表」(乙6)を作成し、同一覧表を板橋第五中学校校長依田郁夫を除く22名の校長に配付した。
 板橋第五中学校校長依田郁夫を除く平成25年度板橋区立中学校校長22名が自校の外の校長21名に漏えいした所属職員の職務上の情報及び個人情報は、①職名、②氏名、③性別、④生年月日、⑤満年齢、⑦免許状種別、⑧勤務年月、⑨研究教科、⑩担任教科(時間)、⑪分掌事務、⑫学級担任、⑮自宅最寄駅、⑯自宅から勤務地までの所要時間である。(①、②、③·········は、「平成25年度板橋区立学校教職員一覧表」(乙5)の記載項目①ないし㉕の番号である。)
 中学校校長の職務は、学校教育法37条4項を準用する49条により、「校務をつかさどり、所属職員を監督する。」である。東京都板橋区立学校の管理運営に関する規則5条は、校長の職務を「学校教育の管理、所属職員の管理、学校施設の管理及び学校事務の管理に関すること。」(同規則5条1項1号)、「所属職員の職務上及び身分上の監督に関すること。」(同規則5条1項2号)と規定している。
 したがって、板橋第五中学校校長依田郁夫を除く平成25年度板橋区立中学校校長22名が所属職員の職務上の情報及び個人情報を自校の外の校長21名に漏えいしたことは、学校教育法37条4項を準用する49条、東京都板橋区立学校の管理運営に関する規則5条1項1号及び5条1項2号が規定する権限の逸脱濫用であり、地方公務員法34条1項違反である。
 板橋第五中学校校長依田郁夫を除く平成25年度板橋区立中学校校長22名は、所属職員の職務上の情報及び個人情報を自校の外の校長21名に漏えいし、所属職員の自己情報コントロール権を侵害した。
 よって、板橋第五中学校校長依田郁夫を除く平成25年度板橋区立中学校校長22名は、憲法13条、教育基本法9条2項、個人情報保護法3条、学校教育法37条4項を準用する49条、東京都板橋区立学校の管理運営に関する規則5条1項1号及び5条1項2号、地方公務員法32条、33条及び34条1項に違反した。

※憲法13条〔個人の尊重、生命・自由・幸福追求の権利の尊重〕
 すべて国民は、個人として尊重される。生命、自由及び幸福追求に対する国民の権利については、公共の福祉に反しない限り、立法その他の国政の上で、最大の尊重を必要とする。
※教育基本法9条2項(教員)
 前項の教員については、その使命と職責の重要性にかんがみ、その身分は尊重され、待遇の適正が期せられるととに、養成と研修の充実が図られなければならない。
※個人情報保護法3条(基本理念)
 個人情報は、個々の人格尊重の理念の下に慎重に取り扱われるべきものであることにかんがみ、その適正な取扱いが図られなければならない。
※学校教育法37条4項
 校長は、校務をつかさどり、所属職員を監督する。
※学校教育法49条〔準用規定〕
 第30条第2項、第31条、第34条、第35条及び第37条から第44条までの規定は、中学校に準用する。この場合において、第30条第2項中の「前項」とあるのは「第46条」と、第31条中「前条第1項」とあるのは「第46条」と読み替えるものとする。
※東京都板橋区立学校の管理運営に関する規則5条(校長の職務)
 学校教育法第37条第4項及び同項を準用する法第49条に規定する校長の職務は、おおむね次のとおりとする。
 (1)学校教育の管理、所属職員の管理、学校施設の管理及び学校事務の管理に関すること。
 (2)所属職員の職務上及び身分上の監督に関すること。
 (3)前各号に規定するもののほか、職務上委任又は命令された事項に関すること。
2 校長は、所属職員に校務を分掌させることができる。
※地方公務員法32条(法令等及び上司の職務上の命令に従う義務)
 職員は、その職務を遂行するに当たって、法令、条例、地方公共団体の規則及び地方公共団体の機関の定める規程に従い、且つ、上司の職務上の命令に忠実に従わなければならない。
※地方公務員法33条(信用失墜行為の禁止)
 職員は、その職の信用を傷つけ、又は職員の職全体の不名誉となるような行為をしてはならない。
※地方公務員法34条1項(秘密を守る義務)
 職員は、職務上知り得た秘密を漏らしてはならない。その職を退いた後も、また、同様とする。

 イ 職務上の情報及び個人情報の不正入手

 板橋第五中学校校長依田郁夫を除く平成25年度板橋区立中学校校長22名は、「平成25年度板橋区立中学校教職員一覧表」(乙6)から自校の外の21中学校に在職する都費負担教職員約600人の職務上の情報及び個人情報を入手した。
 板橋第五中学校校長依田郁夫を除く平成25年度板橋区立中学校校長22名が入手した自校の外の21中学校に在職する都費負担教職員約600人の職務上の情報及び個人情報は、①職名、②氏名、③性別、④生年月日、⑤満年齢、⑦免許状種別、⑧勤務年月、⑨研究教科、⑩担任教科(時間)、⑪分掌事務、⑫学級担任、⑮自宅最寄駅、⑯自宅から勤務地までの所要時間である。(①、②、③·········は、「平成25年度板橋区立学校教職員一覧表」(乙5)の記載項目①ないし㉕の番号である。)
 中学校校長の職務は、学校教育法37条4項を準用する49条により、「校務をつかさどり、所属職員を監督する。」である。東京都板橋区立学校の管理運営に関する規則5条は、校長の職務を「学校教育の管理、所属職員の管理、学校施設の管理及び学校事務の管理に関すること。」(同規則5条1項1号)、「所属職員の職務上及び身分上の監督に関すること。」(同規則5条1項2号)と規定している。
 中学校校長は、自校の外の学校に在職する職員を監督する権限を有しない。板橋区立中学校校長は、自校の外の学校に在職する職員を管理する権限を有しない。板橋区立中学校校長は、自校の外の学校に在職する職員の職務上及び身分上の監督を行う権限を有しない。
 したがって、板橋第五中学校校長依田郁夫を除く平成25年度板橋区立中学校校長22名が自校の外の21中学校に在職する都費負担教職員約600人の職務上の情報及び個人情報を入手したことは、学校教育法37条4項を準用する49条、東京都板橋区立学校の管理運営に関する規則5条1項1号及び5条1項2号が規定する権限の逸脱濫用である。
 板橋第五中学校校長依田郁夫を除く平成25年度板橋区立中学校校長22名は、自校の外の21中学校に在職する都費負担教職員約600人の職務上の情報及び個人情報を不正に入手し、同職員らの自己情報コントロール権を侵害した。
 よって、板橋第五中学校校長依田郁夫を除く平成25年度板橋区立中学校校長22名は、憲法13条、教育基本法9条2項、個人情報保護法3条、学校教育法37条4項を準用する49条、東京都板橋区立学校の管理運営に関する規則5条1項1号及び5条1項2号、地方公務員法32条及び33条に違反した。

※憲法13条〔個人の尊重、生命・自由・幸福追求の権利の尊重〕
 すべて国民は、個人として尊重される。生命、自由及び幸福追求に対する国民の権利については、公共の福祉に反しない限り、立法その他の国政の上で、最大の尊重を必要とする。
※教育基本法9条2項(教員)
 前項の教員については、その使命と職責の重要性にかんがみ、その身分は尊重され、待遇の適正が期せられるととに、養成と研修の充実が図られなければならない。
※個人情報保護法3条(基本理念)
 個人情報は、個々の人格尊重の理念の下に慎重に取り扱われるべきものであることにかんがみ、その適正な取扱いが図られなければならない。
※学校教育法37条4項
 校長は、校務をつかさどり、所属職員を監督する。
※学校教育法49条〔準用規定〕
 第30条第2項、第31条、第34条、第35条及び第37条から第44条までの規定は、中学校に準用する。この場合において、第30条第2項中の「前項」とあるのは「第46条」と、第31条中「前条第1項」とあるのは「第46条」と読み替えるものとする。
※東京都板橋区立学校の管理運営に関する規則5条(校長の職務)
 学校教育法第37条第4項及び同項を準用する法第49条に規定する校長の職務は、おおむね次のとおりとする。
 (1)学校教育の管理、所属職員の管理、学校施設の管理及び学校事務の管理に関すること。
 (2)所属職員の職務上及び身分上の監督に関すること。
 (3)前各号に規定するもののほか、職務上委任又は命令された事項に関すること。
2 校長は、所属職員に校務を分掌させることができる。
※地方公務員法32条(法令等及び上司の職務上の命令に従う義務)
 職員は、その職務を遂行するに当たって、法令、条例、地方公共団体の規則及び地方公共団体の機関の定める規程に従い、且つ、上司の職務上の命令に忠実に従わなければならない。
※地方公務員法33条(信用失墜行為の禁止)
 職員は、その職の信用を傷つけ、又は職員の職全体の不名誉となるような行為をしてはならない。

(11)教育長橋本正彦の違法行為

 ア 不作為責任

 平成25年度板橋区教育委員会教育長橋本正彦は、地方教育行政法43条1項により、板橋区立中学校校長の服務を監督する権限及び義務を有する。
 上記(10)アのとおり、平成25年度板橋区立中学校校長22名(板橋第五中学校を除く)は、所属職員の職務上の情報及び個人情報を自校の外の校長21名に漏えいした。平成25年度板橋区立中学校校長22名(板橋第五中学校を除く)は、学校教育法37条4項を準用する49条、東京都板橋区立学校の管理運営に関する規則5条1項1号及び5条1項2号が規定する権限を逸脱濫用し、地方公務員法34条1項に違反した。平成25年度板橋区立中学校校長22名(板橋第五中学校を除く)は、所属職員の自己情報コントロール権を侵害し、憲法13条、教育基本法9条2項、個人情報保護法3条に違反した。
 上記(10)イのとおり、平成25年度板橋区立中学校校長22名(板橋第五中学校を除く)は、自校の外の21中学校に在職する都費負担教職員約600人の職務上の情報及び個人情報を不正に入手した。平成25年度板橋区立中学校校長22名(板橋第五中学校を除く)は、学校教育法37条4項を準用する49条、東京都板橋区立学校の管理運営に関する規則5条1項1号及び5条1項2号が規定する権限を逸脱濫用した。平成25年度板橋区立中学校校長22名(板橋第五中学校を除く)は、自校の外の21中学校に在職する都費負担教職員約600人の自己情報コントロール権を侵害し、憲法13条、教育基本法9条2項、個人情報保護法3条に違反した。
 しかし、教育長橋本正彦は、平成25年度板橋区立中学校校長22名(板橋第五中学校を除く)の上記違法行為に対して指導、助言及び改善命令を発しなかった。むしろ、教育長橋本正彦の命を受けた平成25年度板橋区教育委員会事務局指導室長矢部崇は、平成25年度板橋区立中学校校長会会長須田淳一(板橋第一中学校校長)に「各中学校校長が自校の平成25年度教職員一覧表として区教委指導室に提出したものと同一内容のものを、各校長間で情報共有するのは再考を要する」と伝え、同校長会が「平成25年度板橋区立中学校教職員一覧表」(乙6)を作成して使用することを容認した。(平成26年9月1日付け被告板橋区準備書面(1)23頁)
 よって、教育長橋本正彦には地方教育行政法43条1項の義務を誠実に履行しない違法、不作為責任がある。

〔平成26年9月1日付け被告板橋区準備書面(1)23頁、上から21行目から24行目まで〕
 エ 平成25年4月8日、矢部室長は、平成25年度校長会会長須田淳一(以
  下「須田会長」という。)に対し、各中学校校長が自校の平成25年度教職員
  一覧表として区教委指導室に提出したものと同一内容のものを、各校長
  間で情報共有するのは再考を要する旨伝えた。

※地方教育行政法43条1項(服務の監督)
 市町村委員会は、県費負担教職員の服務を監督する。

(12)板橋区区長坂本健の事実誤認

 板橋区区長坂本健は、東京地方裁判所平成26年(ワ)第12268号事件に提出した平成26年9月1日付け被告板橋区準備書面(1)23頁・24頁において、原告依田郁夫の「平成25年度板橋区立中学校教職員一覧表」(乙6)に係わる事実を下記のとおり主張した。
〔平成26年9月1日付け被告板橋区準備書面(1)、23頁上から25行目から24頁上から5行目まで〕
 オ 平成25年4月10日頃、矢部室長は原告から電話を受け、平成24年
  4月に各中学校校長が指導室長に提出した自校の教職員一覧表が、23校
  分集約されて、「平成24年度板橋区立中学校教職員一覧表」となり、これ
  が板橋区立中学校の全校長・全副校長に配付されている旨報告を受けた。
   矢部室長は原告に対し、先日、須田会長に対し、各中学校校長が自校の
  教職員一覧表として区教委指導室に提出したものと同一内容のものを、各
  校長間で情報共有するのは再考を要する旨伝えたことを話した。 

 原告依田郁夫は、平成25年4月10日頃、指導室長矢部崇に「板橋第五中学校が提出する「平成25年度教職員一覧表」の記載事項のうち出身大学名、卒(修)業年月日、生年月日、満年齢、親族及び子どもが東京都内公立小中学校に在職(在籍)している場合の親族(子ども)の氏名、在職(在学)校名、職名(学年)は個人情報にあたるので、記載しない旨」(訴状、18頁)及び「校長が指導室長矢部崇に提出した「平成24年度教職員一覧表」が全中学校23校分集約されて「平成24年度板橋区立中学校教職員一覧表」として、板橋区立中学校の全校長・全副校長に配付されている」(訴状、19頁)を伝えた。
 指導室長矢部崇は、原告依田郁夫の上記申出及び報告を受けて対応し、平成25年4月10日の後、原告依田郁夫に「平成25年度板橋区立中学校校長会会長須田淳一に、『校長会は平成25年度板橋区立中学校教職員一覧表を作成しない。』ように伝えた。」と話した。(訴状、19頁・20頁)
 したがって、平成25年4月10日頃、原告依田郁夫が指導室長矢部崇に電話をした際、同指導室長が原告依田郁夫に「先日、須田会長に対し、各中学校校長が自校の教職員一覧表として区教委指導室に提出したものと同一内容のものを、各校長間で情報共有するのは再考を要する旨伝えたことを話した。」(平成26年9月1日付け被告板橋区準備書面(1)23頁・24頁、オ)は、指導室長矢部崇が校長会会長須田淳一に電話をした期日及び同会長に話した内容が事実ではない。

〔訴状18頁、上から20行目から25行目まで〕
  平成25年4月10日頃、原告は指導室長矢部崇に、板橋第五中学校
 が提出する「平成25年度教職員一覧表」の記載事項のうち出身大学名、
 卒(修)業年月日、生年月日、満年齢、親族及び子どもが東京都内公立
 小中学校に在職(在籍)している場合の親族(子ども)の氏名、在職(在
 学)校名、職名(学年)は個人情報にあたるので、記載しない旨を電話
 で伝えた。

〔訴状19頁、上から21行目から25行目まで〕
  平成25年4月10日頃、原告は板橋区教育委員会事務局指導室長
 矢部崇に、校長が指導室長矢部崇に提出した「平成24年度教職員一覧
 表」が全中学校23校分集約されて「平成24年度板橋区立中学校教職
 員一覧表」として、板橋区立中学校の全校長・全副校長に配付されてい
 ることを報告した。

〔訴状、19頁上から26行目から20頁上から2行目まで〕
  平成25年4月10日頃、指導室長矢部崇は原告に、「平成25年度板
 橋区立中学校校長会会長須田淳一に、『校長会は平成25年度板橋区立中
 学校教職員一覧表を作成しない。』ように伝えた。」と話した。

(13)板橋区区長坂本健の違法行為

 ア 事実認定の過誤

 板橋区区長坂本健は、東京地方裁判所平成26年(ワ)第12268号事件に提出した平成26年9月1日付け被告板橋区準備書面(1)18頁において、「平成25年度板橋区立中学校教職員一覧表」(乙6)は「校長の具申を始めとして、自校の学校経営方針や人事構想の実現に向け、自校の人事上の要望事項を具体化等するための資料として必要なものである」と主張した。
〔平成26年9月1日付け被告板橋区準備書面(1)18頁、上から7行目から24行目まで〕
 エ 以上の人事異動の仕組みの下では、「平成24年度教職員一覧表」、「平
  成25年度教職員一覧表」、「平成24年度板橋区立中学校教職員一覧表」、
  「平成25年度板橋区立中学校教職員一覧表」、「平成26年度定期異動状
  況調査一覧表」及び「平成26年度定期異動に関する求人・紹介一覧表」
  は、必要なものである。
   すなわち、都教委の人事異動は、制度上、区教委の内申、各校長の具申
  の基に成り立っているところ、「教職員一覧表」は区教委の内申等、つまり
  区教委が都教委に提出する異動計画案及び異動配置案並びに各種調査回答
  を作成する際の資料等として、また、「中学校教職員一覧表」、「定期異動状
  況調査票」及び「定期異動に関する求人・紹介一覧表」は校長の具申を始
  めとして、自校の学校経営方針や人事構想の実現に向け、自校の人事上の
  要望事項を具体化等するための資料として、それぞれ必要なものである。
  また、これらを用いることによって、「適材適所の配置」や「学校における
  望ましい教員構成の確保」など、定期異動の目的達成に資することとなる。
  とりわけ、板橋区内の人事異動においては、校長から人事上の要望事項に
  ついて、個別具体的に聴取し、異動計画案に反映させることで、校長の学
  校経営方針や人事構想の実現をきめ細かく支援し、板橋区全体の教育水準
  の向上を図ることができるものである。

 板橋区区長坂本健が主張した「平成25年度板橋区立中学校教職員一覧表」(乙6)の必要性は、下記のⅰ、ⅱである。
ⅰ 校長の具申
ⅱ 自校の学校経営方針や人事構想の実現に向け、自校の人事上の要望事項を具体化等する(板橋区内の人事異動においては、校長から人事上の要望事項について、個別具体的に聴取し、異動計画案に反映させる)
 下記(ア)のとおり、教員定期異動事務における校長の具申は、「異動申告書(異動についての校長所見)」(乙3)及び「人事構想調書」(甲35)の作成・提出により行われる。上記2点の表簿を作成するためには、「履歴カード」(甲31ないし甲34)、「教育職員自己申告書(異動について)」(乙2)及び学校に備え置く表簿並びに当該職員とのヒアリングがあれば足りる。したがって、教員定期異動事務における校長の具申に「平成25年度板橋区立中学校教職員一覧表」(乙6)は必要ではない。
 下記(イ)のとおり、自校の学校経営方針や人事構想の実現に向け自校の人事上の要望事項を具体化等するためには、「人事構想調書」(甲35)の作成と提出、並びに校長ヒアリングがあれば足りる。したがって、自校の学校経営方針や人事構想の実現に向け、自校の人事上の要望事項を具体化等するために、「平成25年度板橋区立中学校教職員一覧表」(乙6)は必要ではない。
 板橋区教育委員会が行う教員定期異動事務、x校長の要望「A中学校のa教諭を欲しい。」を異動計画案(異動配置案)に反映させることは、不当な支配に服することなく教員定期異動事務を公正かつ適正に実施する義務に違反し(教育基本法16条1項違反)、かつ公平ではない(憲法15条2項違反、地方公務員法30条違反)。したがって、違法な教員定期異動事務を行うための資料である「平成25年度板橋区立中学校教職員一覧表」(乙6)は、必要なものであると言うことはできない。(本ページ、5教員定期異動事務の進め方(4))
 よって、板橋区区長坂本健は、「平成25年度板橋区立中学校教職員一覧表」(乙6)の必要性について事実認定を誤る違法行為を行った。
 (ア)必要性ⅰ
 必要性ⅰは、教員定期異動事務における校長の具申である。
 地方教育行政法39条により、校長が教員定期異動事務において区市町村教育委員会に行う具申は、所属教職員を異動対象とするか否かの意見申出及び所属教職員の異動に関する意見申出である。具体的には、「異動申告書(異動についての校長所見)」(乙3)及び「人事構想調書」(甲35)の作成と提出である。校長が「異動申告書(異動についての校長所見)」(乙3)及び「人事構想調書」(甲35)を作成するにあたり、「平成25年度板橋区立中学校教職員一覧表」(乙6)は必要ではない。「履歴カード」(甲31ないし甲34)、「教育職員自己申告書(異動について)」(乙2)及び学校に備え置く表簿並びに当該職員とのヒアリングがあれば足りる。
 なお、必要性ⅱ「自校の学校経営方針や人事構想の実現に向け、自校の人事上の要望事項を具体化等する(板橋区内の人事異動においては、校長から人事上の要望事項について、個別具体的に聴取し、異動計画案に反映させる)」すなわちx校長が「A中学校のa教諭を欲しい。」と板橋区教育委員会に要望することは、地方教育行政法39条が規定する具申ではない。なぜならば、a教諭はx校長の所属教職員ではないから、x校長はa教諭の任免その他の進退に関する意見を板橋区教育委員会に申し出ることはできない。

※地方教育行政法39条(校長の所属教職員の進退に関する意見の申出)
 市町村立学校職員給与負担法第1条及び第2条に規定する学校の校長は、所属の県費負担教職員の任免その他の進退に関する意見を市町村委員会に申し出ることができる。
 (イ)必要性ⅱ
 必要性ⅱ(自校の学校経営方針や人事構想の実現に向け、自校の人事上の要望事項を具体化等する)のためには、「人事構想調書」(甲35)の作成と提出、並びに校長ヒアリングがあれば足りる。
 「人事構想調書」(甲35)は、校長が所属する全ての教員について、職名、氏名、性別、年齢、都教職年数、現任校年数、教科、担任(学年・組)、現校務分掌、次年度予定分掌、異動時期、本人意向、校長具申、備考を記入した。さらに、学校経営方針の要点、現在の教員構成上の課題、経営方針実現のために活用したい教員の能力、次年度の人事構想について記入した。
 次年度の人事構想は、課題解決のために必要な教員について、「本校は算数の研究実践を経営の柱としている。算数の研究推進が堪能な教員を希望。」(甲36、次年度の人事構想記入例、例1)、「器楽指導の中心となっていた教員が異動対象となる。吹奏楽が本校の伝統であり優秀な結果を残している。吹奏楽部の指導ができる教員を希望。」(甲36、次年度の人事構想記入例、例2)などと記載した。
 校長は、「人事構想調書」(甲35)の「次年度の人事構想」に上記例のように記載し、校長ヒアリングにおいて「算数の研究推進が堪能な教員を希望する。」、「吹奏楽部の指導ができる教員を希望する。」と申し出ればよい。
 その後は、板橋区教育委員会が行う仕事である。つまり、「教育職員自己申告書(異動について)」(乙2)及び「異動申告書(異動についての校長所見)」(乙3)並びに校長ヒアリングにより、異動対象教員の教職歴、特性、能力を把握する。「人事構想調書」(甲35)並びに校長ヒアリングにより、板橋区立学校77校の教育課題、教員構成上の課題、課題解決のために必要な教員について理解する。そして、必要な学校に適切な教員を公正かつ適正に配置する。(本ページ、5教員定期異動事務の進め方(3)板橋区教育委員会が行うべき職務)

 イ 法令解釈の過誤

 板橋区区長坂本健は、東京地方裁判所平成26年(ワ)第12268号事件に提出した平成26年9月1日付け被告板橋区準備書面(1)18頁において、「平成25年度板橋区立中学校教職員一覧表」(乙6)は「校長の具申を始めとして、自校の学校経営方針や人事構想の実現に向け、自校の人事上の要望事項を具体化等するための資料として必要なものである」と主張し、平成25年度板橋区立中学校校長22名(板橋第五中学校を除く)が同一覧表を作成して使用したことを支持した。
〔平成26年9月1日付け被告板橋区準備書面(1)18頁、上から7行目から24行目まで〕
 エ 以上の人事異動の仕組みの下では、「平成24年度教職員一覧表」、「平
  成25年度教職員一覧表」、「平成24年度板橋区立中学校教職員一覧表」、
  「平成25年度板橋区立中学校教職員一覧表」、「平成26年度定期異動状
  況調査一覧表」及び「平成26年度定期異動に関する求人・紹介一覧表」
  は、必要なものである。
   すなわち、都教委の人事異動は、制度上、区教委の内申、各校長の具申
  の基に成り立っているところ、「教職員一覧表」は区教委の内申等、つまり
  区教委が都教委に提出する異動計画案及び異動配置案並びに各種調査回答
  を作成する際の資料等として、また、「中学校教職員一覧表」、「定期異動状
  況調査票」及び「定期異動に関する求人・紹介一覧表」は校長の具申を始
  めとして、自校の学校経営方針や人事構想の実現に向け、自校の人事上の
  要望事項を具体化等するための資料として、それぞれ必要なものである。
  また、これらを用いることによって、「適材適所の配置」や「学校における
  望ましい教員構成の確保」など、定期異動の目的達成に資することとなる。
  とりわけ、板橋区内の人事異動においては、校長から人事上の要望事項に
  ついて、個別具体的に聴取し、異動計画案に反映させることで、校長の学
  校経営方針や人事構想の実現をきめ細かく支援し、板橋区全体の教育水準
  の向上を図ることができるものである。

 上記(10)アのとおり、平成25年度板橋区立中学校校長22名(板橋第五中学校を除く)は、所属職員の職務上の情報及び個人情報を自校の外の校長21名に漏えいした。平成25年度板橋区立中学校校長22名(板橋第五中学校を除く)は、学校教育法37条4項を準用する49条、東京都板橋区立学校の管理運営に関する規則5条1項1号及び5条1項2号が規定する権限を逸脱濫用し、地方公務員法34条1項に違反した。平成25年度板橋区立中学校校長22名(板橋第五中学校を除く)は、所属職員の自己情報コントロール権を侵害し、憲法13条、教育基本法9条2項、個人情報保護法3条に違反した。
 上記(10)イのとおり、平成25年度板橋区立中学校校長22名(板橋第五中学校を除く)は、自校の外の21中学校に在職する都費負担教職員約600人の職務上の情報及び個人情報を不正に入手した。平成25年度板橋区立中学校校長22名(板橋第五中学校を除く)は、学校教育法37条4項を準用する49条、東京都板橋区立学校の管理運営に関する規則5条1項1号及び5条1項2号が規定する権限を逸脱濫用した。平成25年度板橋区立中学校校長22名(板橋第五中学校を除く)は、自校の外の21中学校に在職する都費負担教職員約600人の自己情報コントロール権を侵害し、憲法13条、教育基本法9条2項、個人情報保護法3条に違反した。
 したがって、板橋区区長坂本健は、憲法13条、教育基本法9条2項、個人情報保護法3条、学校教育法37条4項を準用する49条、東京都板橋区立学校の管理運営に関する規則5条1項1号及び5条1項2号、地方公務員法34条1項の解釈適用を誤り、平成25年度板橋区立中学校校長22名(板橋第五中学校を除く)の違法行為を支持した。
 よって、板橋区区長坂本健は、法令等の解釈適用を誤る違法行為を行った。

10 定期異動状況調査一覧表及び定期異動に関する求人・紹介一覧表

(1)平成26年度定期異動状況調査一覧表(乙7)

 平成25年度板橋区立中学校校長会会長須田淳一(板橋第一中学校校長)の依頼を受けた板橋第二中学校校長坂田博美は、「平成26年度定期異動状況調査表」(甲3)を全校長23名に配付した。
 板橋第五中学校校長依田郁夫を除く平成25年度板橋区立中学校校長22名は、「平成26年度中学校人事構想調書」(甲35)の校長具申欄を“〇”とした者、すなわち校長が「平成25年度異動申告書(異動についての校長所見)」(乙3)において“異動の対象とする”とした教員の職務上の情報及び個人情報を「平成26年度定期異動状況調査表」(甲3)に記入して、板橋第二中学校校長坂田博美に提出した。
 板橋第二中学校校長坂田博美は、板橋第五中学校校長依田郁夫を除く平成25年度板橋区立中学校校長22名が回答した「平成26年度定期異動状況調査表」(甲3)を集計して「平成26年度定期異動状況調査一覧表」(乙7)を作成し、板橋第五中学校校長依田郁夫を除く22名の校長に配付した。
 現行の学制が施行された昭和22年から平成25年までの66年間、板橋区立中学校校長会は「定期異動状況調査一覧表」を作成して、各校長に配付してきた蓋然性が高い。
〔平成26年9月1日付け被告板橋区準備書面(1)、24頁ないし25頁〕
 コ 平成25年7月頃、須田会長からの依頼を受け、校長会の総部部部員の
  坂田博美(以下「坂田総務部員」という。)は、定期異動状況調査表(甲3)
  及び定期異動に関する求人・紹介一覧表(甲4)の作成、提出を各中学校
  校長に依頼した。提出期限は同年9月27日とした。
 ソ 各中学校の「定期異動状況調査表」及び「定期異動に関する求人・紹介
  一覧表」の提出期限である平成25年9月27日を過ぎても、原告(板五
  中)からその提出がなかったため、坂田総務部員は原告に問い合わせたと
  ころ、同人から、板五中の情報は提供しない旨の回答を受けた。
 チ 平成25年10月3日、各中学校の「定期異動状況調査表」及び「定期
  異動に関する求人・紹介一覧表」の集計結果(「平成26年度定期異動状況
  調査一覧表」(乙7)及び「平成26年度定期異動に関する求人・紹介一覧
  表」(乙8。なお、紹介欄を記載した校長はいなかったので、求人のみの
  集計となった。))が各中学校校長へメールで送信された。原告(板五中)
  には送信されなかった。

〔平成25年度板橋区立中学校の校長〕 
NO 中学校名 校  長
1   板橋第一中学校 須 田 淳 一
2   板橋第二中学校 坂 田 博 美
3   板橋第三中学校 大 本 勝 利
4   板橋第五中学校 依 田 郁 夫
5   加賀中学校 北 村 康 子
6   志村第一中学校 福 田 洋 一
7   志村第二中学校 藤 江 敏 郎
8   志村第三中学校 飛 田 修 二
9   志村第四中学校 小 川 達 夫
10   志村第五中学校 上 倉 敏 郎
11   西台中学校 飯 塚 正 人
12   中台中学校 佐 藤 晴 法
13   上板橋第一中学校 島 﨑 達 朗
14   上板橋第二中学校 塩 野 賢 一
15   上板橋第三中学校 新飯田 潤 一
16   桜川中学校 戸 張 隆 次
17   向原中学校 百 武 政 信
18   赤塚第一中学校 大河原 嘉 朗
19   赤塚第二中学校 稲 葉 秀 哉
20   赤塚第三中学校 工 藤 雅 敏
21   高島第一中学校 岡 村 克 也
22   高島第二中学校 荒 井 秀 樹
23   高島第三中学校 加 藤 芳 和

〔甲3.平成26年度定期異動状況調査表〕
秘          平成26年度  定期異動状況調査表    
                                       板橋区立      中学校・学校 №
【板橋区内外問わず転出予定者のみ(人事構想調書の校長欄に○を付けた者)を記入】
教科 氏    名 性別 年齢 在籍 異動 第1希望 第2希望 第3希望 主幹・主任歴・特技・部活動等 推薦度
年数 事由 地区 地区 地区 ○のみ
 【異動事由  1 … 3年以上6年未満  2 … 6年以上必異動  3 … 過員  4 … 具申異動】
 ※推薦度の欄には、板橋区に残したい(本人が区外希望であっても)教員に○を付ける
学級数(見込) 過員教科 退職教科
平成25年度 平成26年度
 提出締め切り日 9月27日(金) 板二中必着  板二中校長メールまたは交換便(親展、厳封)
 集計後の配付日 10月2日(水) 各校へ(メールの添付ファイルで)

〔乙7.平成26年度定期異動状況調査一覧表〕
平成25年10月23日現在
平成26年度  定期異動状況調査一覧表   中学校別
教科 氏  名 性別 年齢 在籍 理由 希望地区 備  考 校名
※「性別」の外は被覆されている。
 被覆されている項目は「教科」、「氏名」、「年齢」、「在籍年数」、「異動理由」、「異動希望地区」、「備考欄」、「校名」である。
※乙7には、67人の異動対象教員の職務上の情報及び個人情報が記載されている。

〔甲35.平成26年度中学校人事構想調書〕
平成26年度 中学校人事構想調書 
学校経営方針の要点 現在の教員構成上の課題 経営方針実現のために活用したい教員の能力
職名 氏 名 教職 現任校 教科 担任 次年度 異動 本人 校長 備考 地教委 異動検討 都教委
年数 年数 学年・組 校務分掌 予定分掌 時期 意向 具申 内申 対象 決定
1 1
2 2
3 3
4 4
5 5
6 6
7 7
8 8
9 9
10 10
~ ~ ~ ~ ~ ~ ~ ~ ~ ~ ~ ~ ~ ~ ~ ~ ~ ~ ~ ~ ~ ~ ~ ~ ~ ~ ~ ~ ~ ~ ~ ~ ~
48 48
49 49
50 50
次年度の
人事構想
〔甲36.平成26年度人事構想調書【校長記入例】〕
平成26年度 人事構想調書 【校長記入例】
学校経営方針の要点(例) 現在の教員構成上の課題(例) 経営方針実現のために活用したい教員の能力(例)
・学力の向上と個性の伸長を図り、生きる力を身 ・授業改善への創意工夫が不十分であり、区の研究 ・神奈川主任教諭は本校の研究の要である。次年度
に付けさせる。 奨励校として授業力向上を推進していく。研究につい の研究発表まで、あと1年は本校に必要。
・学校選択制度が3年目を迎える。山積する課題 て堪能教員の配置が必要である。 ・本校の吹奏楽部は積極的に活動し、地域の活動に
を全教職員が共通認識し、それぞれの担当で課 ・生活指導上の課題が沈静化しつつあるが未だ予断 おいても貢献している。吹奏楽指導ができる教員を活
題解決が図れるよう経営の充実を図る。 を許さない状況にある。今後も教育相談等を充実さ 用し発展を図る。
せるため、生活指導力のある教員が必要である。
中学校 例
職名 氏 名 教職 現任校 教科 担任 次年度 異動 本人 校長 備 考 地教委 異動検討 都教委
年数 年数 学年・組 校務分掌 予定分掌 時期 意向 具申 内申 対象 決定
結婚に伴う転居により
1 教諭 東京はるみ 26 4 4 音楽 1-C 生活指導部 25年度 120分以上の遠距離通 1
勤が発生。本人事情も
生活指導 生活指導の推進で教職
2 主任教諭 埼玉なつや 35 13 5 社会 2年付 主任 25年度 × 員と軋轢。生活指導力 2
抜群、環境を変え育成。
部活動支援要員、27年3
3 主任教諭 千葉ふゆや 41 19 7 体男 3年付 生活指導部 生活指導部 26年度 月まで 3
〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜
28 再任用フル 静岡ふじや 61 技術 1年付 進路指導部 進路指導部 28
平成27年3月31日まで育
29 産育休 栃木いちこ 27 5 4.02 英語 児休業予定。 29
平成27年3月31日まで病
30 病気休職 山梨ももお 56 34 5.04 国語 生活指導部 気休職。 30
29栃木いちこ教諭の復
31 産育代替 神奈川あきこ 34 英語 2年付 教務部 職まで継続予定。 31
次年度の人事構想 記入例
次年度の 例1)本校は算数の研究実践を経営の柱としている。算数の研究推進が堪能な教員を希望。
人事構想 例2)器楽指導の中心となっていた教員が異動対象となる。吹奏楽が本校の伝統であり優秀な結果を残している。吹奏楽部の指導ができる教員を希望。
〈留意点〉
①作成時に所属するすべての教員について記入し、年齢、教職年数、現任校年数については、平成26年3月31日現在とする。(校長、副校長及び非常勤
教員並びに講師の記入は不要。)
②本人意向、校長具申欄の○は異動、×は残留することを示す。
③記入順については、本人意向、校長具申欄の上から○○、×○、○×、××、職名欄の再任用(フル、短)、期付教員、休職者、退職者、産育代替の
順とし、それぞれの中を教科順、現任校在籍年数の長い順に並べる。
④再任用教員は職名欄にフルタイムは「再任用フル」、短時間は「再任用短」をプルダウンメニューから選択し入力する。
⑤期限付任用教員は職名欄に「期付教員」(養護教諭の場合は「期付養教」)をプルダウンメニューから選択し入力する。
⑥担任、学年・組については、本年度の担当を明記する。
⑦現校務分掌については、主任、委員長等の名称があれば校内で通常使っている名称を記入する。
⑧備考欄は、異動対象者については異動させる理由を具体的に記入する。異動検討対象者については、異動させる理由又は異動対象除外とする理由
を明記する。また、退職者、休職者についても例にならって記入する。更に、以下の項目について記入する。・主幹教諭及び主幹(養護)教諭について
は、純粋主幹と管候補の区別を記入する。・理科教育推進教員(小学校のみ)を記入する。・部活動に関わって、すでに現任校で複数年配置が認められ
ている教員については、例えば「部活動支援教員 平成27年3月まで」のように記入する。
⑨性別と年齢欄を入力すると、教員組織表の「②年齢層別現員数・平均年齢欄」に自動集計されるので、正しく数字を記入する。

〔乙3.平成25年度異動申告書(異動についての校長所見)〕
平成25年度(平成26年4月1日異動) 異動申告書 *所属 *新所属
異動についての校長所見   地区   地区
主幹教諭・指導教諭・主任教諭・主任養護教諭・教諭・養護教諭・栄養教諭 *教科      (     ) *教科      (     )
氏 名 フ リ ガ ナ 職員番号 性別
年齢 異種間 障害
異 動 種別
現任校における  勤 務 の 状 況 
病気休暇 期間等 *1 *2 *3
遅参・欠勤 (1)3年以上 (2)6年
(3)過員 (4)3年未満 初
休職     年   月 ~    年   月  (        ) 
産休・育休     年   月 ~    年   月  (        )  同教員についての校長所見 学習指導力
育児短時間勤務等     年   月 ~    年   月  (        ) 
(予定も含む)
能力活用と育成  【現任校での勤務実績と成果】 生活指導力・進路指導力
外部との連携・折衝力
 【活用できる能力】
 □学校運営 □校務分掌 □学習指導 □研 究 □生活指導
 □進路指導 □部活動   □地域対応 □その他 (         ) 学校運営力・組織貢献力
 (具体的な状況)
異動に関する 意見と理由 人事構想伝達日
 【昇任選考又は管理職選考等】 (受験中の選考)
 (指導及び受験の状況) 平成  年  月  日
□ 異動の対象とする
□ 異動の対象としない
 【資格・免許等】    平成     年     月     日
  ○学校図書館司書教諭免許 ( 有 ・ 無 )     板橋区立      学校  校長
  ○学校マネジメント講座受講 ( 有 ・ 無 )  *地教委 教育管理職候補者選考合格年度及び種別
  その他の資格・免許  平成    年度  □現任校昇任 □地区内昇任
 □他地区昇任

(2)平成26年度定期異動に関する求人・紹介一覧表集計(乙8)

 平成25年度板橋区立中学校校長会会長須田淳一(板橋第一中学校校長)の依頼を受けた板橋第二中学校校長坂田博美は、「平成26年度定期異動に関する求人・紹介一覧表」(甲4)を全校長23名に配付した。
 板橋第五中学校校長依田郁夫を除く平成25年度板橋区立中学校校長22名は、「平成26年度定期異動に関する求人・紹介一覧表」(甲4)に必要事項を記入して、板橋第二中学校校長坂田博美に提出した。
 板橋第二中学校校長坂田博美は、板橋第五中学校校長依田郁夫を除く平成25年度板橋区立中学校校長22名が回答した「平成26年度定期異動に関する求人・紹介一覧表」(甲4)を集計して「平成26年度定期異動に関する求人・紹介一覧表集計」(乙8)を作成し、板橋第五中学校校長依田郁夫を除く22名の校長に配付した。
 現行の学制が施行された昭和22年から平成25年までの66年間、板橋区立中学校校長会は「定期異動に関する求人・紹介一覧表集計」を作成して、各校長に配付してきた蓋然性が高い。
〔平成26年9月1日付け被告板橋区準備書面(1)、24頁ないし25頁〕
 コ 平成25年7月頃、須田会長からの依頼を受け、校長会の総部部部員の
  坂田博美(以下「坂田総務部員」という。)は、定期異動状況調査表(甲3)
  及び定期異動に関する求人・紹介一覧表(甲4)の作成、提出を各中学校
  校長に依頼した。提出期限は同年9月27日とした。
 ソ 各中学校の「定期異動状況調査表」及び「定期異動に関する求人・紹介
  一覧表」の提出期限である平成25年9月27日を過ぎても、原告(板五
  中)からその提出がなかったため、坂田総務部員は原告に問い合わせたと
  ころ、同人から、板五中の情報は提供しない旨の回答を受けた。
 チ 平成25年10月3日、各中学校の「定期異動状況調査表」及び「定期
  異動に関する求人・紹介一覧表」の集計結果(「平成26年度定期異動状況
  調査一覧表」(乙7)及び「平成26年度定期異動に関する求人・紹介一覧
  表」(乙8。なお、紹介欄を記載した校長はいなかったので、求人のみの
  集計となった。))が各中学校校長へメールで送信された。原告(板五中)
  には送信されなかった。

〔平成25年度板橋区立中学校の校長〕
NO 中学校名 校  長
1   板橋第一中学校 須 田 淳 一
2   板橋第二中学校 坂 田 博 美
3   板橋第三中学校 大 本 勝 利
4   板橋第五中学校 依 田 郁 夫
5   加賀中学校 北 村 康 子
6   志村第一中学校 福 田 洋 一
7   志村第二中学校 藤 江 敏 郎
8   志村第三中学校 飛 田 修 二
9   志村第四中学校 小 川 達 夫
10   志村第五中学校 上 倉 敏 郎
11   西台中学校 飯 塚 正 人
12   中台中学校 佐 藤 晴 法
13   上板橋第一中学校 島 﨑 達 朗
14   上板橋第二中学校 塩 野 賢 一
15   上板橋第三中学校 新飯田 潤 一
16   桜川中学校 戸 張 隆 次
17   向原中学校 百 武 政 信
18   赤塚第一中学校 大河原 嘉 朗
19   赤塚第二中学校 稲 葉 秀 哉
20   赤塚第三中学校 工 藤 雅 敏
21   高島第一中学校 岡 村 克 也
22   高島第二中学校 荒 井 秀 樹
23   高島第三中学校 加 藤 芳 和

〔甲4.平成26年度定期異動に関する求人・紹介一覧表〕
平成26年度  定期異動に関する求人・紹介一覧表
                                 学校名                
 【求人】
NO 教科 希望することがら
1
2
3
4
5
6
7
8
9
10
 【紹介】
  他地区より転入予定の推薦者(教科・氏名・性別・地区名・理由等)
   例:数学・板橋太郎(男)・港区・道徳教育推進委員・バドミントン部
 ※定期異動状況調査表と一緒に、9月27日(金)までに板二中へご提出ください

〔乙8.平成26年度定期異動に関する求人・紹介一覧表集計〕
校名 教科 希望する事柄
1 数学 男性、陸上部、バスケット部、指導力ある30代の方
2 保体 男性、陸上部、バウケット部、指導力ある30代の方
3 音楽 男女どちらでも、吹奏楽の指導力のある30代~40代の方
4 英語 女性、吹奏楽の指導力のある30代~40代の方
5 特支 女性、陸上部、バスケットボール部の指導力のある方、新採可
6 特支 女性、陸上部、バスケットボール部の指導力のある方、新採可
1 社会 バドミントンの指導ができる人
2 保体 ソフトテニスの指導ができる人
1 社会 野球部の指導ができる人
2 理科 野球部の指導ができる人
3 数学 野球部の指導ができる人
なし
1 社会 ソフトテニス指導できる人、生活、または教務
2 数学 ソフトテニス指導できる人、生活、または教務
3 保体 ソフトテニス指導できる人、生活、または教務
4 理科 ソフトテニス指導できる人、生活、または教務
1 社会 学年主任ができる人材。
2 体男 生活指導主任、もしくは学年主任ができる人材。
3 養護教諭 教育相談ができる人材。特に保護者対応に長けている人材。
4 英語 学年主任ができる人材。
5 体育か国語 生活指導主任、学年主任ができる人材。
6 日本語 経験者がいいが新採可。英語科か国語科が希望。
1 保体 教科指導しっかりできる人男子教員、主幹、主任教諭を望む
2 国語 教科指導しっかりできる人  男女問わず
1 社会
2 保体
1 国語 指導力(教科・生活指導)に優れ、学年主任ができる人 主幹可
1 国語 授業が成立する人、テニス、バド、剣道の顧問
2 音楽 生徒理解をしつつ吹奏楽の指導ができる人+他教科に同じ
3 美術 授業が成立する人、テニス、バド、剣道の顧問
4 技術 授業が成立する人、テニス、バド、剣道の顧問
5 英語 授業が成立する人、テニス、バド、剣道の顧問
1 理科 教科指導力がある人
1 英語 女性で中堅、主任教諭、部活で英語部を担当できる人
1 数学
2 数学
校名 教科 希望する事柄
1 数学 教科指導、担任をきちんとできる人、バスケット部指導できる人
2 国語 教科指導、担任をきちんとできる人、バスケット部指導できる人
3 英語 教科指導、担任をきちんとできる人、バスケット部指導できる人
4 美術 教科指導、担任をきちんとできる人
1 理科 サッカー部の指導ができる人
2 英語 サッカー部の指導ができる人
家庭 講師で指導力ある人
英語 産休代替で指導力ある人
1 国語
2 英語 ・生活指導主任
3 英語 ・学年主任
4 音楽
5 保体
1 国語
2 国語
3 社会
4 社会
5 社会
6 数学 ◯主幹教諭 1人
7 数学 ◯学年主任
8 理科 ◯バスケット、サッカー、バレーボール部の顧問ができる人
9 理科
10 保体
11 家庭
12 英語
13 英語
14 特支
なし
1 保体 主幹以外の男性、バスケット
2 技術 部活動のできる人
3 英語 教科指導ができる人
1 数学 男性 経験豊かな主任教諭
2 理科 男性 都理数フロンティア研究に対応できる人
3 技術 男性 指導力のある人
1 数学 学級数によっては過員教科
2 技術 通級学級教員の配置換えで対応予定
3 英語 生活指導力のある若手希望(バド、卓球、陸上指導できる人)
4 社会 生活指導力のある若手希望(バド、卓球、陸上指導できる人)
5 通級 男性を希望
1 数学 主任教諭以上で指導力のある人
2 英語 主任教諭以上で指導力のある人
3 保体 陸上部の指導ができる人
4 技術 生活指導力があり、バレー部の指導ができる人
※「校名」は被覆されている。
※乙8には、教員77人の求人情報が記載されている。

(3)平成25年度板橋区立中学校校長の違法行為

 ア 職務上の情報及び個人情報の漏えい

 板橋第五中学校校長依田郁夫を除く平成25年度板橋区立中学校校長22名は、「平成26年度中学校人事構想調書」(甲35)の校長具申欄を“〇”とした者、すなわち校長が「平成25年度異動申告書(異動についての校長所見)」(乙3)において“異動の対象とする”とした教員の職務上の情報及び個人情報を、「平成26年度定期異動状況調査表」(甲3)及び「平成26年度定期異動状況調査一覧表」(乙7)により自校の外の校長21名に漏えいした。
 板橋第五中学校校長依田郁夫を除く平成25年度板橋区立中学校校長22名が自校の外の校長21名に漏えいした異動対象教員の職務上の情報及び個人情報は、①教科、②氏名、③性別、④年齢、⑤在籍年数、⑥異動事由、⑦第1希望地区・第2希望地区・第3希望地区、⑧主幹・主任歴・特技・部活動、⑨推薦度(校長が板橋区に残したい教員に〇を付ける。本人が板橋区外に異動を希望していても、校長が板橋区に残したいと判断したときは〇を付ける。)である。
 中学校校長の職務は、学校教育法37条4項を準用する49条により、「校務をつかさどり、所属職員を監督する。」である。東京都板橋区立学校の管理運営に関する規則5条は、校長の職務を「学校教育の管理、所属職員の管理、学校施設の管理及び学校事務の管理に関すること。」(同規則5条1項1号)、「所属職員の職務上及び身分上の監督に関すること。」(同規則5条1項2号)と規定している。
 したがって、板橋第五中学校校長依田郁夫を除く平成25年度板橋区立中学校校長22名が異動対象教員の職務上の情報及び個人情報を自校の外の校長21名に漏えいしたことは、学校教育法37条4項を準用する49条、東京都板橋区立学校の管理運営に関する規則5条1項1号及び5条1項2号が規定する権限の逸脱濫用であり、地方公務員法34条1項違反である。
 板橋第五中学校校長依田郁夫を除く平成25年度板橋区立中学校校長22名は、自らが“異動の対象とする”とした所属教員の職務上の情報及び個人情報を自校の外の校長21名に漏えいし、同教員の自己情報コントロール権を侵害した。
 よって、板橋第五中学校校長依田郁夫を除く平成25年度板橋区立中学校校長22名は、憲法13条、教育基本法9条2項、個人情報保護法3条、学校教育法37条4項を準用する49条、東京都板橋区立学校の管理運営に関する規則5条1項1号及び5条1項2号、地方公務員法32条、33条及び34条1項に違反した。

※憲法13条〔個人の尊重、生命・自由・幸福追求の権利の尊重〕
 すべて国民は、個人として尊重される。生命、自由及び幸福追求に対する国民の権利については、公共の福祉に反しない限り、立法その他の国政の上で、最大の尊重を必要とする。
※教育基本法9条2項(教員)
 前項の教員については、その使命と職責の重要性にかんがみ、その身分は尊重され、待遇の適正が期せられるととに、養成と研修の充実が図られなければならない。
※個人情報保護法3条(基本理念)
 個人情報は、個々の人格尊重の理念の下に慎重に取り扱われるべきものであることにかんがみ、その適正な取扱いが図られなければならない。
※学校教育法37条4項
 校長は、校務をつかさどり、所属職員を監督する。
※学校教育法49条〔準用規定〕
 第30条第2項、第31条、第34条、第35条及び第37条から第44条までの規定は、中学校に準用する。この場合において、第30条第2項中の「前項」とあるのは「第46条」と、第31条中「前条第1項」とあるのは「第46条」と読み替えるものとする。
※東京都板橋区立学校の管理運営に関する規則5条(校長の職務)
 学校教育法第37条第4項及び同項を準用する法第49条に規定する校長の職務は、おおむね次のとおりとする。
 (1)学校教育の管理、所属職員の管理、学校施設の管理及び学校事務の管理に関すること。
 (2)所属職員の職務上及び身分上の監督に関すること。
 (3)前各号に規定するもののほか、職務上委任又は命令された事項に関すること。
2 校長は、所属職員に校務を分掌させることができる。
※地方公務員法32条(法令等及び上司の職務上の命令に従う義務)
 職員は、その職務を遂行するに当たって、法令、条例、地方公共団体の規則及び地方公共団体の機関の定める規程に従い、且つ、上司の職務上の命令に忠実に従わなければならない。
※地方公務員法33条(信用失墜行為の禁止)
 職員は、その職の信用を傷つけ、又は職員の職全体の不名誉となるような行為をしてはならない。
※地方公務員法34条1項(秘密を守る義務)
 職員は、職務上知り得た秘密を漏らしてはならない。その職を退いた後も、また、同様とする。

 イ 職務上の情報及び個人情報の不正入手

 板橋第五中学校校長依田郁夫を除く平成25年度板橋区立中学校校長22名は、「平成26年度定期異動状況調査一覧表」(乙7)から、自校の外の21中学校に在職し次年度異動する教員約60人の職務上の情報及び個人情報を入手した。
 板橋第五中学校校長依田郁夫を除く平成25年度板橋区立中学校校長22名が入手した上記情報は、①教科、②氏名、③性別、④年齢、⑤在籍年数、⑥異動事由、⑦第1希望地区・第2希望地区・第3希望地区、⑧主幹・主任歴・特技・部活動、⑨推薦度(校長が板橋区に残したい教員に〇を付ける。本人が板橋区外に異動を希望していても、校長が板橋区に残したいと判断したときは〇を付ける。)、⑩校名である。
 中学校校長の職務は、学校教育法37条4項を準用する49条により、「校務をつかさどり、所属職員を監督する。」である。東京都板橋区立学校の管理運営に関する規則5条は、校長の職務を「学校教育の管理、所属職員の管理、学校施設の管理及び学校事務の管理に関すること。」(同規則5条1項1号)、「所属職員の職務上及び身分上の監督に関すること。」(同規則5条1項2号)と規定している。
 中学校校長は、自校の外の学校に在職する職員を監督する権限を有しない。板橋区立中学校校長は、自校の外の学校に在職する職員を管理する権限を有しない。板橋区立中学校校長は、自校の外の学校に在職する職員の職務上及び身分上の監督を行う権限を有しない。
 したがって、板橋第五中学校校長依田郁夫を除く平成25年度板橋区立中学校校長22名が自校の外の21中学校に在職し次年度異動する教員約60人の職務上の情報及び個人情報を入手したことは、学校教育法37条4項を準用する49条、東京都板橋区立学校の管理運営に関する規則5条1項1号及び5条1項2号が規定する権限の逸脱濫用である。
 板橋第五中学校校長依田郁夫を除く平成25年度板橋区立中学校校長22名は、自校の外の21中学校に在職し次年度異動する教員約60人の職務上の情報及び個人情報を不正に入手し、同教員らの自己情報コントロール権を侵害した。
 よって、板橋第五中学校校長依田郁夫を除く平成25年度板橋区立中学校校長22名は、憲法13条、教育基本法9条2項、個人情報保護法3条、学校教育法37条4項を準用する49条、東京都板橋区立学校の管理運営に関する規則5条1項1号及び5条1項2号、地方公務員法32条及び33条に違反した。

※憲法13条〔個人の尊重、生命・自由・幸福追求の権利の尊重〕
 すべて国民は、個人として尊重される。生命、自由及び幸福追求に対する国民の権利については、公共の福祉に反しない限り、立法その他の国政の上で、最大の尊重を必要とする。
※教育基本法9条2項(教員)
 前項の教員については、その使命と職責の重要性にかんがみ、その身分は尊重され、待遇の適正が期せられるととに、養成と研修の充実が図られなければならない。
※個人情報保護法3条(基本理念)
 個人情報は、個々の人格尊重の理念の下に慎重に取り扱われるべきものであることにかんがみ、その適正な取扱いが図られなければならない。
※学校教育法37条4項
 校長は、校務をつかさどり、所属職員を監督する。
※学校教育法49条〔準用規定〕
 第30条第2項、第31条、第34条、第35条及び第37条から第44条までの規定は、中学校に準用する。この場合において、第30条第2項中の「前項」とあるのは「第46条」と、第31条中「前条第1項」とあるのは「第46条」と読み替えるものとする。
※東京都板橋区立学校の管理運営に関する規則5条(校長の職務)
 学校教育法第37条第4項及び同項を準用する法第49条に規定する校長の職務は、おおむね次のとおりとする。
 (1)学校教育の管理、所属職員の管理、学校施設の管理及び学校事務の管理に関すること。
 (2)所属職員の職務上及び身分上の監督に関すること。
 (3)前各号に規定するもののほか、職務上委任又は命令された事項に関すること。
2 校長は、所属職員に校務を分掌させることができる。
※地方公務員法32条(法令等及び上司の職務上の命令に従う義務)
 職員は、その職務を遂行するに当たって、法令、条例、地方公共団体の規則及び地方公共団体の機関の定める規程に従い、且つ、上司の職務上の命令に忠実に従わなければならない。
※地方公務員法33条(信用失墜行為の禁止)
 職員は、その職の信用を傷つけ、又は職員の職全体の不名誉となるような行為をしてはならない。
 

(4)教育長橋本正彦の違法行為

 ア 不作為責任

 平成25年度板橋区教育委員会教育長橋本正彦は、地方教育行政法43条1項により、板橋区立中学校校長の服務を監督する権限及び義務を有する。
 上記(3)アのとおり、平成25年度板橋区立中学校校長22名(板橋第五中学校を除く)は、所属職員のうち次年度異動する教員の職務上の情報及び個人情報を自校の外の校長21名に漏えいした。平成25年度板橋区立中学校校長22名(板橋第五中学校を除く)は、学校教育法37条4項を準用する49条、東京都板橋区立学校の管理運営に関する規則5条1項1号及び5条1項2号が規定する権限を逸脱濫用し、地方公務員法34条1項に違反した。平成25年度板橋区立中学校校長22名(板橋第五中学校を除く)は、所属職員のうち次年度異動する教員の自己情報コントロール権を侵害し、憲法13条、教育基本法9条2項、個人情報保護法3条に違反した。
 上記(3)イのとおり、平成25年度板橋区立中学校校長22名(板橋第五中学校を除く)は、自校の外の21中学校に在職し次年度異動する教員約60人の職務上の情報及び個人情報を不正に入手した。平成25年度板橋区立中学校校長22名(板橋第五中学校を除く)は、学校教育法37条4項を準用する49条、東京都板橋区立学校の管理運営に関する規則5条1項1号及び5条1項2号が規定する権限を逸脱濫用した。平成25年度板橋区立中学校校長22名(板橋第五中学校を除く)は、自校の外の21中学校に在職し次年度異動する教員約60人の自己情報コントロール権を侵害し、憲法13条、教育基本法9条2項、個人情報保護法3条に違反した。
 しかし、教育長橋本正彦は、平成25年度板橋区立中学校校長22名(板橋第五中学校を除く)の上記違法行為に対し指導、助言及び改善命令を発しなかった。
 よって、教育長橋本正彦には地方教育行政法43条1項の義務を誠実に履行しない違法、不作為責任がある。

※地方教育行政法43条1項(服務の監督)
 市町村委員会は、県費負担教職員の服務を監督する。

(5)板橋区区長坂本健の事実誤認

 板橋区区長坂本健は、東京地方裁判所平成26年(ワ)第12268号事件に提出した平成26年9月1日付け被告板橋区準備書面(1)25頁において、原告依田郁夫の「平成26年度定期異動状況調査表」(甲3)及び「平成26年度定期異動に関する求人・紹介一覧表」(甲4)の提出について下記のとおり主張した。
〔平成26年9月1日付け被告板橋区準備書面(1)25頁、上から13行目から16行目まで〕
 ソ 各中学校の「定期異動状況調査表」及び「定期異動に関する求人・紹介
  一覧表」の提出期限である平成25年9月27日を過ぎても、原告(板五
  中)からその提出がなかったため、坂田総務部員は原告に問い合わせたと
  ころ、同人から、板五中の情報は提供しない旨の回答を受けた。

 「各中学校の「定期異動状況調査表」及び「定期異動に関する求人・紹介一覧表」の提出期限である平成25年9月27日を過ぎても、原告(板五中)からその提出がなかったため、坂田総務部員は原告に問い合わせたところ、同人から、板五中の情報は提供しない旨の回答を受けた。」(平成26年9月1日付け被告板橋区準備書面(1)25頁、ソ)は、事実ではない。
 平成25年9月27日過ぎ、板橋第二中学校校長坂田博美は、原告依田郁夫に問い合わせをしていない。したがって、平成25年9月27日過ぎに、原告依田郁夫は板橋第二中学校校長坂田博美に「板五中の情報は提供しない旨の回答」をしていない。
 原告依田郁夫は、板橋第二中学校校長坂田博美が平成25年7月、「平成26年度定期異動状況調査表」(甲3)及び「平成26年度定期異動に関する求人・紹介一覧表」(甲4)の作成・提出を各中学校校長にメール配信した直後に、「板橋第五中学校の情報は提供しない。」ことを板橋第二中学校校長坂田博美にメールで回答した。(訴状、22頁)

〔訴状22頁、上から7行目から20行目まで〕
(4)請求の原因4に対する原告の対応
   平成25年7月頃、板橋第二中学校校長坂田博美が板橋区立中
  学校長23名に甲第3号証〔平成26年度定期異動状況調査表〕、甲第
  4号証〔平成26年度定期異動に関する求人・紹介一覧表〕をメール配
  信した。各校長は自校の内容を記入して、平成25年9月27日までに
  板橋第二中学校校長坂田博美にメールまたは交換便で返信することが義
  務づけられた。
   原告は平成25年7月頃、「平成26年度定期異動状況調査表」、「平成
  26年度定期異動に関する求人・紹介一覧表」がメール配信された直後
  に、板橋第二中学校校長坂田博美に「板橋第五中学校の情報は提供しない。」
  ことを伝えた。
   平成25年10月2日、原告には「平成26年度定期異動状況調査表」、
  「平成26年度定期異動に関する求人・紹介一覧表」の集計結果がメー
  ル配信されなかった。

(6)板橋区区長坂本健の違法行為

 ア 事実認定の過誤

 板橋区区長坂本健は、東京地方裁判所平成26年(ワ)第12268号事件に提出した平成26年9月1日付け被告板橋区準備書面(1)18頁において、「平成26年度定期異動状況調査一覧表」(乙7)及び「平成26年度定期異動に関する求人・紹介一覧表集計」(乙8)は「校長の具申を始めとして、自校の学校経営方針や人事構想の実現に向け、自校の人事上の要望事項を具体化等するための資料として必要なものである」と主張した。
〔平成26年9月1日付け被告板橋区準備書面(1)18頁、上から7行目から24行目まで〕
 エ 以上の人事異動の仕組みの下では、「平成24年度教職員一覧表」、「平
  成25年度教職員一覧表」、「平成24年度板橋区立中学校教職員一覧表」、
  「平成25年度板橋区立中学校教職員一覧表」、「平成26年度定期異動状
  況調査一覧表」及び「平成26年度定期異動に関する求人・紹介一覧表」
  は、必要なものである。
   すなわち、都教委の人事異動は、制度上、区教委の内申、各校長の具申
  の基に成り立っているところ、「教職員一覧表」は区教委の内申等、つまり
  区教委が都教委に提出する異動計画案及び異動配置案並びに各種調査回答
  を作成する際の資料等として、また、「中学校教職員一覧表」、「定期異動状
  況調査票」及び「定期異動に関する求人・紹介一覧表」は校長の具申を始
  めとして、自校の学校経営方針や人事構想の実現に向け、自校の人事上の
  要望事項を具体化等するための資料として、それぞれ必要なものである。
  また、これらを用いることによって、「適材適所の配置」や「学校における
  望ましい教員構成の確保」など、定期異動の目的達成に資することとなる。
  とりわけ、板橋区内の人事異動においては、校長から人事上の要望事項に
  ついて、個別具体的に聴取し、異動計画案に反映させることで、校長の学
  校経営方針や人事構想の実現をきめ細かく支援し、板橋区全体の教育水準
  の向上を図ることができるものである。

 板橋区区長坂本健が主張した「平成26年度定期異動状況調査一覧表」(乙7)及び「平成26年度定期異動に関する求人・紹介一覧表集計」(乙8)の必要性は、下記のⅰ、ⅱである。
ⅰ 校長の具申
ⅱ 自校の学校経営方針や人事構想の実現に向け、自校の人事上の要望事項を具体化等する(板橋区内の人事異動においては、校長から人事上の要望事項について、個別具体的に聴取し、異動計画案に反映させる)
 下記(ア)のとおり、教員定期異動事務における校長の具申は、「異動申告書(異動についての校長所見)」(乙3)及び「人事構想調書」(甲35)の作成・提出により行われる。上記2点の表簿を作成するためには、「履歴カード」(甲31ないし甲34)、「教育職員自己申告書(異動について)」(乙2)及び学校に備え置く表簿並びに当該職員とのヒアリングがあれば足りる。したがって、教員定期異動事務における校長の具申に「平成26年度定期異動状況調査一覧表」(乙7)及び「平成26年度定期異動に関する求人・紹介一覧表集計」(乙8)は必要ではない。
 下記(イ)のとおり、自校の学校経営方針や人事構想の実現に向け自校の人事上の要望事項を具体化等するためには、「人事構想調書」(甲35)の作成と提出、並びに校長ヒアリングがあれば足りる。したがって、自校の学校経営方針や人事構想の実現に向け、自校の人事上の要望事項を具体化等するために、「平成26年度定期異動状況調査一覧表」(乙7)及び「平成26年度定期異動に関する求人・紹介一覧表集計」(乙8)は必要ではない。
 板橋区教育委員会が行う教員定期異動事務、x校長の要望「A中学校のa教諭を欲しい。」を異動計画案(異動配置案)に反映させることは、不当な支配に服することなく教員定期異動事務を公正かつ適正に実施する義務に違反し(教育基本法16条1項違反)、かつ公平ではない(憲法15条2項違反、地方公務員法30条違反)。したがって、違法な教員定期異動事務を行うための資料である「平成26年度定期異動状況調査一覧表」(乙7)及び「平成26年度定期異動に関する求人・紹介一覧表集計」(乙8)は、必要なものであると言うことはできない。(本ページ、5教員定期異動事務の進め方(4))
 よって、板橋区区長坂本健は、「平成26年度定期異動状況調査一覧表」(乙7)及び「平成26年度定期異動に関する求人・紹介一覧表集計」(乙8)の必要性について事実認定を誤る違法行為を行った。
 (ア)必要性ⅰ
 必要性ⅰは、教員定期異動事務における校長の具申である。
 地方教育行政法39条により、校長が教員定期異動事務において区市町村教育委員会に行う具申は、所属教職員を異動対象とするか否かの意見申出及び所属教職員の異動に関する意見申出である。具体的には、「異動申告書(異動についての校長所見)」(乙3)及び「人事構想調書」(甲35)の作成と提出である。校長が「異動申告書(異動についての校長所見)」(乙3)及び「人事構想調書」(甲35)を作成するにあたり、「平成26年度定期異動状況調査一覧表」(乙7)及び「平成26年度定期異動に関する求人・紹介一覧表集計」(乙8)は必要ではない。「履歴カード」(甲31ないし甲34)、「教育職員自己申告書(異動について)」(乙2)及び学校に備え置く表簿並びに当該職員とのヒアリングがあれば足りる。
 なお、必要性ⅱ「自校の学校経営方針や人事構想の実現に向け、自校の人事上の要望事項を具体化等する(板橋区内の人事異動においては、校長から人事上の要望事項について、個別具体的に聴取し、異動計画案に反映させる)」すなわちx校長が「A中学校のa教諭を欲しい。」と板橋区教育委員会に要望することは、地方教育行政法39条が規定する具申ではない。なぜならば、a教諭はx校長の所属教職員ではないから、x校長はa教諭の任免その他の進退に関する意見を板橋区教育委員会に申し出ることはできない。

※地方教育行政法39条(校長の所属教職員の進退に関する意見の申出)
 市町村立学校職員給与負担法第1条及び第2条に規定する学校の校長は、所属の県費負担教職員の任免その他の進退に関する意見を市町村委員会に申し出ることができる。
(イ)必要性ⅱ
 必要性ⅱ(自校の学校経営方針や人事構想の実現に向け、自校の人事上の要望事項を具体化等する)のためには、「人事構想調書」(甲35)の作成と提出、並びに校長ヒアリングがあれば足りる。
 「人事構想調書」(甲35)は、校長が所属する全ての教員について、職名、氏名、性別、年齢、都教職年数、現任校年数、教科、担任(学年・組)、現校務分掌、次年度予定分掌、異動時期、本人意向、校長具申、備考を記入した。さらに、学校経営方針の要点、現在の教員構成上の課題、経営方針実現のために活用したい教員の能力、次年度の人事構想について記入した。
 次年度の人事構想は、課題解決のために必要な教員について、「本校は算数の研究実践を経営の柱としている。算数の研究推進が堪能な教員を希望。」(甲36、次年度の人事構想記入例、例1)、「器楽指導の中心となっていた教員が異動対象となる。吹奏楽が本校の伝統であり優秀な結果を残している。吹奏楽部の指導ができる教員を希望。」(甲36、次年度の人事構想記入例、例2)などと記載した。
 校長は、「人事構想調書」(甲35)の「次年度の人事構想」に上記例のように記載し、校長ヒアリングにおいて「算数の研究推進が堪能な教員を希望する。」、「吹奏楽部の指導ができる教員を希望する。」と申し出ればよい。
 その後は、板橋区教育委員会が行う仕事である。つまり、「教育職員自己申告書(異動について)」(乙2)及び「異動申告書(異動についての校長所見)」(乙3)並びに校長ヒアリングにより、異動対象教員の教職歴、特性、能力を把握する。「人事構想調書」(甲35)並びに校長ヒアリングにより、板橋区立学校77校の教育課題、教員構成上の課題、課題解決のために必要な教員について理解する。そして、必要な学校に適切な教員を公正かつ適正に配置する。(本ページ、5教員定期異動事務の進め方(3)板橋区教育委員会が行うべき職務)

 イ 法令解釈の過誤

 板橋区区長坂本健は、東京地方裁判所平成26年(ワ)第12268号事件に提出した平成26年9月1日付け被告板橋区準備書面(1)18頁において、「平成26年度定期異動状況調査一覧表」(乙7)は「校長の具申を始めとして、自校の学校経営方針や人事構想の実現に向け、自校の人事上の要望事項を具体化等するための資料として必要なものである」と主張し、平成25年度板橋区立中学校校長22名(板橋第五中学校を除く)が同一覧表を作成して使用したことを支持した。
〔平成26年9月1日付け被告板橋区準備書面(1)18頁、上から7行目から24行目まで〕
 エ 以上の人事異動の仕組みの下では、「平成24年度教職員一覧表」、「平
  成25年度教職員一覧表」、「平成24年度板橋区立中学校教職員一覧表」、
  「平成25年度板橋区立中学校教職員一覧表」、「平成26年度定期異動状
  況調査一覧表」及び「平成26年度定期異動に関する求人・紹介一覧表」
  は、必要なものである。
   すなわち、都教委の人事異動は、制度上、区教委の内申、各校長の具申
  の基に成り立っているところ、「教職員一覧表」は区教委の内申等、つまり
  区教委が都教委に提出する異動計画案及び異動配置案並びに各種調査回答
  を作成する際の資料等として、また、「中学校教職員一覧表」、「定期異動状
  況調査票」及び「定期異動に関する求人・紹介一覧表」は校長の具申を始
  めとして、自校の学校経営方針や人事構想の実現に向け、自校の人事上の
  要望事項を具体化等するための資料として、それぞれ必要なものである。
  また、これらを用いることによって、「適材適所の配置」や「学校における
  望ましい教員構成の確保」など、定期異動の目的達成に資することとなる。
  とりわけ、板橋区内の人事異動においては、校長から人事上の要望事項に
  ついて、個別具体的に聴取し、異動計画案に反映させることで、校長の学
  校経営方針や人事構想の実現をきめ細かく支援し、板橋区全体の教育水準
  の向上を図ることができるものである。

 上記(3)アのとおり、平成25年度板橋区立中学校校長22名(板橋第五中学校を除く)は、所属職員のうち次年度異動する教員の職務上の情報及び個人情報を自校の外の校長21名に漏えいした。平成25年度板橋区立中学校校長22名(板橋第五中学校を除く)は、学校教育法37条4項を準用する49条、東京都板橋区立学校の管理運営に関する規則5条1項1号及び5条1項2号が規定する権限を逸脱濫用し、地方公務員法34条1項に違反した。平成25年度板橋区立中学校校長22名(板橋第五中学校を除く)は、所属職員のうち次年度異動する教員の自己情報コントロール権を侵害し、憲法13条、教育基本法9条2項、個人情報保護法3条に違反した。
 上記(3)イのとおり、平成25年度板橋区立中学校校長22名(板橋第五中学校を除く)は、自校の外の21中学校に在職し次年度異動する教員約60人の職務上の情報及び個人情報を不正に入手した。平成25年度板橋区立中学校校長22名(板橋第五中学校を除く)は、学校教育法37条4項を準用する49条、東京都板橋区立学校の管理運営に関する規則5条1項1号及び5条1項2号が規定する権限を逸脱濫用した。平成25年度板橋区立中学校校長22名(板橋第五中学校を除く)は、自校の外の21中学校に在職し次年度異動する教員約60人の自己情報コントロール権を侵害し、憲法13条、教育基本法9条2項、個人情報保護法3条に違反した。
 したがって、板橋区区長坂本健は、憲法13条、教育基本法9条2項、個人情報保護法3条、学校教育法37条4項を準用する49条、東京都板橋区立学校の管理運営に関する規則5条1項1号及び5条1項2号、地方公務員法34条1項の解釈適用を誤り、平成25年度板橋区立中学校校長22名(板橋第五中学校を除く)の違法行為を支持した。
 よって、板橋区区長坂本健は、法令等の解釈適用を誤る違法行為を行った。


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